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アイドル編
第二十六話 紗雪さんは真白先生の妹で女子高生ですよ
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紗雪さんが来たという事が何を意味するのか。私も真白先生もその意味を理解しているのだけれど、それを認めるという事は私たちが行ってきたことが間違いだったと認めることになってしまう。間違いではなかったとしても、正解にたどり着くための最短距離から外れていたという事になってしまうのだろう。
「お兄ちゃんもヒナミちゃんもさ、よくやってるとは思うよ。でも、お兄ちゃんのやり方はあまり褒められたものじゃないよね。相手から求められたら答えたくなるってお兄ちゃんの気持ちはわかるけどさ、この件を解決するにはまだ必要ない事だったんじゃないかな。その証拠にさ、今回の件を全て任されているはずの楓さんの姿が無いわけでしょ。それって、契約上問題になっちゃうんだよね。私は別に学校終わった後にちょっと様子を見にくらだけだからよかったんだけど、ママも叔母さんもお兄ちゃんのやったことに対して怒っちゃってるんだよね。お兄ちゃんは自分が平気だから何ともないって思ってるのかもしれないけどさ、何の訓練もしてなくて普通の人だったらヒナミちゃんに触れるだけでも相当な量のエネルギーをもってかれちゃうんだからね。そこはちょっと反省してもらいたいな。あ、別にあたしはヒナミちゃんの事を責めてるんじゃなくて、そう言う状況を作ったお兄ちゃんの事を責めてるんだからね。わかったらここが今どんな状況でどうするのが一番か教えてもらってもいいかな。それくらいお兄ちゃんでも答えられるよね?」
私に限らず幽霊に触ったり触られたりすることによって生きている人間のエネルギーを吸収してしまうのだけれど、私は他の幽霊と比べてその吸収量が多いらしい。気付かれないようにほんの少しだけエネルギーを奪っているのだけれど、奪える絶対量が普通の幽霊よりも人間の限界ギリギリまでに設定されてしまっているそうだ。私が決めた事じゃないのでどうすればいいのかわからないけど、私は他の幽霊さん達に比べて長い時間じわじわとエネルギーを吸収し続けてしまう、らしい。
「えっと、この劇場に憑りついている女の幽霊を説得してここじゃない場所に行ってもらって、その後はどうにかする」
「どうにかするって、なんの案も無いって事じゃない。そんなんじゃ誰もなっとくなんてしないよ。それに、お兄ちゃんにはこの幽霊の姿が見えてないのに説得なんて出来るわけないじゃない。ヒナミちゃんは優しいからハッキリと言ったりしないんだろうけどさ、この幽霊はお兄ちゃんの事を完全になめてるよ。どうせ何も出来ない偽能力者だって思ってるみたいだね。何が原因でそうなったのかわからないけど、あたしはお兄ちゃんがこの程度の幽霊になめられていて恥ずかしいよ」
「俺の事をなめてるって、そんなことは無いよな?」
『ごめんなさい。この幽霊は完全に真白先生の事を格下に見てるようです。私たちがここに来た時は警戒していたみたいですけど、真白先生がこの幽霊の事を見えてないという事がバレてからは好き勝手なことをしてました。あんまり言うのもはばかられるような事もしてたんで言えなかったんですけど、この幽霊は完全に真白先生の事を相手にしてないです』
私もちゃんと報告しておけばよかったんだろうけど、真白先生が幽霊を見ることが出来ないという事をわかられただけでここまで馬鹿にしてくるのかという思いもあったのだ。そんな思いを当事者ではない私が感じているのだから、当事者の真白先生にその事を伝えるとショックを受けちゃうんだろうなって考えてしまうと伝えることが出来なかったのだ。
「あれ、いつの間にか可愛い女の子が増えてますね。鵜崎先生の知り合いの方ですか?」
「知り合いというか、俺の妹です。妹の鵜崎紗雪です」
「え、ちょっと待ってください。鵜崎紗雪さんって、私と年齢が近いのに心霊系の問題をどんどん解決してる神様みたいな方ですよね。でも、社長も楓さんも鵜崎家の女性に仕事を頼むお金が無いって言ってたんですけど、どうにかなったって事ですか?」
「お金の話は知らないけど、あたしはちょっとお兄ちゃんの不始末を片付けに来ただけなのよ。そちらの支配人さんにも迷惑をかけちゃったみたいだし、その分は報酬もいらないって社長さんに伝えといてくれるかしら。あと、この件が解決したらお兄ちゃんの事を許してもらえると嬉しいな」
「許してと言われましても、私たちは真白先生に何かされた覚えはないのですが」
「それならそれでいいんだけどね。じゃあ、お兄ちゃんに任せてると解決するのが一年後になりそうなのでさっさと問題を片付けちゃうね。あなた達が望むのって、ここに救っている悪の親玉みたいな幽霊を三体駆除して前みたいに穏やかな空間にして欲しいって事でしょ?」
「三体ですか。私なココと入り口付近にいる二体って聞いてたんですけど。いったい見落としてたって事ですか?」
「見落とすも何も、お兄ちゃんは三体目の幽霊に会ってないんだからね。知らないのも無理はないと思うよ。その三体目は支配人室を出たり入ったりしてるからね。あなた達も支配人室には入った事ないんでしょ?」
「ほとんどないですよ。何となくですけど、あの部屋って嫌な感じがするんですよね。空気感なのか匂いなのかわからないですけど、ちょっとあそこだけ異質だなって思います」
「じゃ、そう言うわけだから。あたしは順番に片付けてくるね。ここの幽霊が逃げないように二人ともしっかり見張っていてね」
『はい』
「はい」
その二人に私が入っているかわからないし、明里さんが幽霊の姿を見られる人かどうかもわかっていない。それでも、私は紗雪さんの言葉に誰よりも早く答えるのであった。
「お兄ちゃんもヒナミちゃんもさ、よくやってるとは思うよ。でも、お兄ちゃんのやり方はあまり褒められたものじゃないよね。相手から求められたら答えたくなるってお兄ちゃんの気持ちはわかるけどさ、この件を解決するにはまだ必要ない事だったんじゃないかな。その証拠にさ、今回の件を全て任されているはずの楓さんの姿が無いわけでしょ。それって、契約上問題になっちゃうんだよね。私は別に学校終わった後にちょっと様子を見にくらだけだからよかったんだけど、ママも叔母さんもお兄ちゃんのやったことに対して怒っちゃってるんだよね。お兄ちゃんは自分が平気だから何ともないって思ってるのかもしれないけどさ、何の訓練もしてなくて普通の人だったらヒナミちゃんに触れるだけでも相当な量のエネルギーをもってかれちゃうんだからね。そこはちょっと反省してもらいたいな。あ、別にあたしはヒナミちゃんの事を責めてるんじゃなくて、そう言う状況を作ったお兄ちゃんの事を責めてるんだからね。わかったらここが今どんな状況でどうするのが一番か教えてもらってもいいかな。それくらいお兄ちゃんでも答えられるよね?」
私に限らず幽霊に触ったり触られたりすることによって生きている人間のエネルギーを吸収してしまうのだけれど、私は他の幽霊と比べてその吸収量が多いらしい。気付かれないようにほんの少しだけエネルギーを奪っているのだけれど、奪える絶対量が普通の幽霊よりも人間の限界ギリギリまでに設定されてしまっているそうだ。私が決めた事じゃないのでどうすればいいのかわからないけど、私は他の幽霊さん達に比べて長い時間じわじわとエネルギーを吸収し続けてしまう、らしい。
「えっと、この劇場に憑りついている女の幽霊を説得してここじゃない場所に行ってもらって、その後はどうにかする」
「どうにかするって、なんの案も無いって事じゃない。そんなんじゃ誰もなっとくなんてしないよ。それに、お兄ちゃんにはこの幽霊の姿が見えてないのに説得なんて出来るわけないじゃない。ヒナミちゃんは優しいからハッキリと言ったりしないんだろうけどさ、この幽霊はお兄ちゃんの事を完全になめてるよ。どうせ何も出来ない偽能力者だって思ってるみたいだね。何が原因でそうなったのかわからないけど、あたしはお兄ちゃんがこの程度の幽霊になめられていて恥ずかしいよ」
「俺の事をなめてるって、そんなことは無いよな?」
『ごめんなさい。この幽霊は完全に真白先生の事を格下に見てるようです。私たちがここに来た時は警戒していたみたいですけど、真白先生がこの幽霊の事を見えてないという事がバレてからは好き勝手なことをしてました。あんまり言うのもはばかられるような事もしてたんで言えなかったんですけど、この幽霊は完全に真白先生の事を相手にしてないです』
私もちゃんと報告しておけばよかったんだろうけど、真白先生が幽霊を見ることが出来ないという事をわかられただけでここまで馬鹿にしてくるのかという思いもあったのだ。そんな思いを当事者ではない私が感じているのだから、当事者の真白先生にその事を伝えるとショックを受けちゃうんだろうなって考えてしまうと伝えることが出来なかったのだ。
「あれ、いつの間にか可愛い女の子が増えてますね。鵜崎先生の知り合いの方ですか?」
「知り合いというか、俺の妹です。妹の鵜崎紗雪です」
「え、ちょっと待ってください。鵜崎紗雪さんって、私と年齢が近いのに心霊系の問題をどんどん解決してる神様みたいな方ですよね。でも、社長も楓さんも鵜崎家の女性に仕事を頼むお金が無いって言ってたんですけど、どうにかなったって事ですか?」
「お金の話は知らないけど、あたしはちょっとお兄ちゃんの不始末を片付けに来ただけなのよ。そちらの支配人さんにも迷惑をかけちゃったみたいだし、その分は報酬もいらないって社長さんに伝えといてくれるかしら。あと、この件が解決したらお兄ちゃんの事を許してもらえると嬉しいな」
「許してと言われましても、私たちは真白先生に何かされた覚えはないのですが」
「それならそれでいいんだけどね。じゃあ、お兄ちゃんに任せてると解決するのが一年後になりそうなのでさっさと問題を片付けちゃうね。あなた達が望むのって、ここに救っている悪の親玉みたいな幽霊を三体駆除して前みたいに穏やかな空間にして欲しいって事でしょ?」
「三体ですか。私なココと入り口付近にいる二体って聞いてたんですけど。いったい見落としてたって事ですか?」
「見落とすも何も、お兄ちゃんは三体目の幽霊に会ってないんだからね。知らないのも無理はないと思うよ。その三体目は支配人室を出たり入ったりしてるからね。あなた達も支配人室には入った事ないんでしょ?」
「ほとんどないですよ。何となくですけど、あの部屋って嫌な感じがするんですよね。空気感なのか匂いなのかわからないですけど、ちょっとあそこだけ異質だなって思います」
「じゃ、そう言うわけだから。あたしは順番に片付けてくるね。ここの幽霊が逃げないように二人ともしっかり見張っていてね」
『はい』
「はい」
その二人に私が入っているかわからないし、明里さんが幽霊の姿を見られる人かどうかもわかっていない。それでも、私は紗雪さんの言葉に誰よりも早く答えるのであった。
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