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アイドル編
第二十五話 私が写ると心霊写真になっちゃいますね
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私も真白先生と一緒に写った写真があればいいなとは思っていたのだけれど、一緒にチェキに写るという事は出来なかった。楓さんに撮って貰えば写ることが出来たのかもしれないけれど、夕方になって明里さん達の出番が始まっても楓さんはやってこなかったのだった。
楓さんは体調を崩してしまったとのことで今日は休みになったそうなのだ。あれだけ何回も真白先生とエッチをしていたら体調も崩すだろうとは思っていた。真白先生もあまり寝ていないと思うのに元気なのは凄いなと思う。エッチをする事でどれくらい体力が無くなるのかわからないけれど、今まで見てきた人達も真白先生と一晩中エッチをした後はぐったりしていたように思う。
真白先生と一緒に明里さん達の舞台を見ていたのだけれど、私たちの他に見に来ている人は五人ほどいたのだ。あとで聞いた話なのだが、この五人は毎回のように来てくれる常連のようだ。
『明里さん達の舞台ってもっと多くの人が見にくるのかと思ってましたけど、あんまり多くないんですね』
「そんな事ないと思うよ。平日の夕方に来てくれるってのはありがたいんじゃないかな。今いる人達は幽霊とかがいても気にしないくらい熱心に応援してるみたいだしね」
『いつの間にか幽霊さん達もたくさん来てますもんね。あの曲が終わったらほとんどいなくなっちゃいましたけど、どうしてあの曲ってそんなに幽霊さん達を引き付けるんでしょうね』
「それは俺よりも幽霊であるヒナミの方が詳しいんじゃないの?」
『うーん、なんでなのかはうまく言えないんですよ。歌が特別良いとか曲が特別良いとか踊りが特別良いとかわからないですけど、何となく惹かれるものがあるんですよ。うまく言葉に出来ないですけど、何か落ち着く感じなんですよね』
「言葉にうまく出来ないってのはあるかもな。でも、そう言うのが一番人の心を惹き付けるのかもしれないよな。俺も見ててちょっといいなって思ってるし」
『アンコールの時には幽霊さん達もほとんどいなくなってましたよね。最後まで見ていけばいいのに』
「幽霊なんだから他の人に気を使わないで自分の見たいところだけ見てるって事なんじゃないかな。俺も余計な事に関わりを持たないでそうできればいいなって思うよ」
『それって、私の事を邪魔だって思ってるってわけじゃないですよね?』
「ヒナミの事を邪魔だなんて思ったことは無いよ。そう思ってたら紗雪に頼んで成仏させてるだろうしな。ヒナミも成仏したくなったらいつでも言ってくれていいんだからな」
『私は成仏したいなんて思わないですよ。真白先生がいなくなったら成仏したいなって思うかもしれないですけど、そうなった時には真白先生も私みたいに幽霊になってると思いますし、その時は幽霊同士で楽しみましょうね』
「そうなれたらいいけど、俺は幽霊にはなれないかもな。ほら、鵜崎家の人間って死んだ瞬間に強制的に成仏させられるだろ。それってさ、とんでもない悪霊になってしまう可能性があるからなんだって。人間の時にそれだけの霊力を持っているって事は、死んで肉体が無くなったらそのリミッターが外れてとんでもない力を持つことになるっていう話なんだよね。でもさ、俺みたいな中途半端な力だとどうなるんだろうなって思うけどな」
「お兄ちゃんは別に中途半端じゃないと思うよ。あたしとかママみたいな力はないかもしれないけどさ、お兄ちゃんはお兄ちゃんで凄い力を持ってると思うんだけどな。ほら、ヒナミちゃんと一緒にいるのに平気だって事でも普通じゃないって事だし」
急に現れた紗雪さんの存在に私も真白先生も気付いていなかったのだけれど、他の人だったらこんな風に話しかけられるまで気付かないということは無かった。私は幽霊の特性なのか、近くに寄ってきた人がどんな人か大体わかるものなのだが、紗雪さんをはじめとする鵜崎家の女性の方々は隣にいても話しかけられるまで認識することが出来ないのだ。
いつ見ても紗雪さんは小さくて可愛いですね。真白先生とは少し年が離れているので小さいのは仕方ないと思いますが、楓さんとそこまで身長も変わらないかもしれないですよ。あっちで常連の人達と話をしている明里さん達と同じくらいの年来だと思うんですが、見た目だけだともう少し年下に見えるかもしれませんね。ただ、それを紗雪さんに言ってしまうと怒られるかもしれないんで黙ってることにしましょう。
「ヒナミと一緒にいて平気ってどういうことだよ。ヒナミは別にこの世に恨みがあるわけでもないから人を呪ったりもしてないし。なあ、俺から力を取ろうとなんて思ってないよな?」
『はい、全然そんなこと思ってないです。というか、そう言うことが出来るなんて思ってなかったです』
「ヒナミちゃんが悪霊だの怨念だのって言ってるわけじゃないんだよ。実際にヒナミちゃんは幽霊なのにいい人だし、そこはママたちも認めてるけどさ。でも、幽霊であることには変わりないんだよね。幽霊であるヒナミちゃんが人間であるお兄ちゃんと触れ合ったりするとさ、お兄ちゃんの生命力を知らない間に少しずつ奪っていってね、この世界に留まるための力に変えるって事なんだよ。お兄ちゃんはヒナミちゃんに触ることが出来ないんでその心配なほとんどないんだけど、近くにいるだけで多少は奪われちゃうかもね」
「そんな話聞いた事ないぞ」
「お兄ちゃんが聞かなかっただけでしょ。それが幽霊と一緒に暮らすって事だからね。それにしても、ヒナミちゃんって前にあった時よりも健康的になってるみたいだね」
私にそんな特性があるなんて知らなかったです。もしかして、楓さんが今日おやすみになったのはその特性が原因なんでしょうか。私と長時間触れあっていた楓さんの体力を知らず知らずのうちに奪っていたのかもしれないって事に気付いた紗雪さんは、もしかしたら私を成仏させるためにやってきたってことなのかもしれないですね。
『あの、その事を知らなかった私はここの支配人の楓さんと長い時間触れ合ったんですけど、それって楓さんに何か問題が起きたりするんでしょうか?』
「大丈夫だと思うよ。ヒナミちゃんに触れることが出来る人間なんてそんなに多いわけじゃないし、いたとしても本能的に触れないように避けるだろうからね。あたしとかはヒナミちゃんに触っても生命力を奪われたりなんてしないし、ヒナミちゃんに触ることが出来るくらいの力を持っている人なら多少触れ合ったりしても大丈夫なように守ってたりするからね」
『楓さんはそう言うの出来ないと思うんですよね。昨日まで幽霊の姿も声もわからないような人でしたから』
「ん、それって、もしかしてお兄ちゃんがまた変な事をしたって事なんだよね。そう言うのは良くないって何回も言ってるんだけどな。お兄ちゃんってあたしの言ってること聞く気ないでしょ。そんな事ばっかりやってると、ママに色々と盛って報告しちゃうからね」
楓さんは体調を崩してしまったとのことで今日は休みになったそうなのだ。あれだけ何回も真白先生とエッチをしていたら体調も崩すだろうとは思っていた。真白先生もあまり寝ていないと思うのに元気なのは凄いなと思う。エッチをする事でどれくらい体力が無くなるのかわからないけれど、今まで見てきた人達も真白先生と一晩中エッチをした後はぐったりしていたように思う。
真白先生と一緒に明里さん達の舞台を見ていたのだけれど、私たちの他に見に来ている人は五人ほどいたのだ。あとで聞いた話なのだが、この五人は毎回のように来てくれる常連のようだ。
『明里さん達の舞台ってもっと多くの人が見にくるのかと思ってましたけど、あんまり多くないんですね』
「そんな事ないと思うよ。平日の夕方に来てくれるってのはありがたいんじゃないかな。今いる人達は幽霊とかがいても気にしないくらい熱心に応援してるみたいだしね」
『いつの間にか幽霊さん達もたくさん来てますもんね。あの曲が終わったらほとんどいなくなっちゃいましたけど、どうしてあの曲ってそんなに幽霊さん達を引き付けるんでしょうね』
「それは俺よりも幽霊であるヒナミの方が詳しいんじゃないの?」
『うーん、なんでなのかはうまく言えないんですよ。歌が特別良いとか曲が特別良いとか踊りが特別良いとかわからないですけど、何となく惹かれるものがあるんですよ。うまく言葉に出来ないですけど、何か落ち着く感じなんですよね』
「言葉にうまく出来ないってのはあるかもな。でも、そう言うのが一番人の心を惹き付けるのかもしれないよな。俺も見ててちょっといいなって思ってるし」
『アンコールの時には幽霊さん達もほとんどいなくなってましたよね。最後まで見ていけばいいのに』
「幽霊なんだから他の人に気を使わないで自分の見たいところだけ見てるって事なんじゃないかな。俺も余計な事に関わりを持たないでそうできればいいなって思うよ」
『それって、私の事を邪魔だって思ってるってわけじゃないですよね?』
「ヒナミの事を邪魔だなんて思ったことは無いよ。そう思ってたら紗雪に頼んで成仏させてるだろうしな。ヒナミも成仏したくなったらいつでも言ってくれていいんだからな」
『私は成仏したいなんて思わないですよ。真白先生がいなくなったら成仏したいなって思うかもしれないですけど、そうなった時には真白先生も私みたいに幽霊になってると思いますし、その時は幽霊同士で楽しみましょうね』
「そうなれたらいいけど、俺は幽霊にはなれないかもな。ほら、鵜崎家の人間って死んだ瞬間に強制的に成仏させられるだろ。それってさ、とんでもない悪霊になってしまう可能性があるからなんだって。人間の時にそれだけの霊力を持っているって事は、死んで肉体が無くなったらそのリミッターが外れてとんでもない力を持つことになるっていう話なんだよね。でもさ、俺みたいな中途半端な力だとどうなるんだろうなって思うけどな」
「お兄ちゃんは別に中途半端じゃないと思うよ。あたしとかママみたいな力はないかもしれないけどさ、お兄ちゃんはお兄ちゃんで凄い力を持ってると思うんだけどな。ほら、ヒナミちゃんと一緒にいるのに平気だって事でも普通じゃないって事だし」
急に現れた紗雪さんの存在に私も真白先生も気付いていなかったのだけれど、他の人だったらこんな風に話しかけられるまで気付かないということは無かった。私は幽霊の特性なのか、近くに寄ってきた人がどんな人か大体わかるものなのだが、紗雪さんをはじめとする鵜崎家の女性の方々は隣にいても話しかけられるまで認識することが出来ないのだ。
いつ見ても紗雪さんは小さくて可愛いですね。真白先生とは少し年が離れているので小さいのは仕方ないと思いますが、楓さんとそこまで身長も変わらないかもしれないですよ。あっちで常連の人達と話をしている明里さん達と同じくらいの年来だと思うんですが、見た目だけだともう少し年下に見えるかもしれませんね。ただ、それを紗雪さんに言ってしまうと怒られるかもしれないんで黙ってることにしましょう。
「ヒナミと一緒にいて平気ってどういうことだよ。ヒナミは別にこの世に恨みがあるわけでもないから人を呪ったりもしてないし。なあ、俺から力を取ろうとなんて思ってないよな?」
『はい、全然そんなこと思ってないです。というか、そう言うことが出来るなんて思ってなかったです』
「ヒナミちゃんが悪霊だの怨念だのって言ってるわけじゃないんだよ。実際にヒナミちゃんは幽霊なのにいい人だし、そこはママたちも認めてるけどさ。でも、幽霊であることには変わりないんだよね。幽霊であるヒナミちゃんが人間であるお兄ちゃんと触れ合ったりするとさ、お兄ちゃんの生命力を知らない間に少しずつ奪っていってね、この世界に留まるための力に変えるって事なんだよ。お兄ちゃんはヒナミちゃんに触ることが出来ないんでその心配なほとんどないんだけど、近くにいるだけで多少は奪われちゃうかもね」
「そんな話聞いた事ないぞ」
「お兄ちゃんが聞かなかっただけでしょ。それが幽霊と一緒に暮らすって事だからね。それにしても、ヒナミちゃんって前にあった時よりも健康的になってるみたいだね」
私にそんな特性があるなんて知らなかったです。もしかして、楓さんが今日おやすみになったのはその特性が原因なんでしょうか。私と長時間触れあっていた楓さんの体力を知らず知らずのうちに奪っていたのかもしれないって事に気付いた紗雪さんは、もしかしたら私を成仏させるためにやってきたってことなのかもしれないですね。
『あの、その事を知らなかった私はここの支配人の楓さんと長い時間触れ合ったんですけど、それって楓さんに何か問題が起きたりするんでしょうか?』
「大丈夫だと思うよ。ヒナミちゃんに触れることが出来る人間なんてそんなに多いわけじゃないし、いたとしても本能的に触れないように避けるだろうからね。あたしとかはヒナミちゃんに触っても生命力を奪われたりなんてしないし、ヒナミちゃんに触ることが出来るくらいの力を持っている人なら多少触れ合ったりしても大丈夫なように守ってたりするからね」
『楓さんはそう言うの出来ないと思うんですよね。昨日まで幽霊の姿も声もわからないような人でしたから』
「ん、それって、もしかしてお兄ちゃんがまた変な事をしたって事なんだよね。そう言うのは良くないって何回も言ってるんだけどな。お兄ちゃんってあたしの言ってること聞く気ないでしょ。そんな事ばっかりやってると、ママに色々と盛って報告しちゃうからね」
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