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アイドル編
第二十四話 明里さんは真白先生の事が
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劇場に集まっている幽霊は数体しかいないと言った感じで、あの女性の幽霊もその存在を確認する事は出来なかった。真白先生はその事に気が付いていないと思うけど、明里さんは幽霊自体には気付いているようでずっとビクビクしているのが可愛らしかった。今ここに居る幽霊は私も含めて誰も悪意なんて持っておらず、ステージ上でキラキラとしている物に憧れているだけなのだが、そんな事を思っているなんて真白先生も明里さんも気付いていないだろう。もちろん、楓さんもその事には気付いていない。
「ここに来ると幽霊の気配が強くなってるんですけど、このままステージに立ってても大丈夫なんですかね。呪われたり憑りつかれたりしないですか?」
『それは大丈夫だと思いますよ。今ここに居る幽霊さん達は明里さん達が踊ったり歌ってるところを見たいだけみたいですから。例えるなら、テレビに映ってる人を見に来た子供みたいな感じだと思いますよ。女性の幽霊が悪意を向けない限り気にすることは無いと思いますよ。でも、悪意が無くても幽霊が集まっている事には変わりないので、明里さんみたいに霊感のある人が来たら嫌な空気を汲み取ってここに来るのを控えちゃうかもしれないですね』
「今のところは大丈夫だと思うよ。ここに居る幽霊は君達に悪意を持っているわけではないし、どちらかと言えば君達に対してあこがれを抱いている感じみたいだからね。ほら、小さい子がアニメのキャラクターに憧れるみたいな感じだと思えばいいんじゃないかな」
「そうなんですか。そう言われると幽霊がいる感じはしても怖いって感じではないですね。でも、本番の時はお客さんだけじゃない視線をステージの後ろとか近くからも感じてるんですよ。大丈夫だって言われても、ちょっとそれは怖いんですよね。無害な人って言われても近くに誰かいたら怖くないですか?」
私は幽霊になる前の記憶が残ってないんですが、明里さんたちの踊りを見ていると懐かしい気持ちになるんですよね。他の曲を見てもそんな事は思わないのですが、真白先生と一緒に何度も見たあの歌はなぜか心惹かれるものがあるんですよ。それは他の幽霊さん達も同じようで、あの曲の時だけ明らかに幽霊が増えていてステージまで登ったりしてるんですよね。
「無害と言っても近くに来たら怖いかもね。でも、その辺は何とかするから安心してステージに立ってくれていいよ。たぶん、近いうちにそれを解決することが出来ると思うからね」
「ありがとうございます。私の他に見える子ってあんまりいないからずっとストレスだったんですよ。鵜崎先生みたいにちゃんと見えている人に相談できて良かったです。もしかしたら、鵜崎先生と一緒にチェキを取ったら心霊写真になったりして」
「そんな事ないと思うけどな。あんまり写真とか撮った事ないからわからないけどさ」
「そうなですか。じゃあ、一枚撮りましょうよ。私がチェキ代払うんでステージが終わったらお願いしますね」
「チェキ代って、そう言うのは俺が払うよ」
「良いからいいから。鵜崎先生はそんなこと考えなくていいですから。それに、私も鵜崎先生と思い出作っておきたいですからね。じゃあ、私はみんなと練習してきますね。楓さんが来るまでもう少し時間かかるみたいですし、待っててくださいね」
明里さんは一礼した後に手を振って出て行ったのだが、明るく振舞っているその表情の奥に少しだけ恐怖を感じているような気がしていた。真白先生がここに居る幽霊は無害だと教えてあげて理解はしてくれたと思うのだけれど、普通の人が幽霊に囲まれてしまっては無害と聞いても恐怖を感じるのは当然だろう。
きっと私だって明里さんの立場にいたら恐怖を感じて戸惑っているに違いないのだ。
『真白先生は明里さんとチェキがとれるのが嬉しいみたいですね』
「そんなことは無いけど。チェキって撮った事ないし」
『いつもは撮ってないけど真白先生はたまに撮影してるじゃないですか。明里さんともそんな感じで撮影するとか大丈夫なんですかね?』
「ん、ちょっと待ってもらっていいかな。ヒナミはもしかしてチェキをご存じない?」
『はい、正しい意味は理解してないですけど何となくは理解してますよ。でも、未成年のアイドルに手を出すってのはさすがにダメだと思いますけどね』
「うーん、全く理解してないみたいだな。じゃあ、簡単に説明させてもらうよ」
私は真白先生の説明を聞いて恥ずかしくなっていた。心臓が動いていたのならいつも以上に早く鼓動しているのではないかと思えるくらいだった。そんな私の勘違いを真白先生は楽しそうに聞いていたのだけれど、こんな風に私に笑顔を向けてくれるのは少し嬉しいとさえ思ってしまった。昨日の夜は私ではなく楓さんを見ている時間が長かったし、今日も私よりも明里さんを見ている時の方が嬉しそうに見えたんですよね。
『明里さんと一緒に撮る時に私も写っちゃおうかな』
「そんな事も出来るようになったの?」
『出来るかわからないですけど、やろうと思えば出来るんじゃないですかね。ほら、時々他の人の写真に写り込む幽霊とかいるじゃないですか。そんな感じで私も紛れ込んでみようかな』
「そうなると本当の心霊写真になっちゃうな。でも、今まで一度もヒナミをカメラで写せた事ないんだけど、うまく行くと思うの?」
『それはわからないですけど、私の事が見える楓さんに撮ってもらえばいいんじゃないですかね。それなら写るような気もしますけど』
たぶん楓さんなら私の事も写してくれるような気がするんだよね。楓さんに出来ないんだったら真白先生の家族の人に頼むのが一番だと思うけど、あの人達に会うくらいだったら写真に写れないのも我慢しちゃうかも。そこまで写りたいというわけではないんだけど、真白先生が明里さんにもデレデレしてるのを見るのがちょっと嫌なだけなんだよな。
「でも、ヒナミが写真に写りたいとか思ってたのは意外だったな」
『別に写真に写りたいわけではないですよ。ただ、真白先生と一緒に何かしたいって思ってるだけです。私は幽霊なんで真白先生と一緒に何かしたりとか出来ないし、昨日真白先生と楓さんがエッチな事をしているのを見て改めて羨ましいなって思っただけですから』
私は何を口走ってるんだろうと自分でも思ってしまったのだけれど、つい出てしまった言葉を無かった事には出来なかった。
真白先生は私に笑顔を向けてはくれているのだけれど、その笑顔は私が見たい爽やかな笑顔ではなくニヤニヤとした少し不快な笑顔であった。
「ここに来ると幽霊の気配が強くなってるんですけど、このままステージに立ってても大丈夫なんですかね。呪われたり憑りつかれたりしないですか?」
『それは大丈夫だと思いますよ。今ここに居る幽霊さん達は明里さん達が踊ったり歌ってるところを見たいだけみたいですから。例えるなら、テレビに映ってる人を見に来た子供みたいな感じだと思いますよ。女性の幽霊が悪意を向けない限り気にすることは無いと思いますよ。でも、悪意が無くても幽霊が集まっている事には変わりないので、明里さんみたいに霊感のある人が来たら嫌な空気を汲み取ってここに来るのを控えちゃうかもしれないですね』
「今のところは大丈夫だと思うよ。ここに居る幽霊は君達に悪意を持っているわけではないし、どちらかと言えば君達に対してあこがれを抱いている感じみたいだからね。ほら、小さい子がアニメのキャラクターに憧れるみたいな感じだと思えばいいんじゃないかな」
「そうなんですか。そう言われると幽霊がいる感じはしても怖いって感じではないですね。でも、本番の時はお客さんだけじゃない視線をステージの後ろとか近くからも感じてるんですよ。大丈夫だって言われても、ちょっとそれは怖いんですよね。無害な人って言われても近くに誰かいたら怖くないですか?」
私は幽霊になる前の記憶が残ってないんですが、明里さんたちの踊りを見ていると懐かしい気持ちになるんですよね。他の曲を見てもそんな事は思わないのですが、真白先生と一緒に何度も見たあの歌はなぜか心惹かれるものがあるんですよ。それは他の幽霊さん達も同じようで、あの曲の時だけ明らかに幽霊が増えていてステージまで登ったりしてるんですよね。
「無害と言っても近くに来たら怖いかもね。でも、その辺は何とかするから安心してステージに立ってくれていいよ。たぶん、近いうちにそれを解決することが出来ると思うからね」
「ありがとうございます。私の他に見える子ってあんまりいないからずっとストレスだったんですよ。鵜崎先生みたいにちゃんと見えている人に相談できて良かったです。もしかしたら、鵜崎先生と一緒にチェキを取ったら心霊写真になったりして」
「そんな事ないと思うけどな。あんまり写真とか撮った事ないからわからないけどさ」
「そうなですか。じゃあ、一枚撮りましょうよ。私がチェキ代払うんでステージが終わったらお願いしますね」
「チェキ代って、そう言うのは俺が払うよ」
「良いからいいから。鵜崎先生はそんなこと考えなくていいですから。それに、私も鵜崎先生と思い出作っておきたいですからね。じゃあ、私はみんなと練習してきますね。楓さんが来るまでもう少し時間かかるみたいですし、待っててくださいね」
明里さんは一礼した後に手を振って出て行ったのだが、明るく振舞っているその表情の奥に少しだけ恐怖を感じているような気がしていた。真白先生がここに居る幽霊は無害だと教えてあげて理解はしてくれたと思うのだけれど、普通の人が幽霊に囲まれてしまっては無害と聞いても恐怖を感じるのは当然だろう。
きっと私だって明里さんの立場にいたら恐怖を感じて戸惑っているに違いないのだ。
『真白先生は明里さんとチェキがとれるのが嬉しいみたいですね』
「そんなことは無いけど。チェキって撮った事ないし」
『いつもは撮ってないけど真白先生はたまに撮影してるじゃないですか。明里さんともそんな感じで撮影するとか大丈夫なんですかね?』
「ん、ちょっと待ってもらっていいかな。ヒナミはもしかしてチェキをご存じない?」
『はい、正しい意味は理解してないですけど何となくは理解してますよ。でも、未成年のアイドルに手を出すってのはさすがにダメだと思いますけどね』
「うーん、全く理解してないみたいだな。じゃあ、簡単に説明させてもらうよ」
私は真白先生の説明を聞いて恥ずかしくなっていた。心臓が動いていたのならいつも以上に早く鼓動しているのではないかと思えるくらいだった。そんな私の勘違いを真白先生は楽しそうに聞いていたのだけれど、こんな風に私に笑顔を向けてくれるのは少し嬉しいとさえ思ってしまった。昨日の夜は私ではなく楓さんを見ている時間が長かったし、今日も私よりも明里さんを見ている時の方が嬉しそうに見えたんですよね。
『明里さんと一緒に撮る時に私も写っちゃおうかな』
「そんな事も出来るようになったの?」
『出来るかわからないですけど、やろうと思えば出来るんじゃないですかね。ほら、時々他の人の写真に写り込む幽霊とかいるじゃないですか。そんな感じで私も紛れ込んでみようかな』
「そうなると本当の心霊写真になっちゃうな。でも、今まで一度もヒナミをカメラで写せた事ないんだけど、うまく行くと思うの?」
『それはわからないですけど、私の事が見える楓さんに撮ってもらえばいいんじゃないですかね。それなら写るような気もしますけど』
たぶん楓さんなら私の事も写してくれるような気がするんだよね。楓さんに出来ないんだったら真白先生の家族の人に頼むのが一番だと思うけど、あの人達に会うくらいだったら写真に写れないのも我慢しちゃうかも。そこまで写りたいというわけではないんだけど、真白先生が明里さんにもデレデレしてるのを見るのがちょっと嫌なだけなんだよな。
「でも、ヒナミが写真に写りたいとか思ってたのは意外だったな」
『別に写真に写りたいわけではないですよ。ただ、真白先生と一緒に何かしたいって思ってるだけです。私は幽霊なんで真白先生と一緒に何かしたりとか出来ないし、昨日真白先生と楓さんがエッチな事をしているのを見て改めて羨ましいなって思っただけですから』
私は何を口走ってるんだろうと自分でも思ってしまったのだけれど、つい出てしまった言葉を無かった事には出来なかった。
真白先生は私に笑顔を向けてはくれているのだけれど、その笑顔は私が見たい爽やかな笑顔ではなくニヤニヤとした少し不快な笑顔であった。
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