【R18】除霊の代金は体で支払ってもらうので気にしないでください

釧路太郎

文字の大きさ
上 下
14 / 64
アイドル編

第十四話 真白先生の前まで連れていかれた私が見たモノ

しおりを挟む
 お風呂場に閉じこもっていようと思っていたのに、私は楓さんに無理やり寝室まで連れていかれてしまった。
『ちょっと待ってください。なんで私に触ることが出来るんですか?』
「なんでって言われても知らないわよ。見えるんだから触ることだってできるでしょ」
『でも、私からは楓さんに触れることが出来ないんですけど』
「そんなのどうでもいいって。今からヒナミさんも一緒にこれからの事を考えるのよ。真白先生とヒナミさんの力でどうにかしてもらうからね」
 真白先生が出来ることは幽霊の声を聴くことと私の姿を見ることだけだし、私が出来ることなんて普通の人が普通の人に出来ることと変わらないんだよね。今までも幽霊に対して説得をしてみたり真白先生にどんな状況か説明する事しか出来ていないのに。
 でも、楓さんが私に触れることが出来るという事は、あの場所にいる幽霊さん達を無理やり外に連れ出すことも出来るんじゃないかな。私以外の幽霊に触ることが出来るのだとしたら、それも不可能じゃないかもね。

「驚いた。楓さんはヒナミに触れることが出来るんだ」
「そんなに驚くような事なんですか。ここに居るのがわかってるんだから手を伸ばせば触れますよね?」
「そう言うことでもないんだよな。俺はヒナミと出会ってから何回か触ってみようと試したこともあるんだけど、何度やっても触ることは出来なかったんだ。ほら、今もこうして触ろうとしてもすり抜けちゃうでしょ」
 真白先生は私に向かって腕を伸ばしてきたんだけど、その腕は何のためらいもなく私の胸をめがけて真っすぐに伸びてきていた。
『え、急に何ですか』
「ちょっと真白先生、いきなり胸とかないですよ」
 私と同じタイミングで楓さんも反応していたのだけれど、真白先生はそれがどうしたとでもいうような表情で私たちの事を見ていた。
「ほらね。こんな風にすり抜けちゃうんだよ。触りたくても触れないって事なんだ」
「それって、真白先生はヒナミさんのオッパイを触りたいって事ですか?」
「そう言うわけではないけど、物の例えというもので」
「物の例えでオッパイに触ろうとしないでください。ほら、ヒナミさんも困ってるじゃないですか」
『確かに驚きましたけど、私としては真白先生に触ってもらっても平気ですよ。平気というか、触って貰ったらどんな感じになるのか気になったりしますけど。ねえ、真白先生に触られるのって他の人に触られるのと何か違うんですか?』
 真白先生とエッチをしている人を多く見てきたけど、みんな演技をしているようには見えないんだよね。本当に気持ちよさそうに声を出しているように見えるんだけど、他の人と真白先生でどんな違いがあるのか気になってたので聞いてみたんだけど、楓さんは真白先生に誘っているような視線を送って答えてくれなかった。
「違いって言われても、私もそんなに経験あるわけじゃないんで」
『でも、他の人にも触られたことってあるんですよね。その時もあんな風に大きい声を出してたりしたんですか?』
「そんな風に聞かれても困っちゃうな。そうだったような気もするけど、真白先生の触り方は私の事を思って触ってくれているような気がするんだよね。それがわかるから他の人より気持ちいいって感じるのかも。何となくだけど」
『真白先生は優しいですからね。幽霊になった私の事も無理やり成仏させようとしたりしないで私が悔いなく旅立てるように力を尽くしてくれてますからね』
 幽霊である私が真白先生と一緒にいることは鵜崎家の他の人にとってかなり特異なことであるというのは私にもわかっている。今の状況を普通に考えると私が真白先生に憑りついていると思われても仕方ないだろう。そんな私を問答無用で成仏させるような事も出来ると思うんだけど、なぜか真白先生は私の事を無理やり成仏させようとはしなかった
 真白先生だけではなく、鵜崎家の女性の人達も私と真白先生のこの不思議な関係を見守ってくれているのだ。その事がわかるエピソードとして、私を見た他の幽霊が真白先生に救いを求めて近付いてきていたことがあったのだけれど、その幽霊は真白先生の妹である紗雪さんの力によって成仏させられていたのである。
『これからもう一回エッチな事するんですよね?』
「それは真白先生次第かな。でも、その前に確かめたいことがあるんだけど、試させてもらうね」
 その言葉を聞いた真白先生はさっきまで私がいたお風呂場に行ってしまった。何を試すのだろうと思って見ていると、私の肩を掴んだ楓さんの顔が目の前まで迫ってきていた。
「私は昔から霊感ってものが無かったんで幽霊って言うのも心霊現象って言うのも信じていなかったんだけど、こうして実際に見てみると信じないわけにはいかないよね。それに、ヒナミさんみたいに悪い幽霊じゃないってのは運がいいわ」
 そう言いながら私は楓さんに抱きしめられたのだけれど、幽霊になってからこうして誰かに抱きしめられたのは初めてのような気がする。私は幽霊なので心臓なんてないんだけど、胸の奥が熱くなっているような気もしていた。
「それでね、確かめたいことって言うのは。ヒナミさんに触れるって事は、ヒナミさんがきている服も脱がせることが出来るのかなって事なんだよね」
 私がきている服を脱がせる?
 この人は何を言っているんだろう。私の服を脱がせようとしているから真白先生をお風呂場に行かせたって事?
「私ね。ヒナミちゃんみたいな可愛い子って大好きなんだよね」
 さっきまで優しく私を見守っていた楓さんの目はいつの間にか獲物を逃がさないハンターのような目に変わっていたのだった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

お客様が不在の為お荷物を持ち帰りました。

鞠目
ホラー
さくら急便のある営業所に、奇妙な配達員にいたずらをされたという不可思議な問い合わせが届く。 最初はいたずら電話と思われていたこの案件だが、同じような問い合わせが複数人から発生し、どうやらいたずら電話ではないことがわかる。 迷惑行為をしているのは運送会社の人間なのか、それとも部外者か? 詳細がわからない状況の中、消息を断つ者が増えていく…… 3月24日完結予定 毎日16時ごろに更新します お越しをお待ちしております

ちょっと大人な体験談はこちらです

神崎未緒里
恋愛
本当にあった!?かもしれない ちょっと大人な体験談です。 日常に突然訪れる刺激的な体験。 少し非日常を覗いてみませんか? あなたにもこんな瞬間が訪れるかもしれませんよ? ※本作品ではPixai.artで作成した生成AI画像ならびに  Pixabay並びにUnsplshのロイヤリティフリーの画像を使用しています。 ※不定期更新です。 ※文章中の人物名・地名・年代・建物名・商品名・設定などはすべて架空のものです。

借金した女(SМ小説です)

浅野浩二
現代文学
ヤミ金融に借金した女のSМ小説です。

【⁉】意味がわかると怖い話【解説あり】

絢郷水沙
ホラー
普通に読めばそうでもないけど、よく考えてみたらゾクッとする、そんな怖い話です。基本1ページ完結。 下にスクロールするとヒントと解説があります。何が怖いのか、ぜひ推理しながら読み進めてみてください。 ※全話オリジナル作品です。

ill〜怪異特務課事件簿〜

錦木
ホラー
現実の常識が通用しない『怪異』絡みの事件を扱う「怪異特務課」。 ミステリアスで冷徹な捜査官・名護、真面目である事情により怪異と深くつながる体質となってしまった捜査官・戸草。 とある秘密を共有する二人は協力して怪奇事件の捜査を行う。

特別。

月芝
ホラー
正義のヒーローに変身して悪と戦う。 一流のスポーツ選手となって活躍する。 ゲームのような異世界で勇者となって魔王と闘う。 すごい発明をして大金持ちになる。 歴史に名を刻むほどの偉人となる。 現実という物語の中で、主人公になる。 自分はみんなとはちがう。 この世に生まれたからには、何かを成し遂げたい。 自分が生きた証が欲しい。 特別な存在になりたい。 特別な存在でありたい。 特別な存在だったらいいな。 そんな願望、誰だって少しは持っているだろう? でも、もしも本当に自分が世界にとっての「特別」だとしたら…… 自宅の地下であるモノを見つけてしまったことを境にして、日常が変貌していく。まるでオセロのように白が黒に、黒が白へと裏返る。 次々と明らかになっていく真実。 特別なボクの心はいつまで耐えられるのだろうか…… 伝奇ホラー作品。

だんだんおかしくなった姉の話

暗黒神ゼブラ
ホラー
弟が死んだことでおかしくなった姉の話

処理中です...