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勇者の試練
勇者の試練 第二十話
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紹介されたレストランは満席だったうえにキャンセル待ちも数組いたみたいなのでポンピーノ姫が紹介してくれなければ入ることが出来なかったかもしれない。
お姫様がおススメするような場所だから味よりも別のモノが理由なのかと思っていたところもあるのだけれど、他の席で食事をしている人たちはみな満足そうな顔をして料理を堪能している姿が見受けられた。
「本日はご来店いただきありがとうございます。ポンピーノ様よりお話は伺っておりますので、本日は勇者真琴様とその彼女であられる瑠璃様の望まれるものを望まれるだけお出しするように仰せつかっております」
「いや、こいつは俺の彼女じゃなくて」
妹の瑠璃を俺の彼女と勘違いしているようなので訂正しようとしたのだが、テーブルの下がクロスで隠れて見えないのをいいことに瑠璃は俺の脛を思いっきり蹴り飛ばしてきた。
早いうちに否定しておかないと後々面倒なことになると思っていたのだけれど、瑠璃は俺が否定しようとするたびに脛の蹴られると痛いところをピンポイントで蹴ってきていた。兄妹なのだからそれを伝えればいいと思うのだが、瑠璃はかたくなにそれをさせてくれなかった。
「こういうところは兄妹って言うよりもカップルって言った方がサービスしてもらえるのよ。ほら、カップル限定メニューとかあるみたいだし、兄貴もそう言うの頼んでみたらいいよ」
「カップル限定メニューとは書いてあるけど、ここには家族でも注文可能って書いてあるよ。ほら、ここに書いてるって」
「はあ、本当に兄貴はバカなのね。ここに書かれている家族ってのは兄妹とか親子じゃん無くて夫婦って意味なのよ。夫婦でデートに来てくれた人にカップル限定メニューを食べてもらうために書いてるんだって」
瑠璃は呆れたような感じで俺にそう言っていたが、明らかにカップルでも夫婦でもない親子にしか見えない二人組がカップル限定メニューを食べているはどういう事だろう。あの年齢差で親子だったりカップルだったりするのは逆にまずい気もするのだが。
女性がプリンを男の子に食べさせているところを見ただけだと親子にもカップルにも見えてしまうかもしれないが、あの年齢差は倫理的にもよろしくないような気がする。
「あの二人はカップルじゃなくて親子だと思うんだけどな」
「本当に兄貴はバカなのかしら。もしも仮にあの二人がカップルじゃなくて親子だったとして、親子があんなにラブラブな感じで食べさせあったりするかしら。兄貴がお母さんにあんな風に食べさせたこととかないでしょ。私だってお父さんにあんな風に食べさせたことだってないし。あ、このお豆美味しいかも。兄貴にも食べさせてあげるから口を開けなさいよ」
「自分の分があるからいいよ。そんなに美味しいなら俺の分も食べていいよ」
「もう、そういう事じゃないのよ。兄貴はもう少し相手の気持ちを考えることに力を入れるといいと思うわ。みんながみんな無条件で兄貴の事を助けてくれるわけじゃないんだからね。その時のために少しでも他の人に恩を売っておくってのも大事かもしれないよ」
お豆を食べさせてもらう事と恩を売ることに何の繋がりがあるのだろうと思ってしまったが、意外とそういう小さな積み重ねが重要になってくるかもしれないな。
なんて思う事もなく、俺は瑠璃の言っていることがほとんど理解出来なかったのだ。
でも、瑠璃だけじゃなくうまなちゃんもイザーちゃんも愛華ちゃんも柘榴ちゃんも俺が何か返さなくても助けてくれるんだよな。無償の愛ってやつとも少し違うような気がしているけど、みんな俺のために色々と頑張ってくれていたりする。
少し理由は違うかもしれないけれど、ポンピーノ姫も俺のために色々と頑張っていてくれるようだ。今日だってレストランを紹介してもらえなければ良くわからない店に行って失敗していた可能性だってあるのだ。
「ドレもこれも美味しそうよね。兄貴はもう何を食べるか決めたの?」
「いや、全然決まらないね。写真が無いとどんな感じの料理なのか理解出来なかった。瑠璃はどれか食べたいものあったりするの?」
「まあ、一応はね。でも、どっちにするか決められないのよ」
メニューとにらめっこを続けている瑠璃に対して俺は兄貴らしい解決策を提案してみた。この提案を瑠璃が受け止めてくれなかったら俺に出来ることはもう何もない。適当に食べてさっさと帰ることしかできなくなってしまう。
「そんなに悩むんだったら、二つ頼めばいいでしょ」
「何言ってるのよ。私は二つも食べること出来ないって。それくらい見てたらわかるでしょ?」
そんな事を言う瑠璃ではあったが、つい先日の食事会でフードファイトを始めたのかと思うくらいにたくさんの料理をあっという間に平らげてしまったのだ。。
そんな瑠璃が二つも食べることが出来ないって言うのは違和感しかないのだ。
「瑠璃が二つ食べるんじゃなくて、一つは俺が食べるんだよ。両方食べ比べて好きな方をそのまま食べて、残った方は俺が食べるって事だよ」
「へえ、意外と頭いいかもしれないね。勉強以外でも優秀な頭脳だとは思いもしなかったよ。でも、両方美味しそうに見えるから私一人じゃ決められないかも。美味しい方を追加で頼んじゃえばいいか」
一人で二つ食べるのと、一人前を食べた後にお代わりをするのは何が違うんだろう。
これが乙女心だというのであれば、俺は乙女心を一生理解することは出来ないのかもしれない。
お姫様がおススメするような場所だから味よりも別のモノが理由なのかと思っていたところもあるのだけれど、他の席で食事をしている人たちはみな満足そうな顔をして料理を堪能している姿が見受けられた。
「本日はご来店いただきありがとうございます。ポンピーノ様よりお話は伺っておりますので、本日は勇者真琴様とその彼女であられる瑠璃様の望まれるものを望まれるだけお出しするように仰せつかっております」
「いや、こいつは俺の彼女じゃなくて」
妹の瑠璃を俺の彼女と勘違いしているようなので訂正しようとしたのだが、テーブルの下がクロスで隠れて見えないのをいいことに瑠璃は俺の脛を思いっきり蹴り飛ばしてきた。
早いうちに否定しておかないと後々面倒なことになると思っていたのだけれど、瑠璃は俺が否定しようとするたびに脛の蹴られると痛いところをピンポイントで蹴ってきていた。兄妹なのだからそれを伝えればいいと思うのだが、瑠璃はかたくなにそれをさせてくれなかった。
「こういうところは兄妹って言うよりもカップルって言った方がサービスしてもらえるのよ。ほら、カップル限定メニューとかあるみたいだし、兄貴もそう言うの頼んでみたらいいよ」
「カップル限定メニューとは書いてあるけど、ここには家族でも注文可能って書いてあるよ。ほら、ここに書いてるって」
「はあ、本当に兄貴はバカなのね。ここに書かれている家族ってのは兄妹とか親子じゃん無くて夫婦って意味なのよ。夫婦でデートに来てくれた人にカップル限定メニューを食べてもらうために書いてるんだって」
瑠璃は呆れたような感じで俺にそう言っていたが、明らかにカップルでも夫婦でもない親子にしか見えない二人組がカップル限定メニューを食べているはどういう事だろう。あの年齢差で親子だったりカップルだったりするのは逆にまずい気もするのだが。
女性がプリンを男の子に食べさせているところを見ただけだと親子にもカップルにも見えてしまうかもしれないが、あの年齢差は倫理的にもよろしくないような気がする。
「あの二人はカップルじゃなくて親子だと思うんだけどな」
「本当に兄貴はバカなのかしら。もしも仮にあの二人がカップルじゃなくて親子だったとして、親子があんなにラブラブな感じで食べさせあったりするかしら。兄貴がお母さんにあんな風に食べさせたこととかないでしょ。私だってお父さんにあんな風に食べさせたことだってないし。あ、このお豆美味しいかも。兄貴にも食べさせてあげるから口を開けなさいよ」
「自分の分があるからいいよ。そんなに美味しいなら俺の分も食べていいよ」
「もう、そういう事じゃないのよ。兄貴はもう少し相手の気持ちを考えることに力を入れるといいと思うわ。みんながみんな無条件で兄貴の事を助けてくれるわけじゃないんだからね。その時のために少しでも他の人に恩を売っておくってのも大事かもしれないよ」
お豆を食べさせてもらう事と恩を売ることに何の繋がりがあるのだろうと思ってしまったが、意外とそういう小さな積み重ねが重要になってくるかもしれないな。
なんて思う事もなく、俺は瑠璃の言っていることがほとんど理解出来なかったのだ。
でも、瑠璃だけじゃなくうまなちゃんもイザーちゃんも愛華ちゃんも柘榴ちゃんも俺が何か返さなくても助けてくれるんだよな。無償の愛ってやつとも少し違うような気がしているけど、みんな俺のために色々と頑張ってくれていたりする。
少し理由は違うかもしれないけれど、ポンピーノ姫も俺のために色々と頑張っていてくれるようだ。今日だってレストランを紹介してもらえなければ良くわからない店に行って失敗していた可能性だってあるのだ。
「ドレもこれも美味しそうよね。兄貴はもう何を食べるか決めたの?」
「いや、全然決まらないね。写真が無いとどんな感じの料理なのか理解出来なかった。瑠璃はどれか食べたいものあったりするの?」
「まあ、一応はね。でも、どっちにするか決められないのよ」
メニューとにらめっこを続けている瑠璃に対して俺は兄貴らしい解決策を提案してみた。この提案を瑠璃が受け止めてくれなかったら俺に出来ることはもう何もない。適当に食べてさっさと帰ることしかできなくなってしまう。
「そんなに悩むんだったら、二つ頼めばいいでしょ」
「何言ってるのよ。私は二つも食べること出来ないって。それくらい見てたらわかるでしょ?」
そんな事を言う瑠璃ではあったが、つい先日の食事会でフードファイトを始めたのかと思うくらいにたくさんの料理をあっという間に平らげてしまったのだ。。
そんな瑠璃が二つも食べることが出来ないって言うのは違和感しかないのだ。
「瑠璃が二つ食べるんじゃなくて、一つは俺が食べるんだよ。両方食べ比べて好きな方をそのまま食べて、残った方は俺が食べるって事だよ」
「へえ、意外と頭いいかもしれないね。勉強以外でも優秀な頭脳だとは思いもしなかったよ。でも、両方美味しそうに見えるから私一人じゃ決められないかも。美味しい方を追加で頼んじゃえばいいか」
一人で二つ食べるのと、一人前を食べた後にお代わりをするのは何が違うんだろう。
これが乙女心だというのであれば、俺は乙女心を一生理解することは出来ないのかもしれない。
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