(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生

釧路太郎

文字の大きさ
上 下
90 / 111
勇者の試練

勇者の試練 第十二話

しおりを挟む
 突然始まったクイズではあったが、愛華ちゃんは難なくそれらに答えていった。
 五問目までが終わった段階で出てきた問題も義務教育を終えていれば答えられるような物ばかりで俺にも答えがわかるものばかりであった。
 優等生である愛華ちゃんがこの程度の問題を間違えるはずもなく、いつもの銃捌き同様に即答していたのが印象的であった。

「なるほど。我々と比べるとあなた方の世界の科学技術は比べ物にならないくらい発展しているようですね。ですが、参考に出来るとは思えないくらい技術に差があるみたいですので、我々にとっては何の役にも立たないのかもしれないですね。ここ数十年は知識を得ることが出来たという事だけが我々の財産となることでしょうね」
「それはどうでもいいんだけど、こんな簡単な問題だけでいいの?」

「何の問題も無いですよ。私はあなたに勝つという事よりも、あなたの持っている知識を手に入れることに価値があると思っていますからね。我々のボスには申し訳ないですけど、私はあなたを倒そうなんてつもりはこれっぽっちも無いんですよ」

 この男の言っていることはおそらく本音だろう。俺たちを本気で倒すつもりであればもっと問題を難しくすることも出来ると思うのだが、あまりにも簡単な問題過ぎて逆に何か裏があるのではないかと思ってしまうくらいの出題レベルなのだ。
 俺が口を出すことは出来ないという条件なのだけど、そんな事をすればかえって邪魔になるのではないかと思うくらいに愛華ちゃんは順当に正解を重ねていっていた。

「今のでちょうど五問目が終わったところですね。このクイズも残り半分という事で折り返し地点になったわけなのですが、あっという間に終わってしまいそうですね。全問正解するという自信はあるのですか?」
「自信はあるけど、今までの問題と同じような感じとはいかないんでしょ?」
「どうでしょうね。問題を作っているのは私だけではないので何とも言えないのですが、優秀なあなたにはどの問題も答えてしまうんでしょうね」

 ハイレベルなクイズ番組を見ているような感覚ではあったけれど、出されるクイズは誰でも答えられるような簡単なものである。
 この戦いがテレビで見ている物だったとしたら、俺はおそらく文句を言っているだろうな。他にも見ている人がいたらクレームを入れているのかもしれない。それくらい問題は簡単すぎると思うのだ。

「何の手ごたえもない退屈な時間だと思っているのかもしれませんが、これから先の問題は今までみたいに簡単ではないと思いますよ。と言っても、あなたにはそれほど難しいと思えないのかもしれないですけどね」
「そう言う御託はいいんでさっさと問題を出してもらえると嬉しいんですけど」
「そう焦らないでください。私たちも少しくらいは準備が必要ですからね。優秀な回答者のおかげで次の問題を作るのに時間がかかっちゃってますからね。あなたはクイズが得意なようですが、出来れば問題を最後まで聞いていただけると嬉しいです」

 男の言う事ももっともな話だとは思うのだが、今この時間に問題を作っているというのは意外だった。
 愛華ちゃんの知っていることから問題を出すと言っていたのを思い出したのだが、それは何らかの方法で愛華ちゃんの知っていることを調べ上げて問題を作っているという事なんだろうな。

 恐ろしく手間のかかるクイズだなと思ってしまった。

「次の問題は、この世界とは違う世界線の地球で起こった出来事に関する問題だな。これも簡単に答えることが出来るとは思うが、出来れば最後まで問題を聞いてくれ」

「ええ、どうしてもというのであれば最後まで問題を聞くことにするわ」
「ありがとう。こんな遊びに付き合ってくれるだけでも嬉しいんだが、俺たちの頼みまで聞いてくれるなんてありがたいよ」

 心なしか愛華ちゃんもこのクイズを楽しんでいるように見える。
 いつもよりも少しだけ口角が上がっているのが楽しんでいる証拠だと思うのだが、それ以外にもこのクイズが始まってから一度も俺の事を見ていないというのも集中しているという証拠になるだろう。

「では、次の問題に行きましょうか。あなたが主に使用している回転式拳銃にはある特別な機能があるのですが、それはいったい何でしょうか?」
「反動を極限まで抑えてブレを無くしている」

「正解です。あなたの拳銃なのだから知っていて当然ですよね。続いての問題は、あなたが拳銃以外の武器を使用するときに行っていることは何でしょうか?」
「自分の背後を通す。どういう理屈かはわからないけれど、そうすると自分の欲しい武器を渡してもらえている。誰が私に渡してくれているのかはわからないけれど」

「正解です。あなたが使用できる武器の中で一番火力の高いものは何でしょうか?」
「大陸間弾道ミサイルです。この世界で使用することが出来るかわからないけれど、核弾頭を使用することも出来ます」

「正解です。そこにいる片岡真琴はあなたにとってどのような人ですか?」
「さっきから思ってたんですけど、クイズと言えないような問題ばかりだと思うんですが。そんな事を聞いてどうするつもりなのかわかりませんが、真琴さんは大切な人だと思っています。もちろん、そう思っているのは私だけではなく、うまなさんたちも同様だと思いますが」

「では、最後の問題です。あなたたちはイザーさんの特別な力によって数多くの世界で一緒に過ごしていたのですが、そのほとんどの世界で片岡真琴を殺していたというわけなのですが、その事実を知った片岡真琴は今どのような気持ちでいるのでしょうか?」
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

クラスメイトの美少女と無人島に流された件

桜井正宗
青春
 修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。  高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。  どうやら、漂流して流されていたようだった。  帰ろうにも島は『無人島』。  しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。  男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

四季
恋愛
父親が再婚したことで地獄の日々が始まってしまいましたが……ある日その状況は一変しました。

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

英雄召喚〜帝国貴族の異世界統一戦記〜

駄作ハル
ファンタジー
異世界の大貴族レオ=ウィルフリードとして転生した平凡サラリーマン。 しかし、待っていたのは平和な日常などではなかった。急速な領土拡大を目論む帝国の貴族としての日々は、戦いの連続であった─── そんなレオに与えられたスキル『英雄召喚』。それは現世で英雄と呼ばれる人々を呼び出す能力。『鬼の副長』土方歳三、『臥龍』所轄孔明、『空の魔王』ハンス=ウルリッヒ・ルーデル、『革命の申し子』ナポレオン・ボナパルト、『万能人』レオナルド・ダ・ヴィンチ。 前世からの知識と英雄たちの逸話にまつわる能力を使い、大切な人を守るべく争いにまみれた異世界に平和をもたらす為の戦いが幕を開ける! 完結まで毎日投稿!

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

性転のへきれき

廣瀬純一
ファンタジー
高校生の男女の入れ替わり

スライム10,000体討伐から始まるハーレム生活

昼寝部
ファンタジー
 この世界は12歳になったら神からスキルを授かることができ、俺も12歳になった時にスキルを授かった。  しかし、俺のスキルは【@&¥#%】と正しく表記されず、役に立たないスキルということが判明した。  そんな中、両親を亡くした俺は妹に不自由のない生活を送ってもらうため、冒険者として活動を始める。  しかし、【@&¥#%】というスキルでは強いモンスターを討伐することができず、3年間冒険者をしてもスライムしか倒せなかった。  そんなある日、俺がスライムを10,000体討伐した瞬間、スキル【@&¥#%】がチートスキルへと変化して……。  これは、ある日突然、最強の冒険者となった主人公が、今まで『スライムしか倒せないゴミ』とバカにしてきた奴らに“ざまぁ”し、美少女たちと幸せな日々を過ごす物語。

サンタクロースが寝ている間にやってくる、本当の理由

フルーツパフェ
大衆娯楽
 クリスマスイブの聖夜、子供達が寝静まった頃。  トナカイに牽かせたそりと共に、サンタクロースは町中の子供達の家を訪れる。  いかなる家庭の子供も平等に、そしてプレゼントを無償で渡すこの老人はしかしなぜ、子供達が寝静まった頃に現れるのだろうか。  考えてみれば、サンタクロースが何者かを説明できる大人はどれだけいるだろう。  赤い服に白髭、トナカイのそり――知っていることと言えば、せいぜいその程度の外見的特徴だろう。  言い換えればそれに当てはまる存在は全て、サンタクロースということになる。  たとえ、その心の奥底に邪心を孕んでいたとしても。

処理中です...