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勇者の試練
勇者の試練 第十二話
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突然始まったクイズではあったが、愛華ちゃんは難なくそれらに答えていった。
五問目までが終わった段階で出てきた問題も義務教育を終えていれば答えられるような物ばかりで俺にも答えがわかるものばかりであった。
優等生である愛華ちゃんがこの程度の問題を間違えるはずもなく、いつもの銃捌き同様に即答していたのが印象的であった。
「なるほど。我々と比べるとあなた方の世界の科学技術は比べ物にならないくらい発展しているようですね。ですが、参考に出来るとは思えないくらい技術に差があるみたいですので、我々にとっては何の役にも立たないのかもしれないですね。ここ数十年は知識を得ることが出来たという事だけが我々の財産となることでしょうね」
「それはどうでもいいんだけど、こんな簡単な問題だけでいいの?」
「何の問題も無いですよ。私はあなたに勝つという事よりも、あなたの持っている知識を手に入れることに価値があると思っていますからね。我々のボスには申し訳ないですけど、私はあなたを倒そうなんてつもりはこれっぽっちも無いんですよ」
この男の言っていることはおそらく本音だろう。俺たちを本気で倒すつもりであればもっと問題を難しくすることも出来ると思うのだが、あまりにも簡単な問題過ぎて逆に何か裏があるのではないかと思ってしまうくらいの出題レベルなのだ。
俺が口を出すことは出来ないという条件なのだけど、そんな事をすればかえって邪魔になるのではないかと思うくらいに愛華ちゃんは順当に正解を重ねていっていた。
「今のでちょうど五問目が終わったところですね。このクイズも残り半分という事で折り返し地点になったわけなのですが、あっという間に終わってしまいそうですね。全問正解するという自信はあるのですか?」
「自信はあるけど、今までの問題と同じような感じとはいかないんでしょ?」
「どうでしょうね。問題を作っているのは私だけではないので何とも言えないのですが、優秀なあなたにはどの問題も答えてしまうんでしょうね」
ハイレベルなクイズ番組を見ているような感覚ではあったけれど、出されるクイズは誰でも答えられるような簡単なものである。
この戦いがテレビで見ている物だったとしたら、俺はおそらく文句を言っているだろうな。他にも見ている人がいたらクレームを入れているのかもしれない。それくらい問題は簡単すぎると思うのだ。
「何の手ごたえもない退屈な時間だと思っているのかもしれませんが、これから先の問題は今までみたいに簡単ではないと思いますよ。と言っても、あなたにはそれほど難しいと思えないのかもしれないですけどね」
「そう言う御託はいいんでさっさと問題を出してもらえると嬉しいんですけど」
「そう焦らないでください。私たちも少しくらいは準備が必要ですからね。優秀な回答者のおかげで次の問題を作るのに時間がかかっちゃってますからね。あなたはクイズが得意なようですが、出来れば問題を最後まで聞いていただけると嬉しいです」
男の言う事ももっともな話だとは思うのだが、今この時間に問題を作っているというのは意外だった。
愛華ちゃんの知っていることから問題を出すと言っていたのを思い出したのだが、それは何らかの方法で愛華ちゃんの知っていることを調べ上げて問題を作っているという事なんだろうな。
恐ろしく手間のかかるクイズだなと思ってしまった。
「次の問題は、この世界とは違う世界線の地球で起こった出来事に関する問題だな。これも簡単に答えることが出来るとは思うが、出来れば最後まで問題を聞いてくれ」
「ええ、どうしてもというのであれば最後まで問題を聞くことにするわ」
「ありがとう。こんな遊びに付き合ってくれるだけでも嬉しいんだが、俺たちの頼みまで聞いてくれるなんてありがたいよ」
心なしか愛華ちゃんもこのクイズを楽しんでいるように見える。
いつもよりも少しだけ口角が上がっているのが楽しんでいる証拠だと思うのだが、それ以外にもこのクイズが始まってから一度も俺の事を見ていないというのも集中しているという証拠になるだろう。
「では、次の問題に行きましょうか。あなたが主に使用している回転式拳銃にはある特別な機能があるのですが、それはいったい何でしょうか?」
「反動を極限まで抑えてブレを無くしている」
「正解です。あなたの拳銃なのだから知っていて当然ですよね。続いての問題は、あなたが拳銃以外の武器を使用するときに行っていることは何でしょうか?」
「自分の背後を通す。どういう理屈かはわからないけれど、そうすると自分の欲しい武器を渡してもらえている。誰が私に渡してくれているのかはわからないけれど」
「正解です。あなたが使用できる武器の中で一番火力の高いものは何でしょうか?」
「大陸間弾道ミサイルです。この世界で使用することが出来るかわからないけれど、核弾頭を使用することも出来ます」
「正解です。そこにいる片岡真琴はあなたにとってどのような人ですか?」
「さっきから思ってたんですけど、クイズと言えないような問題ばかりだと思うんですが。そんな事を聞いてどうするつもりなのかわかりませんが、真琴さんは大切な人だと思っています。もちろん、そう思っているのは私だけではなく、うまなさんたちも同様だと思いますが」
「では、最後の問題です。あなたたちはイザーさんの特別な力によって数多くの世界で一緒に過ごしていたのですが、そのほとんどの世界で片岡真琴を殺していたというわけなのですが、その事実を知った片岡真琴は今どのような気持ちでいるのでしょうか?」
五問目までが終わった段階で出てきた問題も義務教育を終えていれば答えられるような物ばかりで俺にも答えがわかるものばかりであった。
優等生である愛華ちゃんがこの程度の問題を間違えるはずもなく、いつもの銃捌き同様に即答していたのが印象的であった。
「なるほど。我々と比べるとあなた方の世界の科学技術は比べ物にならないくらい発展しているようですね。ですが、参考に出来るとは思えないくらい技術に差があるみたいですので、我々にとっては何の役にも立たないのかもしれないですね。ここ数十年は知識を得ることが出来たという事だけが我々の財産となることでしょうね」
「それはどうでもいいんだけど、こんな簡単な問題だけでいいの?」
「何の問題も無いですよ。私はあなたに勝つという事よりも、あなたの持っている知識を手に入れることに価値があると思っていますからね。我々のボスには申し訳ないですけど、私はあなたを倒そうなんてつもりはこれっぽっちも無いんですよ」
この男の言っていることはおそらく本音だろう。俺たちを本気で倒すつもりであればもっと問題を難しくすることも出来ると思うのだが、あまりにも簡単な問題過ぎて逆に何か裏があるのではないかと思ってしまうくらいの出題レベルなのだ。
俺が口を出すことは出来ないという条件なのだけど、そんな事をすればかえって邪魔になるのではないかと思うくらいに愛華ちゃんは順当に正解を重ねていっていた。
「今のでちょうど五問目が終わったところですね。このクイズも残り半分という事で折り返し地点になったわけなのですが、あっという間に終わってしまいそうですね。全問正解するという自信はあるのですか?」
「自信はあるけど、今までの問題と同じような感じとはいかないんでしょ?」
「どうでしょうね。問題を作っているのは私だけではないので何とも言えないのですが、優秀なあなたにはどの問題も答えてしまうんでしょうね」
ハイレベルなクイズ番組を見ているような感覚ではあったけれど、出されるクイズは誰でも答えられるような簡単なものである。
この戦いがテレビで見ている物だったとしたら、俺はおそらく文句を言っているだろうな。他にも見ている人がいたらクレームを入れているのかもしれない。それくらい問題は簡単すぎると思うのだ。
「何の手ごたえもない退屈な時間だと思っているのかもしれませんが、これから先の問題は今までみたいに簡単ではないと思いますよ。と言っても、あなたにはそれほど難しいと思えないのかもしれないですけどね」
「そう言う御託はいいんでさっさと問題を出してもらえると嬉しいんですけど」
「そう焦らないでください。私たちも少しくらいは準備が必要ですからね。優秀な回答者のおかげで次の問題を作るのに時間がかかっちゃってますからね。あなたはクイズが得意なようですが、出来れば問題を最後まで聞いていただけると嬉しいです」
男の言う事ももっともな話だとは思うのだが、今この時間に問題を作っているというのは意外だった。
愛華ちゃんの知っていることから問題を出すと言っていたのを思い出したのだが、それは何らかの方法で愛華ちゃんの知っていることを調べ上げて問題を作っているという事なんだろうな。
恐ろしく手間のかかるクイズだなと思ってしまった。
「次の問題は、この世界とは違う世界線の地球で起こった出来事に関する問題だな。これも簡単に答えることが出来るとは思うが、出来れば最後まで問題を聞いてくれ」
「ええ、どうしてもというのであれば最後まで問題を聞くことにするわ」
「ありがとう。こんな遊びに付き合ってくれるだけでも嬉しいんだが、俺たちの頼みまで聞いてくれるなんてありがたいよ」
心なしか愛華ちゃんもこのクイズを楽しんでいるように見える。
いつもよりも少しだけ口角が上がっているのが楽しんでいる証拠だと思うのだが、それ以外にもこのクイズが始まってから一度も俺の事を見ていないというのも集中しているという証拠になるだろう。
「では、次の問題に行きましょうか。あなたが主に使用している回転式拳銃にはある特別な機能があるのですが、それはいったい何でしょうか?」
「反動を極限まで抑えてブレを無くしている」
「正解です。あなたの拳銃なのだから知っていて当然ですよね。続いての問題は、あなたが拳銃以外の武器を使用するときに行っていることは何でしょうか?」
「自分の背後を通す。どういう理屈かはわからないけれど、そうすると自分の欲しい武器を渡してもらえている。誰が私に渡してくれているのかはわからないけれど」
「正解です。あなたが使用できる武器の中で一番火力の高いものは何でしょうか?」
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「正解です。そこにいる片岡真琴はあなたにとってどのような人ですか?」
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「では、最後の問題です。あなたたちはイザーさんの特別な力によって数多くの世界で一緒に過ごしていたのですが、そのほとんどの世界で片岡真琴を殺していたというわけなのですが、その事実を知った片岡真琴は今どのような気持ちでいるのでしょうか?」
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