(お嬢様+サイボーグヴァンパイア+天才女子高生)÷妹=新世界誕生

釧路太郎

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勇者の試練

勇者の試練 第四話

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 全国勇者連合は地球で言うところの南極大陸に当たる地域を主な活動拠点としている組織である。
 俺が知っている南極と違って雪と氷の大地ではなく各所に温泉やレジャー施設がある一大観光地になっているそうだ。
 南極を支配している魔王が世界各地をまわっていた時に入った温泉にいたく感銘を受けたことがもととなり、有り余る巨大な魔力と謎の技術によって気候を変化させ誰もが暮らしやすい温暖な地になってしまったとのことだ。

「南極に行ってくれと言われた時は本当に恨みましたけど、実際に行ってみるとそこは私が知っている南極とは違って完全に温泉街になってましたね。それこそ、洞爺とか阿寒とかみたいに湖がある素敵な場所でしたよ。その光景を見るまでは完全に外れくじを引いてしまったって思ってたんですけどね。だって、南極には魔王が何人もいるって話を聞いていたのだから危険な場所なのかもしれないって思うじゃないですか、それなのに、そこにいた魔王って完全に隠居したおじいちゃんみたいになってるんですよ。真琴さんは信じられます、住人と一緒に魔王が普通に温泉に入ってるんです。私はそれを見た時に自分の目を疑いました。真琴さんも私の話を聞いただけじゃ信じられないって思うかもしれないですけど、魔王が普通にその辺を歩いている事が日常なんです」

「私も噂でしか聞いたことが無いので作り話かと思ってたんですが、愛華さんの話を聞いてソレが嘘ではなく真実だったのだと思い知らされました。この国から南極まで行った人がいないので愛華さんの話をみんな聞いてみたいって思うと思います」
「試練を乗り越えたらいくらでも話をしますよ。王様が許してくれるんだったら、ポンピーノ姫も一緒に南極に行くことが出来るかもしれないですし」
「本当ですか、それは素晴らしいお誘いです。真琴さんにはすぐにでも試練を乗り越えていただき、お父様にも出国の許可をいただかなくてはいけないですね」

 ポンピーノ姫の中では俺が受ける勇者の試練が完全におまけ扱いになっているような気がする。自由に行動することが出来るとはいえ、それも城下町までに制限されているのだから外の世界に憧れるという気持ちはわかるのだけど、俺の受ける試練をおまけにするのはやめていただきたい。

「すいません。そういうつもりではないんです。私はただ、他の世界が見てみたいだけなんです。真琴さんが受ける試練を軽いとか思ってはいないですから。本当ですよ」
「大丈夫ですよ。俺もそこまで気にしてはいないですから。でも、俺も温泉には入りたいなって思ってますよ。ずっとシャワーばっかりで湯船につかることなんてこっちに来てから一度も無いですからね」
「そうだったんですか。言ってくだされば浴室も使っていただけますのに。そうだ、真琴さんがお父様と一緒に入るというのはどうでしょう。今よりも真琴さんとお父様が仲良くなるのにもいい機会になりそうですね」
「さすがにそれは遠慮させていただきます」

「そうでしたそうでした。お伝えするのを忘れていたんですけど、連合の審査官の方が真琴さんに挨拶をしたいと言ってましたよ。ちょっと意外な方だったので私も驚いたのですが、真琴さんも驚いてくれるといいな」
「それって、俺が知っている人が審査官って事なんだろうけど、そんな知り合いはこの世界にいないと思うんだけどな。もしかして、午彪さんと奈緒美さんが?」
「そんなわけないじゃないですか。お二人は私たちと違って暇じゃないんですからね」

 別に俺たちも暇だからこの世界に来ているというわけではないのだが、愛華ちゃんはあの世界を退屈だと感じていたのかな。
 あの銃を日常的に使うことが出来ないことへのストレスなんかもあったりするのかもしれないが、そんなものを抱え込んでしまうくらいだったらこの世界で少しでも発散させてもらった方がいいのかもしれない。ストレスをため込み過ぎて好き勝手に銃をぶっ放されるよりはいいだろう。

「あの、真琴さんって何か私の事を誤解してそうなんですけど」
「え、そんな事はないと思うけど。俺はちゃんとみんなの事をわかってるつもりだよ」
「たぶん、全然わかってないと思います」
「私もそれは同意かも。勇者にとって優しさは必要かもしれないですけど、ちゃんと相手の事を考えたうえでの優しさとは違うように感じてますからね」

 人に優しくすることに慣れていないというのもあるかもしれないが、ちょっと前まで引きこもりだった俺が人とどう接していけばいいのか正解を知っているはずがないのだ。
 いや、引きこもりじゃなかったとしても人との正しい接し方なんて知っている人はいないかもしれないな。

「それも真琴さんの良さの一つかもしれないですけどね。瑠璃先生も言ってましたけど、真琴さんって自分の気持ちに正直になれない人なのかもしれないですよね」
「何となく私もそれは思ってたかも。下心が無いところは評価できますけど、ソレだけでは駄目だという事も理解してもらえればいいんですけどね」

 二人ともある程度は俺の事を評価してくれているようではあるが、足りない部分があるのも事実なのでそこを指摘してくれるのは素直にありがたい。
 でも、それがわかってもどうすればいいのかわからないこともあるのだ。
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