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王様リセマラ
王様リセマラ 第十一話
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ポンピーノ姫は何かに押し潰されているのではないかと思うくらいに頭を低い位置まで下げて俺たちに謝っていた。
結果は何一つ出ていない状況ではあるが、俺としてはポンピーノ姫は十分にやってくれているとは思っている。ただ、あの王様たちの考えがあまりにも偏り過ぎているという事もあってポンピーノ姫一人だけではうまく説得しきれないのではないかという事になっていった。
「そういうわけですから、これからはシュヴァンツ・フォン・アルシュロッホ九世を説得するのはポンピーノ姫だけではなくて真琴さんと誰か一人が一緒について説得するという事にしましょう」
「なんでお兄ちゃんが一緒なのは確定なの?」
愛華ちゃんの提案で行われることになったポンピーノ姫を助けるメンバーは俺だけが固定であとは一人ずつ順番にという事になった。もちろん、一人目で上手くいけばそこで終わりになるのだが、みんなどことなく自信は無いように見えていた。
ポンピーノ姫があれだけ熱心に話をしていたにもかかわらず、何の手ごたえも無い相手を俺たちが加わっただけで説得しきれるのかという気持ちがみんなからも滲み出ていた。
「真琴さんが確定なのに理由はいくつかあるんですけど、一番大きな理由としては真琴さんが魔王を倒したという実績があるからです。シュヴァンツ・フォン・アルシュロッホ九世だって真琴さんがどんな人か知りたいと思ってるはずですし、お互いにどんな人なのか知ることが出来れば今までのような失礼な態度はとらなくなると思うんですよ」
「その理屈は何となくわかるんだけど、あのエラそうな王様が兄貴と会っただけでそんなに変わるとは思えないんだよね。周りの貴族の人達もそうだと思うんだけど、あの人たちって自分たち以外の人間を同じ人間だと思ってないんじゃないかな?」
「それはあるかもしれないです。同じ貴族としても家柄や家格で差別や区別が当たり前ですからね。お父様の代になってだいぶそれも和らいだという話ではありますが、母方のおじいさまは私が城下へ降りて友人を作ることに苦言を呈しているそうです」
「貴族って言うのは難しいのね。でも、私も少しだけその気持ちは理解できるかもしれないわ。うまなちゃん達にはわからないかもしれないけど、私も差別とまではいかないまでも仲間外れにされることが多かったからね。ほら、喫茶店でお話を聞いていただくときも周りの生徒たちは私と距離をとっていましたでしょ」
「柘榴ちゃんはみんなから怖がられていたもんね。私から見たら怖いところなんて何もないと思ってるけど、小さい時からしっかりしてるんで大人っぽいところがそう思われていたのかもね」
「そうなのね。私はそんなつもりはなかったんだけど、大人っぽいとマイナスなところもあったりするのは意外だわ。うまなちゃんも大人っぽいところはあると思うんだけど、子供っぽい無邪気さもあるのでそこがみんなから好かれる要因なのかもしれないわね」
「うまなちゃんに大人っぽいところとかあんまりないと思うけどな。すぐムキになるし」
「私はそんなにムキになったりしないよ。大人だからそんなことないし」
いや、それがムキになってるって事じゃないか。と、心の中で叫んでいたが他のみんなも何か言いたそうな顔でうまなちゃんの事を見ているのであった。
落ち着きや仕草なんかを見ていると先生である瑠璃よりも高校生である柘榴ちゃんの方が大人っぽく見えてしまう。俺から見れば柘榴ちゃんも子供にしか見えないのだけれど、彼女たちの同年代の仲間から見るとあの落ち着き方と何でも見透かしているような視線は恐怖に感じることもあるかもしれない。俺にはそんな経験はないのだけど、俺が高校生の時に同級生に柘榴ちゃんのような人がいたら話しかけずらいかもしれないな。
「それだったら、一番目に説得に行くのは柘榴さんが良いんじゃないですかね。私たちの中でも身分の高い人たちと接する機会が一番多かったと思いますし」
「あら、それなら私よりもうまなちゃんの方が相応しいと思うわよ。うまなちゃんはご両親と一緒に何度もそういった方たちと接しているんですからね。栗宮院家の一人娘として様々な場に訪れているのだから私よりも相応しいんじゃないかしら」
「それはどうだろう。私が見てる限りだけど、うまなちゃんは年配のおじさんたちに気に入られる才能もあると思うんだ。でも、あの王様たちは身近にポンピーノがいるからうまなちゃんの魅力もあんまり効果ないような気がしているよ。それだったら、私もうまなちゃんじゃなくて柘榴ちゃんが最初に行った方が良いと思うんだよね」
「そうね。でも、それだったら私よりも瑠璃先生の方が相応しいのではないかしら。みんなからどう見られているかは正直分かっていないけれど、私はまだまだ子供ですからね。そんな子供である私よりも大人である瑠璃先生が最初に行った方がよろしいのではないかしら」
気配を消して空気に徹している瑠璃は突然の指名に驚いていた。
どんな事にも逃げずに立ち向かっていた瑠璃がこの話になったとたんに存在感を消しているのに気付いていたのであまり触れないようにしていたのだが、そんな瑠璃の気持ちを無視して柘榴ちゃんは嬉しそうに瑠璃を指名していたのだ。
「ごめんなさい。私にはそういった偉い人たちと触れ合った経験が無いから難しいと思う。もちろん、やれと言われれば全力は出すつもりだけど、最初は可能性の高い柘榴さんが行った方が良いんじゃないかな。兄貴と柘榴さんのコンビでパパっと終わらせるのも良いんじゃないかと思うよ」
申し訳なさそうな瑠璃と自信満々といった感じの柘榴ちゃんの表情はとても対照的であった。
柘榴ちゃんと一緒に王様を説得出来るといいな。
結果は何一つ出ていない状況ではあるが、俺としてはポンピーノ姫は十分にやってくれているとは思っている。ただ、あの王様たちの考えがあまりにも偏り過ぎているという事もあってポンピーノ姫一人だけではうまく説得しきれないのではないかという事になっていった。
「そういうわけですから、これからはシュヴァンツ・フォン・アルシュロッホ九世を説得するのはポンピーノ姫だけではなくて真琴さんと誰か一人が一緒について説得するという事にしましょう」
「なんでお兄ちゃんが一緒なのは確定なの?」
愛華ちゃんの提案で行われることになったポンピーノ姫を助けるメンバーは俺だけが固定であとは一人ずつ順番にという事になった。もちろん、一人目で上手くいけばそこで終わりになるのだが、みんなどことなく自信は無いように見えていた。
ポンピーノ姫があれだけ熱心に話をしていたにもかかわらず、何の手ごたえも無い相手を俺たちが加わっただけで説得しきれるのかという気持ちがみんなからも滲み出ていた。
「真琴さんが確定なのに理由はいくつかあるんですけど、一番大きな理由としては真琴さんが魔王を倒したという実績があるからです。シュヴァンツ・フォン・アルシュロッホ九世だって真琴さんがどんな人か知りたいと思ってるはずですし、お互いにどんな人なのか知ることが出来れば今までのような失礼な態度はとらなくなると思うんですよ」
「その理屈は何となくわかるんだけど、あのエラそうな王様が兄貴と会っただけでそんなに変わるとは思えないんだよね。周りの貴族の人達もそうだと思うんだけど、あの人たちって自分たち以外の人間を同じ人間だと思ってないんじゃないかな?」
「それはあるかもしれないです。同じ貴族としても家柄や家格で差別や区別が当たり前ですからね。お父様の代になってだいぶそれも和らいだという話ではありますが、母方のおじいさまは私が城下へ降りて友人を作ることに苦言を呈しているそうです」
「貴族って言うのは難しいのね。でも、私も少しだけその気持ちは理解できるかもしれないわ。うまなちゃん達にはわからないかもしれないけど、私も差別とまではいかないまでも仲間外れにされることが多かったからね。ほら、喫茶店でお話を聞いていただくときも周りの生徒たちは私と距離をとっていましたでしょ」
「柘榴ちゃんはみんなから怖がられていたもんね。私から見たら怖いところなんて何もないと思ってるけど、小さい時からしっかりしてるんで大人っぽいところがそう思われていたのかもね」
「そうなのね。私はそんなつもりはなかったんだけど、大人っぽいとマイナスなところもあったりするのは意外だわ。うまなちゃんも大人っぽいところはあると思うんだけど、子供っぽい無邪気さもあるのでそこがみんなから好かれる要因なのかもしれないわね」
「うまなちゃんに大人っぽいところとかあんまりないと思うけどな。すぐムキになるし」
「私はそんなにムキになったりしないよ。大人だからそんなことないし」
いや、それがムキになってるって事じゃないか。と、心の中で叫んでいたが他のみんなも何か言いたそうな顔でうまなちゃんの事を見ているのであった。
落ち着きや仕草なんかを見ていると先生である瑠璃よりも高校生である柘榴ちゃんの方が大人っぽく見えてしまう。俺から見れば柘榴ちゃんも子供にしか見えないのだけれど、彼女たちの同年代の仲間から見るとあの落ち着き方と何でも見透かしているような視線は恐怖に感じることもあるかもしれない。俺にはそんな経験はないのだけど、俺が高校生の時に同級生に柘榴ちゃんのような人がいたら話しかけずらいかもしれないな。
「それだったら、一番目に説得に行くのは柘榴さんが良いんじゃないですかね。私たちの中でも身分の高い人たちと接する機会が一番多かったと思いますし」
「あら、それなら私よりもうまなちゃんの方が相応しいと思うわよ。うまなちゃんはご両親と一緒に何度もそういった方たちと接しているんですからね。栗宮院家の一人娘として様々な場に訪れているのだから私よりも相応しいんじゃないかしら」
「それはどうだろう。私が見てる限りだけど、うまなちゃんは年配のおじさんたちに気に入られる才能もあると思うんだ。でも、あの王様たちは身近にポンピーノがいるからうまなちゃんの魅力もあんまり効果ないような気がしているよ。それだったら、私もうまなちゃんじゃなくて柘榴ちゃんが最初に行った方が良いと思うんだよね」
「そうね。でも、それだったら私よりも瑠璃先生の方が相応しいのではないかしら。みんなからどう見られているかは正直分かっていないけれど、私はまだまだ子供ですからね。そんな子供である私よりも大人である瑠璃先生が最初に行った方がよろしいのではないかしら」
気配を消して空気に徹している瑠璃は突然の指名に驚いていた。
どんな事にも逃げずに立ち向かっていた瑠璃がこの話になったとたんに存在感を消しているのに気付いていたのであまり触れないようにしていたのだが、そんな瑠璃の気持ちを無視して柘榴ちゃんは嬉しそうに瑠璃を指名していたのだ。
「ごめんなさい。私にはそういった偉い人たちと触れ合った経験が無いから難しいと思う。もちろん、やれと言われれば全力は出すつもりだけど、最初は可能性の高い柘榴さんが行った方が良いんじゃないかな。兄貴と柘榴さんのコンビでパパっと終わらせるのも良いんじゃないかと思うよ」
申し訳なさそうな瑠璃と自信満々といった感じの柘榴ちゃんの表情はとても対照的であった。
柘榴ちゃんと一緒に王様を説得出来るといいな。
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