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引きこもりからの脱却
第十八話 異世界とツナガリと新世界へのミチノリ
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「今から私が説明することは全て真実だからね。お兄さんはきっと私の言ってることを信じてくれないと思うけど、信じてもらおうが疑われようが真実は変わらないからね」
いつも通りにこやかな笑顔のイザーちゃんではあったが、その言葉にはいつもとは違う力強さが感じられた。そして、すぐ隣にいる愛華ちゃんもいつもとは違って真剣な眼差しでイザーちゃんを見つめていた。
「その前に、奈緒美ちゃんをどうにかしないといけないよね。さすがにこのままにしておくのはかわいそうだよね」
「そうですね。私がちゃんとやっておくのでイザーさんは真琴さんに説明しておいてください。メイド服を着てるからお掃除もちゃんと出来るような気がしてますし」
愛華ちゃんはバラバラになった奈緒美さんを無造作に袋にしまっているのだけど、そんな風に雑に扱ってしまって良いのだろうか。何が原因であんなことになったのかはわからないけど、奈緒美さんのご遺体をあんな風に扱うのは良くないと思う。
「お兄さんは今、愛華が奈緒美を雑に扱ってるのが気になってるみたいだね。でも、愛華がそうしているのにも理由はあるんだよ。愛華が集めているのは奈緒美ではあったけど本物の奈緒美とは違う存在なのさ。お兄さんは私がこれから話すことを何一つ信じることは出来ないと思うけどね。さっきも言ったけど、私が今からここで話すことは、全て真実だからね」
俺は奈緒美さんの体を雑に扱う愛華ちゃんの行動がどうしても気になってしまった。仮にも世話になっている人のご遺体を何も考えていないかのように袋に入れていくなんておかしいと思う。その行動がどうしても我慢出来なくなった俺は愛華ちゃんの近くに行って一緒に奈緒美さんの体を拾い集めることにした。
止められたってかまうものか、俺はまだ少ない時間ではあったけど一緒に過ごした奈緒美さんを丁重に弔ってあげたいと思うのだ。
「手伝ってくれるのはありがたいんですけど、ココは私一人で大丈夫ですよ。真琴さんはイザーさんのお話を聞いてくれればそれでいいですから」
「手伝うとかじゃなくてさ、俺もお世話になった奈緒美さんを……って、あれ?」
奈緒美さんの腕を拾った俺はその質感に戸惑っていた。
人の遺体に触れたことがないし、バラバラになった人間を見るのも初めてなのだが、手に取ったその感触は人間の体ではなく水風船に近いような感触であった。
人間の体は水分が多いとは聞いているけれど、バラバラになった奈緒美さんの体は水風船としか思えない感じであった。
戸惑っている俺をしり目に愛華ちゃんは次々と奈緒美さんだった物体を袋に詰めているのだが、その袋の中に入っている奈緒美さんの体は隙間を埋めるように形を変化させていた。
「それについても説明しないとね。さっきバラバラになっちゃった奈緒美はちょっと前まで奈緒美の人格を投影していた人形なんだよ。私の技術で作り上げたんだけど、どうしてそんな事をする必要があったのかも説明しないとね。多くの事を教えるんでお兄さんは混乱してしまうかもしれないけど、全部は理解してくれなくてもいいからね。一つだけ理解してほしいことがあるんだけど、それは一番最後に説明するよ」
全く持って信じられないことではあるが、イザーちゃんは別の世界からやってきた異世界人だそうだ。
イザーちゃんの話によると、そっちの世界での俺は魔王アスモデウスをあと一歩で倒せるというところまで追いつめており、世界の平和も目前まで迫っていたという事らしい。
魔王アスモデウスは自分の命を媒介にして禁断の魔法を使い俺を別の世界へと転生させた結果、今の俺が誕生したという。
イザーちゃんの他に愛華ちゃんと瑠璃ともう一人の女の子が俺の仲間として一緒に戦っていたという。その一人の女の子は話の流れから言ってうまなちゃんなのかと思ったのだけど、イザーちゃんの話によるとうまなちゃんとは別人でこっちの世界にやってきてはおらず、向こうの世界でイザーちゃんの帰りを待っているという事だ。
瑠璃は転生させられた俺を守るために最初にこっちの世界にやってきたという。俺の妹として生まれ変わった瑠璃ではあったが、向こうの世界では俺とよく喧嘩をする関係であったらしい。どうやら、向こうの世界の記憶はないものの、俺を守らなくてはいけないという思いは残っていて、俺が辛い時や苦しい時は誰よりも先に手を差し伸べてくれていたのもその事が理由になっていたようだ
今でも小さい喧嘩や言い合いなんかはしてたりもするけれど、よく喧嘩をするような感じではないと思う。
イザーちゃんの話を信じるのなら、瑠璃はこっちの世界にきて大人になったという事なのかもしれないな。
愛華ちゃんは向こうの世界でも優秀な人間だったそうだ。
新しい法則や理論を見つけ出して賢者と呼ばれるほどであった。
愛華ちゃんも瑠璃と同様、向こうの世界の記憶はほとんど残っていないそうなのだが、イザーちゃんが見せた愛華ちゃんの発見した難解な理論を一瞬で理解してこの世界で使えるように新しく構築することに成功した。
その理論を応用したモノが異世界へと繋がる鳥居なのだ。
いつも通りにこやかな笑顔のイザーちゃんではあったが、その言葉にはいつもとは違う力強さが感じられた。そして、すぐ隣にいる愛華ちゃんもいつもとは違って真剣な眼差しでイザーちゃんを見つめていた。
「その前に、奈緒美ちゃんをどうにかしないといけないよね。さすがにこのままにしておくのはかわいそうだよね」
「そうですね。私がちゃんとやっておくのでイザーさんは真琴さんに説明しておいてください。メイド服を着てるからお掃除もちゃんと出来るような気がしてますし」
愛華ちゃんはバラバラになった奈緒美さんを無造作に袋にしまっているのだけど、そんな風に雑に扱ってしまって良いのだろうか。何が原因であんなことになったのかはわからないけど、奈緒美さんのご遺体をあんな風に扱うのは良くないと思う。
「お兄さんは今、愛華が奈緒美を雑に扱ってるのが気になってるみたいだね。でも、愛華がそうしているのにも理由はあるんだよ。愛華が集めているのは奈緒美ではあったけど本物の奈緒美とは違う存在なのさ。お兄さんは私がこれから話すことを何一つ信じることは出来ないと思うけどね。さっきも言ったけど、私が今からここで話すことは、全て真実だからね」
俺は奈緒美さんの体を雑に扱う愛華ちゃんの行動がどうしても気になってしまった。仮にも世話になっている人のご遺体を何も考えていないかのように袋に入れていくなんておかしいと思う。その行動がどうしても我慢出来なくなった俺は愛華ちゃんの近くに行って一緒に奈緒美さんの体を拾い集めることにした。
止められたってかまうものか、俺はまだ少ない時間ではあったけど一緒に過ごした奈緒美さんを丁重に弔ってあげたいと思うのだ。
「手伝ってくれるのはありがたいんですけど、ココは私一人で大丈夫ですよ。真琴さんはイザーさんのお話を聞いてくれればそれでいいですから」
「手伝うとかじゃなくてさ、俺もお世話になった奈緒美さんを……って、あれ?」
奈緒美さんの腕を拾った俺はその質感に戸惑っていた。
人の遺体に触れたことがないし、バラバラになった人間を見るのも初めてなのだが、手に取ったその感触は人間の体ではなく水風船に近いような感触であった。
人間の体は水分が多いとは聞いているけれど、バラバラになった奈緒美さんの体は水風船としか思えない感じであった。
戸惑っている俺をしり目に愛華ちゃんは次々と奈緒美さんだった物体を袋に詰めているのだが、その袋の中に入っている奈緒美さんの体は隙間を埋めるように形を変化させていた。
「それについても説明しないとね。さっきバラバラになっちゃった奈緒美はちょっと前まで奈緒美の人格を投影していた人形なんだよ。私の技術で作り上げたんだけど、どうしてそんな事をする必要があったのかも説明しないとね。多くの事を教えるんでお兄さんは混乱してしまうかもしれないけど、全部は理解してくれなくてもいいからね。一つだけ理解してほしいことがあるんだけど、それは一番最後に説明するよ」
全く持って信じられないことではあるが、イザーちゃんは別の世界からやってきた異世界人だそうだ。
イザーちゃんの話によると、そっちの世界での俺は魔王アスモデウスをあと一歩で倒せるというところまで追いつめており、世界の平和も目前まで迫っていたという事らしい。
魔王アスモデウスは自分の命を媒介にして禁断の魔法を使い俺を別の世界へと転生させた結果、今の俺が誕生したという。
イザーちゃんの他に愛華ちゃんと瑠璃ともう一人の女の子が俺の仲間として一緒に戦っていたという。その一人の女の子は話の流れから言ってうまなちゃんなのかと思ったのだけど、イザーちゃんの話によるとうまなちゃんとは別人でこっちの世界にやってきてはおらず、向こうの世界でイザーちゃんの帰りを待っているという事だ。
瑠璃は転生させられた俺を守るために最初にこっちの世界にやってきたという。俺の妹として生まれ変わった瑠璃ではあったが、向こうの世界では俺とよく喧嘩をする関係であったらしい。どうやら、向こうの世界の記憶はないものの、俺を守らなくてはいけないという思いは残っていて、俺が辛い時や苦しい時は誰よりも先に手を差し伸べてくれていたのもその事が理由になっていたようだ
今でも小さい喧嘩や言い合いなんかはしてたりもするけれど、よく喧嘩をするような感じではないと思う。
イザーちゃんの話を信じるのなら、瑠璃はこっちの世界にきて大人になったという事なのかもしれないな。
愛華ちゃんは向こうの世界でも優秀な人間だったそうだ。
新しい法則や理論を見つけ出して賢者と呼ばれるほどであった。
愛華ちゃんも瑠璃と同様、向こうの世界の記憶はほとんど残っていないそうなのだが、イザーちゃんが見せた愛華ちゃんの発見した難解な理論を一瞬で理解してこの世界で使えるように新しく構築することに成功した。
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