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最初の最終決戦
第零話ω 美少女たちの誤算と魔王アスモデウスの誤算
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満身創痍の魔王アスモデウスは四人の美少女を前にしても慌てる様子はなかった。
彼女たち程度の力では瀕死の状態でも殺される心配はないという自信があるのか、魔王アスモデウスはとても冷静で四人の美少女たちが何の目的でやってきたのか薄々感づいているようだ。
このまま近付いていっても攻撃されることはないと思うのだが、今の場所から近付こうとするものは現れなかった。この位置からでも勇者真琴がどこにいるのか聞くことは出来るだろう。でも、それに対して魔王アスモデウスが本当のことを言うという保証なんてないのだ。その点が四人の美少女には気がかりだったようなのだ。
「どうしようか。このまま黙っていても何も変わらないと思うし、誰か聞いてきてみる?」
「聞くことは出来ると思うんだけど、あいつって本当のことを言うのかな?」
「言わなそうだよね。顔がボコボコだからいまいちよくわからないけど、なんか性格悪そうに見えるし」
「魔王なんだから性格悪いに決まってるでしょ。そんなの見なくてもわかるって」
「それもそうだよね。お兄ちゃんをどこかに隠しているくらいだもんね」
「ホントそうだよね。私たちのお兄ちゃんをどこに隠したか聞かないといけないよね」
「ちょっと私が言って聞いてくるよ」
「危ないからやめた方がいいよ」
三人が止めるのも聞かず、桃色の髪の少女は魔王アスモデウスまで手を伸ばせば触れられるような距離まで近付いていった。
「お兄ちゃんをどこに隠したか言ってもらっていいかな。別に言わなくてもいいんだけど、黙っているんだったらこっちもそれなりの事をさせて貰っちゃうよ」
「面白い。余に拷問でもするつもりなのかな。貴様らごときの力で余に傷をつけることなど出来ぬぞ」
「そういう事じゃないんだけどな。でも、それはそれで面白いかもね。あんまり時間がないかもしれないけど、少しは楽しませて頂戴ね」
桃色の髪の少女が左右の太ももにつけられていたホルスターから拳銃を取り出すとそのまま魔王アスモデウスに向けて弾丸を撃ち込んだ。一発だけではなく、マガジンが空になるまで引き金を引き続けていたのだ。
魔王アスモデウスに命中した弾丸は肌にめり込んではいるものの皮膚を裂くことは出来なかった。先の戦いでは四人の美少女たちのどのような攻撃も効果が無かったことを考えると魔王アスモデウスの肌にめり込ませることが出来たという事だけでも進歩したと言えるだろう。
「うーん、思っていたよりもこいつの肌って頑丈なのかも。もう少し改良しないとダメージが入らないみたいね。でも、そんなのは気にしないで持ってきたのは全部使っちゃおうかな」
空になったマガジンを交換した桃色の髪の少女は再び引き金を引きづ付けていた。空になったマガジンを交換してはまた全弾撃ち尽くすといったことを何度も繰り返した結果、一度当たった場所に何度か当てることが出来て魔王アスモデウスの体に傷をつけることに成功したのだ。
表情や言葉に出さない魔王アスモデウスではあったが、四人の美少女の目をごまかすことは出来ず今まで勇者真琴頼みだった攻撃が自分達でもどうにかすることが出来そうだと思ってしまったのだ。
「じゃあ、それぞれ腕か足を一本ずつ担当して痛みを与えようね。ほら、同じ場所を何度も何度も攻撃していたらうっすらとだけど傷を付けることが出来るようになってるよ」
「凄いね。対魔王アスモデウス用に作った金属って本当に効果あったんだね」
「何度も同じ場所を攻撃しないといけないのは不便だけど、動けない状態のこいつにはちょうど良かったかもね」
「お兄ちゃんの居場所を教えて貰うまでは止めないからね。教えてくれた情報が嘘だった時も止めないけどね」
動けない状態の魔王アスモデウスに黙々と釘を打ち込んでいる姿はシュールではあったが、四人の美少女たちはいたって真面目に打ち込んでいるのだ。心の中にはみんな勇者真琴がどこにいるんか心配はしている。でも、ほんの少しだけ魔王アスモデウスに攻撃が通っていることを喜んでいたりもするのだ。
時々聞こえる魔王アスモデウスの言葉をあえて無視している四人の美少女たち。勇者真琴に関する情報を提供しようとしている魔王アスモデウスをあえて無視して釘を打つことを楽しんでいるようだ。魔王アスモデウスの言葉が四人の美少女たちに届いたのは持ってきた釘を全て打ち終えた後だった。
「ごめんなさい。何か言ってたのは気付いていたけどなんて言っていたのか理解はしてなかったかも」
「私も何か言ってるなくらいにしか思ってなかったよ」
「私も夢中で釘を打ち込んでて話は聞いてなかった」
「で、何か言いたいことがあるのかな?」
魔王アスモデウスは四人から目を逸らしながら小さな声で呟くように話し始めた。その声はほとんど聞こえないようなモノだったが、桃色の髪の少女は魔王の言葉を記録することに成功したのだ。
勇者真琴はこことは違う別の地球にいるという事がわかった。
その地球は魔王アスモデウスによって巧妙に隠されているため発見することは出来ない。
そこへ行くためには勇者真琴がそうされたように向こうの世界に適応した肉体を再構築させる必要があるようだ。
今の体ではなく新しい人間として生まれ変わる必要があるのだ。
「じゃあ、私が先に行ってお兄ちゃんを助けておくから。みんなが来るのは安全が確保されてからでいいからね」
「一人だけ先に行ってもらうことになるけど、絶対に私たちも行くから」
「お兄ちゃんの事を頼むよ。私たちの分までよろしくね」
「お兄ちゃんにはこっちの世界の記憶がないみたいだけど、私たちは記憶を残したまま行けるようにしてもらうから。全部を覚えていられるかはわからないけど、私たちが仲間だっていう事は覚えていられたらいいよね」
勇者真琴が転生した世界へと向かう四人は無事に再会することが出来るのだろうか。
魔王アスモデウスと勇者真琴の因縁に終止符を打つ日はいつになるのか、それは四人の行動次第なのかもしれない。
彼女たち程度の力では瀕死の状態でも殺される心配はないという自信があるのか、魔王アスモデウスはとても冷静で四人の美少女たちが何の目的でやってきたのか薄々感づいているようだ。
このまま近付いていっても攻撃されることはないと思うのだが、今の場所から近付こうとするものは現れなかった。この位置からでも勇者真琴がどこにいるのか聞くことは出来るだろう。でも、それに対して魔王アスモデウスが本当のことを言うという保証なんてないのだ。その点が四人の美少女には気がかりだったようなのだ。
「どうしようか。このまま黙っていても何も変わらないと思うし、誰か聞いてきてみる?」
「聞くことは出来ると思うんだけど、あいつって本当のことを言うのかな?」
「言わなそうだよね。顔がボコボコだからいまいちよくわからないけど、なんか性格悪そうに見えるし」
「魔王なんだから性格悪いに決まってるでしょ。そんなの見なくてもわかるって」
「それもそうだよね。お兄ちゃんをどこかに隠しているくらいだもんね」
「ホントそうだよね。私たちのお兄ちゃんをどこに隠したか聞かないといけないよね」
「ちょっと私が言って聞いてくるよ」
「危ないからやめた方がいいよ」
三人が止めるのも聞かず、桃色の髪の少女は魔王アスモデウスまで手を伸ばせば触れられるような距離まで近付いていった。
「お兄ちゃんをどこに隠したか言ってもらっていいかな。別に言わなくてもいいんだけど、黙っているんだったらこっちもそれなりの事をさせて貰っちゃうよ」
「面白い。余に拷問でもするつもりなのかな。貴様らごときの力で余に傷をつけることなど出来ぬぞ」
「そういう事じゃないんだけどな。でも、それはそれで面白いかもね。あんまり時間がないかもしれないけど、少しは楽しませて頂戴ね」
桃色の髪の少女が左右の太ももにつけられていたホルスターから拳銃を取り出すとそのまま魔王アスモデウスに向けて弾丸を撃ち込んだ。一発だけではなく、マガジンが空になるまで引き金を引き続けていたのだ。
魔王アスモデウスに命中した弾丸は肌にめり込んではいるものの皮膚を裂くことは出来なかった。先の戦いでは四人の美少女たちのどのような攻撃も効果が無かったことを考えると魔王アスモデウスの肌にめり込ませることが出来たという事だけでも進歩したと言えるだろう。
「うーん、思っていたよりもこいつの肌って頑丈なのかも。もう少し改良しないとダメージが入らないみたいね。でも、そんなのは気にしないで持ってきたのは全部使っちゃおうかな」
空になったマガジンを交換した桃色の髪の少女は再び引き金を引きづ付けていた。空になったマガジンを交換してはまた全弾撃ち尽くすといったことを何度も繰り返した結果、一度当たった場所に何度か当てることが出来て魔王アスモデウスの体に傷をつけることに成功したのだ。
表情や言葉に出さない魔王アスモデウスではあったが、四人の美少女の目をごまかすことは出来ず今まで勇者真琴頼みだった攻撃が自分達でもどうにかすることが出来そうだと思ってしまったのだ。
「じゃあ、それぞれ腕か足を一本ずつ担当して痛みを与えようね。ほら、同じ場所を何度も何度も攻撃していたらうっすらとだけど傷を付けることが出来るようになってるよ」
「凄いね。対魔王アスモデウス用に作った金属って本当に効果あったんだね」
「何度も同じ場所を攻撃しないといけないのは不便だけど、動けない状態のこいつにはちょうど良かったかもね」
「お兄ちゃんの居場所を教えて貰うまでは止めないからね。教えてくれた情報が嘘だった時も止めないけどね」
動けない状態の魔王アスモデウスに黙々と釘を打ち込んでいる姿はシュールではあったが、四人の美少女たちはいたって真面目に打ち込んでいるのだ。心の中にはみんな勇者真琴がどこにいるんか心配はしている。でも、ほんの少しだけ魔王アスモデウスに攻撃が通っていることを喜んでいたりもするのだ。
時々聞こえる魔王アスモデウスの言葉をあえて無視している四人の美少女たち。勇者真琴に関する情報を提供しようとしている魔王アスモデウスをあえて無視して釘を打つことを楽しんでいるようだ。魔王アスモデウスの言葉が四人の美少女たちに届いたのは持ってきた釘を全て打ち終えた後だった。
「ごめんなさい。何か言ってたのは気付いていたけどなんて言っていたのか理解はしてなかったかも」
「私も何か言ってるなくらいにしか思ってなかったよ」
「私も夢中で釘を打ち込んでて話は聞いてなかった」
「で、何か言いたいことがあるのかな?」
魔王アスモデウスは四人から目を逸らしながら小さな声で呟くように話し始めた。その声はほとんど聞こえないようなモノだったが、桃色の髪の少女は魔王の言葉を記録することに成功したのだ。
勇者真琴はこことは違う別の地球にいるという事がわかった。
その地球は魔王アスモデウスによって巧妙に隠されているため発見することは出来ない。
そこへ行くためには勇者真琴がそうされたように向こうの世界に適応した肉体を再構築させる必要があるようだ。
今の体ではなく新しい人間として生まれ変わる必要があるのだ。
「じゃあ、私が先に行ってお兄ちゃんを助けておくから。みんなが来るのは安全が確保されてからでいいからね」
「一人だけ先に行ってもらうことになるけど、絶対に私たちも行くから」
「お兄ちゃんの事を頼むよ。私たちの分までよろしくね」
「お兄ちゃんにはこっちの世界の記憶がないみたいだけど、私たちは記憶を残したまま行けるようにしてもらうから。全部を覚えていられるかはわからないけど、私たちが仲間だっていう事は覚えていられたらいいよね」
勇者真琴が転生した世界へと向かう四人は無事に再会することが出来るのだろうか。
魔王アスモデウスと勇者真琴の因縁に終止符を打つ日はいつになるのか、それは四人の行動次第なのかもしれない。
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