61 / 127
おパンツ戦争
第61話 イザーの伝説とサキュバスのお姉さん
しおりを挟む
サキュバス星人は地球人に比べてはるかに長命だという事を考慮しても四千万年と言う時間は長すぎると感じていた。
神聖サキュバス帝国四千万年の歴史においてイザーは頻繁に登場していた。何か重大な事件があった時は当然として、何もないただの平日にもふらっと遊びに来る間隔で登場しているので、神聖サキュバス帝国に暮らす人たちにおいてイザーの存在は遠い親戚よりも近い存在として受け入れられていたのだ。
時間も空間も世界線も己の意志で自由に超越することが出来るイザーだからこそできる芸当なのだが、それを理解しているはずの一般サキュバス達もにわかには信じられない出来事なのは言うまでもなかった。
工藤珠希は心のどこかでこの人たちの冗談に付き合うのはどうなのだろうと思ってしまっているのだが、今までも実際に自分の目でそのような場面を目撃していたこともあって一概に嘘だとは言い切れずにいたのだ。
「助けられたって言うけど、いったい何が起こったの?」
「四千万年前に私たちの住むサキュバス星に巨大な隕石が落下したんです。その影響で我々の祖先は絶滅すると思われたのですが、巨大隕石の落下時に発生した衝撃波が届く直前に同じ強さの衝撃波を発生させて相殺したのがイザーちゃんだそうです。当初はそのようなことが出来るはずが無いと思われていたのですが、その後に何度かやってきた隕石衝突の危機にもイザーちゃんはそれを実践して我々の事を守ってくれたのです」
「それは信じられないって言いたいけど、イザーちゃんなら実際にやってくれそうだよね。でも、そんなことが出来るんだったらさ、隕石が衝突する前にどうにか出来たんじゃないのかな?」
「その疑問は当然だと思います。我々も何度となくその事をイザーちゃんに尋ねたのですが、巨大隕石がサキュバス星に落下するのは避けることが出来ないという事らしいです。未然に落下を防いだとしても、それとは別の隕石が落ちてくるだけだという事ですし、それが単数とは限らないという話でした。仮に、複数の隕石が落下してきたとしたら、イザーちゃんでも瞬時に同じ強さの衝撃波を返すことなど出来ないという事みたいです。なので、対処できる範囲で隕石を落下させることでより大きな被害を防いでいるという話みたいです」
「でも、サキュバス星に隕石が落ちているのは変わりないみたいだし、大変なことになってるんじゃないの?」
「落下地点は大変なことになってますよ。それこそ、人が住めないような環境になることもありますからね。でも、不思議なものでして、隕石が落下する場所って神聖サキュバス帝国に敵対している国だったり悪魔の居城だったりするんですよ。一部の陰謀論者は、イザーちゃんが相手をするのが面倒なところに隕石を落下させてるんじゃないかって話もあるみたいなんですけど、さすがにイザーちゃんでも隕石を狙って落下させるなんて出来るはずが無いって事で笑い話にしかならないんですよ」
工藤珠希もサキュバス星人も知らない話ではあるが、遠い昔にイザーが隕石を落下させて遊んでいたのを一般サキュバスの一部の者が目撃していたのだ。その時は拳大の大きさの者だったので対象の命を奪って地形を少し変化させた程度で済んだのだが、本気を出したイザーであれば文明が滅ぶほどの巨大な隕石を狙った場所に落とすことも可能ではないかと思っていた。一般サキュバスの一部はサキュバス星人の話を聞いても笑えずにいたのはその事を考えていたからなのだ。
「何度となく訪れていた神聖サキュバス帝国滅亡の危機でしたが、イザーちゃんがやってきてくれることでその危機を見事に回避することが出来ていたのでした。今はイザーちゃんのお友達の方も手伝ってくれたので銀河系においても脅威と呼べそうな存在はいなくなりました。イザーちゃんのお友達の方は珠希さんと同じ普通の人間のようにも見えたのですが、イザーちゃんと同じくらい強力な力をお持ちのようで凄まじい活躍だったそうです。その場面を見たいと思っていたのですが、来週にはその時の映像が送られてくるようなので楽しみなんですよ」
「いやいや、イザーちゃんと同じくらい強い人間がいるなんてありえないでしょ。私たち全員の力を合わせてもイザーちゃんの力の一割にも満たないっていうのに、ただの人間がそんなに強いなんておかしいよ。そんなに強い力を持っている人間だったら、この世界を支配しようと考えるんじゃないかしら。人間って力を持ったら他人を支配したくなるモノなんでしょ」
「お姉さま、それは私たちサキュバスも大して変わらないと思います。お姉さまだってイザーちゃんに出会う前までは自分の力を誇示してやりたい放題だったじゃないですか」
「ちょっとちょっと、今はそういう昔の話は良いのよ。それに、私の場合は力を誇示してたんじゃなくてみんなにわからせていただけよ。私が一番だってのはイザーちゃんに出会わなければ間違いじゃなかったんだから。強い者が弱い者を導くのは自然なことでしょ」
「でも、お姉さまはもう一番じゃないですし」
「そんな事はわかっているのよ。でも、あの時は確かに一番だったんだもん」
神聖サキュバス帝国四千万年の歴史においてイザーは頻繁に登場していた。何か重大な事件があった時は当然として、何もないただの平日にもふらっと遊びに来る間隔で登場しているので、神聖サキュバス帝国に暮らす人たちにおいてイザーの存在は遠い親戚よりも近い存在として受け入れられていたのだ。
時間も空間も世界線も己の意志で自由に超越することが出来るイザーだからこそできる芸当なのだが、それを理解しているはずの一般サキュバス達もにわかには信じられない出来事なのは言うまでもなかった。
工藤珠希は心のどこかでこの人たちの冗談に付き合うのはどうなのだろうと思ってしまっているのだが、今までも実際に自分の目でそのような場面を目撃していたこともあって一概に嘘だとは言い切れずにいたのだ。
「助けられたって言うけど、いったい何が起こったの?」
「四千万年前に私たちの住むサキュバス星に巨大な隕石が落下したんです。その影響で我々の祖先は絶滅すると思われたのですが、巨大隕石の落下時に発生した衝撃波が届く直前に同じ強さの衝撃波を発生させて相殺したのがイザーちゃんだそうです。当初はそのようなことが出来るはずが無いと思われていたのですが、その後に何度かやってきた隕石衝突の危機にもイザーちゃんはそれを実践して我々の事を守ってくれたのです」
「それは信じられないって言いたいけど、イザーちゃんなら実際にやってくれそうだよね。でも、そんなことが出来るんだったらさ、隕石が衝突する前にどうにか出来たんじゃないのかな?」
「その疑問は当然だと思います。我々も何度となくその事をイザーちゃんに尋ねたのですが、巨大隕石がサキュバス星に落下するのは避けることが出来ないという事らしいです。未然に落下を防いだとしても、それとは別の隕石が落ちてくるだけだという事ですし、それが単数とは限らないという話でした。仮に、複数の隕石が落下してきたとしたら、イザーちゃんでも瞬時に同じ強さの衝撃波を返すことなど出来ないという事みたいです。なので、対処できる範囲で隕石を落下させることでより大きな被害を防いでいるという話みたいです」
「でも、サキュバス星に隕石が落ちているのは変わりないみたいだし、大変なことになってるんじゃないの?」
「落下地点は大変なことになってますよ。それこそ、人が住めないような環境になることもありますからね。でも、不思議なものでして、隕石が落下する場所って神聖サキュバス帝国に敵対している国だったり悪魔の居城だったりするんですよ。一部の陰謀論者は、イザーちゃんが相手をするのが面倒なところに隕石を落下させてるんじゃないかって話もあるみたいなんですけど、さすがにイザーちゃんでも隕石を狙って落下させるなんて出来るはずが無いって事で笑い話にしかならないんですよ」
工藤珠希もサキュバス星人も知らない話ではあるが、遠い昔にイザーが隕石を落下させて遊んでいたのを一般サキュバスの一部の者が目撃していたのだ。その時は拳大の大きさの者だったので対象の命を奪って地形を少し変化させた程度で済んだのだが、本気を出したイザーであれば文明が滅ぶほどの巨大な隕石を狙った場所に落とすことも可能ではないかと思っていた。一般サキュバスの一部はサキュバス星人の話を聞いても笑えずにいたのはその事を考えていたからなのだ。
「何度となく訪れていた神聖サキュバス帝国滅亡の危機でしたが、イザーちゃんがやってきてくれることでその危機を見事に回避することが出来ていたのでした。今はイザーちゃんのお友達の方も手伝ってくれたので銀河系においても脅威と呼べそうな存在はいなくなりました。イザーちゃんのお友達の方は珠希さんと同じ普通の人間のようにも見えたのですが、イザーちゃんと同じくらい強力な力をお持ちのようで凄まじい活躍だったそうです。その場面を見たいと思っていたのですが、来週にはその時の映像が送られてくるようなので楽しみなんですよ」
「いやいや、イザーちゃんと同じくらい強い人間がいるなんてありえないでしょ。私たち全員の力を合わせてもイザーちゃんの力の一割にも満たないっていうのに、ただの人間がそんなに強いなんておかしいよ。そんなに強い力を持っている人間だったら、この世界を支配しようと考えるんじゃないかしら。人間って力を持ったら他人を支配したくなるモノなんでしょ」
「お姉さま、それは私たちサキュバスも大して変わらないと思います。お姉さまだってイザーちゃんに出会う前までは自分の力を誇示してやりたい放題だったじゃないですか」
「ちょっとちょっと、今はそういう昔の話は良いのよ。それに、私の場合は力を誇示してたんじゃなくてみんなにわからせていただけよ。私が一番だってのはイザーちゃんに出会わなければ間違いじゃなかったんだから。強い者が弱い者を導くのは自然なことでしょ」
「でも、お姉さまはもう一番じゃないですし」
「そんな事はわかっているのよ。でも、あの時は確かに一番だったんだもん」
0
お気に入りに追加
37
あなたにおすすめの小説
〈社会人百合〉アキとハル
みなはらつかさ
恋愛
女の子拾いました――。
ある朝起きたら、隣にネイキッドな女の子が寝ていた!?
主人公・紅(くれない)アキは、どういったことかと問いただすと、酔っ払った勢いで、彼女・葵(あおい)ハルと一夜をともにしたらしい。
しかも、ハルは失踪中の大企業令嬢で……?
絵:Novel AI
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!

学園の美人三姉妹に告白して断られたけど、わたしが義妹になったら溺愛してくるようになった
白藍まこと
恋愛
主人公の花野明莉は、学園のアイドル 月森三姉妹を崇拝していた。
クールな長女の月森千夜、おっとり系な二女の月森日和、ポジティブ三女の月森華凛。
明莉は遠くからその姿を見守ることが出来れば満足だった。
しかし、その情熱を恋愛感情と捉えられたクラスメイトによって、明莉は月森三姉妹に告白を強いられてしまう。結果フラれて、クラスの居場所すらも失うことに。
そんな絶望に拍車をかけるように、親の再婚により明莉は月森三姉妹と一つ屋根の下で暮らす事になってしまう。義妹としてスタートした新生活は最悪な展開になると思われたが、徐々に明莉は三姉妹との距離を縮めていく。
三姉妹に溺愛されていく共同生活が始まろうとしていた。
※他サイトでも掲載中です。

可愛すぎるクラスメイトがやたら俺の部屋を訪れる件 ~事故から助けたボクっ娘が存在感空気な俺に熱い視線を送ってきている~
蒼田
青春
人よりも十倍以上存在感が薄い高校一年生、宇治原簾 (うじはられん)は、ある日買い物へ行く。
目的のプリンを買った夜の帰り道、簾はクラスメイトの人気者、重原愛莉 (えはらあいり)を見つける。
しかしいつも教室でみる活発な表情はなくどんよりとしていた。只事ではないと目線で追っていると彼女が信号に差し掛かり、トラックに引かれそうな所を簾が助ける。
事故から助けることで始まる活発少女との関係。
愛莉が簾の家にあがり看病したり、勉強したり、時には二人でデートに行ったりと。
愛莉は簾の事が好きで、廉も愛莉のことを気にし始める。
故障で陸上が出来なくなった愛莉は目標新たにし、簾はそんな彼女を補佐し自分の目標を見つけるお話。
*本作はフィクションです。実在する人物・団体・組織名等とは関係ございません。
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?

とある高校の淫らで背徳的な日常
神谷 愛
恋愛
とある高校に在籍する少女の話。
クラスメイトに手を出し、教師に手を出し、あちこちで好き放題している彼女の日常。
後輩も先輩も、教師も彼女の前では一匹の雌に過ぎなかった。
ノクターンとかにもある
お気に入りをしてくれると喜ぶ。
感想を貰ったら踊り狂って喜ぶ。
してくれたら次の投稿が早くなるかも、しれない。

貞操観念が逆転した世界に転生した俺が全部活の共有マネージャーになるようです
.
恋愛
少子化により男女比が変わって貞操概念が逆転した世界で俺「佐川幸太郎」は通っている高校、東昴女子高等学校で部活共有のマネージャーをする話
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる