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おパンツ戦争
第51話 水色のおパンツ
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サキュバスも一枚岩ではないという事に気が付いたのは敵対しているわけでもないクリームパイだった。
史上最強のサキュバスであるイザーとサキュバスを束ねる女王である栗宮院うまなの間に修復不可能と思われるような亀裂が出来てしまい、このままでは学校の運営もままならないという事でサキュバスだけではなくレジスタンスの面々もどちらかの勢力に加担することになったのだ。
人望と圧倒的な権力と底知れぬ財力を有する栗宮院うまな軍。サキュバスだけではなく多くのレジスタンスも味方につけているのである。
それに対抗するイザーにはたった一人でも事態を打開することの出来る武力と戦略と戦術があるのだ。彼女の味方は鈴木愛華ただ一人なのであった。
鈴木愛華がイザーの味方をする理由は、たった一人でかわいそうだからと言う消極的なものである。
「野城君は当然として、珠希ちゃんもどちらかに手を貸しちゃダメだからね。うまなちゃんが圧倒的に劣勢だからと言っても協力したらダメだよ」
「珠希ちゃんがうまなちゃんに手を貸すことになったとしたら、うまなちゃんの成長は望めなくなっちゃうからね。珠希ちゃんに頼ることを覚えちゃったらこれ以上成長できなくなっちゃうんだよ」
「自分の力でイザーちゃんを超えることが出来ないとこれから先が大変になっちゃうからね」
「うまなちゃんのためにみんなが力を貸すのは成長を止めることにはならないの?」
「それは大丈夫。だって、私たちは珠希ちゃんと違って決着を付けることが出来ないからね。私がうまなちゃんを助けたところで何の影響もないし、愛華がイザーちゃんじゃなくてうまなちゃんの味方をしても何も変わらないんだよ。珠希ちゃんとは違って私たちには二人の差を埋めることなんて出来ないんだからね」
「私としては珠希ちゃんがうまなちゃんに協力をしてくれてもいいんだけどね。愛華だって私じゃなくうまなちゃんの味方になったっていいんだよ」
「正直に言うと、イザーちゃんの敵になるのはイヤだよ。うまなちゃんと敵対するのもこれからの学校生活を考えると嫌なんだけど、それ以上にイザーちゃんと戦うのは二度とごめんだよ。あんな苦痛を味わうなんて考えただけでもゾクゾクしちゃう」
イザーの味方は鈴木愛華だけなはずなのだが、この場では普通に会話をしている。
敵対しているはずなのにと思った工藤珠希が不思議そうな顔でみんなの事を見ていると、それを察した野城君が簡単に説明をしてくれた。
「うまなちゃんとイザーちゃんが喧嘩をすることなんて日常茶飯事なんだけど、今回の喧嘩は今までとは比べ物にならないくらいに長引いてしまうかもしれないよ。珠希ちゃんが二人を止めることが出来ると思うんだけど、手を差し出すタイミングを間違えると争いが一生終わらないことになってしまうかもしれないね。どんなに手を尽くしたところで、一度こじれてしまった関係は二度と元には戻ることもないだろう。それだけに、珠希ちゃんがタイミングを間違えないことが重要になってくるね。だけど、珠希ちゃんが二人に手を差し出さなくてもいつかは問題が解消するとは思うんで、気長に待つってのも一つの方法だとは思うよ」
「仲が良い二人がそんなにこじれるなんて、いったい何があったんだろう?」
「それはちょっと俺の口からは言い出しにくいかも。だからと言って、珠希ちゃんが直接二人に聞くってのもダメなような気がするんだよな。ねえ、柘榴ちゃんはどう思うかな?」
「私も珠希ちゃんが二人が喧嘩をしている理由を直接聞くってのは反対かも。だからと言って、他の人に聞いても正しい理由なんて知ってるはずもないからね。うまなちゃんの味方になってるみんなってイザーちゃんに勝てるかもしれないっていう理由だけで選んでるだけだからね。零楼館高校には内部信用ポイントってのがあるんだけど、一番効率よく溜めるのってイザーちゃんと戦って勝つことなんだよね。たった一回勝つだけで生涯年収が三億円くらい増える計算になるんだよ。何回負けてもイザーちゃんが相手だったらポイントが減ることないっていう凄い制度だから、こういう時ってみんながイザーちゃんの敵になることを選ぶんだよ。千回負けたとしても一度でも勝てたらソレで得られる恩恵が大きいからね」
「逆を言うと、イザーちゃんの味方の時に負けちゃったりすると、千回勝ったとしても挽回出来ないくらい大きな負債を背負ってしまうことになるんだよね。私は小さいポイントだとしても確実にコツコツと積み重ねていきたいんだよ」
「そんな制度があるんだったらボクも参加してみたいなって思っちゃうかも」
「珠希ちゃんは特別指名生徒だからポイントの対象外なんだよ。でも、特別指名生徒って事で卒業後にも色々とあるっぽいよ。俺も噂レベルでしか聞いてないんだけど、零楼館高校に多大な貢献をしたって事で毎月相当な額が送られるみたいだね。本当かどうかわからないけど、四人家族でも苦労なく暮らしていけるって話だね」
「それってどれくらいなのか想像もつかないけど、うまなちゃんとイザーちゃんって何で揉めてるのか教えて貰えないんだよね?」
二人のサキュバスが争うことになったきっかけが何なのか想像もつかない工藤珠希。そためいきをついT何かを手渡していた。
クリームパイから手渡された肌触りの良い布を広げてみると、それは水色のおパンツであった。最初はハンカチか何かかと思ったのだけれど、手に取って広げてみると、どこからどう見ても水色のおパンツであった。
みんなは困ったような顔で工藤珠希と水色のおパンツを交互に見てはため息をついていたのであった。
史上最強のサキュバスであるイザーとサキュバスを束ねる女王である栗宮院うまなの間に修復不可能と思われるような亀裂が出来てしまい、このままでは学校の運営もままならないという事でサキュバスだけではなくレジスタンスの面々もどちらかの勢力に加担することになったのだ。
人望と圧倒的な権力と底知れぬ財力を有する栗宮院うまな軍。サキュバスだけではなく多くのレジスタンスも味方につけているのである。
それに対抗するイザーにはたった一人でも事態を打開することの出来る武力と戦略と戦術があるのだ。彼女の味方は鈴木愛華ただ一人なのであった。
鈴木愛華がイザーの味方をする理由は、たった一人でかわいそうだからと言う消極的なものである。
「野城君は当然として、珠希ちゃんもどちらかに手を貸しちゃダメだからね。うまなちゃんが圧倒的に劣勢だからと言っても協力したらダメだよ」
「珠希ちゃんがうまなちゃんに手を貸すことになったとしたら、うまなちゃんの成長は望めなくなっちゃうからね。珠希ちゃんに頼ることを覚えちゃったらこれ以上成長できなくなっちゃうんだよ」
「自分の力でイザーちゃんを超えることが出来ないとこれから先が大変になっちゃうからね」
「うまなちゃんのためにみんなが力を貸すのは成長を止めることにはならないの?」
「それは大丈夫。だって、私たちは珠希ちゃんと違って決着を付けることが出来ないからね。私がうまなちゃんを助けたところで何の影響もないし、愛華がイザーちゃんじゃなくてうまなちゃんの味方をしても何も変わらないんだよ。珠希ちゃんとは違って私たちには二人の差を埋めることなんて出来ないんだからね」
「私としては珠希ちゃんがうまなちゃんに協力をしてくれてもいいんだけどね。愛華だって私じゃなくうまなちゃんの味方になったっていいんだよ」
「正直に言うと、イザーちゃんの敵になるのはイヤだよ。うまなちゃんと敵対するのもこれからの学校生活を考えると嫌なんだけど、それ以上にイザーちゃんと戦うのは二度とごめんだよ。あんな苦痛を味わうなんて考えただけでもゾクゾクしちゃう」
イザーの味方は鈴木愛華だけなはずなのだが、この場では普通に会話をしている。
敵対しているはずなのにと思った工藤珠希が不思議そうな顔でみんなの事を見ていると、それを察した野城君が簡単に説明をしてくれた。
「うまなちゃんとイザーちゃんが喧嘩をすることなんて日常茶飯事なんだけど、今回の喧嘩は今までとは比べ物にならないくらいに長引いてしまうかもしれないよ。珠希ちゃんが二人を止めることが出来ると思うんだけど、手を差し出すタイミングを間違えると争いが一生終わらないことになってしまうかもしれないね。どんなに手を尽くしたところで、一度こじれてしまった関係は二度と元には戻ることもないだろう。それだけに、珠希ちゃんがタイミングを間違えないことが重要になってくるね。だけど、珠希ちゃんが二人に手を差し出さなくてもいつかは問題が解消するとは思うんで、気長に待つってのも一つの方法だとは思うよ」
「仲が良い二人がそんなにこじれるなんて、いったい何があったんだろう?」
「それはちょっと俺の口からは言い出しにくいかも。だからと言って、珠希ちゃんが直接二人に聞くってのもダメなような気がするんだよな。ねえ、柘榴ちゃんはどう思うかな?」
「私も珠希ちゃんが二人が喧嘩をしている理由を直接聞くってのは反対かも。だからと言って、他の人に聞いても正しい理由なんて知ってるはずもないからね。うまなちゃんの味方になってるみんなってイザーちゃんに勝てるかもしれないっていう理由だけで選んでるだけだからね。零楼館高校には内部信用ポイントってのがあるんだけど、一番効率よく溜めるのってイザーちゃんと戦って勝つことなんだよね。たった一回勝つだけで生涯年収が三億円くらい増える計算になるんだよ。何回負けてもイザーちゃんが相手だったらポイントが減ることないっていう凄い制度だから、こういう時ってみんながイザーちゃんの敵になることを選ぶんだよ。千回負けたとしても一度でも勝てたらソレで得られる恩恵が大きいからね」
「逆を言うと、イザーちゃんの味方の時に負けちゃったりすると、千回勝ったとしても挽回出来ないくらい大きな負債を背負ってしまうことになるんだよね。私は小さいポイントだとしても確実にコツコツと積み重ねていきたいんだよ」
「そんな制度があるんだったらボクも参加してみたいなって思っちゃうかも」
「珠希ちゃんは特別指名生徒だからポイントの対象外なんだよ。でも、特別指名生徒って事で卒業後にも色々とあるっぽいよ。俺も噂レベルでしか聞いてないんだけど、零楼館高校に多大な貢献をしたって事で毎月相当な額が送られるみたいだね。本当かどうかわからないけど、四人家族でも苦労なく暮らしていけるって話だね」
「それってどれくらいなのか想像もつかないけど、うまなちゃんとイザーちゃんって何で揉めてるのか教えて貰えないんだよね?」
二人のサキュバスが争うことになったきっかけが何なのか想像もつかない工藤珠希。そためいきをついT何かを手渡していた。
クリームパイから手渡された肌触りの良い布を広げてみると、それは水色のおパンツであった。最初はハンカチか何かかと思ったのだけれど、手に取って広げてみると、どこからどう見ても水色のおパンツであった。
みんなは困ったような顔で工藤珠希と水色のおパンツを交互に見てはため息をついていたのであった。
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