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第46話 美味しいイチゴミルク
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工藤珠希の匂いを嗅いだ生徒たちは幸福感に包まれていた。
何とか下校時刻までには全員の確認が終わったのだが、栗宮院うまなが何周も列に並んでしまっていなければもう少し早く終わっていたのかもしれない。
「珠希ちゃんを守るためにクリーキー君も太郎ちゃんと同じ場所に送った方がいいんじゃないかな?」
「それをやったら太郎ちゃんが戻ってくるのも早くなっちゃうんじゃない?」
「そうかもしれないけど、あんな危険な人を珠希ちゃんの近くに置いておくことは良くないと思うな」
「それもそうね。今日の教員会議の議題にあげておくわ」
栗宮院うまなと片岡瑠璃先生のヒソヒソ話が聞こえてきた工藤珠希は複雑な心境であった。
工藤太郎とクリーキーが一緒に行動するのであれば工藤太郎の負担も減ると思うのだけど、クリーキーの変な部分に影響されて工藤太郎まで変な人になってしまわないか不安になっていた。
栗鳥院柘榴と鈴木愛華はパックのイチゴミルクを工藤珠希に差し出していた。
イチゴミルクを受け取った工藤珠希は身長にストローを刺して味わうようにゆっくりと飲んでいた。
「今日は大変な一日だったね。この学校に来てから一番大変だったんじゃない?」
「結構疲れちゃったよ。ボクが何かするわけじゃないからそんなに疲れないんだろうなって思ってたんだけど、意外と黙って立っているのも疲れるんだね。今日一日でこの学校のほとんどの生徒と触れ合ったような気がするよ」
「女子の中で参加しなかった人はいないんじゃないかな。しれっと先生たちも混ざってたし、食堂のおばちゃんも来てたらしいね」
「そうなんだよ。大人がいるって思ってボクも驚いちゃったんだけど、それ以上にうまなちゃんが何回も並んでたのに驚いちゃった」
「うまなちゃんは凄い勢いで並びなおしてたからね。みんなうまなちゃんが並びなおしてたのを見て順番を譲ってたりしてたよ。うまなちゃんのお世話になっている人たちだと思うんだけど、最後の方はうまなちゃんも申し訳ないって思ったのかそのまま普通に並んでたからね」
「たぶん、それって最後の一人になりたかっただけだと思うよ。珠希ちゃんの最後の女になるって宣言してたからね」
「別に最後じゃないのにね。じゃあ、ここで私が珠希ちゃんに抱き着いたらうまなちゃんに恨まれちゃうかもね」
「それはあるかも。私も抱き着いちゃおうかな」
工藤珠希は二人の発言を冗談だと思っていたのだが、椅子に座ってイチゴミルクを飲んでいる工藤珠希の事を栗鳥院柘榴と鈴木愛華は両サイドから包み込むように抱きしめていた。
その姿を見てしまった栗宮院うまなは二人に文句を言うために近付こうとしたのだが、片岡瑠璃先生に手を引かれて教員会議に向けての資料作りを手伝わされるのであった。
栗宮院うまなは二人に対して恨みのこもった視線を送っていた。もちろん、その視線に二人は気付いていたのだが、特に気にすることもなく工藤珠希を抱きしめていたのだ。
「うまなちゃんに凄い目で睨まれちゃったね」
「愛華がそんなに積極的に抱き着いちゃうからうまなちゃんに怒られるんじゃない?」
「柘榴ちゃんの方がうまなちゃんに怒られると思うけど。だって、柘榴ちゃんはさりげなく胸とか触ってるし」
「それはたまたま当たっただけだよ。狙ってないからね」
栗鳥院柘榴の手がたまたま当たっただけなのか触ろうとしていたのか工藤珠希には判断が出来なかったけれど、サキュバスの人達と違って栗鳥院柘榴と鈴木愛華は百合系ではないと思うので偶然だと思うことにしたのだ。
もしも、栗鳥院柘榴と鈴木愛華もサキュバスの人達と同じで百合系であったとしたら、今みたいな状況もあまりよろしくないことになってしまうと思ってしまった。
こうして普通だと思えるようなことも意識しなくてはいけなくなってしまうし、普通にお話をすることも出来なくなってしまうのではないかと思っていた。
こんな時に工藤太郎がいれば相談することによってそんな事で悩まなくなるとは思うのだけど、工藤太郎がなかなか戻ってこないので一人で抱え込むしかないのだ。
「イチゴミルクに飽きたらカフェオレにするからいつでも言ってね」
「これ美味しいから飽きることないと思うよ。いつもありがとうね」
「珠希ちゃんには色々とお世話になってるからそのお礼だよ。珠希ちゃんがいるおかげでサキュバスの人達とやりやすくなってるし」
「太郎ちゃんがイザーちゃんを連れていってくれてるのも大きいよね。太郎ちゃんがいなかったら私たちはイザーちゃんに一方的に蹂躙されてる可能性だってあるんだもんね」
「太郎がイザーちゃんと一緒にいるのはボクと関係ないと思うけど」
「そんなことないよ。珠希ちゃんがこの学校に入学してくれたから太郎ちゃんも一緒に来てくれることになったんだよ。珠希ちゃんがいなければ今みたいに平和な状況にはなってなかったと思うんだ」
「たぶん、最初の戦いでうまなちゃんとイザーちゃんが終了直前に出てきてレジスタンスを全滅させてたと思うよ。今回は太郎ちゃんがいたからそれを防げたんだけど、柘榴ちゃんと私だけじゃうまなちゃんを止めるだけで精一杯だからね」
「そうなんだよね。今はイザーちゃんに呪いが効くってわかったから太郎ちゃんがいなくても何とかなるんだけど、あの時はまさかイザーちゃんに呪いが効くなんて思いもしなかったからね」
「今になってみたら、なんで誰も試さなかったんだろうって思うよね」
工藤珠希は空になったイチゴミルクのパックを潰しながら呪いって本当にあるのかいまだに半信半疑であった。
ただ、イザーちゃんが呪いにかかって弱っているという事だけは信じていた。
何とか下校時刻までには全員の確認が終わったのだが、栗宮院うまなが何周も列に並んでしまっていなければもう少し早く終わっていたのかもしれない。
「珠希ちゃんを守るためにクリーキー君も太郎ちゃんと同じ場所に送った方がいいんじゃないかな?」
「それをやったら太郎ちゃんが戻ってくるのも早くなっちゃうんじゃない?」
「そうかもしれないけど、あんな危険な人を珠希ちゃんの近くに置いておくことは良くないと思うな」
「それもそうね。今日の教員会議の議題にあげておくわ」
栗宮院うまなと片岡瑠璃先生のヒソヒソ話が聞こえてきた工藤珠希は複雑な心境であった。
工藤太郎とクリーキーが一緒に行動するのであれば工藤太郎の負担も減ると思うのだけど、クリーキーの変な部分に影響されて工藤太郎まで変な人になってしまわないか不安になっていた。
栗鳥院柘榴と鈴木愛華はパックのイチゴミルクを工藤珠希に差し出していた。
イチゴミルクを受け取った工藤珠希は身長にストローを刺して味わうようにゆっくりと飲んでいた。
「今日は大変な一日だったね。この学校に来てから一番大変だったんじゃない?」
「結構疲れちゃったよ。ボクが何かするわけじゃないからそんなに疲れないんだろうなって思ってたんだけど、意外と黙って立っているのも疲れるんだね。今日一日でこの学校のほとんどの生徒と触れ合ったような気がするよ」
「女子の中で参加しなかった人はいないんじゃないかな。しれっと先生たちも混ざってたし、食堂のおばちゃんも来てたらしいね」
「そうなんだよ。大人がいるって思ってボクも驚いちゃったんだけど、それ以上にうまなちゃんが何回も並んでたのに驚いちゃった」
「うまなちゃんは凄い勢いで並びなおしてたからね。みんなうまなちゃんが並びなおしてたのを見て順番を譲ってたりしてたよ。うまなちゃんのお世話になっている人たちだと思うんだけど、最後の方はうまなちゃんも申し訳ないって思ったのかそのまま普通に並んでたからね」
「たぶん、それって最後の一人になりたかっただけだと思うよ。珠希ちゃんの最後の女になるって宣言してたからね」
「別に最後じゃないのにね。じゃあ、ここで私が珠希ちゃんに抱き着いたらうまなちゃんに恨まれちゃうかもね」
「それはあるかも。私も抱き着いちゃおうかな」
工藤珠希は二人の発言を冗談だと思っていたのだが、椅子に座ってイチゴミルクを飲んでいる工藤珠希の事を栗鳥院柘榴と鈴木愛華は両サイドから包み込むように抱きしめていた。
その姿を見てしまった栗宮院うまなは二人に文句を言うために近付こうとしたのだが、片岡瑠璃先生に手を引かれて教員会議に向けての資料作りを手伝わされるのであった。
栗宮院うまなは二人に対して恨みのこもった視線を送っていた。もちろん、その視線に二人は気付いていたのだが、特に気にすることもなく工藤珠希を抱きしめていたのだ。
「うまなちゃんに凄い目で睨まれちゃったね」
「愛華がそんなに積極的に抱き着いちゃうからうまなちゃんに怒られるんじゃない?」
「柘榴ちゃんの方がうまなちゃんに怒られると思うけど。だって、柘榴ちゃんはさりげなく胸とか触ってるし」
「それはたまたま当たっただけだよ。狙ってないからね」
栗鳥院柘榴の手がたまたま当たっただけなのか触ろうとしていたのか工藤珠希には判断が出来なかったけれど、サキュバスの人達と違って栗鳥院柘榴と鈴木愛華は百合系ではないと思うので偶然だと思うことにしたのだ。
もしも、栗鳥院柘榴と鈴木愛華もサキュバスの人達と同じで百合系であったとしたら、今みたいな状況もあまりよろしくないことになってしまうと思ってしまった。
こうして普通だと思えるようなことも意識しなくてはいけなくなってしまうし、普通にお話をすることも出来なくなってしまうのではないかと思っていた。
こんな時に工藤太郎がいれば相談することによってそんな事で悩まなくなるとは思うのだけど、工藤太郎がなかなか戻ってこないので一人で抱え込むしかないのだ。
「イチゴミルクに飽きたらカフェオレにするからいつでも言ってね」
「これ美味しいから飽きることないと思うよ。いつもありがとうね」
「珠希ちゃんには色々とお世話になってるからそのお礼だよ。珠希ちゃんがいるおかげでサキュバスの人達とやりやすくなってるし」
「太郎ちゃんがイザーちゃんを連れていってくれてるのも大きいよね。太郎ちゃんがいなかったら私たちはイザーちゃんに一方的に蹂躙されてる可能性だってあるんだもんね」
「太郎がイザーちゃんと一緒にいるのはボクと関係ないと思うけど」
「そんなことないよ。珠希ちゃんがこの学校に入学してくれたから太郎ちゃんも一緒に来てくれることになったんだよ。珠希ちゃんがいなければ今みたいに平和な状況にはなってなかったと思うんだ」
「たぶん、最初の戦いでうまなちゃんとイザーちゃんが終了直前に出てきてレジスタンスを全滅させてたと思うよ。今回は太郎ちゃんがいたからそれを防げたんだけど、柘榴ちゃんと私だけじゃうまなちゃんを止めるだけで精一杯だからね」
「そうなんだよね。今はイザーちゃんに呪いが効くってわかったから太郎ちゃんがいなくても何とかなるんだけど、あの時はまさかイザーちゃんに呪いが効くなんて思いもしなかったからね」
「今になってみたら、なんで誰も試さなかったんだろうって思うよね」
工藤珠希は空になったイチゴミルクのパックを潰しながら呪いって本当にあるのかいまだに半信半疑であった。
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