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第43話 女性は五十歳から
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怪しげな集団はクリームパイの部下だという事が判明したまでは良かった。黙っていては殺されてしまうとまで考えていた工藤珠希の心配は一つなくなったという事になるのだけれど、新たな問題が発生してしまった。
「隊長とお姉さんは結婚を前提に考えているんですか?」
「え、結婚?」
突然の質問に言葉を失った工藤珠希が戸惑っているのをよそに、他の隊員たちも次々と二人の馴れ初めを聞いてくるのだ。
工藤珠希はクリームパイと結婚をするつもりなんて無いわけだし、そもそもお付き合いをしているという間柄でもない。ただのクラスメイトでしかないのになぜそう思われたのか気になってしまった。
「結婚も何もないけど。ボクとクリームパイちゃんは付き合ってるわけでもないよ」
「そうは言いますけど、隊長の事をクリームパイちゃんって呼ぶのは相当親しい間柄という事ですよね。それに、お姉さんからは隊長の濃厚なメスの匂いが染みついた痕跡があるんですけど。それってどういう事なんですかね?」
「そんなのは知らないけど。もしかして、ボクが臭いって事なのかな?」
「違います。臭いとか臭くないじゃなくて、お姉さんから隊長のメスの匂いがしているって事です。隊長はお気に入りの相手に自分の匂いを付けることがあるんですけど、お姉さんについてるのはその中でも特別な相手にしか付けないメスの匂いなんです。その匂いがついている人に手を出すことは隊長に対して敵対するっていう意思表示になるんですけど、そこまでされているのに結婚を前提に考えてもいなくて付き合ってもいないって事なんですか?」
「そうだけど。そんな事を言われてもボクの方が困っちゃうよ」
「そうなると、また隊長が暴走したって事になりますね。熱しやすく冷めにくい隊長の事だからしばらくの間はお姉さんにちょっかいとかかけてくると思いますが、あまり気にせずに相手にしてなければそのうち隊長の気も離れていくはずですよ。三十年も放置しとけばいいはずですから」
「三十年って長すぎるでしょ。その頃にはボクもおばさんになってるじゃない」
「そんな事無いですよ。女性は五十歳を超えてからが華だっていうじゃないですか。お姉さんだったら百歳二百歳になっても可愛らしいままだと思いますよ」
「そんなに長く生きれるとは思えないんだけど」
クリームパイの部下たちとの話をして違和感があったのだが、地球と彼らの星では生物の寿命が異なるみたいだ。
人間の寿命よりも彼らの方が長いのではないかと言う疑問が生まれていた。
「ちょっと確認したいことがあるんだけど、ボクの質問に答えてもらってもいいかな?」
「なんでしょうか。軍事機密に関わることでなければ答えますよ。軍事機密に関わることだとしても隊長のことだったら内緒で教えちゃいますけど」
「あ、そういう事じゃないんで大丈夫です。話をしていて疑問に感じたんだけど、あなたたちってボクたちと見た目は凄く似ているよね。平均寿命とかも同じだったりするのかな?」
「平均寿命とかはあまり考えたことが無かったですけど、全国民の情報が載っているデータベースを調べてみますね。計算が難しいことになりそうなので単純に昨日までに一年間で亡くなった人の平均年齢で出してみると、大体八十歳くらいになってますね。正確なデータと言えるのかわかりませんが、俺たちは平均すると八十歳で死ぬみたいですよ」
「そうなんだ。日本の平均寿命も同じくらいだからそんなに変わらないんだね。女性は五十歳からとかいうから長命なのかと思ってたよ」
「でも、来年からのデータをとったら結構変わっちゃうと思いますね。ほら、今年はイザーさんが久しぶりに来てくれたんで平和になるはずですから」
「ん、それってどういう事なのかな?」
「イザーさんが俺らの脅威を取り払ってくれてるんですよ。今までは生まれた子供の九割近くが攫われてたんですけど、赤子を攫う悪霊の神々をイザーさんともう一人の男の人で次々に成敗してくれてるんです。悪霊の神々がいなくなってから一年間のデータにすると寿命ってのもだいぶ変わりそうですよ」
「そうなんだ。今まで大変だったんだね。ちなみに、あなたは何歳なんですか?」
「ちょっと待ってください。この星の人間の年齢に換算することが出来るようになったみたいです。それに照らし合わせると、俺は二十六歳です。ちなみに、隊長は十七歳ですからね」
自分よりもクリームパイの方が年上だと知った工藤珠希は何とも言えない不思議な感情を抱いていた。
見た目は完全に自分より幼いと思っていた相手が自分より年上であり、生きている年数だけで言えば遥かに長いだろうという事になるのだ。
この事を他の人にも言った方がいいのか言わない方がいいのか悩んでいたのだが、最終的には女性の年齢について触れることは避けようと思うことにした。
「そんな事よりも、お姉さんは隊長と付き合うつもりはないんですか?」
「まったくないよ。クリームパイちゃんは友達としてなら付き合おうとは思うけど、恋人とかは考えられないかな。だって、女の子同士でお付き合いをするのって違うと思うんだよね」
「そんなにメスを興奮させる匂いと体つきでそんな事を言うのはおかしいです。そんなにイヤらしい匂いをまき散らすのなんて悪霊の神々よりも危険じゃないですか。きっと隊長だって私と同じ気持ちでお姉さんに接してたんだと思います。初対面ではありますが、私はお姉さんの事が大好きです。結婚してください」
「ごめんなさい無理です」
物凄い勢いで走ってきた女性隊員が工藤珠希に対して急に告白をしてきたことに驚いてしまったのは工藤珠希だが、工藤珠希だけではなく他の隊員たちも同じく驚いていたのだった。
「隊長とお姉さんは結婚を前提に考えているんですか?」
「え、結婚?」
突然の質問に言葉を失った工藤珠希が戸惑っているのをよそに、他の隊員たちも次々と二人の馴れ初めを聞いてくるのだ。
工藤珠希はクリームパイと結婚をするつもりなんて無いわけだし、そもそもお付き合いをしているという間柄でもない。ただのクラスメイトでしかないのになぜそう思われたのか気になってしまった。
「結婚も何もないけど。ボクとクリームパイちゃんは付き合ってるわけでもないよ」
「そうは言いますけど、隊長の事をクリームパイちゃんって呼ぶのは相当親しい間柄という事ですよね。それに、お姉さんからは隊長の濃厚なメスの匂いが染みついた痕跡があるんですけど。それってどういう事なんですかね?」
「そんなのは知らないけど。もしかして、ボクが臭いって事なのかな?」
「違います。臭いとか臭くないじゃなくて、お姉さんから隊長のメスの匂いがしているって事です。隊長はお気に入りの相手に自分の匂いを付けることがあるんですけど、お姉さんについてるのはその中でも特別な相手にしか付けないメスの匂いなんです。その匂いがついている人に手を出すことは隊長に対して敵対するっていう意思表示になるんですけど、そこまでされているのに結婚を前提に考えてもいなくて付き合ってもいないって事なんですか?」
「そうだけど。そんな事を言われてもボクの方が困っちゃうよ」
「そうなると、また隊長が暴走したって事になりますね。熱しやすく冷めにくい隊長の事だからしばらくの間はお姉さんにちょっかいとかかけてくると思いますが、あまり気にせずに相手にしてなければそのうち隊長の気も離れていくはずですよ。三十年も放置しとけばいいはずですから」
「三十年って長すぎるでしょ。その頃にはボクもおばさんになってるじゃない」
「そんな事無いですよ。女性は五十歳を超えてからが華だっていうじゃないですか。お姉さんだったら百歳二百歳になっても可愛らしいままだと思いますよ」
「そんなに長く生きれるとは思えないんだけど」
クリームパイの部下たちとの話をして違和感があったのだが、地球と彼らの星では生物の寿命が異なるみたいだ。
人間の寿命よりも彼らの方が長いのではないかと言う疑問が生まれていた。
「ちょっと確認したいことがあるんだけど、ボクの質問に答えてもらってもいいかな?」
「なんでしょうか。軍事機密に関わることでなければ答えますよ。軍事機密に関わることだとしても隊長のことだったら内緒で教えちゃいますけど」
「あ、そういう事じゃないんで大丈夫です。話をしていて疑問に感じたんだけど、あなたたちってボクたちと見た目は凄く似ているよね。平均寿命とかも同じだったりするのかな?」
「平均寿命とかはあまり考えたことが無かったですけど、全国民の情報が載っているデータベースを調べてみますね。計算が難しいことになりそうなので単純に昨日までに一年間で亡くなった人の平均年齢で出してみると、大体八十歳くらいになってますね。正確なデータと言えるのかわかりませんが、俺たちは平均すると八十歳で死ぬみたいですよ」
「そうなんだ。日本の平均寿命も同じくらいだからそんなに変わらないんだね。女性は五十歳からとかいうから長命なのかと思ってたよ」
「でも、来年からのデータをとったら結構変わっちゃうと思いますね。ほら、今年はイザーさんが久しぶりに来てくれたんで平和になるはずですから」
「ん、それってどういう事なのかな?」
「イザーさんが俺らの脅威を取り払ってくれてるんですよ。今までは生まれた子供の九割近くが攫われてたんですけど、赤子を攫う悪霊の神々をイザーさんともう一人の男の人で次々に成敗してくれてるんです。悪霊の神々がいなくなってから一年間のデータにすると寿命ってのもだいぶ変わりそうですよ」
「そうなんだ。今まで大変だったんだね。ちなみに、あなたは何歳なんですか?」
「ちょっと待ってください。この星の人間の年齢に換算することが出来るようになったみたいです。それに照らし合わせると、俺は二十六歳です。ちなみに、隊長は十七歳ですからね」
自分よりもクリームパイの方が年上だと知った工藤珠希は何とも言えない不思議な感情を抱いていた。
見た目は完全に自分より幼いと思っていた相手が自分より年上であり、生きている年数だけで言えば遥かに長いだろうという事になるのだ。
この事を他の人にも言った方がいいのか言わない方がいいのか悩んでいたのだが、最終的には女性の年齢について触れることは避けようと思うことにした。
「そんな事よりも、お姉さんは隊長と付き合うつもりはないんですか?」
「まったくないよ。クリームパイちゃんは友達としてなら付き合おうとは思うけど、恋人とかは考えられないかな。だって、女の子同士でお付き合いをするのって違うと思うんだよね」
「そんなにメスを興奮させる匂いと体つきでそんな事を言うのはおかしいです。そんなにイヤらしい匂いをまき散らすのなんて悪霊の神々よりも危険じゃないですか。きっと隊長だって私と同じ気持ちでお姉さんに接してたんだと思います。初対面ではありますが、私はお姉さんの事が大好きです。結婚してください」
「ごめんなさい無理です」
物凄い勢いで走ってきた女性隊員が工藤珠希に対して急に告白をしてきたことに驚いてしまったのは工藤珠希だが、工藤珠希だけではなく他の隊員たちも同じく驚いていたのだった。
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