百合系サキュバスにモテてしまっていると言う話

釧路太郎

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第33話 真実とは残酷なものである

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 自分の胸を小さくされたと主張する栗宮院うまなと、栗宮院うまなの体をいじってしまったと謝罪に来たドクターポンピーノ。
 それを見守るみんなは栗宮院うまなの言っていることを信じていなかったこともあって黙ってしまっていた。ここで何かを言ったとしても藪蛇になりかねないと思っていたからである。

「ちょっと待ってくださいよ。綺麗な状態で生き返らせてくれたのは嬉しいんですけど、さすがに胸を小さくするって言うのはどうかなって思いますよ。ポンちゃんにとっては私の胸が小さい方がいいのかもしれないけど、さすがにこんな感じにされると違和感あるっていう話ですよ」

 謝っているドクターポンピーノを見て栗宮院うまなは調子に乗ってしまったのか、生き返った直後と同じ高いテンションに戻っていた。
 少しでもポジティブな要素があると栗宮院うまなが調子に乗ってしまうというのは彼女の良いところなのかもしれない。

「本当にごめんなさい。こんなにすぐに気付かれるとは思ってなかったの。私としては良かれと思ってやったことなんだけど、次にうまなちゃんを生き返らせる機会があったら元に戻しておくね」
「もう、頼みますよ。私としては元の姿に戻してもらえるんだったらそれでいいですから。ポンちゃんが大変な仕事しているってのは理解してますし、私もそんなに気にしてないですからね」

 栗宮院うまなの言っていたことが本当だったという事もショックではあったが、それ以上にショックだったのはドクターポンピーノが生前の姿ではなく生き返らせる前の姿に手を加えていたという事だった。

「ごめんなさい。今までは本当にこんなことをしたことはなかったんだけど、うまなちゃんを見ているとこうした方がいいんじゃないかって思ってつい魔が差してしまいました。こんなことを二度としないとここに誓います」
「もう、そんなに固くならなくてもいいんだよ。私は前みたいに大きな胸にしてくれればそれでいいんだからね」
「え?」
「え?」

 栗宮院うまなが言った言葉に対して思いがけない反応を返したドクターポンピーノとその反応を見て驚いた栗宮院うまながお互いに何を言っているのか照らし合わせていた。

「あの、ぽんちゃんは私の大きかった胸を小さくしたことを謝りに来たんだよね?」
「いや、そんな事はしてないよ。むしろ、前よりも少しだけ大きくしちゃったんだよね。ほら、成長期って事で少しくらいは大きくしてもバレないんじゃないかって思ってたんだけど、毎日見てる自分の体にそんな変化があれば誰だって気付いちゃうよなって思っていいに来たんだよ。チラッと様子を見て気付いていないようだったらそのまま帰っちゃおうかなとも思ってたんだけど、やっぱりうまなちゃんは気付いていたみたいだから逃げるのも良くないと思ってちゃんと謝ることにしたんだ。本当にごめんなさい」

「ちょっと待ってもらっていいかな。私にはポンちゃんが何に対して謝っているのかわからないんだけど。ポンちゃんは私の胸を小さい状態で生き返らせてしまった事に対して謝りに来たんだよね?」
「違うよ。逆だよ。あまりにも小さくてこのままだったらブラの必要が無いって思っちゃわないかと考えて、ちょっとだけ大きくして見ることにしたってわけ。あんまり変わらなかったって思ったんだけど、うまなちゃんが死ぬたびに少しずつでも大きくしていけばいいかなってね。良かれと思ってやったことではあったんだけど、そんな事をする必要なんてなかったって事だもね」
「いや、小さくってコトジャナイノ?」
「違うよ。私がしたのはうまなちゃんの胸を大きくしちゃったってことだよ。ほんの少しだけだったけど、ふくらみを持たせることにしちゃった」

 真実と言うのは残酷なものである。

 栗宮院うまなが胸が小さくなっていると騒いだ時にはそんなはずはないと誰もがその事を否定していた。
 元々小さかった胸だったという事もあるけれど、少しだけ大きくなったことに誰も気が付いていなかった。普段は何もせずに生前の状態に戻すだけのドクターポンピーノが栗宮院うまなに対しては誰も気付かないくらいにほんの少しだけ胸を大きくしてしまったのだから仕方ないのかもしれない。
 あの時に何気なくツッコんでいたみんなの言葉が栗宮院うまなを傷付けてしまったかもしれないと後悔していたのであった。

「うまなちゃんが望むんだったらちゃんと元の姿に戻してあげるからね。変なことをしてごめんなさいね」
「イヤ、私ハ別二コノママデモイイよ」
「でも、元の姿の方が自然な感じだと思うし、ちゃんとデータは残してあるから安心していいからね。良かれと思ってやったことだけど、許されないことだというのはちゃんと理解してるよ」
「ダイジョウブダイジョウブ。何モ心配イラナイ」

 言われてみると栗宮院うまなの胸が以前よりも膨らんでいるような気もしてきた。
 同じ身長の男子が栗宮院うまなの制服を着たとしても同じような膨らみが出来てしまうかもしれないくらいの感じなのだが、本当にこれでも栗宮院うまなの胸を大きくしてしまったという事で間違いないのだろうか。
 それは間違いであってほしいと栗宮院うまなもみんなも願っているのであった。
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