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第27話 休み明けの学校
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中華風たい焼きの中華とは中国が由来なのではなく、北海道の道東地方にあるお菓子が由来だというわかるはずがない理由であった。
色々と調べてみたところ、中華まんじゅうは今でこそ日常的に食べることが出来るようになっているようなのだが、お葬式の引き出物として供されることが多かったそうだ。和菓子なのに中華で、まんじゅうなのに三日月形である。まったく馴染みのない工藤珠希にとっては中華まんじゅうと言われて想像したとして、何度繰り返してみても政界にたどり着くことは出来ないだろう。
「駅の所のたい焼き屋さんで売ってる中華風たい焼きでしょ。食べたことあるけど、どこが中華風なんだろうってずっと疑問だったんだよね。親に聞いても先生に聞いても答えはわからなかったんだけど、そんな由来があったんだ。全然見当もつかなかったよ」
「ですよね。私も何で中華風って書いてるんだろうって思ってましたもん。たい焼きなのに鯉のぼりじゃんって思ってたし」
昨日知ったことを栗鳥院柘榴と鈴木愛華に教えた工藤珠希は二人も知らなかったことを知れて太郎がなんでも知り過ぎているだけだという事を改めて理解することが出来た。
「珠希ちゃんに出された課題は大丈夫だった?」
「大丈夫だったと思いますよ。海でデートしろって言われた時は何言ってるんだろうって思ったんですけど、海に行ってそれっぽいことをすればいいって気付いてからは気も楽になりました」
「そうなんだ。珠希ちゃんはうまなちゃんと何してきたの?」
「それがですね、港に泊まってる大きな船を見てきたんです。太郎のリクエストで動画とかも一杯撮ってきたんですけど、見てみます?」
「あんまり船には興味ないけど、どんな感じなのか見てみたいかも」
「私も見たいかも。珠希ちゃんがどんな感じでデートしているのか参考にしたいからね」
「参考にはならないと思うけどな。ボクはデートって気持ちで行ってなかったし。屋台で食べたたこ焼きとか焼きそばとかフランクフルトは美味しかったけどね」
「何それ、ちょっとおもしろいかも」
工藤珠希と栗宮院うまなが海でデートをしてきたと言う話は学校中に広まっていたのだが、どんなデートをしてきたのか誰もその詳細を知る者はいなかった。
その理由として、海のデートと聞いて大きな船を見に行くと思っていた人が誰もいなかったのでデート現場を目撃されることが無かったのと、工藤珠希と海でデートをしてきたと言う情報を流した栗宮院うまながその詳細を一切語らなかったからなのだ。年頃の女の子が海のデートで軍艦を見に行く。そんな事を自分の口で説明することを栗宮院うまなは出来なかったのである。
なぜか、海でのデートよりも工藤珠希の家の近くでたい焼きを食べたという話の方が知れ渡っていたという事実に栗宮院うまなの気持ちが察せられる状況なのだが、工藤珠希と栗鳥院柘榴達の会話を盗み聞きしていた他の生徒は軍艦を見に行ったのがデートなんて自分からは言い出しにくいよなと栗宮院うまなに同情してしまっていたのだった。
「うわ、私が想像していたのの百倍は大きいかも。いや千倍くらい大きい可能性まであるわ」
「ヤバいですね。この大きさはヤバいですよ。もしかしたら、レジスタンス側の校舎よりも大きい可能性もあるんじゃないですかね」
「たぶんだけど、この学校よりも延べ床面積は広いんじゃないかな。中に入ってないんで詳しいことはわからないけど、窓の数と収容人数から考えると少なくともこの学校よりは広いのかもしれないね」
「そんなにデカくてどうするんだろう。何か理由でもあるのかな?」
「太郎が教えてくれたんだけど、昔の戦争は大きな船で人をたくさん運んだり兵器を一杯積んでいたんだって。歴史を振り返るためにも重要で資料としての価値も高いらしいよ」
「今の時代だったら一か所に人を集めるのって無謀なことになりかねないもんね。イザーちゃんとか太郎ちゃんみたいな戦闘能力の高い人がいたら一瞬で壊されちゃいそうだもん」
「人を多く運ぶことが出来るって言うのは利点にもなるのかもしれないけど、相手によっては戦力を失うっていう弱点になるのかもしれないね。でも、イザーちゃんも太郎ちゃんも一か所に集まってるような人たちを攻撃したりしなさそうだよね」
「確かにそうかもしれないですね。太郎もイザーちゃんも魔王を集めたのに一対一で戦ってましたからね。二人くらい強いんだったらまとめて戦った方が効率良いと思ったんですけど、効率なんて求めて戦ってないっぽいですよ」
「その気持ちは私もわかるかも。二人に比べたら全然弱いって感じなんだけど、敵が何人いても一対一の繰り返しだって思えばそんなに苦じゃないからね」
「愛華もそっち側の人間なんだね。イザーちゃんが帰ってきたら戦い方とか教えて貰ったらいいんじゃない?」
「え、さすがにレジスタンスの人間がサキュバスに教えて貰うってのはまずくないですか。だからと言って、太郎ちゃんみたいに全く隙の無い戦い方は無理ですけど」
イザーと太郎の戦い方の違いがまったく分かっていない工藤珠希とは違って、栗鳥院柘榴も鈴木愛華も二人の戦い方に明確な違いがあるという事を理解しているようだ。
二人に言わせると、イザーの戦い方は余裕がある感じで相手に反撃の隙をあえて与えているそうなのだが、太郎の場合は一切の妥協をせずに相手に何もさせないものだそうだ。
イザーの攻撃のどこにそんな隙があるのだろうと思い返してみたのだが、工藤珠希には二人の言っている隙と言うのが何なのか理解出来ないままであった。
色々と調べてみたところ、中華まんじゅうは今でこそ日常的に食べることが出来るようになっているようなのだが、お葬式の引き出物として供されることが多かったそうだ。和菓子なのに中華で、まんじゅうなのに三日月形である。まったく馴染みのない工藤珠希にとっては中華まんじゅうと言われて想像したとして、何度繰り返してみても政界にたどり着くことは出来ないだろう。
「駅の所のたい焼き屋さんで売ってる中華風たい焼きでしょ。食べたことあるけど、どこが中華風なんだろうってずっと疑問だったんだよね。親に聞いても先生に聞いても答えはわからなかったんだけど、そんな由来があったんだ。全然見当もつかなかったよ」
「ですよね。私も何で中華風って書いてるんだろうって思ってましたもん。たい焼きなのに鯉のぼりじゃんって思ってたし」
昨日知ったことを栗鳥院柘榴と鈴木愛華に教えた工藤珠希は二人も知らなかったことを知れて太郎がなんでも知り過ぎているだけだという事を改めて理解することが出来た。
「珠希ちゃんに出された課題は大丈夫だった?」
「大丈夫だったと思いますよ。海でデートしろって言われた時は何言ってるんだろうって思ったんですけど、海に行ってそれっぽいことをすればいいって気付いてからは気も楽になりました」
「そうなんだ。珠希ちゃんはうまなちゃんと何してきたの?」
「それがですね、港に泊まってる大きな船を見てきたんです。太郎のリクエストで動画とかも一杯撮ってきたんですけど、見てみます?」
「あんまり船には興味ないけど、どんな感じなのか見てみたいかも」
「私も見たいかも。珠希ちゃんがどんな感じでデートしているのか参考にしたいからね」
「参考にはならないと思うけどな。ボクはデートって気持ちで行ってなかったし。屋台で食べたたこ焼きとか焼きそばとかフランクフルトは美味しかったけどね」
「何それ、ちょっとおもしろいかも」
工藤珠希と栗宮院うまなが海でデートをしてきたと言う話は学校中に広まっていたのだが、どんなデートをしてきたのか誰もその詳細を知る者はいなかった。
その理由として、海のデートと聞いて大きな船を見に行くと思っていた人が誰もいなかったのでデート現場を目撃されることが無かったのと、工藤珠希と海でデートをしてきたと言う情報を流した栗宮院うまながその詳細を一切語らなかったからなのだ。年頃の女の子が海のデートで軍艦を見に行く。そんな事を自分の口で説明することを栗宮院うまなは出来なかったのである。
なぜか、海でのデートよりも工藤珠希の家の近くでたい焼きを食べたという話の方が知れ渡っていたという事実に栗宮院うまなの気持ちが察せられる状況なのだが、工藤珠希と栗鳥院柘榴達の会話を盗み聞きしていた他の生徒は軍艦を見に行ったのがデートなんて自分からは言い出しにくいよなと栗宮院うまなに同情してしまっていたのだった。
「うわ、私が想像していたのの百倍は大きいかも。いや千倍くらい大きい可能性まであるわ」
「ヤバいですね。この大きさはヤバいですよ。もしかしたら、レジスタンス側の校舎よりも大きい可能性もあるんじゃないですかね」
「たぶんだけど、この学校よりも延べ床面積は広いんじゃないかな。中に入ってないんで詳しいことはわからないけど、窓の数と収容人数から考えると少なくともこの学校よりは広いのかもしれないね」
「そんなにデカくてどうするんだろう。何か理由でもあるのかな?」
「太郎が教えてくれたんだけど、昔の戦争は大きな船で人をたくさん運んだり兵器を一杯積んでいたんだって。歴史を振り返るためにも重要で資料としての価値も高いらしいよ」
「今の時代だったら一か所に人を集めるのって無謀なことになりかねないもんね。イザーちゃんとか太郎ちゃんみたいな戦闘能力の高い人がいたら一瞬で壊されちゃいそうだもん」
「人を多く運ぶことが出来るって言うのは利点にもなるのかもしれないけど、相手によっては戦力を失うっていう弱点になるのかもしれないね。でも、イザーちゃんも太郎ちゃんも一か所に集まってるような人たちを攻撃したりしなさそうだよね」
「確かにそうかもしれないですね。太郎もイザーちゃんも魔王を集めたのに一対一で戦ってましたからね。二人くらい強いんだったらまとめて戦った方が効率良いと思ったんですけど、効率なんて求めて戦ってないっぽいですよ」
「その気持ちは私もわかるかも。二人に比べたら全然弱いって感じなんだけど、敵が何人いても一対一の繰り返しだって思えばそんなに苦じゃないからね」
「愛華もそっち側の人間なんだね。イザーちゃんが帰ってきたら戦い方とか教えて貰ったらいいんじゃない?」
「え、さすがにレジスタンスの人間がサキュバスに教えて貰うってのはまずくないですか。だからと言って、太郎ちゃんみたいに全く隙の無い戦い方は無理ですけど」
イザーと太郎の戦い方の違いがまったく分かっていない工藤珠希とは違って、栗鳥院柘榴も鈴木愛華も二人の戦い方に明確な違いがあるという事を理解しているようだ。
二人に言わせると、イザーの戦い方は余裕がある感じで相手に反撃の隙をあえて与えているそうなのだが、太郎の場合は一切の妥協をせずに相手に何もさせないものだそうだ。
イザーの攻撃のどこにそんな隙があるのだろうと思い返してみたのだが、工藤珠希には二人の言っている隙と言うのが何なのか理解出来ないままであった。
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