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第13話 デート当日
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デート当日。
空は青く澄んでいて雲もそれなりにあるので暑すぎるという事もなく、絶好のデート日和と言えよう。
イザーが異世界に旅立ってから毎晩のように工藤太郎と通話をすることが出来るようになったので機嫌が良かった工藤珠希は待ち合わせの時もニコニコと笑顔を浮かべていた。それを見た栗宮院うまなは自分とデートが出来ることをそこまで楽しみにしていたのかと勘違いしていたのだが、それを訂正するような人もいなかったのである意味ではお互いに幸せな時間を過ごすことは出来たのだろう。
「お待たせ、今日は海でデートって事なんだけど、珠希ちゃんはどの辺に行きたいとかってあるのかな?」
「うん、ちょっと行ってみたいところがあるんだけど、そこでもいいかな?」
「オッケーだよ。珠希ちゃんが行きたいところに行っちゃおうよ。その方が私も嬉しいし」
「良かった。でも、ここから少し遠いんでバスに乗るけど大丈夫?」
「大丈夫だよ。今日は限度額までチャージしてきたから。珠希ちゃんの分もあるからコレを使ってね」
「さすがにそれは悪いよ。ボクは自分の分くらい出せるし」
「ダメだよ。これは私からじゃなくて学校からなんだからね。課題を本当にこなせたのかの記録としてもこれを使わないとダメなんだよ。だから、遠慮せずに使ってちょうだい」
「そういう事なら受け取るけどさ、ボクが使ったかどうかなんて判断出来ないんじゃないの?」
「その辺は一緒に写ってる写真とか見せれば問題ないって事みたいだよ」
停留所で少し待っていると定刻通りに路線バスがやってきた。
二人以外に待っている乗客はおらず車内もほとんど乗客はいなかった。栗宮院うまなは二人掛けの席に一目散に向かっていったのだが、工藤珠希は何のためらいもなく一番前の一人掛けの席に座ってしまった。それを見ていた栗宮院うまなは慌てて工藤珠希の後ろの席に座ったのだ。
デートなのにもかかわらず、一人掛けの席に座るのはどうかと思いながらこのバスの行き先を調べてみたところ、この街の中でも一番大きな港に向かっているとしか思えない。港でも海水浴が出来るのかと思って調べてみると、海を見ながら入れる温水プールがあるようなのでそこなら持ってきた水着も役に立つと考えていた。
ただ、工藤珠希は小さなポーチしか持っていないというのは少し気になる栗宮院うまなではあった。
港に一番近い停留所で降りた二人は少し強くなった日差しを浴びながら港へと歩みを進めていた。
少しずつ港が近付いているのだが、港に近付くと祭りにも似た喧騒が聞こえてきた。それに驚いた栗宮院うまなは工藤珠希に話しかけようとしたのだが、工藤珠希は嬉しそうにスマホを見ているだけだった。
何か言おうと思った栗宮院うまなではあったが、楽しそうにしている工藤珠希の顔を見ると何も言い出せずに見守ることしか出来なかったのだ。
「なんだかすごくおっきい船があるみたいだけど、アレって何なんだろうね?」
「名前はわからないんだけど、昔の駆逐艦を復刻したやつらしいよ。駆逐艦ってのが何なのかはよくわからないけど、戦争で頑張ってたのを今の技術で作り直したって感じっぽいのかも。あんなに大きいのに早くてミサイルも一杯積んでて凄いことになってるって聞いたんだけど、何がどう凄いのかはよくわからないね。ボクももう少し調べておいた方が良かったなって思ったけど、詳しくわからない状態でも凄い船なんだなってのは見てたらわかるよね」
栗宮院うまなは何も理解出来ていないかったが、それも仕方のない話なのである。
サキュバスである栗宮院うまなは人間の歴史にそれほど興味はなく、この世界にサキュバスなどの生命体がやって来る前は人間同士で殺し合いをしていた頃の兵器などにはいまいち興味を持てなかったのだ。人間同士で戦争をしていた時の兵器の一部は栗宮院うまな達も使う事があるのだが、この駆逐艦のように何百人も必要になりそうな巨大な兵器は運用コストの面から見てもサキュバスにとって必要性が感じられないのだ。
しかし、これだけ大きな船を戦いのためだけに使うという思想には共感することが出来ていた。
戦いに自分の力以外を活用することが好きなイザーがこの駆逐艦を見れば興奮するだろうなとは思うのだけど、イザーであればもっと巨大なモノを作ろうとして計画が頓挫してしまいそうだなとも思っていた。
「せっかくだしこの船の前で写真を撮ってもらおうよ。うまなちゃんもこの船が気に入ったみたいだし」
「そうだね。デート記念に一枚撮ってもらおうか。あの行列に並べばいい場所でツーショットの写真を撮ってもらえるみたいだね。珠希ちゃんが疲れてなかったら並ぼうか?」
「結構並んでるみたいだけど、サクサク撮ってるっぽいからそんなに時間がかからないかもね。せっかくだし並ぼうか」
遠くで見ていただけでも大きいと思っていた船であったが、すぐ近くまで行ってみるとその大きさをより感じてしまう。見上げてもただの壁があるようにしか思えない大きさであり、船のすぐ隣にいると船尾が見えなくなってしまっていたのだ。
それと、列に並んでいるのは親子連ればかりでカップルで並んでいるのは自分たちを含めても数組しかいない。そんな状況ではあったが、栗宮院うまなは工藤珠希と一緒に写真を撮ることが出来るというのが嬉しくてたまらなかった。
サキュバスは工藤珠希の事を勝手に写真にとることが禁じらているという事もあり、この機会にツーショットをとることが出来るというのは他のサキュバスに対して優越感が持てるというものだ。
工藤珠希の事を無許可で撮影したものは死刑の上データ全削除と言う思い罰がくだされることになるのだが、今回は隠し撮りでも無許可でもなく工藤珠希が同意してくれたという大変貴重な状況なのだ。
デートの始まりにこのような貴重な経験が出来て写真まで取ることが出来る。栗宮院うまなはこの日のために生まれてきたのではないかと思ってしまう程であった。
空は青く澄んでいて雲もそれなりにあるので暑すぎるという事もなく、絶好のデート日和と言えよう。
イザーが異世界に旅立ってから毎晩のように工藤太郎と通話をすることが出来るようになったので機嫌が良かった工藤珠希は待ち合わせの時もニコニコと笑顔を浮かべていた。それを見た栗宮院うまなは自分とデートが出来ることをそこまで楽しみにしていたのかと勘違いしていたのだが、それを訂正するような人もいなかったのである意味ではお互いに幸せな時間を過ごすことは出来たのだろう。
「お待たせ、今日は海でデートって事なんだけど、珠希ちゃんはどの辺に行きたいとかってあるのかな?」
「うん、ちょっと行ってみたいところがあるんだけど、そこでもいいかな?」
「オッケーだよ。珠希ちゃんが行きたいところに行っちゃおうよ。その方が私も嬉しいし」
「良かった。でも、ここから少し遠いんでバスに乗るけど大丈夫?」
「大丈夫だよ。今日は限度額までチャージしてきたから。珠希ちゃんの分もあるからコレを使ってね」
「さすがにそれは悪いよ。ボクは自分の分くらい出せるし」
「ダメだよ。これは私からじゃなくて学校からなんだからね。課題を本当にこなせたのかの記録としてもこれを使わないとダメなんだよ。だから、遠慮せずに使ってちょうだい」
「そういう事なら受け取るけどさ、ボクが使ったかどうかなんて判断出来ないんじゃないの?」
「その辺は一緒に写ってる写真とか見せれば問題ないって事みたいだよ」
停留所で少し待っていると定刻通りに路線バスがやってきた。
二人以外に待っている乗客はおらず車内もほとんど乗客はいなかった。栗宮院うまなは二人掛けの席に一目散に向かっていったのだが、工藤珠希は何のためらいもなく一番前の一人掛けの席に座ってしまった。それを見ていた栗宮院うまなは慌てて工藤珠希の後ろの席に座ったのだ。
デートなのにもかかわらず、一人掛けの席に座るのはどうかと思いながらこのバスの行き先を調べてみたところ、この街の中でも一番大きな港に向かっているとしか思えない。港でも海水浴が出来るのかと思って調べてみると、海を見ながら入れる温水プールがあるようなのでそこなら持ってきた水着も役に立つと考えていた。
ただ、工藤珠希は小さなポーチしか持っていないというのは少し気になる栗宮院うまなではあった。
港に一番近い停留所で降りた二人は少し強くなった日差しを浴びながら港へと歩みを進めていた。
少しずつ港が近付いているのだが、港に近付くと祭りにも似た喧騒が聞こえてきた。それに驚いた栗宮院うまなは工藤珠希に話しかけようとしたのだが、工藤珠希は嬉しそうにスマホを見ているだけだった。
何か言おうと思った栗宮院うまなではあったが、楽しそうにしている工藤珠希の顔を見ると何も言い出せずに見守ることしか出来なかったのだ。
「なんだかすごくおっきい船があるみたいだけど、アレって何なんだろうね?」
「名前はわからないんだけど、昔の駆逐艦を復刻したやつらしいよ。駆逐艦ってのが何なのかはよくわからないけど、戦争で頑張ってたのを今の技術で作り直したって感じっぽいのかも。あんなに大きいのに早くてミサイルも一杯積んでて凄いことになってるって聞いたんだけど、何がどう凄いのかはよくわからないね。ボクももう少し調べておいた方が良かったなって思ったけど、詳しくわからない状態でも凄い船なんだなってのは見てたらわかるよね」
栗宮院うまなは何も理解出来ていないかったが、それも仕方のない話なのである。
サキュバスである栗宮院うまなは人間の歴史にそれほど興味はなく、この世界にサキュバスなどの生命体がやって来る前は人間同士で殺し合いをしていた頃の兵器などにはいまいち興味を持てなかったのだ。人間同士で戦争をしていた時の兵器の一部は栗宮院うまな達も使う事があるのだが、この駆逐艦のように何百人も必要になりそうな巨大な兵器は運用コストの面から見てもサキュバスにとって必要性が感じられないのだ。
しかし、これだけ大きな船を戦いのためだけに使うという思想には共感することが出来ていた。
戦いに自分の力以外を活用することが好きなイザーがこの駆逐艦を見れば興奮するだろうなとは思うのだけど、イザーであればもっと巨大なモノを作ろうとして計画が頓挫してしまいそうだなとも思っていた。
「せっかくだしこの船の前で写真を撮ってもらおうよ。うまなちゃんもこの船が気に入ったみたいだし」
「そうだね。デート記念に一枚撮ってもらおうか。あの行列に並べばいい場所でツーショットの写真を撮ってもらえるみたいだね。珠希ちゃんが疲れてなかったら並ぼうか?」
「結構並んでるみたいだけど、サクサク撮ってるっぽいからそんなに時間がかからないかもね。せっかくだし並ぼうか」
遠くで見ていただけでも大きいと思っていた船であったが、すぐ近くまで行ってみるとその大きさをより感じてしまう。見上げてもただの壁があるようにしか思えない大きさであり、船のすぐ隣にいると船尾が見えなくなってしまっていたのだ。
それと、列に並んでいるのは親子連ればかりでカップルで並んでいるのは自分たちを含めても数組しかいない。そんな状況ではあったが、栗宮院うまなは工藤珠希と一緒に写真を撮ることが出来るというのが嬉しくてたまらなかった。
サキュバスは工藤珠希の事を勝手に写真にとることが禁じらているという事もあり、この機会にツーショットをとることが出来るというのは他のサキュバスに対して優越感が持てるというものだ。
工藤珠希の事を無許可で撮影したものは死刑の上データ全削除と言う思い罰がくだされることになるのだが、今回は隠し撮りでも無許可でもなく工藤珠希が同意してくれたという大変貴重な状況なのだ。
デートの始まりにこのような貴重な経験が出来て写真まで取ることが出来る。栗宮院うまなはこの日のために生まれてきたのではないかと思ってしまう程であった。
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