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第6話 エクソシスト
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イザーは何の迷いもなく教会へとたどり着き、開け放たれている礼拝堂へと入っていった。
無人かと思われた礼拝堂も誰かが来たと感じたのか奥からシスターが出てきた。
シスターは礼拝堂にやってきたのがイザーだと気付いた瞬間は驚いていたようにも見えたのだが、よろよろと力なく歩いているイザーの事が心配になったのかすぐ近くに駆け寄ると体を支えてからベンチに座らせていた。
「体調がよろしくないようですが出歩いて大丈夫なのですか?」
「どちらかと言うと精神的に追い込まれているような状況でして、体調自体もあまり良くないんですけど、それについて相談に来たんです」
「相談ですか。相談でしたら伺いますけど、精神的に追い込まれているとはいったい何があったんですか?」
「話すと長くなると思うんですが、聞いてもらってもいいですか?」
栗宮院うまながすぐ近くにいるという事に気付いていないのかイザーは今自分の身に起こっていることを説明し始めていた。どんな相手にも負けない強さを持っているイザーをここまで追い込むことが出来る手段がいったい何なのか気になってはいるのだけれど、すぐ隣にレジスタンス寮の寮長がいるのでイザーの弱点をさらしても良いのかと迷ってしまっていた。
レジスタンス寮の寮長はそんな栗宮院うまなの気持ちを読み取ってか心配しなくても大丈夫と言うように小さく何度も頷いていた。言葉は交わしていない二人であったが、お互いの気持ちは通じ合っているように思えていた。
「私がここに来たのは理由があるんです。サキュバス側には教会が無いのでってのもあるんですけど、ここは外の教会と違ってエクソシストが常駐しているって聞いたんですよ。その人にお願いをしたいんですけど、今はどこに居るんですか?」
「なるほど、そういう理由だったんですね。そこまで深刻になるほど悩まれているとは予想しませんでした。ですが、史上最強天下無敵百戦錬磨一騎当千勇猛果敢不撓不屈万夫不当なあなたがこんな風になってしまうとは、呪いと言うのは恐ろしいモノですね」
シスターが呪いと言った瞬間にイザーが周りを警戒しているように視線を動かしていた。それにつられるように栗宮院うまな達も周りを見回してみたのだが、当然そこには何もいなかった。それなのに、イザーは何かに怯えるように頭を両手で覆い隠していた。
「なるほどなるほど、今までどんな方法を用いてもあなたを追い詰めることは出来なかったと聞いているのですが、無敵のあなたにも弱点はあったのですね。ここまで効果的だと逆に演技なのではないかと疑ってしまう程ですよ」
「演技とか弱点とかどうでもいいのでこれをどうにか出来る人を呼んでください。お願いします」
「ご安心ください。私があなたの探しているエクソシストです。女性のエクソシストがいても問題無いですよね?」
イザーが反応するよりも先に栗宮院うまなが声を出して驚いてしまっていた。イザーにその声は聞こえなかったみたいだが、シスターは急に聞こえた声に驚いて栗宮院うまなの方を見てしまったせいでバッチリと目が合ってしまった。お互いにどこか空気を読んで会釈をしていたのだが、イザーはそれでも気付くことはなかった。
シスターは祈りの言葉を述べながら手に持っていた聖書をイザーの頭に押しあてていた。見間違えなのかもしれないが、イザーの頭と聖書の間から沸騰したやかんのように白い水蒸気がモクモクと立ち昇っていた。
いつまでも止まらない水蒸気がイザーとシスターの周りに集まると濃い霧のようになって二人の姿を消してしまった。どれだけ目を凝らしても二人の姿はぼんやりとも見えていなかったのだ。
二人の周りにだけ濃い霧が発生している状況になっているのにもかかわらず、霧の中からはイザーの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「すごい、すごいです。これはすごいですよ。さっきまで聞こえていた嫌な言葉が全然聞こえなくなりました。何が起こっているのか全然見えないですけど、耳元で聞こえる不快な声も聞こえないし調子も良くなってきました」
「それは良かったです。でも、これはあなたに呪いの力が及ばないように距離をとってるだけに過ぎないんですよ。あなたほどの力があればしばらくの間は平気だと思いますけど、さすがに私もこの状態をキープするのは辛いんですよね。なので、いったんあなたの周りにある結界を解かせていただきますが、これからあなたを助けるために必要なコトなので気を悪くしないでくださいね。それと、私はあくまでエクソシストなので呪いが上手く解けなくても気にしないでくれると嬉しいです」
悪魔を祓うエクソシストがサキュバスにかけられた呪いを解く。
言葉だけを聞くと全く意味が分からない状況ではあるが、二人とも真剣だという事だけは伝わってきた。何が起こっているのかわからないけれど、イザーにかけられた呪いをシスターが解こうとしている事だけは間違いないのである。
サキュバスが悪魔認定されていなくて良かったと一安心した栗宮院うまなであった。
無人かと思われた礼拝堂も誰かが来たと感じたのか奥からシスターが出てきた。
シスターは礼拝堂にやってきたのがイザーだと気付いた瞬間は驚いていたようにも見えたのだが、よろよろと力なく歩いているイザーの事が心配になったのかすぐ近くに駆け寄ると体を支えてからベンチに座らせていた。
「体調がよろしくないようですが出歩いて大丈夫なのですか?」
「どちらかと言うと精神的に追い込まれているような状況でして、体調自体もあまり良くないんですけど、それについて相談に来たんです」
「相談ですか。相談でしたら伺いますけど、精神的に追い込まれているとはいったい何があったんですか?」
「話すと長くなると思うんですが、聞いてもらってもいいですか?」
栗宮院うまながすぐ近くにいるという事に気付いていないのかイザーは今自分の身に起こっていることを説明し始めていた。どんな相手にも負けない強さを持っているイザーをここまで追い込むことが出来る手段がいったい何なのか気になってはいるのだけれど、すぐ隣にレジスタンス寮の寮長がいるのでイザーの弱点をさらしても良いのかと迷ってしまっていた。
レジスタンス寮の寮長はそんな栗宮院うまなの気持ちを読み取ってか心配しなくても大丈夫と言うように小さく何度も頷いていた。言葉は交わしていない二人であったが、お互いの気持ちは通じ合っているように思えていた。
「私がここに来たのは理由があるんです。サキュバス側には教会が無いのでってのもあるんですけど、ここは外の教会と違ってエクソシストが常駐しているって聞いたんですよ。その人にお願いをしたいんですけど、今はどこに居るんですか?」
「なるほど、そういう理由だったんですね。そこまで深刻になるほど悩まれているとは予想しませんでした。ですが、史上最強天下無敵百戦錬磨一騎当千勇猛果敢不撓不屈万夫不当なあなたがこんな風になってしまうとは、呪いと言うのは恐ろしいモノですね」
シスターが呪いと言った瞬間にイザーが周りを警戒しているように視線を動かしていた。それにつられるように栗宮院うまな達も周りを見回してみたのだが、当然そこには何もいなかった。それなのに、イザーは何かに怯えるように頭を両手で覆い隠していた。
「なるほどなるほど、今までどんな方法を用いてもあなたを追い詰めることは出来なかったと聞いているのですが、無敵のあなたにも弱点はあったのですね。ここまで効果的だと逆に演技なのではないかと疑ってしまう程ですよ」
「演技とか弱点とかどうでもいいのでこれをどうにか出来る人を呼んでください。お願いします」
「ご安心ください。私があなたの探しているエクソシストです。女性のエクソシストがいても問題無いですよね?」
イザーが反応するよりも先に栗宮院うまなが声を出して驚いてしまっていた。イザーにその声は聞こえなかったみたいだが、シスターは急に聞こえた声に驚いて栗宮院うまなの方を見てしまったせいでバッチリと目が合ってしまった。お互いにどこか空気を読んで会釈をしていたのだが、イザーはそれでも気付くことはなかった。
シスターは祈りの言葉を述べながら手に持っていた聖書をイザーの頭に押しあてていた。見間違えなのかもしれないが、イザーの頭と聖書の間から沸騰したやかんのように白い水蒸気がモクモクと立ち昇っていた。
いつまでも止まらない水蒸気がイザーとシスターの周りに集まると濃い霧のようになって二人の姿を消してしまった。どれだけ目を凝らしても二人の姿はぼんやりとも見えていなかったのだ。
二人の周りにだけ濃い霧が発生している状況になっているのにもかかわらず、霧の中からはイザーの嬉しそうな声が聞こえてきた。
「すごい、すごいです。これはすごいですよ。さっきまで聞こえていた嫌な言葉が全然聞こえなくなりました。何が起こっているのか全然見えないですけど、耳元で聞こえる不快な声も聞こえないし調子も良くなってきました」
「それは良かったです。でも、これはあなたに呪いの力が及ばないように距離をとってるだけに過ぎないんですよ。あなたほどの力があればしばらくの間は平気だと思いますけど、さすがに私もこの状態をキープするのは辛いんですよね。なので、いったんあなたの周りにある結界を解かせていただきますが、これからあなたを助けるために必要なコトなので気を悪くしないでくださいね。それと、私はあくまでエクソシストなので呪いが上手く解けなくても気にしないでくれると嬉しいです」
悪魔を祓うエクソシストがサキュバスにかけられた呪いを解く。
言葉だけを聞くと全く意味が分からない状況ではあるが、二人とも真剣だという事だけは伝わってきた。何が起こっているのかわからないけれど、イザーにかけられた呪いをシスターが解こうとしている事だけは間違いないのである。
サキュバスが悪魔認定されていなくて良かったと一安心した栗宮院うまなであった。
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