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第3話 サキュバス会議
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零楼館高校には学生寮が三種類存在している。
そのうちの一つであるサキュバス専用寮の一室で重要な会議が行われていた。
サキュバスの女王にしてこの学園の支配者である栗宮院うまなを中心に史上最強の戦闘兵器と呼ばれているイザーとその自由に席を変えちゃうから他各クラスを代表するサキュバスと教員と学校職員が円卓を囲んでいたのだ。
「それは確かな情報なのかな?」
「はい、先生方にも裏をとったので間違いないです」
「そうか、それなら一安心だな」
栗宮院うまなが手元の資料に目を落とすと、そこには工藤珠希が海でのデートを選択したと記されていた。
温泉だと工藤珠希の裸体を拝めると思っていた面々ではあるが、海水浴で健康的に肌を見られるというのも悪くないと思いなおしていた。いや、水着を着ているからこその良さと言うものもあるのかもしれない。皆そう感じていた。
「温泉を選んでくれればなお良かったんですけど、さすがにそこまで求めるのはちょっとって思いました。でも、瑠璃先生の考えてくれたプランで見事にびたっと決まりましたね」
「本当だったら前回の課題で決めてほしかったところなんですけど、さすがにそこまで贅沢は言えないですよね。我々全員の宝である珠希さんの意志を最大限尊重して高校三年間を楽しい思い出だらけにしてもらいたいところですからね」
「無事に卒業して大学生になってくれればあとはどうとでもなりますからな。工藤珠希さんが成人になった暁には今結ばれている協定も新しいものに変化しますからね。今までのように見ているだけではなく、こちらから積極的に工藤珠希さんにアプローチしても良いって事になりますし、それに伴って今まで出来なかった事を全力で楽しむことも出来ますからね」
担任である片岡瑠璃もこの会議に参加しているのだ。
誰よりも自由に気ままに生きているはずのサキュバスが協定を結んでそれを皆守っている。
サキュバスの生態を知っている人が見たら驚くような出来事なのだが、このように共闘することなどありえないのだ。一部、巨大な敵と戦う時には手を組むこともあるのだけれど、基本的にサキュバスという生き物は群れで活動する事は無く個で活動するものなのだ。
それなのに、零楼館高校のサキュバス達は統率の取れた軍隊のように規則を破るものはいなかったのだ。
「それでは、ここからが本題になる。珠希ちゃんが海でのデートを決意したという事について、デート相手となるべき代表者を決める事にしよう。いつも通りにまずは話し合いでこの場にいる者の過半数が認めたものがいればそれが代表者となる。ただし、誰一人として過半数に達しなかった場合は上位二名による決定戦を行う事となる。ちなみに、この決定戦は暴力は完全に禁止となっているので、そこのイザーちゃんは気を付けるように」
「気を付けるようにって言うけどさ、うまなちゃんだって結構グレーなことやって自分に票入れてるんじゃないのかな。生徒相手にそれをやると変な正義感を持ったやつが出てくるかもしれないからって、先生たちにその役目を押し付けるのってどうかと思うよ。それが悪いことだとは言わないけど、うまなちゃんはそんな小細工をしなくても二位にはなれると思うのにな」
「二位になれるって言い方だとさ、私は二位までしか可能性が無いって聞こえるんだけど、それって自分の方が何においても上だってアピールなのかな?」
栗宮院うまなとイザーの間に不穏な空気が漂い始めたのだ。
二人が揉めることは今までも何度かあったことではあるのだけれど、今回は今までにないくらい二人の気持ちが前面に出ていた。
「珠希ちゃんとデートするのは私だって。イザーちゃんは珠希ちゃんと公園デートもしてるんだし、今回は私に譲ってくれてもいいんじゃないかな」
「そうは言うけどさ、うまなちゃんは珠希ちゃんのすぐ後ろの席に座ってるんだからあんまり文句は言わない方がいいんじゃないかな。私達サキュバスの中で珠希ちゃんの近くに座ってるのってうまなちゃんだけだし、言ってみればうまなちゃんは授業があるたびに珠希ちゃんとデートしてるみたいなもんじゃん」
「確かに私は珠希ちゃんのすぐ後ろの席をとってるけどさ、授業ってほとんど自習だから後ろの席に座ってる恩恵とか全くないんですけど。朝と帰りのホームルーム以外は自由に席を変えちゃうからイザーちゃんたちが思ってるほど私は珠希ちゃんの後ろに座ってないんだよ」
「そういう事言っちゃうんだ。でもさ、私たちはみんな知ってるんだよ。うまなちゃんが珠希ちゃんからモノを受け取る時にさりげなく指を触ってるよね?」
イザーの口方飛び出てきたのはこの場にいる誰もが予想出来ないモノであった。
栗宮院うまなが工藤珠希の指をさり気なく触っている。それが事実であれば、工藤珠希とのデート権をかけた戦いから一歩引いてしまうことになってしまいそうだ。
「無言って事は、自分の罪を認めるって事でいいのかな?」
「別に認めてないんだけど。時々触れてしまうことはあるかもしれないけど、それが理由でデート権を認めないってのは違うんじゃないかなって思うけど。みんなもそう思うよね?」
栗宮院うまなの問いかけには誰も賛同せず目も合わすことが無かった。
小さく舌打ちした後で栗宮院うまなは笑顔で一人一人の顔をじっと見つめていたのだ。
「うまなちゃんがいないとデート権をかけた戦いがつまらないものになっちゃうかも」
「そうかもしれないね。私もうまなちゃんと競い合いたいって思ってる」
「私も今の実力を試してみたい。珠希ちゃんとのデートはとても魅力的だと思うけど、それに見合う女にならないといけないんじゃないかなって思う。誰かを仲間外れにするようなのは良くないと思うし」
そのうちの一つであるサキュバス専用寮の一室で重要な会議が行われていた。
サキュバスの女王にしてこの学園の支配者である栗宮院うまなを中心に史上最強の戦闘兵器と呼ばれているイザーとその自由に席を変えちゃうから他各クラスを代表するサキュバスと教員と学校職員が円卓を囲んでいたのだ。
「それは確かな情報なのかな?」
「はい、先生方にも裏をとったので間違いないです」
「そうか、それなら一安心だな」
栗宮院うまなが手元の資料に目を落とすと、そこには工藤珠希が海でのデートを選択したと記されていた。
温泉だと工藤珠希の裸体を拝めると思っていた面々ではあるが、海水浴で健康的に肌を見られるというのも悪くないと思いなおしていた。いや、水着を着ているからこその良さと言うものもあるのかもしれない。皆そう感じていた。
「温泉を選んでくれればなお良かったんですけど、さすがにそこまで求めるのはちょっとって思いました。でも、瑠璃先生の考えてくれたプランで見事にびたっと決まりましたね」
「本当だったら前回の課題で決めてほしかったところなんですけど、さすがにそこまで贅沢は言えないですよね。我々全員の宝である珠希さんの意志を最大限尊重して高校三年間を楽しい思い出だらけにしてもらいたいところですからね」
「無事に卒業して大学生になってくれればあとはどうとでもなりますからな。工藤珠希さんが成人になった暁には今結ばれている協定も新しいものに変化しますからね。今までのように見ているだけではなく、こちらから積極的に工藤珠希さんにアプローチしても良いって事になりますし、それに伴って今まで出来なかった事を全力で楽しむことも出来ますからね」
担任である片岡瑠璃もこの会議に参加しているのだ。
誰よりも自由に気ままに生きているはずのサキュバスが協定を結んでそれを皆守っている。
サキュバスの生態を知っている人が見たら驚くような出来事なのだが、このように共闘することなどありえないのだ。一部、巨大な敵と戦う時には手を組むこともあるのだけれど、基本的にサキュバスという生き物は群れで活動する事は無く個で活動するものなのだ。
それなのに、零楼館高校のサキュバス達は統率の取れた軍隊のように規則を破るものはいなかったのだ。
「それでは、ここからが本題になる。珠希ちゃんが海でのデートを決意したという事について、デート相手となるべき代表者を決める事にしよう。いつも通りにまずは話し合いでこの場にいる者の過半数が認めたものがいればそれが代表者となる。ただし、誰一人として過半数に達しなかった場合は上位二名による決定戦を行う事となる。ちなみに、この決定戦は暴力は完全に禁止となっているので、そこのイザーちゃんは気を付けるように」
「気を付けるようにって言うけどさ、うまなちゃんだって結構グレーなことやって自分に票入れてるんじゃないのかな。生徒相手にそれをやると変な正義感を持ったやつが出てくるかもしれないからって、先生たちにその役目を押し付けるのってどうかと思うよ。それが悪いことだとは言わないけど、うまなちゃんはそんな小細工をしなくても二位にはなれると思うのにな」
「二位になれるって言い方だとさ、私は二位までしか可能性が無いって聞こえるんだけど、それって自分の方が何においても上だってアピールなのかな?」
栗宮院うまなとイザーの間に不穏な空気が漂い始めたのだ。
二人が揉めることは今までも何度かあったことではあるのだけれど、今回は今までにないくらい二人の気持ちが前面に出ていた。
「珠希ちゃんとデートするのは私だって。イザーちゃんは珠希ちゃんと公園デートもしてるんだし、今回は私に譲ってくれてもいいんじゃないかな」
「そうは言うけどさ、うまなちゃんは珠希ちゃんのすぐ後ろの席に座ってるんだからあんまり文句は言わない方がいいんじゃないかな。私達サキュバスの中で珠希ちゃんの近くに座ってるのってうまなちゃんだけだし、言ってみればうまなちゃんは授業があるたびに珠希ちゃんとデートしてるみたいなもんじゃん」
「確かに私は珠希ちゃんのすぐ後ろの席をとってるけどさ、授業ってほとんど自習だから後ろの席に座ってる恩恵とか全くないんですけど。朝と帰りのホームルーム以外は自由に席を変えちゃうからイザーちゃんたちが思ってるほど私は珠希ちゃんの後ろに座ってないんだよ」
「そういう事言っちゃうんだ。でもさ、私たちはみんな知ってるんだよ。うまなちゃんが珠希ちゃんからモノを受け取る時にさりげなく指を触ってるよね?」
イザーの口方飛び出てきたのはこの場にいる誰もが予想出来ないモノであった。
栗宮院うまなが工藤珠希の指をさり気なく触っている。それが事実であれば、工藤珠希とのデート権をかけた戦いから一歩引いてしまうことになってしまいそうだ。
「無言って事は、自分の罪を認めるって事でいいのかな?」
「別に認めてないんだけど。時々触れてしまうことはあるかもしれないけど、それが理由でデート権を認めないってのは違うんじゃないかなって思うけど。みんなもそう思うよね?」
栗宮院うまなの問いかけには誰も賛同せず目も合わすことが無かった。
小さく舌打ちした後で栗宮院うまなは笑顔で一人一人の顔をじっと見つめていたのだ。
「うまなちゃんがいないとデート権をかけた戦いがつまらないものになっちゃうかも」
「そうかもしれないね。私もうまなちゃんと競い合いたいって思ってる」
「私も今の実力を試してみたい。珠希ちゃんとのデートはとても魅力的だと思うけど、それに見合う女にならないといけないんじゃないかなって思う。誰かを仲間外れにするようなのは良くないと思うし」
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