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第三十七話 変則的な二人暮らしが始まる
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私達の通っている大学は中学校と高校も経営しているのだが、今年の春からいとこの千雪ちゃんも通っていたのだ。しかし、千雪ちゃんの住んでいるところは同じ市内とは言え学校との位置関係的に市の端と端にあたるため通学に二時間くらいかかってしまい不便だという事だそうだ。
私の親と千雪ちゃんの親が協議した結果、大学のすぐ近くに住んでいる私の家から通えばいいのではないかという結論に至ったという事だ。確かに、私の家からなら中学校まで歩いても十五分くらいのところにあるので通いやすくはなると思うのだけれど、決める前に私にも相談くらいしてもらえれば良かったと思う。ただ、家賃や生活費を負担してもらっているという事もあって私は両親に逆らう事なんて出来なかったのだ。
「これからよろしくね。千雪は家事とか全然出来ないんで唯ちゃんに色々と教えてもらえると助かるわ。中学生に一人暮らしをさせるなんてどうかって思ってたんだけどね、さすがに毎日片道二時間もかかるんじゃ大変だからね。姉さんに相談してみたところ、唯ちゃんが普段使っている部屋の両隣も契約してるから大丈夫だよって言ってくれたのよね。たぶんだけど、姉さんは千雪の通学が大変でいつかこうなるんじゃないかって予想してたと思うのよね。ほら、千雪もちゃんとお姉ちゃんに挨拶しないとダメよ。これからたくさんお世話になるんだからね」
「これからよろしくお願いします。千雪が出来ることがあったら何でも言ってください。千雪はお姉ちゃんにたくさんお世話になると思うのでお願いします」
「うん、困ったことがあったら何でも言っていいからね。ここはお化けとか出ないから夜も安心だよ」
「そうなんだ。それなら良かった」
私がメインで使っている部屋の隣を千雪ちゃんが使うことになったのだけど、たぶんお母さんはこうなることを私が大学生になった時から気付いていたのだろう。一人で棲むんだったら二部屋借りれば十分だと思っていたのだけれど、ろくに使う予定もない一室まで借りるなんて何か意味でもあるのかと思っていた。
「二部屋借りるよりも三部屋借りてワンフロア借り切った方が安くなるのよ」
なんて言葉で誤魔化されてしまっていたけれど、家賃も全て払ってもらっていたのだから私が何か文句を言うことなんて出来なかったのだ。今の私に自分一人の力で生活をしていくことなんて出来ないのだからね。何かを犠牲にすれば可能かもしれないけれど、私は今の生活を変えることなんて出来そうもない。
ただ、千雪ちゃんが隣の部屋にいるというのは私にとって大きな力になるような気もしていた。私が千雪ちゃんを助けるのと同時に私も千雪ちゃんに助けてもらうような事が起こるかもしれないのだ。
「お姉ちゃんの通ってる大学って授業難しいの?」
「どうだろう。専門的なこともあるから難しいと言えば難しいけど、テストだけだと中学の方が難しいかもね。千雪ちゃんがさっきまでやってた宿題みたいなもんだ言って私達はやらないからね」
「そうなんだ。じゃあ、千雪は頑張ってお姉ちゃんと同じ大学に入るよ。ちゃんと卒業出来たら入れると思うんだけど、その頃にはもうお姉ちゃんは卒業してるもんね。一緒の授業とか受けてみたかったな」
「ちょっと年が離れちゃってるもんね。千雪ちゃんが大学生になるまで私が待ってたらずっと留年しておかないといけないって事だしな。さすがにそんな事は出来ないんだけど、授業を受けるだけだったらゼミの先生に千雪ちゃんが参加しても大丈夫かって聞いてみてあげようか?」
「そんな事出来るんだ。やっぱりお姉ちゃんは凄いな。千雪はそんな事思いもしなかったもん。でも、千雪は普通に学校行かないといけないんだけど、それは大丈夫なのかな?」
「大丈夫じゃないかもね。もしかしたら担任の先生が良いよって言ってくれるかもしれないしさ、そうなったら参加出来るんじゃないかな。私も明日ゼミの先生に聞いてみるんで、千雪ちゃんも担任の先生に聞いてみたらどうかな?」
「わかった。先生に聞いてみるね。千雪は中学校の勉強も好きだけど大学の授業も気になるから楽しみだな。入学してから頑張って休まずに通って良かったよ。きっとこれは頑張ってる千雪に対するご先祖様からのご褒美だね。もっと勉強頑張ってお姉ちゃんみたいに凄い人に千雪もなれるように頑張るよ」
昔から神童と呼ばれていただけあって千雪ちゃんは何でも出来るのだ。勉強も習ったことだけではなくそれを応用したことまで理解してしまう、そんな才能を持った女の子なのだ。運動も勉強もその道を究めることが出来ると思うくらいなんでも出来る女の子なのだが、それを全く鼻にかけない性格であるのだが思ったことをすぐに口に出してしまうところだけに目をつぶればとてもいい子なのである。
「お姉ちゃんの作るご飯って凄く美味しいよね。でも、千雪はもう少し濃いめの味付けの方が好きかも。好きなのは濃いめの味付けなんだけど、これくらいの味の方が美味しさがわかるような気もするんだよね。それに、お姉ちゃんと同じものを食べてたら千雪のオッパイもお姉ちゃんみたいに大きくなるかもしれないもんね。そう言えば、お姉ちゃんって中学生の時からオッパイが大きかったような気がするんだけど、そう考えると千雪ってもう手遅れだったりするのかな?」
「どうだろうね。千雪ちゃんの成長期はまだ始まったばかりだと思うよ」
隣同士の部屋で暮らす私と千雪ちゃんの一人暮らしとしか思えない共同生活がこうして始まったのだけど、隣に千雪ちゃんが越してきたって事は今まで見たいに政虎に気軽に会いに行けなくなっちゃうって事じゃないよね。そうなると悲しいけど、晩御飯は千雪ちゃんと一緒に食べることになってるわけだし、どうしたらいいんだろう。
政虎に千雪ちゃんを紹介して一緒に遊びに行けばいいだけの話だとは思うんだけど、万が一千雪ちゃんも政虎の魅力に気付いてしまったら大変なことになってしまうんじゃないかな。その可能性は非常に大きいんじゃないかなって思っちゃうよね。
私の親と千雪ちゃんの親が協議した結果、大学のすぐ近くに住んでいる私の家から通えばいいのではないかという結論に至ったという事だ。確かに、私の家からなら中学校まで歩いても十五分くらいのところにあるので通いやすくはなると思うのだけれど、決める前に私にも相談くらいしてもらえれば良かったと思う。ただ、家賃や生活費を負担してもらっているという事もあって私は両親に逆らう事なんて出来なかったのだ。
「これからよろしくね。千雪は家事とか全然出来ないんで唯ちゃんに色々と教えてもらえると助かるわ。中学生に一人暮らしをさせるなんてどうかって思ってたんだけどね、さすがに毎日片道二時間もかかるんじゃ大変だからね。姉さんに相談してみたところ、唯ちゃんが普段使っている部屋の両隣も契約してるから大丈夫だよって言ってくれたのよね。たぶんだけど、姉さんは千雪の通学が大変でいつかこうなるんじゃないかって予想してたと思うのよね。ほら、千雪もちゃんとお姉ちゃんに挨拶しないとダメよ。これからたくさんお世話になるんだからね」
「これからよろしくお願いします。千雪が出来ることがあったら何でも言ってください。千雪はお姉ちゃんにたくさんお世話になると思うのでお願いします」
「うん、困ったことがあったら何でも言っていいからね。ここはお化けとか出ないから夜も安心だよ」
「そうなんだ。それなら良かった」
私がメインで使っている部屋の隣を千雪ちゃんが使うことになったのだけど、たぶんお母さんはこうなることを私が大学生になった時から気付いていたのだろう。一人で棲むんだったら二部屋借りれば十分だと思っていたのだけれど、ろくに使う予定もない一室まで借りるなんて何か意味でもあるのかと思っていた。
「二部屋借りるよりも三部屋借りてワンフロア借り切った方が安くなるのよ」
なんて言葉で誤魔化されてしまっていたけれど、家賃も全て払ってもらっていたのだから私が何か文句を言うことなんて出来なかったのだ。今の私に自分一人の力で生活をしていくことなんて出来ないのだからね。何かを犠牲にすれば可能かもしれないけれど、私は今の生活を変えることなんて出来そうもない。
ただ、千雪ちゃんが隣の部屋にいるというのは私にとって大きな力になるような気もしていた。私が千雪ちゃんを助けるのと同時に私も千雪ちゃんに助けてもらうような事が起こるかもしれないのだ。
「お姉ちゃんの通ってる大学って授業難しいの?」
「どうだろう。専門的なこともあるから難しいと言えば難しいけど、テストだけだと中学の方が難しいかもね。千雪ちゃんがさっきまでやってた宿題みたいなもんだ言って私達はやらないからね」
「そうなんだ。じゃあ、千雪は頑張ってお姉ちゃんと同じ大学に入るよ。ちゃんと卒業出来たら入れると思うんだけど、その頃にはもうお姉ちゃんは卒業してるもんね。一緒の授業とか受けてみたかったな」
「ちょっと年が離れちゃってるもんね。千雪ちゃんが大学生になるまで私が待ってたらずっと留年しておかないといけないって事だしな。さすがにそんな事は出来ないんだけど、授業を受けるだけだったらゼミの先生に千雪ちゃんが参加しても大丈夫かって聞いてみてあげようか?」
「そんな事出来るんだ。やっぱりお姉ちゃんは凄いな。千雪はそんな事思いもしなかったもん。でも、千雪は普通に学校行かないといけないんだけど、それは大丈夫なのかな?」
「大丈夫じゃないかもね。もしかしたら担任の先生が良いよって言ってくれるかもしれないしさ、そうなったら参加出来るんじゃないかな。私も明日ゼミの先生に聞いてみるんで、千雪ちゃんも担任の先生に聞いてみたらどうかな?」
「わかった。先生に聞いてみるね。千雪は中学校の勉強も好きだけど大学の授業も気になるから楽しみだな。入学してから頑張って休まずに通って良かったよ。きっとこれは頑張ってる千雪に対するご先祖様からのご褒美だね。もっと勉強頑張ってお姉ちゃんみたいに凄い人に千雪もなれるように頑張るよ」
昔から神童と呼ばれていただけあって千雪ちゃんは何でも出来るのだ。勉強も習ったことだけではなくそれを応用したことまで理解してしまう、そんな才能を持った女の子なのだ。運動も勉強もその道を究めることが出来ると思うくらいなんでも出来る女の子なのだが、それを全く鼻にかけない性格であるのだが思ったことをすぐに口に出してしまうところだけに目をつぶればとてもいい子なのである。
「お姉ちゃんの作るご飯って凄く美味しいよね。でも、千雪はもう少し濃いめの味付けの方が好きかも。好きなのは濃いめの味付けなんだけど、これくらいの味の方が美味しさがわかるような気もするんだよね。それに、お姉ちゃんと同じものを食べてたら千雪のオッパイもお姉ちゃんみたいに大きくなるかもしれないもんね。そう言えば、お姉ちゃんって中学生の時からオッパイが大きかったような気がするんだけど、そう考えると千雪ってもう手遅れだったりするのかな?」
「どうだろうね。千雪ちゃんの成長期はまだ始まったばかりだと思うよ」
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政虎に千雪ちゃんを紹介して一緒に遊びに行けばいいだけの話だとは思うんだけど、万が一千雪ちゃんも政虎の魅力に気付いてしまったら大変なことになってしまうんじゃないかな。その可能性は非常に大きいんじゃないかなって思っちゃうよね。
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