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恋愛イミテーション
第三話
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ここ数日はクラスの雰囲気はとても良くない。いや、最悪と言っていいだろう。私は担任になったのが今のクラスで最初だし、今までの二年間は何も起こらずに無事にやってきたんだから後一年くらい我慢しなさいよとは思っていた。それは誰にも言えやしないんだけどね。
ただ、私はクラスの問題もあるのだけれど、家庭にも問題を抱えていた。私には弟がいるのだけれど、その弟は大学を中退してからずっと引き籠っているのだ。私も両親も弟が外に出て普通の日常生活を送ってくれればそれでいいと思うのだけれど、弟は風呂とトイレ以外はほとんど部屋から出ることも無い。私はここ一年くらいの間に弟の姿を見たのは数えるほどしかなかったのだった。
「ねえ、母さんは天が今のままでいいと思う?」
「そうね。母さんも父さんも天ちゃんには外で働いてもらいたいと思っているんだけど、今のお仕事も悪い事をしているわけじゃないんだからね。それに、毎月入れてくれるお金も有紀ちゃんより多いから文句も言いにくいのよね」
「え、私って友達の中でも多めに入れている方なのにそれよりも多いってどういうことなの?」
「さあ、仕事の内容は教えてもらえないんだけど、ゲームをしたり絵を描いたりしているだけでお金を貰えてるって言ってたわね。母さんも父さんもさっぱり理解出来なかったんだけど、スポンサーがついているから大丈夫って言ってたんだけど、それってテレビでよくやってるユーチューバーってやつなのかしらね?」
「それって、いつくらいからやってるの?」
「天ちゃんが大学を辞める前にはやってたみたいね。大学を辞めた時に入学金と今までの授業料は返してくれたんだけど、大学生のバイトでそんなに稼げるわけも無いじゃないし、母さんと父さんで問い詰めたんだけどね、その時はネットで働いてスポンサーからお金を貰っているって言ってたのよ。入学金と授業料の分はそれの契約金で返してくれたって言ってたわ。でもね、私達はちゃんと大学を卒業して欲しかったなって思うのよ。返してもらった入学金も授業料もちゃんととってあるし、もう一度大学に入りたいって言った時は力になってあげたいと思うのよね」
「その仕事って今は稼げてるかもしれないけど、いつまでも続けられるものでもないしどういう風に考えているのか聞いて来てみるわ。母さんも一緒に行く?」
「母さんはやめておくわ。インターネットの事は何もわからないし、何かわかったら教えて頂戴ね」
ずっと引き籠りだと思っていた弟が私よりも稼いでいるかもしれないというのは何をしているのか気になってしまった。短時間でそれだけ稼いでいるという事は、何か良くないことをしているのではないかと考えてしまう。もしも、弟が何かしらの犯罪を行っていたとしたら私の将来にも影響してしまうのは間違いない事なのだ。
だからと言って、いきなり弟の部屋に入っていくほど私はバカではない。一応LINEを送ってみるのだけれど、今まで一度も送っていなかったので何となく気恥ずかしい気持ちになってしまった。
弟からの返信は思っていたよりも早く、一言だけ「部屋で話そう」と書いてあった。
私が弟の部屋に入ったのは高校生の時だったと思うのでもう十年近く入っていないのだった。なんだか彼氏の家に初めて行くときのような緊張があったのだけれど、私がノックをする前に鍵が開いて弟が部屋の中へと招き入れてくれた。
部屋の中は思っていたよりも綺麗に片付いていて、パソコンが四台ある以外はベッドと小さな冷蔵庫があるだけのシンプルな部屋だった。それにしても、この部屋は寒すぎる。いったいエアコンの設定を何度にしているのよ。
「ねえ、この部屋は寒すぎない。あんたそんなに暑がりだっけ?」
「いや、僕は暑がりじゃないんだけどさ、パソコンを使ってるから室温を下げないといけないんだよね」
「それならパソコン消して適温で過ごせばいいじゃない。なんで四台も使っているのよ」
「僕の仕事だからね。母さんたちには説明しても理解してもらえないと思ってたからちゃんと言わなかったけど、姉さんならある程度は理解出来ると思うし、聞いて欲しいなって思ってたんだよね」
「私だってパソコンに詳しいわけじゃないんだから理解出来るか知らないけど、天が何をしているのか教えてもらうのは歓迎よ」
「姉さんはさ、母さんに言われて僕の事を見に来たんだと思うんだけど、母さんからどんなことを言われてここに来たの?」
「そうね、母さんは天がゲームとか絵を描いて稼いでいるって言ってたから配信で稼いでいるのかと思ってたんだけど、どうなの?」
「やっぱりね。僕はゲームとか絵の配信もしているんだけど、それって広告付いて無いからほとんど稼げてないんだよね。絵も上手くないしさ」
「じゃあ、悪い事でもしているのかい」
「いやいや、悪い事なんてしてないよ。僕はさ、大学に入ったのってプログラミングでわからないことがあったからそれを知りたかっただけなんだよね。大学にある資料とか本が見たかったんだ」
「あんた、そんな事のために大学に入ったのかい。その割には難しいところを受けて合格しちゃうんだから大したもんだよ。で、それが仕事とどう繋がるのさ」
「それでさ、僕は大学で手に入れた知識を使っていくつかの無料アプリを作ったんだよね。そのほとんどが運営するだけで赤字になるような物ばかりなんだけど、いくつかヒットしたものがあって広告収入がどんどん入ってくるんだよね」
「無料なのにお金が入ってくるってどういうこと?」
「簡単に説明すると、そのアプリを使っていると時々広告が表示されるんだけど、それを見たりそこから何かを購入すると僕に広告収入が入ってくるって話なんだよね。最初は描いた絵を共有するものにしたんだけど、それだと未成年が使えないようなのも出てくるから規制しなくちゃいけないし、もっと気楽に使えるものが良かったなって思ってたんだよね。アプリを使ってくれるのって中高生が多いからさ、未成年を除いちゃうと使ってくれる人がいなくなっちゃうんだ」
「それって、本当に大丈夫なの?」
「もちろん。小さな子供が使っても安心なように、写真とか送れないようにしてあるしね。別のアプリを使って送られたらどうしようもないけど、それって僕が悪いわけじゃないしね。それと、使ってくれた人にも広告収入の一部を還元するようにしてみたところ、利用者が一気に何百倍にも膨らんじゃったんだよ。今では日常的に使ってくれる人も多くいるんで収入は安定してるんだ。やっぱり、中高生で恋愛したい人に向けて作って正解だったな」
「もしかしてなんだけどさ、それって恋愛アプリってやつじゃないよね?」
「え、もしかして姉さんも使ってくれているの?」
「いや、私は使ってないんだけどさ、ウチのクラスの子たちがそれで恋人が出来るとか出来ないとか言ってたから」
「へえ、姉さんって教師だったもんね。すっかり忘れてたけど学校の先生だったんだ。じゃあさ、姉さんはそのアプリを使って彼氏とやり取りとかしてないの?」
「私は使ってないわよ。彼氏もいないし、好きな人を探すって年でもないからね」
「そんな事ないと思うんだけどな。姉さんが使ってたら今から情報を見ちゃおうかなって思ってたのに残念」
「え、登録してある情報とか見れちゃうの?」
「もちろん見れるよ。犯罪性のある書き込みとか無いかチェックしないといけないからね。ま、そんなに頻繁に見てるわけじゃないし、禁止登録してある言葉を使ってる人を見に行くくらいだね」
「それって、メッセージの内容も見ることが出来たりするの?」
「出来るけど、知らない人のメッセージを見ても楽しくないからやらないな」
「それって犯罪じゃないよね?」
「犯罪に使われていないか確認するためだから犯罪じゃないよ」
「そっか、天に相談する事じゃないってわかっているんだけど、ウチのクラスでちょっとだけ問題が起こりそうなんだよね。で、それをどうにかして卒業までの残り一年を平穏無事に過ごしてもらいたいんだ。それでさ、ウチのクラスの子がどんなやり取りをしているか確認してもらう事って出来たりしないかな?」
「そうだね。運営者でも管理者でもない姉さんに見せることは出来ないんだよね。裁判所に行って開示請求でもしてくれれば見せなることは出来るんだけど、一般人である姉さんが請求したとしてもそれが通るかはわからないよ」
「そうよね。無理を言ってごめんね」
「違う違う。姉さんはそんなに諦めが早いのにどうして教師になったのさ。もっと僕の真意をくみ取らないといい先生になれないよ」
「どういう事?」
「あのさ、僕は運営者でも管理人でもない姉さんには見せられないって言ったんだよ。だからね、姉さんは管理人になればいいんじゃないかな」
「そんなことが出来るの?」
「出来るよ。でもね、これは一時的な措置で管理できる範囲も限定させてもらうから。管理できるのは姉さんのクラスの生徒だけで良いでしょ?」
「それでも十分だとは思うんだけど、学校の先生とかもダメかな?」
「それはダメでしょ。もしかして、気になっている先生とかいたりするの?」
「気になると言えば気になる先生がいるんだけど、私が好きとかじゃなくて、あの先生とあの先生が不倫しているんじゃないかなって気になってさ」
「はあ、聖職者っていったい何なんだろうね」
弟が私のクラスで流行っている恋愛アプリの製作者だと知ったら生徒たちはこのアプリを使うのをやめてしまうのかな。私だったら担任の身内が作っているアプリに個人情報なんて登録したくないなって思うし、クラスの生徒たちもきっとそうなんだろう。
ただ、私はクラスの問題もあるのだけれど、家庭にも問題を抱えていた。私には弟がいるのだけれど、その弟は大学を中退してからずっと引き籠っているのだ。私も両親も弟が外に出て普通の日常生活を送ってくれればそれでいいと思うのだけれど、弟は風呂とトイレ以外はほとんど部屋から出ることも無い。私はここ一年くらいの間に弟の姿を見たのは数えるほどしかなかったのだった。
「ねえ、母さんは天が今のままでいいと思う?」
「そうね。母さんも父さんも天ちゃんには外で働いてもらいたいと思っているんだけど、今のお仕事も悪い事をしているわけじゃないんだからね。それに、毎月入れてくれるお金も有紀ちゃんより多いから文句も言いにくいのよね」
「え、私って友達の中でも多めに入れている方なのにそれよりも多いってどういうことなの?」
「さあ、仕事の内容は教えてもらえないんだけど、ゲームをしたり絵を描いたりしているだけでお金を貰えてるって言ってたわね。母さんも父さんもさっぱり理解出来なかったんだけど、スポンサーがついているから大丈夫って言ってたんだけど、それってテレビでよくやってるユーチューバーってやつなのかしらね?」
「それって、いつくらいからやってるの?」
「天ちゃんが大学を辞める前にはやってたみたいね。大学を辞めた時に入学金と今までの授業料は返してくれたんだけど、大学生のバイトでそんなに稼げるわけも無いじゃないし、母さんと父さんで問い詰めたんだけどね、その時はネットで働いてスポンサーからお金を貰っているって言ってたのよ。入学金と授業料の分はそれの契約金で返してくれたって言ってたわ。でもね、私達はちゃんと大学を卒業して欲しかったなって思うのよ。返してもらった入学金も授業料もちゃんととってあるし、もう一度大学に入りたいって言った時は力になってあげたいと思うのよね」
「その仕事って今は稼げてるかもしれないけど、いつまでも続けられるものでもないしどういう風に考えているのか聞いて来てみるわ。母さんも一緒に行く?」
「母さんはやめておくわ。インターネットの事は何もわからないし、何かわかったら教えて頂戴ね」
ずっと引き籠りだと思っていた弟が私よりも稼いでいるかもしれないというのは何をしているのか気になってしまった。短時間でそれだけ稼いでいるという事は、何か良くないことをしているのではないかと考えてしまう。もしも、弟が何かしらの犯罪を行っていたとしたら私の将来にも影響してしまうのは間違いない事なのだ。
だからと言って、いきなり弟の部屋に入っていくほど私はバカではない。一応LINEを送ってみるのだけれど、今まで一度も送っていなかったので何となく気恥ずかしい気持ちになってしまった。
弟からの返信は思っていたよりも早く、一言だけ「部屋で話そう」と書いてあった。
私が弟の部屋に入ったのは高校生の時だったと思うのでもう十年近く入っていないのだった。なんだか彼氏の家に初めて行くときのような緊張があったのだけれど、私がノックをする前に鍵が開いて弟が部屋の中へと招き入れてくれた。
部屋の中は思っていたよりも綺麗に片付いていて、パソコンが四台ある以外はベッドと小さな冷蔵庫があるだけのシンプルな部屋だった。それにしても、この部屋は寒すぎる。いったいエアコンの設定を何度にしているのよ。
「ねえ、この部屋は寒すぎない。あんたそんなに暑がりだっけ?」
「いや、僕は暑がりじゃないんだけどさ、パソコンを使ってるから室温を下げないといけないんだよね」
「それならパソコン消して適温で過ごせばいいじゃない。なんで四台も使っているのよ」
「僕の仕事だからね。母さんたちには説明しても理解してもらえないと思ってたからちゃんと言わなかったけど、姉さんならある程度は理解出来ると思うし、聞いて欲しいなって思ってたんだよね」
「私だってパソコンに詳しいわけじゃないんだから理解出来るか知らないけど、天が何をしているのか教えてもらうのは歓迎よ」
「姉さんはさ、母さんに言われて僕の事を見に来たんだと思うんだけど、母さんからどんなことを言われてここに来たの?」
「そうね、母さんは天がゲームとか絵を描いて稼いでいるって言ってたから配信で稼いでいるのかと思ってたんだけど、どうなの?」
「やっぱりね。僕はゲームとか絵の配信もしているんだけど、それって広告付いて無いからほとんど稼げてないんだよね。絵も上手くないしさ」
「じゃあ、悪い事でもしているのかい」
「いやいや、悪い事なんてしてないよ。僕はさ、大学に入ったのってプログラミングでわからないことがあったからそれを知りたかっただけなんだよね。大学にある資料とか本が見たかったんだ」
「あんた、そんな事のために大学に入ったのかい。その割には難しいところを受けて合格しちゃうんだから大したもんだよ。で、それが仕事とどう繋がるのさ」
「それでさ、僕は大学で手に入れた知識を使っていくつかの無料アプリを作ったんだよね。そのほとんどが運営するだけで赤字になるような物ばかりなんだけど、いくつかヒットしたものがあって広告収入がどんどん入ってくるんだよね」
「無料なのにお金が入ってくるってどういうこと?」
「簡単に説明すると、そのアプリを使っていると時々広告が表示されるんだけど、それを見たりそこから何かを購入すると僕に広告収入が入ってくるって話なんだよね。最初は描いた絵を共有するものにしたんだけど、それだと未成年が使えないようなのも出てくるから規制しなくちゃいけないし、もっと気楽に使えるものが良かったなって思ってたんだよね。アプリを使ってくれるのって中高生が多いからさ、未成年を除いちゃうと使ってくれる人がいなくなっちゃうんだ」
「それって、本当に大丈夫なの?」
「もちろん。小さな子供が使っても安心なように、写真とか送れないようにしてあるしね。別のアプリを使って送られたらどうしようもないけど、それって僕が悪いわけじゃないしね。それと、使ってくれた人にも広告収入の一部を還元するようにしてみたところ、利用者が一気に何百倍にも膨らんじゃったんだよ。今では日常的に使ってくれる人も多くいるんで収入は安定してるんだ。やっぱり、中高生で恋愛したい人に向けて作って正解だったな」
「もしかしてなんだけどさ、それって恋愛アプリってやつじゃないよね?」
「え、もしかして姉さんも使ってくれているの?」
「いや、私は使ってないんだけどさ、ウチのクラスの子たちがそれで恋人が出来るとか出来ないとか言ってたから」
「へえ、姉さんって教師だったもんね。すっかり忘れてたけど学校の先生だったんだ。じゃあさ、姉さんはそのアプリを使って彼氏とやり取りとかしてないの?」
「私は使ってないわよ。彼氏もいないし、好きな人を探すって年でもないからね」
「そんな事ないと思うんだけどな。姉さんが使ってたら今から情報を見ちゃおうかなって思ってたのに残念」
「え、登録してある情報とか見れちゃうの?」
「もちろん見れるよ。犯罪性のある書き込みとか無いかチェックしないといけないからね。ま、そんなに頻繁に見てるわけじゃないし、禁止登録してある言葉を使ってる人を見に行くくらいだね」
「それって、メッセージの内容も見ることが出来たりするの?」
「出来るけど、知らない人のメッセージを見ても楽しくないからやらないな」
「それって犯罪じゃないよね?」
「犯罪に使われていないか確認するためだから犯罪じゃないよ」
「そっか、天に相談する事じゃないってわかっているんだけど、ウチのクラスでちょっとだけ問題が起こりそうなんだよね。で、それをどうにかして卒業までの残り一年を平穏無事に過ごしてもらいたいんだ。それでさ、ウチのクラスの子がどんなやり取りをしているか確認してもらう事って出来たりしないかな?」
「そうだね。運営者でも管理者でもない姉さんに見せることは出来ないんだよね。裁判所に行って開示請求でもしてくれれば見せなることは出来るんだけど、一般人である姉さんが請求したとしてもそれが通るかはわからないよ」
「そうよね。無理を言ってごめんね」
「違う違う。姉さんはそんなに諦めが早いのにどうして教師になったのさ。もっと僕の真意をくみ取らないといい先生になれないよ」
「どういう事?」
「あのさ、僕は運営者でも管理人でもない姉さんには見せられないって言ったんだよ。だからね、姉さんは管理人になればいいんじゃないかな」
「そんなことが出来るの?」
「出来るよ。でもね、これは一時的な措置で管理できる範囲も限定させてもらうから。管理できるのは姉さんのクラスの生徒だけで良いでしょ?」
「それでも十分だとは思うんだけど、学校の先生とかもダメかな?」
「それはダメでしょ。もしかして、気になっている先生とかいたりするの?」
「気になると言えば気になる先生がいるんだけど、私が好きとかじゃなくて、あの先生とあの先生が不倫しているんじゃないかなって気になってさ」
「はあ、聖職者っていったい何なんだろうね」
弟が私のクラスで流行っている恋愛アプリの製作者だと知ったら生徒たちはこのアプリを使うのをやめてしまうのかな。私だったら担任の身内が作っているアプリに個人情報なんて登録したくないなって思うし、クラスの生徒たちもきっとそうなんだろう。
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