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第十一話
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俺は頭を強く打っていたため結構長い時間をかけて検査を行っていた。なんだかんだで入院することになったのだけれど、翌日は何事も無ければ学校へ行ってもいいということになったのだった。大事をとっての一晩だけの入院という事だ。
なぜか大部屋ではなく結構立派な個室をあてがわれたのだけれど、それは翌日になって理由がわかることになる。自分の部屋よりも立派な病室で内心ソワソワして落ち着くことが出来ずにいたのだけれど、消灯時間も過ぎているという事で何をするでもなく横になっていると、いつの間にか俺は眠りに落ちていた。
頭を強く打っていたためちゃんと起きるか心配だったと看護師に冗談ともつかないことを言われたのだけれど、実際に頭を強く打った後に眠りについてそのまま目覚めなかった人は多くいたらしく、俺もそちら側になるのではないかと心配をしてくれてはいたようだった。
俺は普段からしっかり朝ご飯をとるのだけれど、病院で出された食事はどれも俺好みの味付けではなかったのでやや満足感にかけるものだったのだが、料理自体はちゃんと美味しかったのであまり文句は言わないことにしよう。
学校に行ってもいいとは言われているのだけれど、一度家に帰って制服に着替えて学校に行くというのは少し面倒な気もしていた。今いる病院がどこにあるのか何となく理解はしているのだけれど、ここから家まで車でも結構時間がかかる距離だし、家から学校までとなると更に時間はかかってしまう。
このまま入院しててもいいのではないかなとも思っていたのだけれど、挨拶も無しに突然体育の寺田先生が病室に入ってきた。
「奥谷が入院したと聞いてびっくりしたぞ。お前は真面目な生徒だと思ってたんだが、暴走族と喧嘩をしたそうじゃないか。とにかく、その話はあとで詳しく聞くとして、俺がお前を家まで一旦送って学校まで連れて行ってやる。今日は授業の事は気にせずに何があったか先生たちに教えてくれな」
「あの、俺の親はいないんですか?」
「お前の親御さんは朝方までいたんだがな、我々教師が責任をもってお前の事をちゃんと面倒を見ると言ったら仕事に向かっていったぞ。お前ももう小さな子供じゃないんだから親御さんに迷惑をかけるような行動は慎めよ」
「いや、俺が仕掛けたわけじゃなくて、吉原と瀬口が」
「その話はあとで聞くから今は黙っておけ。いいか、先生たちが質問をするまで今回の事は誰にも喋るんじゃないぞ」
俺はなんで寺田先生が迎えに来ているのかがわからなかった。もしかしたら、吉原と瀬口が絡んでいる以上学校側も黙って見過ごすわけにはいかず、世間にその事が知られぬように俺の口を封じようという事なのだろうか。だが、俺が吉原と瀬口に何かしようとかは思っているわけもないのだけれど、先生たちにしてみたら学校の生徒が暴走族と深い関りを持っているという事が外部に漏れると色々と面倒なことになるんだろうなとは漠然と感じていた。
「あの、なんで早坂先生じゃなくて寺田先生なんですか?」
「なんでって、早坂先生は授業があるからな。俺も授業はあるんだが、今日は俺の授業は自習にしてある。自習と言っても、空いている先生に見てもらってサッカーなりバスケなりをやってもらう事になると思うんだがな」
そう言って豪快に笑う寺田先生ではあったが、運転はとても慎重で安全運転すぎるのではないかと思えるくらいゆっくりと走っていた。ウチの親でももう少しスピードを出しているとは思うのだが、周りの車もそれほど飛ばしているわけではないので、ウチの親がおかしいだけなのかもしれない。
途中で何度か道案内をしてたどり着いた我が家はいつもと変わらない様子なのだが、なんとなく昨日よりも暗い空気に包まれているように思えた。
家の中には誰もいないので当然玄関に鍵がかかっているのだが、俺はいつもの隠し場所から鍵を取り出して家の中へと入っていった。
部屋の中にある充電されたままのスマホを見ると、頼之と朋英から着信とメールが数件ある以外は宮崎からのメッセージで履歴が埋め尽くされていた。相変わらず俺の返事を待つことはしないようで、そのメッセージを見ているだけで一日が終わってしまうんではないかというような数のメッセージが保存されていた。
俺は制服に着替えてから充電がフルになったスマホをもって寺田先生の待つ車に乗り込んだのだが、俺が乗り込むのを確認しただけで寺田先生は学校に着くまでずっと無言のままだった。
学校に着いたので一応お礼を言って教室に向かおうとしたのだが、寺田先生は俺の行く手を遮ってそのまま校長室へと連れていかれた。
小学校の校長室は低学年の時に何度か見学と称して入ったことはあったのだが、中学高校ではそもそも入る用事もなかったので、校長室へちゃんと入ったのはこれが最初になった。
校長室の中には当然校長がいるわけだが、校長の隣には教頭と学年主任の先生。入口の近くには早坂先生と見たことのない大人の男性が座っていた。この男性は学校内で一度も見たことが無かったし、先生という感じはしなかった。
「頭を強く打ったって聞いたんで先生は心配していたんだけど、その様子だったら心配無さそうね。何があったのか先生たちに教えてもらってもいいかな?」
「俺は大丈夫だと思うんですけど、これって吉原と瀬口の処分をどうするかって話ですか?」
「そう言うわけではないのだけれど、奥谷君は吉原君と瀬口君に暴行されたって事なのかな?」
「たぶんそうだと思いますけど、後ろから吉原の声が聞こえた気がして、その後の事は全然覚えていないんですよね。俺の前にいた瀬口が俺を殴ったってことも無いだろうし、後ろから聞こえた声が吉原だったのかって言われると、正直わからないところもありますね」
「じゃあ、君が襲われた時には瀬口君の姿しか確認してなかったということで良いのかな?」
知らない人が俺と早坂先生の会話に割り込んできたので驚いてしまったのだが、瀬口の近くには俺が見たことのない知らない人がいたことを思い出した。たしか、竜司さんって呼ばれてたような気がするな。
「いや、瀬口の近くに竜司さんって呼ばれてた人がいたと思います。俺は見た事ない人だったけど、瀬口たちとは親しい感じだったと思います」
「じゃあ、君はその竜司さんという人に襲われたと思うのかな?」
「はっきりとは覚えていないんですけど、その竜司さんって人が瀬口に俺をやれ見たいなことは言ってました。瀬口はそれに抵抗してくれてたんですけど、だんだん竜司さんって人が怒りだして、俺をボコれみたいなことを言ってたと思います。瀬口に聞いてみたらどうですか?」
「瀬口君と吉原君には君の話を聞いてからゆっくり聞くつもりだから大丈夫だよ。君は後ろから殴られていたみたいだけれど、後ろから吉原君の声が聞こえた時にそちらの方を向いたのかな?」
「はっきりとは覚えてないんですが、振り向いて誰かがいるなと思ったような気がします。あれ、そうなると俺を殴ったのって後ろにいた吉原じゃないってことですか?」
「私はその現場を見ていたわけじゃないので何とも言えないが、その辺は瀬口君と吉原君に聞いてみたらわかることだろうね。他に何か思いだせることは無いかな?」
「あ、瀬口が竜司さんはコウチョウの末っ子みたいなことを言ってたような気がします。俺は暴走族の役職名とか詳しくないんですけど、コウチョウって役職があるんですか?」
俺がそう言うと、校長をはじめとする先生たちは驚いているようで、早坂先生も教頭先生もみんな目を見開いて驚いていた。ただ、校長先生は下を向いて固まってしまっていたし、先生かわからないこの男性は口角が上がって嬉しそうにニヤニヤしていた。
なぜか大部屋ではなく結構立派な個室をあてがわれたのだけれど、それは翌日になって理由がわかることになる。自分の部屋よりも立派な病室で内心ソワソワして落ち着くことが出来ずにいたのだけれど、消灯時間も過ぎているという事で何をするでもなく横になっていると、いつの間にか俺は眠りに落ちていた。
頭を強く打っていたためちゃんと起きるか心配だったと看護師に冗談ともつかないことを言われたのだけれど、実際に頭を強く打った後に眠りについてそのまま目覚めなかった人は多くいたらしく、俺もそちら側になるのではないかと心配をしてくれてはいたようだった。
俺は普段からしっかり朝ご飯をとるのだけれど、病院で出された食事はどれも俺好みの味付けではなかったのでやや満足感にかけるものだったのだが、料理自体はちゃんと美味しかったのであまり文句は言わないことにしよう。
学校に行ってもいいとは言われているのだけれど、一度家に帰って制服に着替えて学校に行くというのは少し面倒な気もしていた。今いる病院がどこにあるのか何となく理解はしているのだけれど、ここから家まで車でも結構時間がかかる距離だし、家から学校までとなると更に時間はかかってしまう。
このまま入院しててもいいのではないかなとも思っていたのだけれど、挨拶も無しに突然体育の寺田先生が病室に入ってきた。
「奥谷が入院したと聞いてびっくりしたぞ。お前は真面目な生徒だと思ってたんだが、暴走族と喧嘩をしたそうじゃないか。とにかく、その話はあとで詳しく聞くとして、俺がお前を家まで一旦送って学校まで連れて行ってやる。今日は授業の事は気にせずに何があったか先生たちに教えてくれな」
「あの、俺の親はいないんですか?」
「お前の親御さんは朝方までいたんだがな、我々教師が責任をもってお前の事をちゃんと面倒を見ると言ったら仕事に向かっていったぞ。お前ももう小さな子供じゃないんだから親御さんに迷惑をかけるような行動は慎めよ」
「いや、俺が仕掛けたわけじゃなくて、吉原と瀬口が」
「その話はあとで聞くから今は黙っておけ。いいか、先生たちが質問をするまで今回の事は誰にも喋るんじゃないぞ」
俺はなんで寺田先生が迎えに来ているのかがわからなかった。もしかしたら、吉原と瀬口が絡んでいる以上学校側も黙って見過ごすわけにはいかず、世間にその事が知られぬように俺の口を封じようという事なのだろうか。だが、俺が吉原と瀬口に何かしようとかは思っているわけもないのだけれど、先生たちにしてみたら学校の生徒が暴走族と深い関りを持っているという事が外部に漏れると色々と面倒なことになるんだろうなとは漠然と感じていた。
「あの、なんで早坂先生じゃなくて寺田先生なんですか?」
「なんでって、早坂先生は授業があるからな。俺も授業はあるんだが、今日は俺の授業は自習にしてある。自習と言っても、空いている先生に見てもらってサッカーなりバスケなりをやってもらう事になると思うんだがな」
そう言って豪快に笑う寺田先生ではあったが、運転はとても慎重で安全運転すぎるのではないかと思えるくらいゆっくりと走っていた。ウチの親でももう少しスピードを出しているとは思うのだが、周りの車もそれほど飛ばしているわけではないので、ウチの親がおかしいだけなのかもしれない。
途中で何度か道案内をしてたどり着いた我が家はいつもと変わらない様子なのだが、なんとなく昨日よりも暗い空気に包まれているように思えた。
家の中には誰もいないので当然玄関に鍵がかかっているのだが、俺はいつもの隠し場所から鍵を取り出して家の中へと入っていった。
部屋の中にある充電されたままのスマホを見ると、頼之と朋英から着信とメールが数件ある以外は宮崎からのメッセージで履歴が埋め尽くされていた。相変わらず俺の返事を待つことはしないようで、そのメッセージを見ているだけで一日が終わってしまうんではないかというような数のメッセージが保存されていた。
俺は制服に着替えてから充電がフルになったスマホをもって寺田先生の待つ車に乗り込んだのだが、俺が乗り込むのを確認しただけで寺田先生は学校に着くまでずっと無言のままだった。
学校に着いたので一応お礼を言って教室に向かおうとしたのだが、寺田先生は俺の行く手を遮ってそのまま校長室へと連れていかれた。
小学校の校長室は低学年の時に何度か見学と称して入ったことはあったのだが、中学高校ではそもそも入る用事もなかったので、校長室へちゃんと入ったのはこれが最初になった。
校長室の中には当然校長がいるわけだが、校長の隣には教頭と学年主任の先生。入口の近くには早坂先生と見たことのない大人の男性が座っていた。この男性は学校内で一度も見たことが無かったし、先生という感じはしなかった。
「頭を強く打ったって聞いたんで先生は心配していたんだけど、その様子だったら心配無さそうね。何があったのか先生たちに教えてもらってもいいかな?」
「俺は大丈夫だと思うんですけど、これって吉原と瀬口の処分をどうするかって話ですか?」
「そう言うわけではないのだけれど、奥谷君は吉原君と瀬口君に暴行されたって事なのかな?」
「たぶんそうだと思いますけど、後ろから吉原の声が聞こえた気がして、その後の事は全然覚えていないんですよね。俺の前にいた瀬口が俺を殴ったってことも無いだろうし、後ろから聞こえた声が吉原だったのかって言われると、正直わからないところもありますね」
「じゃあ、君が襲われた時には瀬口君の姿しか確認してなかったということで良いのかな?」
知らない人が俺と早坂先生の会話に割り込んできたので驚いてしまったのだが、瀬口の近くには俺が見たことのない知らない人がいたことを思い出した。たしか、竜司さんって呼ばれてたような気がするな。
「いや、瀬口の近くに竜司さんって呼ばれてた人がいたと思います。俺は見た事ない人だったけど、瀬口たちとは親しい感じだったと思います」
「じゃあ、君はその竜司さんという人に襲われたと思うのかな?」
「はっきりとは覚えていないんですけど、その竜司さんって人が瀬口に俺をやれ見たいなことは言ってました。瀬口はそれに抵抗してくれてたんですけど、だんだん竜司さんって人が怒りだして、俺をボコれみたいなことを言ってたと思います。瀬口に聞いてみたらどうですか?」
「瀬口君と吉原君には君の話を聞いてからゆっくり聞くつもりだから大丈夫だよ。君は後ろから殴られていたみたいだけれど、後ろから吉原君の声が聞こえた時にそちらの方を向いたのかな?」
「はっきりとは覚えてないんですが、振り向いて誰かがいるなと思ったような気がします。あれ、そうなると俺を殴ったのって後ろにいた吉原じゃないってことですか?」
「私はその現場を見ていたわけじゃないので何とも言えないが、その辺は瀬口君と吉原君に聞いてみたらわかることだろうね。他に何か思いだせることは無いかな?」
「あ、瀬口が竜司さんはコウチョウの末っ子みたいなことを言ってたような気がします。俺は暴走族の役職名とか詳しくないんですけど、コウチョウって役職があるんですか?」
俺がそう言うと、校長をはじめとする先生たちは驚いているようで、早坂先生も教頭先生もみんな目を見開いて驚いていた。ただ、校長先生は下を向いて固まってしまっていたし、先生かわからないこの男性は口角が上がって嬉しそうにニヤニヤしていた。
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