28 / 71
恋愛コレクション
第三話
しおりを挟む
いつもは誰よりも早く登校している今日は珍しく宮崎が遅刻しそうになっていた。それも、西森たちと一緒に慌ててやってきたのだった。そして、四人はそのまま山口の席席を取り囲むようにすると、西森が山口に向かっていきなり怒りだしていたのだった。
「朝の公園なら大丈夫だって言ったのはお前なのになんで来ないわけ?」
「私は一言もお前らに会いに行くなんて言ってないんだけど、お前らの中では勝手に私が行くことになってたってだけの話だろ。私が朝からお前らに会いに行って何の得があるって言うんだよ。どうせ、奥谷と仲良くするなとかそういう話がしたいだけなんだろうけど、私は最初から奥谷に対して恋愛感情なんか持ってないし、小さい時から一緒にいるから家族とか兄妹としか見えてないんだよ。いい加減説明するのもうざいから少しは理解しろよな。そんなんだからお前らは勉強も出来ないで男ばっか追っかけてんだろ」
いきなり山口が西森たちに責められているのかと思って見ていたら、山口の口から俺の名前が出てきたので俺はびっくりしてしまった。いったい何の話なんだろうと思って聞いていたんだけど、俺は皆の前で山口の口からただの幼馴染で恋愛感情なんて一切持っていないという事がハッキリと明言されてしまった。俺は山口の事が好きなんだけど、山口は俺の事をどう思っているのだろうとずっと思っていたし、なんとなく俺に対して恋愛感情なんか無いんじゃないかなって思ってはいたんだけど、こうもはっきりと宣言されると俺はただただ落ち込むだけだった。
「なあ、あいつらに何があったのかは知らんけど、お前ってみんなの前で山口に振られちゃったな。あんまり気を落とさずに頑張れよ。部活休みの日にみんなでカラオケでも行って残念会やろうや」
「そうだな。信寛を慰める会を開く必要があるかもしれないな。山口はきっと誘っても来ないだろうし、泉ちゃんとか誘ってパーッと騒いで失恋の傷を癒そうぜ」
「おい、朋英はしれっと宮崎の事誘おうとしてるんだよ。お前は絶対に宮崎から好印象を持たれてないから諦めろって。誘ったってお前と話したりしないと思うぞ」
「馬鹿、俺はただ泉ちゃんがいれば盛り上がるかなって思っただけだって。深い意味なんてなんも無いからさ。それにさ、俺は信寛の事を思って言っているだけなんだからな」
「お前らさ、山口が俺に対して男として興味が無いって言っただけなんだから慰めるとか残念とか言うなって。家族としか見てないって事は、一緒に暮らせるってことだろ。みんなの前で俺の事を好きだって言えない山口なりの告白かもしれないだろ」
「それは無いだろ」
「お前はどれだけポジティブなんだよ」
「全くだ。その気持ちは見習いたいわ」
そんなやり取りをしていると、西森が山口の顔をひっぱたいてしまった。そして、そのタイミングを見計らったかのように早坂先生が教室の中へと入ってきてしまったのだった。俺は山口が叩かれた瞬間は見ていなかったのだけれど、早坂先生はその瞬間をばっちりと見てしまったようで西森に詰め寄っていた。
早坂先生はクラスのみんなに何があったか説明するように言っているのだけれど、俺はいったい何があったのかわかってないので答えられることは何もなかった。それはクラスの大半も同じだったようで、誰も答えられずにうつむいていたのだった。今まで生きてきて一番長く感じた時間だったけれど、何があったかなんて知っているのは山口と西森達だけだと思うのに誰も口を開こうとはしなかったのだった。
一時間目も早坂先生の授業なので今日はこのまま気まずくて重い時間が続いてしまうんだろうなと思っていたんだけれど、その空気を破ったのは西森に叩かれた山口だったのだった。
山口は明らかに西森を庇っているような説明をしていたのだけれど、それを聞いて納得するものは誰もいないんじゃないかと思うような説明だった。そんな説明だったけれど頼之と朋英はその説明を聞いて何か納得しているようだった。
「なあ、西森って派手な見た目をしてるのに悪魔と戦ってるなんてカッコイイよな」
「確かに。アレがギャップってやつなんじゃないか。俺って西森の事を見る目が変わったかも」
「じゃあ、宮崎の事はもうあきらめたってことなのか?」
「いやいや、西森は凄いって思うけどそれとこれとは話が違うだろ。俺はずっと泉ちゃん一筋で行くからさ」
「そんなん聞いてないわ。でもよ、西森ってなんでそんな力を隠してたんだろうな」
「そりゃアレだろ、俺達を巻き込まないように隠してたってことなんじゃないか。正直に言って、西森ってちょっと近づきがたい感じだしさ。同じギャルでも河野は話しやすいとこあるからその差じゃね」
「そうかもしれないな」
こいつらはバカなんだろうなって思うけれど、そんなところがあるから一緒にいて楽しいところもあるんだよな。ただ、こいつらって将来詐欺の被害に遭ったりしないか心肺になっちゃうよな。
それにしても、山口ってやっぱりいいやつだよな。昔から困っている人をほっとけない女の子だったんだもんな。
「朝の公園なら大丈夫だって言ったのはお前なのになんで来ないわけ?」
「私は一言もお前らに会いに行くなんて言ってないんだけど、お前らの中では勝手に私が行くことになってたってだけの話だろ。私が朝からお前らに会いに行って何の得があるって言うんだよ。どうせ、奥谷と仲良くするなとかそういう話がしたいだけなんだろうけど、私は最初から奥谷に対して恋愛感情なんか持ってないし、小さい時から一緒にいるから家族とか兄妹としか見えてないんだよ。いい加減説明するのもうざいから少しは理解しろよな。そんなんだからお前らは勉強も出来ないで男ばっか追っかけてんだろ」
いきなり山口が西森たちに責められているのかと思って見ていたら、山口の口から俺の名前が出てきたので俺はびっくりしてしまった。いったい何の話なんだろうと思って聞いていたんだけど、俺は皆の前で山口の口からただの幼馴染で恋愛感情なんて一切持っていないという事がハッキリと明言されてしまった。俺は山口の事が好きなんだけど、山口は俺の事をどう思っているのだろうとずっと思っていたし、なんとなく俺に対して恋愛感情なんか無いんじゃないかなって思ってはいたんだけど、こうもはっきりと宣言されると俺はただただ落ち込むだけだった。
「なあ、あいつらに何があったのかは知らんけど、お前ってみんなの前で山口に振られちゃったな。あんまり気を落とさずに頑張れよ。部活休みの日にみんなでカラオケでも行って残念会やろうや」
「そうだな。信寛を慰める会を開く必要があるかもしれないな。山口はきっと誘っても来ないだろうし、泉ちゃんとか誘ってパーッと騒いで失恋の傷を癒そうぜ」
「おい、朋英はしれっと宮崎の事誘おうとしてるんだよ。お前は絶対に宮崎から好印象を持たれてないから諦めろって。誘ったってお前と話したりしないと思うぞ」
「馬鹿、俺はただ泉ちゃんがいれば盛り上がるかなって思っただけだって。深い意味なんてなんも無いからさ。それにさ、俺は信寛の事を思って言っているだけなんだからな」
「お前らさ、山口が俺に対して男として興味が無いって言っただけなんだから慰めるとか残念とか言うなって。家族としか見てないって事は、一緒に暮らせるってことだろ。みんなの前で俺の事を好きだって言えない山口なりの告白かもしれないだろ」
「それは無いだろ」
「お前はどれだけポジティブなんだよ」
「全くだ。その気持ちは見習いたいわ」
そんなやり取りをしていると、西森が山口の顔をひっぱたいてしまった。そして、そのタイミングを見計らったかのように早坂先生が教室の中へと入ってきてしまったのだった。俺は山口が叩かれた瞬間は見ていなかったのだけれど、早坂先生はその瞬間をばっちりと見てしまったようで西森に詰め寄っていた。
早坂先生はクラスのみんなに何があったか説明するように言っているのだけれど、俺はいったい何があったのかわかってないので答えられることは何もなかった。それはクラスの大半も同じだったようで、誰も答えられずにうつむいていたのだった。今まで生きてきて一番長く感じた時間だったけれど、何があったかなんて知っているのは山口と西森達だけだと思うのに誰も口を開こうとはしなかったのだった。
一時間目も早坂先生の授業なので今日はこのまま気まずくて重い時間が続いてしまうんだろうなと思っていたんだけれど、その空気を破ったのは西森に叩かれた山口だったのだった。
山口は明らかに西森を庇っているような説明をしていたのだけれど、それを聞いて納得するものは誰もいないんじゃないかと思うような説明だった。そんな説明だったけれど頼之と朋英はその説明を聞いて何か納得しているようだった。
「なあ、西森って派手な見た目をしてるのに悪魔と戦ってるなんてカッコイイよな」
「確かに。アレがギャップってやつなんじゃないか。俺って西森の事を見る目が変わったかも」
「じゃあ、宮崎の事はもうあきらめたってことなのか?」
「いやいや、西森は凄いって思うけどそれとこれとは話が違うだろ。俺はずっと泉ちゃん一筋で行くからさ」
「そんなん聞いてないわ。でもよ、西森ってなんでそんな力を隠してたんだろうな」
「そりゃアレだろ、俺達を巻き込まないように隠してたってことなんじゃないか。正直に言って、西森ってちょっと近づきがたい感じだしさ。同じギャルでも河野は話しやすいとこあるからその差じゃね」
「そうかもしれないな」
こいつらはバカなんだろうなって思うけれど、そんなところがあるから一緒にいて楽しいところもあるんだよな。ただ、こいつらって将来詐欺の被害に遭ったりしないか心肺になっちゃうよな。
それにしても、山口ってやっぱりいいやつだよな。昔から困っている人をほっとけない女の子だったんだもんな。
0
お気に入りに追加
12
あなたにおすすめの小説
光のもとで2
葉野りるは
青春
一年の療養を経て高校へ入学した翠葉は「高校一年」という濃厚な時間を過ごし、
新たな気持ちで新学期を迎える。
好きな人と両思いにはなれたけれど、だからといって順風満帆にいくわけではないみたい。
少し環境が変わっただけで会う機会は減ってしまったし、気持ちがすれ違うことも多々。
それでも、同じ時間を過ごし共に歩めることに感謝を……。
この世界には当たり前のことなどひとつもなく、あるのは光のような奇跡だけだから。
何か問題が起きたとしても、一つひとつ乗り越えて行きたい――
(10万文字を一冊として、文庫本10冊ほどの長さです)
ボクが追放されたら飢餓に陥るけど良いですか?
音爽(ネソウ)
ファンタジー
美味しい果実より食えない石ころが欲しいなんて、人間て変わってますね。
役に立たないから出ていけ?
わかりました、緑の加護はゴッソリ持っていきます!
さようなら!
5月4日、ファンタジー1位!HOTランキング1位獲得!!ありがとうございました!
45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる
よっしぃ
ファンタジー
2月26日から29日現在まで4日間、アルファポリスのファンタジー部門1位達成!感謝です!
小説家になろうでも10位獲得しました!
そして、カクヨムでもランクイン中です!
●●●●●●●●●●●●●●●●●●●●
スキルを強奪する為に異世界召喚を実行した欲望まみれの権力者から逃げるおっさん。
いつものように電車通勤をしていたわけだが、気が付けばまさかの異世界召喚に巻き込まれる。
欲望者から逃げ切って反撃をするか、隠れて地味に暮らすか・・・・
●●●●●●●●●●●●●●●
小説家になろうで執筆中の作品です。
アルファポリス、、カクヨムでも公開中です。
現在見直し作業中です。
変換ミス、打ちミス等が多い作品です。申し訳ありません。
【完結】幼馴染にフラれて異世界ハーレム風呂で優しく癒されてますが、好感度アップに未練タラタラなのが役立ってるとは気付かず、世界を救いました。
三矢さくら
ファンタジー
【本編完結】⭐︎気分どん底スタート、あとはアガるだけの異世界純情ハーレム&バトルファンタジー⭐︎
長年思い続けた幼馴染にフラれたショックで目の前が全部真っ白になったと思ったら、これ異世界召喚ですか!?
しかも、フラれたばかりのダダ凹みなのに、まさかのハーレム展開。まったくそんな気分じゃないのに、それが『シキタリ』と言われては断りにくい。毎日混浴ですか。そうですか。赤面しますよ。
ただ、召喚されたお城は、落城寸前の風前の灯火。伝説の『マレビト』として召喚された俺、百海勇吾(18)は、城主代行を任されて、城に襲い掛かる謎のバケモノたちに立ち向かうことに。
といっても、発現するらしいチートは使えないし、お城に唯一いた呪術師の第4王女様は召喚の呪術の影響で、眠りっ放し。
とにかく、俺を取り囲んでる女子たちと、お城の皆さんの気持ちをまとめて闘うしかない!
フラれたばかりで、そんな気分じゃないんだけどなぁ!
クラスメイトの美少女と無人島に流された件
桜井正宗
青春
修学旅行で離島へ向かう最中――悪天候に見舞われ、台風が直撃。船が沈没した。
高校二年の早坂 啓(はやさか てつ)は、気づくと砂浜で寝ていた。周囲を見渡すとクラスメイトで美少女の天音 愛(あまね まな)が隣に倒れていた。
どうやら、漂流して流されていたようだった。
帰ろうにも島は『無人島』。
しばらくは島で生きていくしかなくなった。天音と共に無人島サバイバルをしていくのだが……クラスの女子が次々に見つかり、やがてハーレムに。
男一人と女子十五人で……取り合いに発展!?
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
貴族家三男の成り上がりライフ 生まれてすぐに人外認定された少年は異世界を満喫する
美原風香
ファンタジー
「残念ながらあなたはお亡くなりになりました」
御山聖夜はトラックに轢かれそうになった少女を助け、代わりに死んでしまう。しかし、聖夜の心の内の一言を聴いた女神から気に入られ、多くの能力を貰って異世界へ転生した。
ーけれども、彼は知らなかった。数多の神から愛された彼は生まれた時点で人外の能力を持っていたことを。表では貴族として、裏では神々の使徒として、異世界のヒエラルキーを駆け上っていく!これは生まれてすぐに人外認定された少年の最強に無双していく、そんなお話。
✳︎不定期更新です。
21/12/17 1巻発売!
22/05/25 2巻発売!
コミカライズ決定!
20/11/19 HOTランキング1位
ありがとうございます!
「殿下、人違いです」どうぞヒロインのところへ行って下さい
みおな
恋愛
私が転生したのは、乙女ゲームを元にした人気のライトノベルの世界でした。
しかも、定番の悪役令嬢。
いえ、別にざまあされるヒロインにはなりたくないですし、婚約者のいる相手にすり寄るビッチなヒロインにもなりたくないです。
ですから婚約者の王子様。
私はいつでも婚約破棄を受け入れますので、どうぞヒロインのところに行って下さい。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる