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恋愛コレクション
第一話
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女子は三度の飯よりも恋バナってやつが好きなんだろうな。久しぶりにクラスLINEが活発に動いていると思って見てみたら、良くわからないアプリに好きな相手の名前とかを入れろって書いてあった。好きな相手の名前はわかっても生年月日と血液型を入れるのって難しくないか。生年月日はわかったとしても、血液型って日常生活において話題になることってほとんどないと思うんだよな。友達の頼之や朋英は誕生日も知らないし、血液型なんて興味も無いから聞いたことも無い。
でも、そんな俺は好きな相手の情報はちゃんと手に入れているのだ。小さいころからずっと一緒にいるんだから誕生日を知っているのは当たり前だと思うし、血液型だって何度も聞いたことがある。その頃は今と違って話しかけるきっかけがほとんどなかっただけなんだけど、小さいときの俺は女の子が好きそうな話題がケーキと血液型の話だけしかなかったという事が大きく影響しているに違いない。と言いつつも、今も女子に話しかけることなんて滅多にないのであまり成長していないのかもしれない。
「なあ、このアプリって結構ハードル高くないか?」
「そう思うよな。俺って女子の生年月日も血液型も誰も知らないもん。信寛は好きな相手の血液型とか知ってるの?」
「え、好きな相手だったら知ってるんじゃないかな。好きな相手がいればだけどさ」
「そうか。お前ってそう言うとこあるよな」
そう言うとこってどういうとこなんだろう。俺が小さい時からずっと山口愛莉の事が好きだというのはバレていないと思うんだけど、俺が生年月日と血液型を知ってそうな相手が他にいなさそうだというのは俺の思い過ごしかな。
「お、クラスLINEに西森からメッセージ着てるよ。なになに、LINEの登録名に生年月日と血液型を付けてくれだってさ。朋英はやり方わかる?」
「俺はそう言うの気にしたことないから知らないけど、信寛だったら知ってんじゃない?」
「え、俺はそう言うの得意だけど、やり方教えるよ」
「おーい、LINEの名前の変え方知らない奴いたら信寛が教えてくれるってさ。早いとこ変えとかないと恋人出来ないかもよ」
「馬鹿、余計なこと言うなって。俺が忙しくなっちゃうだろ」
なんて心配はしてみたものの、このクラスにはLINEの登録名を自力で変更できないのは頼之と朋英の二人だけだったみたいだった。それはそれでいいのだけれど、この二人が卒業して離れ離れになってしまったらどうやってスマホと向き合っていくのだろうと心配にはなっていた。
そう言えば、山口ってこのアプリを登録しているのかな。山口が登録していなかったら俺が山口の情報を登録している意味が無いからな。どうやって聞けばいいか消極的な俺にはさっぱりわからなかった。積極的な性格だったらこんなことで悩んだりしないんだろうなと思って見たけれど、積極的な性格だったらもっと早い段階で告白してたんじゃないかなとは思う。
それが成功するか失敗していたかはわからないけれど、今の俺よりはずいぶんとマシな状況だったのではないだろうか。
よし、勇気を振り絞って聞いてみよう。少しは積極的にならないとこれからの人生大変そうだしな。
「なあ、山口はクラスLINEで回ってきたアプリって登録したの?」
「ああ、アレなら結構前にゲーム友達に教えてもらったやつだったよ。アプリはグループメッセージ機能を使ってるけど、恋愛的な使い方はしたことないな。そもそも、私は好きな相手とかいないしな。奥谷は誰か登録したのか?」
「俺は一応登録したよ。今のところ片思いって表示されているけどね」
「へえ、恋愛の方を使った事ないからわからなかったけど、そうやって知らせてくれるのは何でもいい事だな。奥谷の好きな相手が奥谷の情報を入れてくれるといいな」
「そうだな。今のところその可能性は無さそうなんだけど、めげずに頑張ってみるわ」
山口がまだアプリに情報を入力していないのは片思いの通知で知っていたけれど、相当前からやっていたというのは少し気になっていた。ゲーム友達って事はインターネット関係で知り合っていると思うんだけど、グループ的な使い方も出来るんだな。山口の説明ではグループチャットではボイスチェンジャーが使い放題らしいのでLINEを使うよりも気軽に音声通話を楽しめているそうだ。
どうにかして山口が俺の情報を登録してくれる方法を見付けないといけない。残された時間がどれくらいなのか知らないけれど、俺は山口と付き合えるチャンスを目の前にしてやる気が満ち溢れていたのだった。
でも、そんな俺は好きな相手の情報はちゃんと手に入れているのだ。小さいころからずっと一緒にいるんだから誕生日を知っているのは当たり前だと思うし、血液型だって何度も聞いたことがある。その頃は今と違って話しかけるきっかけがほとんどなかっただけなんだけど、小さいときの俺は女の子が好きそうな話題がケーキと血液型の話だけしかなかったという事が大きく影響しているに違いない。と言いつつも、今も女子に話しかけることなんて滅多にないのであまり成長していないのかもしれない。
「なあ、このアプリって結構ハードル高くないか?」
「そう思うよな。俺って女子の生年月日も血液型も誰も知らないもん。信寛は好きな相手の血液型とか知ってるの?」
「え、好きな相手だったら知ってるんじゃないかな。好きな相手がいればだけどさ」
「そうか。お前ってそう言うとこあるよな」
そう言うとこってどういうとこなんだろう。俺が小さい時からずっと山口愛莉の事が好きだというのはバレていないと思うんだけど、俺が生年月日と血液型を知ってそうな相手が他にいなさそうだというのは俺の思い過ごしかな。
「お、クラスLINEに西森からメッセージ着てるよ。なになに、LINEの登録名に生年月日と血液型を付けてくれだってさ。朋英はやり方わかる?」
「俺はそう言うの気にしたことないから知らないけど、信寛だったら知ってんじゃない?」
「え、俺はそう言うの得意だけど、やり方教えるよ」
「おーい、LINEの名前の変え方知らない奴いたら信寛が教えてくれるってさ。早いとこ変えとかないと恋人出来ないかもよ」
「馬鹿、余計なこと言うなって。俺が忙しくなっちゃうだろ」
なんて心配はしてみたものの、このクラスにはLINEの登録名を自力で変更できないのは頼之と朋英の二人だけだったみたいだった。それはそれでいいのだけれど、この二人が卒業して離れ離れになってしまったらどうやってスマホと向き合っていくのだろうと心配にはなっていた。
そう言えば、山口ってこのアプリを登録しているのかな。山口が登録していなかったら俺が山口の情報を登録している意味が無いからな。どうやって聞けばいいか消極的な俺にはさっぱりわからなかった。積極的な性格だったらこんなことで悩んだりしないんだろうなと思って見たけれど、積極的な性格だったらもっと早い段階で告白してたんじゃないかなとは思う。
それが成功するか失敗していたかはわからないけれど、今の俺よりはずいぶんとマシな状況だったのではないだろうか。
よし、勇気を振り絞って聞いてみよう。少しは積極的にならないとこれからの人生大変そうだしな。
「なあ、山口はクラスLINEで回ってきたアプリって登録したの?」
「ああ、アレなら結構前にゲーム友達に教えてもらったやつだったよ。アプリはグループメッセージ機能を使ってるけど、恋愛的な使い方はしたことないな。そもそも、私は好きな相手とかいないしな。奥谷は誰か登録したのか?」
「俺は一応登録したよ。今のところ片思いって表示されているけどね」
「へえ、恋愛の方を使った事ないからわからなかったけど、そうやって知らせてくれるのは何でもいい事だな。奥谷の好きな相手が奥谷の情報を入れてくれるといいな」
「そうだな。今のところその可能性は無さそうなんだけど、めげずに頑張ってみるわ」
山口がまだアプリに情報を入力していないのは片思いの通知で知っていたけれど、相当前からやっていたというのは少し気になっていた。ゲーム友達って事はインターネット関係で知り合っていると思うんだけど、グループ的な使い方も出来るんだな。山口の説明ではグループチャットではボイスチェンジャーが使い放題らしいのでLINEを使うよりも気軽に音声通話を楽しめているそうだ。
どうにかして山口が俺の情報を登録してくれる方法を見付けないといけない。残された時間がどれくらいなのか知らないけれど、俺は山口と付き合えるチャンスを目の前にしてやる気が満ち溢れていたのだった。
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