恋愛アプリを使ってみたら幼馴染と両想いになれました

釧路太郎

文字の大きさ
11 / 71
恋愛コミュニケーション

第十一話

しおりを挟む
 高校三年生にもなるとほとんどの人は進路が決まっていたので自分の将来を棒に振ってまで山口をいじめることには消極的な人ばかりだったのだけれど、亜梨沙ちゃんは誰よりも積極的に行動を起こしていた。そうは言っても、さすがに目立つようなことはしなかったのだけれど、聞こえるように陰口を言って見たり掃除当番をサボってみたりといったいじめなのかと本当に疑いたくなるような事ばかりしていたのだった。亜梨沙ちゃんはもう少し派手に何かをやろうと考えていたらしいのだけれど、歩ちゃんも茜ちゃんも大学の入試が控えているのであまり目立つことはしようとしなかったのだ。亜梨沙ちゃんは調理系の学校に行きたいと言っていたけれど進路はまだ明確には決まっていないようで、私と話していて大学にも行ってみたいと思うようになっていたようだ。ちなみに、私はとある大学から駅伝の選手として声がかかって推薦の打診をいただいたのだが、今の時点では大学生になってまで走ることを続けるか迷っているのだった。一応、部活に参加しなくても実績を考慮して推薦は貰えるようなのだが、その状態で駅伝の選手にならないというのはどうなんだろうと思っていた。関係ない話ではあるが、その大学は体育の寺田先生の母校らしいので、寺田先生の後輩になるというのは何となく避けたい気持ちもあるのだった。

 小耳にはさんだ情報では奥谷君は大学には進学せずに専門学校を受けるそうなのだが、そこはあまり興味が無い分野なので同じ学校に通うというのはあまり選択肢には入れていないのだが、その近くにある大学なら私の学力でもなんとかなりそうなところはいくつかあるのだった。ただ、そこに入ったところで奥谷君と一緒に遊んだりできるかと言われると、そのようになる自信はないのであった。

 結局のところ、山口をいじめようとしているのはクラスでも亜梨沙ちゃんと歩ちゃんと茜ちゃんと吉原と瀬口の五人だったのだが、奥谷君たち以外は誰も止めようとしなかったので共犯と言っても言い過ぎではないと思う。ただ、梓ちゃんはそれとなく亜梨沙ちゃんを止めようとはしているのだけれど、何度言ってもいじめは止まることも無かった。だが、そのいじめのほとんどがいじめだとは認識しなければイタズラと言える程度のものだったので、山口も気にしていないようだったしその現場を目撃した早坂先生もいじめなのか遊んでいるだけなのか判断に迷っているようではあった。

「泉ちゃんってさ、山口が嫌がるような事って何か知ってる?」
「何だろうね。今までそんなこと考えてこなかったからわからないかも。でもさ、案外そういうのって男子の方が詳しかったりするんじゃないかな」
「男子ねぇ、奥谷君に聞けたら一番いいんだけど、奥谷君ってどう見ても山口の味方なんだよね。幼馴染ってだけであんなに助けるのかなって思うところはあるんだけど、本当は奥谷君って山口の事を好きだったりするのかな」
「それは無いでしょ。って言いたいところだけど、ここ一年くらいの行動を見ているとそれも否定しにくいんだよね。恋愛アプリで奥谷君が誰を登録しているのかは謎だけど、あの感じだったら山口さんの事を登録しててもおかしくないよね。そうだったとしたら、私はショックかも」
「そうだよね。私も奥谷君が山口の事を登録してたらショックだわ。本当に寝込んじゃうかもしれないよ。てかさ、山口が登録している人が誰なのか見てさ、それを奥谷君に教えるのってどうかな?」
「さすがにそれはマズいんじゃないかな。やるにしてもロックとか解除しないといけないでしょ」
「その辺は大丈夫じゃない。勝手に見るのがまずいんだったら、吉原たちを使って山口が自分で見せるようにしちゃえばいいんじゃないかな。あいつらはバカだけどそれくらいなら出来るんじゃない」
「それこそマズいって。そんなことして怪我でもしたら大変なことになっちゃうよ」
「大丈夫だって、あいつらだってそれくらいはわきまえているでしょ。怪我するようなことはさすがにさせないと思うけど、山口ってちょっと頭おかしいところあるし、吉原たちを怒らせるようなことはするかもしれないよね」
「でもさ、亜紀ってもう気にしてないような感じだけど、そこまで亜梨沙が山口にこだわるのって何か理由でもあるの?」
「梓ちゃんってさ、亜紀ちゃんから山口の事はもういいよって聞いたのかな?」
「いや、聞いてないけど」
「聞いてないのに何でわかるのかな?」
「なんでって、山口に何かしてくれって言われてないからだけど。亜梨沙は山口に何かされたわけ?」
「ねえ、もしかしてだけどさ、梓ちゃんって奥谷君たちみたいに山口の味方なのかな?」
「いや、味方ってわけじゃないけど、亜梨沙がそこまで山口にこだわっている理由が知りたいなって思っただけだよ」
「理由なら梓ちゃんも知ってるじゃん。山口がみんなの前で亜紀ちゃんを傷付けたからだよ。それ以上の理由っているのかな?」
「それは理解しているけどさ、亜梨沙がこだわるのも変じゃないかなって思うんだけど」
「それってさ、私が亜紀ちゃんのためにしていることが間違っているって言いたいわけなのかな?」
「そこまでは言ってないけど、あんまりやりすぎるのは良くないんじゃないかなって思うんだよね。ウチラってさ、今年は受験や就職に向けて真面目に頑張らないといけないときだと思うんだ。だからさ、わざわざ自分の評価を下げるような事はしない方がいいんじゃないかなって思うんだよね。山口がどうとかじゃなくて、何かあった時に亜梨沙が傷付くのは見たくないんだよ」
「そうね、そう言われるとちょっと考えちゃうけど、私はそれでも亜紀ちゃんのために何か出来ることをしたいって思うな。友達ってそう言うもんだと思うんだけど、梓ちゃんは亜紀ちゃんと友達じゃないってことなのかな」
「そんな事は言ってないって。ウチは亜紀とはずっと友達だし、亜梨沙や泉だって友達だと思ってるよ。ただ、今の時期にあんまり目立つようなことはしない方がいいんじゃないかなって思うだけなんだよね。亜梨沙だってやりたいこととかあったりするだろ」
「それはあるけどさ、今は亜紀ちゃんのために出来ることをしたいって思うよ。泉ちゃんも私が間違っているって思うのかな?」
「うーん、私はどっちも間違ってないと思うかな。亜梨沙ちゃんが亜紀ちゃんの事を思っているのと同じくらい梓ちゃんも亜梨沙ちゃんの事を思って言ってるんだと思うし、どっちも正しくてどっちの考えも理解出来るよ。でもね、私はどちらかと言えば亜梨沙ちゃんの考えに近いかもしれないな。私も山口が間違っているって思っているからね」
しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

転移先で日本語を読めるというだけで最強の男に囚われました

桜あずみ
恋愛
異世界に転移して2年。 言葉も話せなかったこの国で、必死に努力して、やっとこの世界に馴染んできた。 しかし、ただ一つ、抜けなかった癖がある。 ──ふとした瞬間に、日本語でメモを取ってしまうこと。 その一行が、彼の目に留まった。 「この文字を書いたのは、あなたですか?」 美しく、完璧で、どこか現実離れした男。 日本語という未知の文字に強い関心を示した彼は、やがて、少しずつ距離を詰めてくる。 最初はただの好奇心だと思っていた。 けれど、気づけば私は彼の手の中にいた。 彼の正体も、本当の目的も知らないまま。すべてを知ったときには、もう逃げられなかった。 毎日19時に更新予定です。

俺様上司に今宵も激しく求められる。

美凪ましろ
恋愛
 鉄面皮。無表情。一ミリも笑わない男。  蒔田一臣、あたしのひとつうえの上司。  ことあるごとに厳しくあたしを指導する、目の上のたんこぶみたいな男――だったはずが。 「おまえの顔、えっろい」  神様仏様どうしてあたしはこの男に今宵も激しく愛しこまれているのでしょう。  ――2000年代初頭、IT系企業で懸命に働く新卒女子×厳しめの俺様男子との恋物語。

【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜

一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m ✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。 【あらすじ】 神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!   そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!  事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます! カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。

【完結済】25億で極道に売られた女。姐になります!

satomi
恋愛
昼夜問わずに働く18才の主人公南ユキ。 働けども働けどもその収入は両親に搾取されるだけ…。睡眠時間だって2時間程度しかないのに、それでもまだ働き口を増やせと言う両親。 早朝のバイトで頭は朦朧としていたけれど、そんな時にうちにやってきたのは白虎商事CEOの白川大雄さん。ポーンっと25億で私を買っていった。 そんな大雄さん、白虎商事のCEOとは別に白虎組組長の顔を持っていて、私に『姐』になれとのこと。 大丈夫なのかなぁ?

百合ランジェリーカフェにようこそ!

楠富 つかさ
青春
 主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?  ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!! ※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。 表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。

少しの間、家から追い出されたら芸能界デビューしてハーレム作ってました。コスプレのせいで。

昼寝部
キャラ文芸
 俺、日向真白は義妹と幼馴染の策略により、10月31日のハロウィンの日にコスプレをすることとなった。  その日、コスプレの格好をしたまま少しの間、家を追い出された俺は、仕方なく街を歩いていると読者モデルの出版社で働く人に声をかけられる。  とても困っているようだったので、俺の写真を一枚だけ『読者モデル』に掲載することを了承する。  まさか、その写真がキッカケで芸能界デビューすることになるとは思いもせず……。  これは真白が芸能活動をしながら、義妹や幼馴染、アイドル、女優etcからモテモテとなり、全国の女性たちを魅了するだけのお話し。

【完結】イケメンが邪魔して本命に告白できません

竹柏凪紗
青春
高校の入学式、芸能コースに通うアイドルでイケメンの如月風磨が普通科で目立たない最上碧衣の教室にやってきた。女子たちがキャーキャー騒ぐなか、風磨は碧衣の肩を抱き寄せ「お前、今日から俺の女な」と宣言する。その真意とウソつきたちによって複雑になっていく2人の結末とは──

極上イケメン先生が秘密の溺愛教育に熱心です

朝陽七彩
恋愛
 私は。 「夕鶴、こっちにおいで」  現役の高校生だけど。 「ずっと夕鶴とこうしていたい」  担任の先生と。 「夕鶴を誰にも渡したくない」  付き合っています。  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  神城夕鶴(かみしろ ゆづる)  軽音楽部の絶対的エース  飛鷹隼理(ひだか しゅんり)  アイドル的存在の超イケメン先生  ♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡-♡  彼の名前は飛鷹隼理くん。  隼理くんは。 「夕鶴にこうしていいのは俺だけ」  そう言って……。 「そんなにも可愛い声を出されたら……俺、止められないよ」  そして隼理くんは……。  ……‼  しゅっ……隼理くん……っ。  そんなことをされたら……。  隼理くんと過ごす日々はドキドキとわくわくの連続。  ……だけど……。  え……。  誰……?  誰なの……?  その人はいったい誰なの、隼理くん。  ドキドキとわくわくの連続だった私に突如現れた隼理くんへの疑惑。  その疑惑は次第に大きくなり、私の心の中を不安でいっぱいにさせる。  でも。  でも訊けない。  隼理くんに直接訊くことなんて。  私にはできない。  私は。  私は、これから先、一体どうすればいいの……?

処理中です...