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恋愛コミュニケーション
第五話
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あの事件以来山口はクラス中の女子から嫌われていたのだった。亜紀ちゃんに重い処分が下されなかったのは不幸中の幸いだとは思うんだけど、山口が早坂先生に言った事は許されるようなことではないと女子全員が思っていたからだ。亜紀ちゃんが山口を叩いたのはよくない事だとは思うけれど、それ以上に山口は亜紀ちゃんの事を傷付けているという事実は変えられないんだからね。
亜紀ちゃんはいろんな人たちから面白半分で能力者とバカにされていたんだけどボランティアをしないといけない期間は真面目に学校に来て授業を受けていたのに、度を越したいじめによってしばらくは学校に来れなくなってしまったのだった。
「亜紀ちゃんが学校に来ないのって山口が余計な事を早坂先生に言ったからなんだよね。亜紀ちゃんもあんたを叩いたことは悪いと思うけど、あんたが早坂先生に言った事って完全に嫌がらせだよね。それってさ、悪いとは思ってないわけ?」
「は、なんで私が西森に対して罪悪感を抱かないといけないわけさ。叩かれた被害者の私が西森を庇ってあげたのに何でその私が非難されないといけないのよ。普通なら退学になってもおかしくないようなことをしといてあんな程度の罰で済んだのにさ、どうしてそれで私に絡んでくるのよ。迷惑なんだからそういう言いがかりはやめて欲しいんだけど」
「言いがかりって何よ。あんたのせいで亜紀ちゃんが学校に来れなくなってるのは事実じゃん。亜紀ちゃんが学校に来れなくなったのはあんたのせいなんだし、悪いって思わないわけ」
「なんで私が悪いって思わないといけないんだよ。そもそも、私は何もしていないのにいきなり殴られたんだけど、お前たちの中では理由もなく暴力を振るうのは正しい事で被害者が加害者を庇うのは間違ったことだって言うのか?」
「それとこれとは話が違うし、亜紀ちゃんだって私達のためにやったことなんだからね。叩いたのは悪い事だと思うけど、それ以上にあんたが早坂先生に言った事は嘘ばっかりでいい加減な事ばかりじゃない。先生たちだってあんたの言っていることを信じていたわけではないと思うけど、それを含めての罰だってことで亜紀ちゃんはボランティアでゴミ拾いをするだけで済んだんだと思うよ。でもさ、その割には亜紀ちゃんに与えられた罰は重すぎると思うんだけど、それって山口あんたのせいなんだよ」
「なんで私が関係のないお前たちの問題のせいで叩かれないといけないんだよ。そもそもその時点でおかしいって気付けよな。どうせ渡辺か吉井のどっちかが奥谷の事を好きでそれが原因で私を殴らせたって事だろうよ。私は奥谷に対して何の興味も持ってないって何度言っても頭の悪いお前たちはわかっていないんだろうけど、そういうのは私じゃなくて直接奥谷に言えばいい話だろ。それをしないで私に謂れのない文句を言われてもどうしようもないってなんで気付かないんだろうな。恋愛にしか興味が無いお前ららしい考えだよな。どんな構造の脳みそをしていたらそんな風に考えるのか逆に興味があるわ」
「奥谷君の事は関係ないでしょ。今は亜紀ちゃんと山口の話をしているんだし、関係ない話で誤魔化そうとしないでよ。あんたが亜紀ちゃんにやったことは許されることじゃないんだし、直接謝罪しなさいよね。いいわね」
「なんで被害者の私が加害者の西森に謝らないといけないんだよ。そんな事を強要されてるって先生に言ったら、西森はどうなるんだろうね」
「先生に頼るなんて卑怯よ。私達の問題なんだから先生は関係ないでしょ」
「ま、別にいいんだけどね。私はお前たちにかまっているほど暇じゃないんだよ」
歩ちゃんんも茜ちゃんも亜紀ちゃんが学校に来なくなってからピリピリしてるんだよね。私達と話している時は笑顔もあるんだけど授業中に何となく見た時は落ち込んでいるのがわかるんだよね。何とかして亜紀ちゃんたちが普通に暮らせるように戻してあげないとな。そのためには山口に謝らせないといけないと思うんだけど、それってどうやったらいいのかわからないかも。
「ねえ、泉ちゃんは歩ちゃんたちの言ってることどう思う?」
「うーん、亜紀ちゃんが山口さんを叩いたのはよくない事だと思うけど、あの説明は酷すぎると思うな」
「やっぱりそうだよね。私も亜紀ちゃんが叩いたのは良くないと思うけど、山口のアレは酷すぎると思うもん。梓ちゃんだってアレはやりすぎだって怒ってたからね」
「梓ちゃんが怒るなんて珍しいけど、それも仕方ないくら酷いことを言ってたもんね」
前々から山口はクラスの女子から嫌われていたのだけれど、奥谷が山口の味方のような行動をとっていたので明確にいじめのような事は起きてはいなかったのだった。だが、一部の男子の中でも山口が亜紀ちゃんに対してやったことが酷すぎるという意見もあったためか、少しずつではあるのだけれど山口に対する風当たりが強くはなっていた。
こういう時の男子は意外と陰湿な事をするんだなと思っていたけれど、それはまだまだ可愛い事だったんだなと後で思うのだった。
亜紀ちゃんはいろんな人たちから面白半分で能力者とバカにされていたんだけどボランティアをしないといけない期間は真面目に学校に来て授業を受けていたのに、度を越したいじめによってしばらくは学校に来れなくなってしまったのだった。
「亜紀ちゃんが学校に来ないのって山口が余計な事を早坂先生に言ったからなんだよね。亜紀ちゃんもあんたを叩いたことは悪いと思うけど、あんたが早坂先生に言った事って完全に嫌がらせだよね。それってさ、悪いとは思ってないわけ?」
「は、なんで私が西森に対して罪悪感を抱かないといけないわけさ。叩かれた被害者の私が西森を庇ってあげたのに何でその私が非難されないといけないのよ。普通なら退学になってもおかしくないようなことをしといてあんな程度の罰で済んだのにさ、どうしてそれで私に絡んでくるのよ。迷惑なんだからそういう言いがかりはやめて欲しいんだけど」
「言いがかりって何よ。あんたのせいで亜紀ちゃんが学校に来れなくなってるのは事実じゃん。亜紀ちゃんが学校に来れなくなったのはあんたのせいなんだし、悪いって思わないわけ」
「なんで私が悪いって思わないといけないんだよ。そもそも、私は何もしていないのにいきなり殴られたんだけど、お前たちの中では理由もなく暴力を振るうのは正しい事で被害者が加害者を庇うのは間違ったことだって言うのか?」
「それとこれとは話が違うし、亜紀ちゃんだって私達のためにやったことなんだからね。叩いたのは悪い事だと思うけど、それ以上にあんたが早坂先生に言った事は嘘ばっかりでいい加減な事ばかりじゃない。先生たちだってあんたの言っていることを信じていたわけではないと思うけど、それを含めての罰だってことで亜紀ちゃんはボランティアでゴミ拾いをするだけで済んだんだと思うよ。でもさ、その割には亜紀ちゃんに与えられた罰は重すぎると思うんだけど、それって山口あんたのせいなんだよ」
「なんで私が関係のないお前たちの問題のせいで叩かれないといけないんだよ。そもそもその時点でおかしいって気付けよな。どうせ渡辺か吉井のどっちかが奥谷の事を好きでそれが原因で私を殴らせたって事だろうよ。私は奥谷に対して何の興味も持ってないって何度言っても頭の悪いお前たちはわかっていないんだろうけど、そういうのは私じゃなくて直接奥谷に言えばいい話だろ。それをしないで私に謂れのない文句を言われてもどうしようもないってなんで気付かないんだろうな。恋愛にしか興味が無いお前ららしい考えだよな。どんな構造の脳みそをしていたらそんな風に考えるのか逆に興味があるわ」
「奥谷君の事は関係ないでしょ。今は亜紀ちゃんと山口の話をしているんだし、関係ない話で誤魔化そうとしないでよ。あんたが亜紀ちゃんにやったことは許されることじゃないんだし、直接謝罪しなさいよね。いいわね」
「なんで被害者の私が加害者の西森に謝らないといけないんだよ。そんな事を強要されてるって先生に言ったら、西森はどうなるんだろうね」
「先生に頼るなんて卑怯よ。私達の問題なんだから先生は関係ないでしょ」
「ま、別にいいんだけどね。私はお前たちにかまっているほど暇じゃないんだよ」
歩ちゃんんも茜ちゃんも亜紀ちゃんが学校に来なくなってからピリピリしてるんだよね。私達と話している時は笑顔もあるんだけど授業中に何となく見た時は落ち込んでいるのがわかるんだよね。何とかして亜紀ちゃんたちが普通に暮らせるように戻してあげないとな。そのためには山口に謝らせないといけないと思うんだけど、それってどうやったらいいのかわからないかも。
「ねえ、泉ちゃんは歩ちゃんたちの言ってることどう思う?」
「うーん、亜紀ちゃんが山口さんを叩いたのはよくない事だと思うけど、あの説明は酷すぎると思うな」
「やっぱりそうだよね。私も亜紀ちゃんが叩いたのは良くないと思うけど、山口のアレは酷すぎると思うもん。梓ちゃんだってアレはやりすぎだって怒ってたからね」
「梓ちゃんが怒るなんて珍しいけど、それも仕方ないくら酷いことを言ってたもんね」
前々から山口はクラスの女子から嫌われていたのだけれど、奥谷が山口の味方のような行動をとっていたので明確にいじめのような事は起きてはいなかったのだった。だが、一部の男子の中でも山口が亜紀ちゃんに対してやったことが酷すぎるという意見もあったためか、少しずつではあるのだけれど山口に対する風当たりが強くはなっていた。
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