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9.事件発生!?
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「タクヤの超能力を使おうよ」
「もちろんだ! でも、水瀬の場所がわからないと、テレポーテーションで助けにいけないし……」
「コマをさがした方法があるじゃん!」
「あ、そっか! タマキ、ナイスだ!」
オレはタマキのアイディアを採用し、長谷川先生に提案した。
「先生、ダウジングで水瀬の場所をさがしましょうよ!」
オレの言葉を聞いても、長谷川先生は返事をしない。
じっと腕を組んで、考えこんだままだ。
「先生?」
「朝丘くんは、水瀬さんの居場所がわかったら、どうするのかい?」
「そりゃ、テレポーテーションですぐに助けにいきますよ。誘拐犯がいるのなら、サイコキネシスでやっつけます!」
オレはポケットからペンダントを取り出した。
「……やっぱり、こうなってしまうか。だから、朝丘くんに教えるのは迷っていたんだ。本来なら、こういうのは警察の仕事だ。キミに危険なことをさせるわけにはいかない」
「とめてもムダですよ! オレ一人でダウジングで調べて、助けにいきますから!」
水瀬の居場所だけ調べて、警察に知らせようという気にはならなかった。
信じてもらえるとは思えないし、水瀬のことを確実に助けてくれるともかぎらない。
(オレが助けにいかないとダメだ!)
「待ちたまえ! それなら、ボクも覚悟を決めるよ。全面的に協力するから、一人でいこうなんて、絶対に思わないでくれ。こういうときのために、武術を学んでいたのだから」
そう言って、長谷川先生はオレたちからスッと距離をとると、天神流柔術の型をやって見せた。
長谷川先生がかまえると、対峙している相手の姿が、見えるようである。
長谷川先生の手足が流れるように動き、まるで踊っているようだ。
ゆったりとしているようで、ムダのない素早い動作。
次々と相手が投げ飛ばされて、動きが封じられていく。
一人で動いているのに、オレたちには、相手の姿がはっきりと見えた。
これが、武術の達人の動きというものなのか。
オレとタマキは、長谷川先生のあまりにも見事な演武に、思わずパチパチと拍手をしてしまった。
「すごーい、先生! タクヤ、絶対に先生といかないとダメだよ!」
「ああ、そうだな! 長谷川先生、お願いします! オレといっしょに水瀬を助けにいってください!」
「うん、もちろんだよ。実際に誘拐犯をやっつけるのは、ボクにまかせて! きちんと作戦を考えてから、水瀬さんを助けにいこう」
長谷川先生はうなずき、胸をたたく。
まずは、水瀬の居場所をダウジングで調べようということになった。
「それじゃあ、ダウジングの準備をするから、ちょっと待ってて。今日はタブレットを車にのせっぱでね。駐車場まで、すぐにとってくるよ。部屋のカギは閉めといてね」
そう言うと、長谷川先生は駆け足で理科準備室から出ていく。
オレは言われたとおりに、ドアのカギを閉めた。
二人っきりになると、タマキは不安にゆれるひとみで、オレを見つめてきた。
「カオリちゃん……無事かな。カオリちゃんを助けられなかったら、あたし……」
いつも元気印のタマキとは思えない姿だ。
オレはどうすればいいのかわからず、顔をそらしてしまう。
うまくなぐさめる言葉が、浮かばない。
(くっそ、どうすれば……)
長谷川先生が早くもどってきてくれることを、願うばかりだ。
だが……ふと、思いついた。
「あーーーー!! オレのバカヤロー!!」
むしろ、どうして、いままで思いつかなかったのだろう。
思わず、自分の頭をポカポカたたいてしまう。
「ちょっと、どうしたの? 頭がおかしくなっちゃったの?」
「ちげーよ! テレパシーだ!」
「えっ?」
「テレパシーを使えば、水瀬と話せるかも」
「そんなこと、できるの?」
「できる……かもしれない。ためしてみる」
昨日、はじめて使った能力なので、成功するかはわからない。
しかし、ためしてみる価値は十分にあるだろう。
「もー、すぐにやんなよ!」
タマキにせかされて、オレはあわててペンダントを取りだす。
ペンダントを首にかけながら、タマキの態度がいつもどおりになっていることに気づき、ホッとした。
(大丈夫、昨日はちゃんとできたし)
テレパシーのコツは、相手の顔を正確に思い浮かべること。
一日中いっしょにいたのだし、忘れるわけはない。
かんたんだ。
オレは頭の中に、水瀬の顔を思い浮かべて、話しかけた。
「もちろんだ! でも、水瀬の場所がわからないと、テレポーテーションで助けにいけないし……」
「コマをさがした方法があるじゃん!」
「あ、そっか! タマキ、ナイスだ!」
オレはタマキのアイディアを採用し、長谷川先生に提案した。
「先生、ダウジングで水瀬の場所をさがしましょうよ!」
オレの言葉を聞いても、長谷川先生は返事をしない。
じっと腕を組んで、考えこんだままだ。
「先生?」
「朝丘くんは、水瀬さんの居場所がわかったら、どうするのかい?」
「そりゃ、テレポーテーションですぐに助けにいきますよ。誘拐犯がいるのなら、サイコキネシスでやっつけます!」
オレはポケットからペンダントを取り出した。
「……やっぱり、こうなってしまうか。だから、朝丘くんに教えるのは迷っていたんだ。本来なら、こういうのは警察の仕事だ。キミに危険なことをさせるわけにはいかない」
「とめてもムダですよ! オレ一人でダウジングで調べて、助けにいきますから!」
水瀬の居場所だけ調べて、警察に知らせようという気にはならなかった。
信じてもらえるとは思えないし、水瀬のことを確実に助けてくれるともかぎらない。
(オレが助けにいかないとダメだ!)
「待ちたまえ! それなら、ボクも覚悟を決めるよ。全面的に協力するから、一人でいこうなんて、絶対に思わないでくれ。こういうときのために、武術を学んでいたのだから」
そう言って、長谷川先生はオレたちからスッと距離をとると、天神流柔術の型をやって見せた。
長谷川先生がかまえると、対峙している相手の姿が、見えるようである。
長谷川先生の手足が流れるように動き、まるで踊っているようだ。
ゆったりとしているようで、ムダのない素早い動作。
次々と相手が投げ飛ばされて、動きが封じられていく。
一人で動いているのに、オレたちには、相手の姿がはっきりと見えた。
これが、武術の達人の動きというものなのか。
オレとタマキは、長谷川先生のあまりにも見事な演武に、思わずパチパチと拍手をしてしまった。
「すごーい、先生! タクヤ、絶対に先生といかないとダメだよ!」
「ああ、そうだな! 長谷川先生、お願いします! オレといっしょに水瀬を助けにいってください!」
「うん、もちろんだよ。実際に誘拐犯をやっつけるのは、ボクにまかせて! きちんと作戦を考えてから、水瀬さんを助けにいこう」
長谷川先生はうなずき、胸をたたく。
まずは、水瀬の居場所をダウジングで調べようということになった。
「それじゃあ、ダウジングの準備をするから、ちょっと待ってて。今日はタブレットを車にのせっぱでね。駐車場まで、すぐにとってくるよ。部屋のカギは閉めといてね」
そう言うと、長谷川先生は駆け足で理科準備室から出ていく。
オレは言われたとおりに、ドアのカギを閉めた。
二人っきりになると、タマキは不安にゆれるひとみで、オレを見つめてきた。
「カオリちゃん……無事かな。カオリちゃんを助けられなかったら、あたし……」
いつも元気印のタマキとは思えない姿だ。
オレはどうすればいいのかわからず、顔をそらしてしまう。
うまくなぐさめる言葉が、浮かばない。
(くっそ、どうすれば……)
長谷川先生が早くもどってきてくれることを、願うばかりだ。
だが……ふと、思いついた。
「あーーーー!! オレのバカヤロー!!」
むしろ、どうして、いままで思いつかなかったのだろう。
思わず、自分の頭をポカポカたたいてしまう。
「ちょっと、どうしたの? 頭がおかしくなっちゃったの?」
「ちげーよ! テレパシーだ!」
「えっ?」
「テレパシーを使えば、水瀬と話せるかも」
「そんなこと、できるの?」
「できる……かもしれない。ためしてみる」
昨日、はじめて使った能力なので、成功するかはわからない。
しかし、ためしてみる価値は十分にあるだろう。
「もー、すぐにやんなよ!」
タマキにせかされて、オレはあわててペンダントを取りだす。
ペンダントを首にかけながら、タマキの態度がいつもどおりになっていることに気づき、ホッとした。
(大丈夫、昨日はちゃんとできたし)
テレパシーのコツは、相手の顔を正確に思い浮かべること。
一日中いっしょにいたのだし、忘れるわけはない。
かんたんだ。
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