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10.キミを助けたい
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【おい、水瀬! 聞こえるか? 聞こえるなら返事をしてくれ!】
オレはテレパシーで、なんども呼びかけてみる。
しばらくすると……。
【朝丘くん……?】
頭の中に、水瀬の声が聞こえてきた。
じっと見つめていたタマキに向かって、オレは親指を立てて見せる。
タマキの顔がパッと明るくなった。
【おし、成功だ! 今、どこにいるんだ? 無事なのか?】
オレは、やつぎばやに質問した。
【うん……無事だよ。昨日、タマちゃんと別れたあとに、いきなり袋のようなものをかぶせられて、車にのせられたの】
【どこにいるのか、わかるか?】
【ううん。ずっと外の景色が見えなかったから、わからない。ただ、どこかの倉庫に閉じこめられていて、海の匂いがする】
【なるほど……、今の状況を見せてくれるか?】
【うん、わたしが見ている景色を送るね】
オレの頭の中に、映像が送られてきた。
薄暗い。
でも中はそれなりに広そうだ。
色んな道具が、ゴチャゴチャとつんである。
たしかに倉庫の中のようだ。
水瀬はイスに縛りつけられて、見張りをしているガラの悪そうな男たちが、退屈そうに欠伸をしていた。
こいつらが誘拐犯だろう。
見える範囲では、五人いた。
【もやい綱に、刺し網、養殖イカダのタルか……】
【え?】
【漁師の仕事道具だ。おそらく港のそばにある倉庫っぽいな】
吾郎おじさんに見せてもらったことがあるので、オレは倉庫にある道具がわかった。
海の匂いがするってことからも、まちがいないだろう。
【すぐにダウジングで場所を調べて、助けにいくからな! な~に、テレポーテーションでひとっ飛びだぜ!】
水瀬のすぐそばにテレポーテーションで移動して、いっしょにテレポーテーションで逃げればいい。
いっしゅんで助けだせるではないか。
今思いついた方法だが、我ながらナイスなアイディアである。
そう思っていたが……、
【ダメ! それはムリ! 絶対にしないで!】
【どうして?】
水瀬に強く拒否されて、オレは驚く。
【テレポーテーションを使うと、そのあたりの空間がゆがんでしまうの。元にもどるまで五分ぐらいかかって、その間はテレポーテーションを使えないよ】
(そうだったのか……、あぶねー)
テレポーテーションの意外な弱点を聞いてしまい、オレはうめく。
誘拐犯は五分間も待ってくれないだろう。
【あ、でも、長谷川先生といっしょに移動すれば、誘拐犯をやっつけてくれるかも。あの人、すげー強いんだぞ。そこにいる五人くらいなら、かんたんにやっつけられる】
【それもダメ! この人たち拳銃を持っているの! いくら長谷川先生が強くても、かないっこないよ】
【そうか……】
いくら長谷川先生が武術の達人といっても、拳銃を持っている相手がたくさんいるのなら、かなうわけがない。
(くそっ、どうすればいいんだ……)
オレは、頭をかきむしる。
【お父さまの番号を教えるから、この場所を伝えてくれないかな? お父さまは超能力のことを知っているから、信じてもらえるはず】
【水瀬の父さんは、大会社の社長だしな。救出してくれる特殊部隊みたいなのがいるのか?】
【映画じゃあるまいし、そんなのあるわけないよ】
水瀬が苦笑している気配が、伝わってきた。
【ただ、お父さまの言葉の方が、警察に信じてもらえると思う。警察が動いてくれるかもしれない】
結局は、警察に頼るしかないのか……。
オレは不安になって、聞いてみた。
【……それで、おまえは無事に助かるのか?】
【…………】
水瀬はだまりこんでしまう。
返事をしない……いや、できないのだ。
テレパシーで、ウソをつけない。
つまり、水瀬は自分が助からないと思っている。
【ダメだ! やっぱり、オレたちが助けにいく!】
【ねえ、聞いて! この人たちは、明日、身代金を受けとったら、わたしのことを殺すつもりだったの。でも、警察がこの場所を知ったら、わたしは助かるかもしれない。それだけで十分だから! 朝丘くんたちは、絶対に危険なことをしないで!】
オレはいったんテレパシーを中断した。
頭をブルブルとふる。
「あのバカヤローが……」
自分が死ぬかもしれないってのに、水瀬はオレたちの心配をしていた。
そのことが、妙に腹立たしかった。
ふざけんな! って気分だ。
オレはテレパシーで、なんども呼びかけてみる。
しばらくすると……。
【朝丘くん……?】
頭の中に、水瀬の声が聞こえてきた。
じっと見つめていたタマキに向かって、オレは親指を立てて見せる。
タマキの顔がパッと明るくなった。
【おし、成功だ! 今、どこにいるんだ? 無事なのか?】
オレは、やつぎばやに質問した。
【うん……無事だよ。昨日、タマちゃんと別れたあとに、いきなり袋のようなものをかぶせられて、車にのせられたの】
【どこにいるのか、わかるか?】
【ううん。ずっと外の景色が見えなかったから、わからない。ただ、どこかの倉庫に閉じこめられていて、海の匂いがする】
【なるほど……、今の状況を見せてくれるか?】
【うん、わたしが見ている景色を送るね】
オレの頭の中に、映像が送られてきた。
薄暗い。
でも中はそれなりに広そうだ。
色んな道具が、ゴチャゴチャとつんである。
たしかに倉庫の中のようだ。
水瀬はイスに縛りつけられて、見張りをしているガラの悪そうな男たちが、退屈そうに欠伸をしていた。
こいつらが誘拐犯だろう。
見える範囲では、五人いた。
【もやい綱に、刺し網、養殖イカダのタルか……】
【え?】
【漁師の仕事道具だ。おそらく港のそばにある倉庫っぽいな】
吾郎おじさんに見せてもらったことがあるので、オレは倉庫にある道具がわかった。
海の匂いがするってことからも、まちがいないだろう。
【すぐにダウジングで場所を調べて、助けにいくからな! な~に、テレポーテーションでひとっ飛びだぜ!】
水瀬のすぐそばにテレポーテーションで移動して、いっしょにテレポーテーションで逃げればいい。
いっしゅんで助けだせるではないか。
今思いついた方法だが、我ながらナイスなアイディアである。
そう思っていたが……、
【ダメ! それはムリ! 絶対にしないで!】
【どうして?】
水瀬に強く拒否されて、オレは驚く。
【テレポーテーションを使うと、そのあたりの空間がゆがんでしまうの。元にもどるまで五分ぐらいかかって、その間はテレポーテーションを使えないよ】
(そうだったのか……、あぶねー)
テレポーテーションの意外な弱点を聞いてしまい、オレはうめく。
誘拐犯は五分間も待ってくれないだろう。
【あ、でも、長谷川先生といっしょに移動すれば、誘拐犯をやっつけてくれるかも。あの人、すげー強いんだぞ。そこにいる五人くらいなら、かんたんにやっつけられる】
【それもダメ! この人たち拳銃を持っているの! いくら長谷川先生が強くても、かないっこないよ】
【そうか……】
いくら長谷川先生が武術の達人といっても、拳銃を持っている相手がたくさんいるのなら、かなうわけがない。
(くそっ、どうすればいいんだ……)
オレは、頭をかきむしる。
【お父さまの番号を教えるから、この場所を伝えてくれないかな? お父さまは超能力のことを知っているから、信じてもらえるはず】
【水瀬の父さんは、大会社の社長だしな。救出してくれる特殊部隊みたいなのがいるのか?】
【映画じゃあるまいし、そんなのあるわけないよ】
水瀬が苦笑している気配が、伝わってきた。
【ただ、お父さまの言葉の方が、警察に信じてもらえると思う。警察が動いてくれるかもしれない】
結局は、警察に頼るしかないのか……。
オレは不安になって、聞いてみた。
【……それで、おまえは無事に助かるのか?】
【…………】
水瀬はだまりこんでしまう。
返事をしない……いや、できないのだ。
テレパシーで、ウソをつけない。
つまり、水瀬は自分が助からないと思っている。
【ダメだ! やっぱり、オレたちが助けにいく!】
【ねえ、聞いて! この人たちは、明日、身代金を受けとったら、わたしのことを殺すつもりだったの。でも、警察がこの場所を知ったら、わたしは助かるかもしれない。それだけで十分だから! 朝丘くんたちは、絶対に危険なことをしないで!】
オレはいったんテレパシーを中断した。
頭をブルブルとふる。
「あのバカヤローが……」
自分が死ぬかもしれないってのに、水瀬はオレたちの心配をしていた。
そのことが、妙に腹立たしかった。
ふざけんな! って気分だ。
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