1 / 33
1.タクヤのヒミツ
1
しおりを挟む
超能力を知っているだろうか?
手をふれずに物を動かす『サイコキネシス』
一瞬で場所を移動する『テレポーテーション』
言葉を発しなくても、頭で思ったことを伝える『テレパシー』
これから起きることがわかる『未来予知』
……などなど、超能力には、色んな種類の能力がある。
このような能力が使える人間を、超能力者という。
カッコよくカタカナでいうと、エスパーってやつだ。
オレの名は、朝丘タクヤ、十二歳。
この春に若宮中学に入学したばかり。
勉強も運動も平凡なただの中学生。
だけど!
なんと!!
超能力を使うことができるんだ!!!
つまり、オレってエスパーなんだぜ!!!!!!
………………へっぽこだけどな。
*
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「ああ、次からは気をつけるんだぞ!」
低学年の男の子が、手をふりながら駆けていく。
オレは苦笑しながら、手をふりかえした。
なにがあったのかというと、男の子が道ばたの側溝に、五百円玉を落としてしまったのである。
男の子はべそをかきながら、一生懸命、側溝のフタを開けようとしていた。
だがフタは重くて、まったく動かせることができない。
……五百円。
大金だよなぁ。
五百円があればマンガ雑誌を買うことができるし、お菓子をたくさん買うこともできる。
あきらめられるわけがない!
そこで、たまたま通りかかったオレが、側溝から五百円玉を拾ってあげたわけだ。
もちろん、オレにも側溝のフタを持ち上げることなんてできないぞ。
穴の部分に指をつっこんでフタを持ち上げようとしたけど、ピクリとも動かなかった。
なら、どうやって五百円玉を拾ったかというと……。
「よし、誰もいないな」
まずオレは、あたりをキョロキョロと見わたした。人がいたら大変なので。
「……やっぱり、取れないのかな?」
男の子はひどく悲しそうな顔でオレを見てくる。半分泣きそうだ。
これは、急がないとやばい!
「まて、あわてんなって…………あ、あんなところに、空飛ぶ黒猫の集団がいるぞ!」
「えっ! どこどこ?」
オレが空を指をさすと、男の子は釣られて空を見た。
(よっしゃ、いまだ!)
そのすきに、側溝に落ちていた五百円玉に向かって、全力で念じる。
(浮き上がれ! とっとと浮き上がりやがれ!)
すると、五百円玉はフワフワと浮き上がり、側溝のフタのすきまを通りぬけて、オレの手の中におさまった。
「そんなの、いないじゃん」
「ああ、ごめん、ごめん。見まちがいだったみたいだ。それより、はい、五百円。拾っておいたぞ」
「え、ウソ! わーい、やったー!」
五百円玉を受けとった男の子は、大よろこび。
オレはその姿を見て、うれしくなった。
やっぱ人助けをするって、気分がいいぜ。
タマキとの約束を破ってしまったが、これなら許してくれるだろう
あ、タマキっってのは、オレの幼なじみの女子で、本名は佐倉タマキ。
ちょっと怒りっぽくて、説教臭くて、食いしん坊だが、いい奴だ。
「さ、腹もへったし、帰るとするか」
オレは上機嫌で、鼻歌まじりに歩きだした。
手をふれずに物を動かす『サイコキネシス』
一瞬で場所を移動する『テレポーテーション』
言葉を発しなくても、頭で思ったことを伝える『テレパシー』
これから起きることがわかる『未来予知』
……などなど、超能力には、色んな種類の能力がある。
このような能力が使える人間を、超能力者という。
カッコよくカタカナでいうと、エスパーってやつだ。
オレの名は、朝丘タクヤ、十二歳。
この春に若宮中学に入学したばかり。
勉強も運動も平凡なただの中学生。
だけど!
なんと!!
超能力を使うことができるんだ!!!
つまり、オレってエスパーなんだぜ!!!!!!
………………へっぽこだけどな。
*
「お兄ちゃん、ありがとう!」
「ああ、次からは気をつけるんだぞ!」
低学年の男の子が、手をふりながら駆けていく。
オレは苦笑しながら、手をふりかえした。
なにがあったのかというと、男の子が道ばたの側溝に、五百円玉を落としてしまったのである。
男の子はべそをかきながら、一生懸命、側溝のフタを開けようとしていた。
だがフタは重くて、まったく動かせることができない。
……五百円。
大金だよなぁ。
五百円があればマンガ雑誌を買うことができるし、お菓子をたくさん買うこともできる。
あきらめられるわけがない!
そこで、たまたま通りかかったオレが、側溝から五百円玉を拾ってあげたわけだ。
もちろん、オレにも側溝のフタを持ち上げることなんてできないぞ。
穴の部分に指をつっこんでフタを持ち上げようとしたけど、ピクリとも動かなかった。
なら、どうやって五百円玉を拾ったかというと……。
「よし、誰もいないな」
まずオレは、あたりをキョロキョロと見わたした。人がいたら大変なので。
「……やっぱり、取れないのかな?」
男の子はひどく悲しそうな顔でオレを見てくる。半分泣きそうだ。
これは、急がないとやばい!
「まて、あわてんなって…………あ、あんなところに、空飛ぶ黒猫の集団がいるぞ!」
「えっ! どこどこ?」
オレが空を指をさすと、男の子は釣られて空を見た。
(よっしゃ、いまだ!)
そのすきに、側溝に落ちていた五百円玉に向かって、全力で念じる。
(浮き上がれ! とっとと浮き上がりやがれ!)
すると、五百円玉はフワフワと浮き上がり、側溝のフタのすきまを通りぬけて、オレの手の中におさまった。
「そんなの、いないじゃん」
「ああ、ごめん、ごめん。見まちがいだったみたいだ。それより、はい、五百円。拾っておいたぞ」
「え、ウソ! わーい、やったー!」
五百円玉を受けとった男の子は、大よろこび。
オレはその姿を見て、うれしくなった。
やっぱ人助けをするって、気分がいいぜ。
タマキとの約束を破ってしまったが、これなら許してくれるだろう
あ、タマキっってのは、オレの幼なじみの女子で、本名は佐倉タマキ。
ちょっと怒りっぽくて、説教臭くて、食いしん坊だが、いい奴だ。
「さ、腹もへったし、帰るとするか」
オレは上機嫌で、鼻歌まじりに歩きだした。
0
お気に入りに追加
7
あなたにおすすめの小説

秘密
阿波野治
児童書・童話
住友みのりは憂うつそうな顔をしている。心配した友人が事情を訊き出そうとすると、みのりはなぜか声を荒らげた。後ろの席からそれを見ていた香坂遥斗は、みのりが抱えている謎を知りたいと思い、彼女に近づこうとする。
【総集編】日本昔話 パロディ短編集
Grisly
児童書・童話
❤️⭐️お願いします。
今まで発表した
日本昔ばなしの短編集を、再放送致します。
朝ドラの総集編のような物です笑
読みやすくなっているので、
⭐️して、何度もお読み下さい。
読んだ方も、読んでない方も、
新しい発見があるはず!
是非お楽しみ下さい😄
⭐︎登録、コメント待ってます。
悪魔さまの言うとおり~わたし、執事になります⁉︎~
橘花やよい
児童書・童話
女子中学生・リリイが、入学することになったのは、お嬢さま学校。でもそこは「悪魔」の学校で、「執事として入学してちょうだい」……って、どういうことなの⁉待ち構えるのは、きれいでいじわるな悪魔たち!
友情と魔法と、胸キュンもありの学園ファンタジー。
第2回きずな児童書大賞参加作です。
鎌倉西小学校ミステリー倶楽部
澤田慎梧
児童書・童話
【「鎌倉猫ヶ丘小ミステリー倶楽部」に改題して、アルファポリスきずな文庫より好評発売中!】
https://kizuna.alphapolis.co.jp/book/11230
【「第1回きずな児童書大賞」にて、「謎解きユニーク探偵賞」を受賞】
市立「鎌倉西小学校」には不思議な部活がある。その名も「ミステリー倶楽部」。なんでも、「学校の怪談」の正体を、鮮やかに解明してくれるのだとか……。
学校の中で怪奇現象を目撃したら、ぜひとも「ミステリー倶楽部」に相談することをオススメする。
案外、つまらない勘違いが原因かもしれないから。
……本物の「お化け」や「妖怪」が出てくる前に、相談しに行こう。
※本作品は小学校高学年以上を想定しています。作中の漢字には、ふりがなが多く振ってあります。
※本作品はフィクションです。実在の人物・団体とは一切関係ありません。
※本作品は、三人の主人公を描いた連作短編です。誰を主軸にするかで、ジャンルが少し変化します。
※カクヨムさんにも投稿しています(初出:2020年8月1日)
【完】ことうの怪物いっか ~夏休みに親子で漂流したのは怪物島!? 吸血鬼と人造人間に育てられた女の子を救出せよ! ~
丹斗大巴
児童書・童話
どきどきヒヤヒヤの夏休み!小学生とその両親が流れ着いたのは、モンスターの住む孤島!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
夏休み、家族で出掛けた先でクルーザーが転覆し、漂流した青山親子の3人。とある島に流れ着くと、古風で顔色の悪い外国人と、大怪我を負ったという気味の悪い執事、そしてあどけない少女が住んでいた。なんと、彼らの正体は吸血鬼と、その吸血鬼に作られた人造人間! 人間の少女を救い出し、無事に島から脱出できるのか……!?
*☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆* *☆*
家族のきずなと種を超えた友情の物語。
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録〜討伐も採集もお任せください!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?〜
うさみち
児童書・童話
【見習い錬金術士とうさぎのぬいぐるみたちが描く、スパイス混じりのゆるふわ冒険!情報収集のために、お仕事のご依頼も承ります!】
「……襲われてる! 助けなきゃ!」
錬成アイテムの採集作業中に訪れた、モンスターに襲われている少年との突然の出会い。
人里離れた山陵の中で、慎ましやかに暮らしていた見習い錬金術士ミミリと彼女の家族、機械人形(オートマタ)とうさぎのぬいぐるみ。彼女たちの運命は、少年との出会いで大きく動き出す。
「俺は、ある人たちから頼まれて預かり物を渡すためにここに来たんだ」
少年から渡された物は、いくつかの錬成アイテムと一枚の手紙。
「……この手紙、私宛てなの?」
少年との出会いをキッカケに、ミミリはある人、あるアイテムを探すために冒険を始めることに。
――冒険の舞台は、まだ見ぬ世界へ。
新たな地で、右も左もわからないミミリたちの人探し。その方法は……。
「討伐、採集何でもします!ご依頼達成の報酬は、情報でお願いできますか?」
見習い錬金術士ミミリの冒険の記録は、今、ここから綴られ始める。
《この小説の見どころ》
①可愛いらしい登場人物
見習い錬金術士のゆるふわ少女×しっかり者だけど寂しがり屋の凄腕美少女剣士の機械人形(オートマタ)×ツンデレ魔法使いのうさぎのぬいぐるみ×コシヌカシの少年⁉︎
②ほのぼのほんわか世界観
可愛いらしいに囲まれ、ゆったり流れる物語。読了後、「ほわっとした気持ち」になってもらいたいをコンセプトに。
③時々スパイスきいてます!
ゆるふわの中に時折現れるスパイシーな展開。そして時々ミステリー。
④魅力ある錬成アイテム
錬金術士の醍醐味!それは錬成アイテムにあり。魅力あるアイテムを活用して冒険していきます。
◾️第3章完結!現在第4章執筆中です。
◾️この小説は小説家になろう、カクヨムでも連載しています。
◾️作者以外による小説の無断転載を禁止しています。
◾️挿絵はなんでも書いちゃうヨギリ酔客様からご寄贈いただいたものです。
児童絵本館のオオカミ
火隆丸
児童書・童話
閉鎖した児童絵本館に放置されたオオカミの着ぐるみが語る、数々の思い出。ボロボロの着ぐるみの中には、たくさんの人の想いが詰まっています。着ぐるみと人との間に生まれた、切なくも美しい物語です。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる