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7.交錯する想い
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「じゃあ、さっそく遊びにいこうよ!」
「そうだな」
八代くんも、遊園地でテンションが上がっているみたい。
カケルといっしょに、今にも駆け出しそうである。
「あ、その前に、ちょっといいかな?」
わたしは、カケルたちをストップさせる。
「どうかしたの?」
「あのね。みんなで写真をとりたいなって」
わたしは、遊園地のマスコットキャラクターであるワカサマとミヤヒメを指さす。
ワカサマはお殿さまで、ミヤヒメはお姫さまのような着物姿だ。
頭と胴体が大きな大福みたいな2頭身キャラで、かわいいんだよ。
いっしょに撮影するサービスがあるので、順番待ちの列ができていた。
「結構、時間がかかりそうだな」
「そうなんだけど、お願い!」
わたしは両手を合わせて、たのみこむ。
「まあ、いいんじゃないかな」
「そうね、記念になりそうだし」
やよいちゃんと八代くんも賛成してくれたので、写真をとることになった(やったね!)。
少し待ったけど、4人でマスコットといっしょに、撮影してもらう。
プリントアウトしてもらった写真を受けとって、わたしはうれしくなった。
(ああ、いいよね、こういうの)
きっとこの1枚の写真は、わたしの大切な宝物になると思う。
*
そのあとは、わたしたちはいろんなアトラクションで遊んだ。
コーヒーカップでカケルと八代くんが思いっきりハンドルを回して気分が悪くなったり、ゴーカートでみんなで競争したり、意外にもやよいちゃんがお化け屋敷を怖がったり、光線銃を使ったアトラクションで、八代くんが新記録を出したり……。
ひとつのアトラクションが終わると、すぐ次に向かい、時間をおしむように、次々とアトラクションを制覇していく。
みんなで笑い、はしゃぎ、最高の気分だった。
そんなこんなで遊びまわっていると、お昼なる。
「……そろそろ、昼食にしない?」
「お、いいね。腹がへってきた」
「あっちに、フードコートがあるよ」
やよいちゃんの言葉で、お昼ごはんを食べることに。
カケルは気づいてないだろうけど、このときのやよいちゃんの声は、緊張していた。
(そろそろだからね……)
わたしは心の中で「がんばって!」と応援する。
フードコートは混んでいたけど、運よく4人用の丸テーブルに、みんなで座ることができた。
カウンターで好きなものを注文して、番号札を受けとり席につくと、午後にどこを回るか話し合う。
そのとき、やよいちゃんがさりげない動作で、パンフレットのあるページをひらいた。
「おっ、午後からヒーローショーをやってんじゃん。みんなで行こうぜ!」
カケルがパンフレットを見て、うれしそうに提案する。
そう、カケルは昔から、特撮ヒーローが大好きなんだ。
この遊園地では『わかみや戦隊』という、ご当地ヒーローのショーをやっていた。
「えー、ヒーローショーなんて子供っぽいの見たくないよ」
「ぼくもキョーミないかな」
カケルの提案に、わたしと八代くんは反対する。
「え、あ、そうか……」
カケルは、あからさまにがっかりした表情をした。
(……ごめんね)
決めていたこととはいえ、心がイタい。
「わたし、ここのヒーローショーって好きよ。小さなころから見てたわ」
「ホントか?」
やよいちゃんの言葉に、カケルの顔がとたんに明るくなる。
「如月がこういうの好きなんて、意外だな。好きなメンバーいるか?」
「わかみやブルーかな。普段はクールなんだけど、いざってときには、チームのみんなのためにがんばるところがカッコいいわ」
「お、すげーな! よくわかってんじゃん!」
「日向くんは?」
「オレはやっぱり、わかみやレッドだな。熱く燃える正義の心がたまんねー」
カケルとやよいちゃんは、ヒーローの話題で、盛り上がっている。
カケルがヒーローショーが大好きなのは、あらかじめ、やよいちゃんに教えといたんだ。
それで、この日のために予習しといてもらったってわけ。
ちょっとだけズルい気もするけど、この程度はいいよね。
「そうだな」
八代くんも、遊園地でテンションが上がっているみたい。
カケルといっしょに、今にも駆け出しそうである。
「あ、その前に、ちょっといいかな?」
わたしは、カケルたちをストップさせる。
「どうかしたの?」
「あのね。みんなで写真をとりたいなって」
わたしは、遊園地のマスコットキャラクターであるワカサマとミヤヒメを指さす。
ワカサマはお殿さまで、ミヤヒメはお姫さまのような着物姿だ。
頭と胴体が大きな大福みたいな2頭身キャラで、かわいいんだよ。
いっしょに撮影するサービスがあるので、順番待ちの列ができていた。
「結構、時間がかかりそうだな」
「そうなんだけど、お願い!」
わたしは両手を合わせて、たのみこむ。
「まあ、いいんじゃないかな」
「そうね、記念になりそうだし」
やよいちゃんと八代くんも賛成してくれたので、写真をとることになった(やったね!)。
少し待ったけど、4人でマスコットといっしょに、撮影してもらう。
プリントアウトしてもらった写真を受けとって、わたしはうれしくなった。
(ああ、いいよね、こういうの)
きっとこの1枚の写真は、わたしの大切な宝物になると思う。
*
そのあとは、わたしたちはいろんなアトラクションで遊んだ。
コーヒーカップでカケルと八代くんが思いっきりハンドルを回して気分が悪くなったり、ゴーカートでみんなで競争したり、意外にもやよいちゃんがお化け屋敷を怖がったり、光線銃を使ったアトラクションで、八代くんが新記録を出したり……。
ひとつのアトラクションが終わると、すぐ次に向かい、時間をおしむように、次々とアトラクションを制覇していく。
みんなで笑い、はしゃぎ、最高の気分だった。
そんなこんなで遊びまわっていると、お昼なる。
「……そろそろ、昼食にしない?」
「お、いいね。腹がへってきた」
「あっちに、フードコートがあるよ」
やよいちゃんの言葉で、お昼ごはんを食べることに。
カケルは気づいてないだろうけど、このときのやよいちゃんの声は、緊張していた。
(そろそろだからね……)
わたしは心の中で「がんばって!」と応援する。
フードコートは混んでいたけど、運よく4人用の丸テーブルに、みんなで座ることができた。
カウンターで好きなものを注文して、番号札を受けとり席につくと、午後にどこを回るか話し合う。
そのとき、やよいちゃんがさりげない動作で、パンフレットのあるページをひらいた。
「おっ、午後からヒーローショーをやってんじゃん。みんなで行こうぜ!」
カケルがパンフレットを見て、うれしそうに提案する。
そう、カケルは昔から、特撮ヒーローが大好きなんだ。
この遊園地では『わかみや戦隊』という、ご当地ヒーローのショーをやっていた。
「えー、ヒーローショーなんて子供っぽいの見たくないよ」
「ぼくもキョーミないかな」
カケルの提案に、わたしと八代くんは反対する。
「え、あ、そうか……」
カケルは、あからさまにがっかりした表情をした。
(……ごめんね)
決めていたこととはいえ、心がイタい。
「わたし、ここのヒーローショーって好きよ。小さなころから見てたわ」
「ホントか?」
やよいちゃんの言葉に、カケルの顔がとたんに明るくなる。
「如月がこういうの好きなんて、意外だな。好きなメンバーいるか?」
「わかみやブルーかな。普段はクールなんだけど、いざってときには、チームのみんなのためにがんばるところがカッコいいわ」
「お、すげーな! よくわかってんじゃん!」
「日向くんは?」
「オレはやっぱり、わかみやレッドだな。熱く燃える正義の心がたまんねー」
カケルとやよいちゃんは、ヒーローの話題で、盛り上がっている。
カケルがヒーローショーが大好きなのは、あらかじめ、やよいちゃんに教えといたんだ。
それで、この日のために予習しといてもらったってわけ。
ちょっとだけズルい気もするけど、この程度はいいよね。
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