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4.やよいちゃんの初恋
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さて、5月にある大きな行事と言えば、今日の体育祭。
運動が得意なら、ヒーローになれる日である。
残念ながら、わたしは活躍できるほど運動が得意ではない。
ビリにはならないけど、上位にもなれないフツーって感じ。
でも、今日の陽気は運動するにはいい感じかな。
よく晴れた空に、さわやかな風が吹いている。
「やよいは、ケガしないように気をつけてね」
「もー、わかってるわよ」
八代くんは、やよいちゃんを気づかう。
やよいちゃんは、運動が苦手なんだ。
でもね、やよいちゃんの長所は、いっぱいありすぎるくらいなので、このくらいはどうってことないよ。
「よし、コウタ。クラス優勝をねらっていくぞ!」
「お、カケル、気合いが入ってるねー」
カケルがまたサッカーをはじめると言ったら、八代くんは大よろこび。
カケルは最近まで八代くんのことをさけていた部分もあったけど、すぐにふたりの関係は、小学生のころのような親友にもどったみたい。
(男子の友情って、さっぱりしてていいよね)
この学校の体育祭は、両親が応援に来ないし、ダンスなどの団体演技のようなものはない。
ただ、クラス対抗で得点を競うので、運動が得意な子はかなり燃えている。
わたしたちは、1年生同士で得点を競うんだ。
合計点がいちばんならクラス優勝というシンプルなルール。
ラストの種目である選抜リレーの配点が高くなっているのは、盛り上げるための工夫らしいよ。
一発逆転のクイズ番組みたいな感じだね。
「わたし、運動ダメだから。足を引っぱっちゃいそう……」
「如月は体が弱いしな、ムリすんなよ。その分、オレたちが得点を稼いできてやるから、安心しろって!」
「うん、ごめんね」
「気にすんなって! そのかわり、中間テストが近くなったら、勉強を教えてくれよ。オレはそっちが全然ダメだから」
「それなら、よろこんで」
やよいちゃんが安心したように、ニッコリと笑った。
おっと、カケルの言葉で、5月のもうひとつの行事を思い出してしまった。
月末には、はじめての中間テストがあるんだよね。
どうすればいいのかわからないから、わたしもやよい先生に勉強を教えてもらうことにしよう。
「八代くんもカケルも、やよいちゃんにばっかりやさしくしてずるいや。わたしには?」
「おまえは熱を出しても、次の日に運動できるくらい体が丈夫だろうが! ぶっ倒れるまでがんばれ!」
「え~、ひどい」
わたしがおどけて言うと、みんなが笑った。
わたしたちの関係がまた元通りになって、最近はすごく楽しい。
「ははははっ、桜井さんも怪我には気をつけてね」
笑いながらも、きちんとフォローしてくれる八代くんはやさしい
ま、あんなことを言いながらも、わたしが本当に倒れたら、カケルはダッシュでかけつけてくれるだろう。
「日向くん、変わったよね」
「うん」
やよいちゃんの言葉に同意する。
カケルは、中学に入学してからのトゲトゲしさがなくなった。
サッカーのことで、悩む必要がなくなったせいだと思う。
そのせいか、最近では、クラス内でも男女を問わず、カケルに話しかける人が増えてきた。
運動が得意なら、ヒーローになれる日である。
残念ながら、わたしは活躍できるほど運動が得意ではない。
ビリにはならないけど、上位にもなれないフツーって感じ。
でも、今日の陽気は運動するにはいい感じかな。
よく晴れた空に、さわやかな風が吹いている。
「やよいは、ケガしないように気をつけてね」
「もー、わかってるわよ」
八代くんは、やよいちゃんを気づかう。
やよいちゃんは、運動が苦手なんだ。
でもね、やよいちゃんの長所は、いっぱいありすぎるくらいなので、このくらいはどうってことないよ。
「よし、コウタ。クラス優勝をねらっていくぞ!」
「お、カケル、気合いが入ってるねー」
カケルがまたサッカーをはじめると言ったら、八代くんは大よろこび。
カケルは最近まで八代くんのことをさけていた部分もあったけど、すぐにふたりの関係は、小学生のころのような親友にもどったみたい。
(男子の友情って、さっぱりしてていいよね)
この学校の体育祭は、両親が応援に来ないし、ダンスなどの団体演技のようなものはない。
ただ、クラス対抗で得点を競うので、運動が得意な子はかなり燃えている。
わたしたちは、1年生同士で得点を競うんだ。
合計点がいちばんならクラス優勝というシンプルなルール。
ラストの種目である選抜リレーの配点が高くなっているのは、盛り上げるための工夫らしいよ。
一発逆転のクイズ番組みたいな感じだね。
「わたし、運動ダメだから。足を引っぱっちゃいそう……」
「如月は体が弱いしな、ムリすんなよ。その分、オレたちが得点を稼いできてやるから、安心しろって!」
「うん、ごめんね」
「気にすんなって! そのかわり、中間テストが近くなったら、勉強を教えてくれよ。オレはそっちが全然ダメだから」
「それなら、よろこんで」
やよいちゃんが安心したように、ニッコリと笑った。
おっと、カケルの言葉で、5月のもうひとつの行事を思い出してしまった。
月末には、はじめての中間テストがあるんだよね。
どうすればいいのかわからないから、わたしもやよい先生に勉強を教えてもらうことにしよう。
「八代くんもカケルも、やよいちゃんにばっかりやさしくしてずるいや。わたしには?」
「おまえは熱を出しても、次の日に運動できるくらい体が丈夫だろうが! ぶっ倒れるまでがんばれ!」
「え~、ひどい」
わたしがおどけて言うと、みんなが笑った。
わたしたちの関係がまた元通りになって、最近はすごく楽しい。
「ははははっ、桜井さんも怪我には気をつけてね」
笑いながらも、きちんとフォローしてくれる八代くんはやさしい
ま、あんなことを言いながらも、わたしが本当に倒れたら、カケルはダッシュでかけつけてくれるだろう。
「日向くん、変わったよね」
「うん」
やよいちゃんの言葉に同意する。
カケルは、中学に入学してからのトゲトゲしさがなくなった。
サッカーのことで、悩む必要がなくなったせいだと思う。
そのせいか、最近では、クラス内でも男女を問わず、カケルに話しかける人が増えてきた。
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