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#1 醜い悪魔の子
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「来ないで!!悪魔!!」
「近づいたらダメだよ」
「お前といると不幸になる」
そんな言葉は、もう聞き飽きた
僕が生まれたせいで母親が死んだ
母親が死んだせいで僕は父親から暴力を受けた
独りぼっちの僕には
独りぼっちが辛いことさえ分からなかった
僕に優しくしてくれる人は決まって不幸になる
本当に優しい人はそれでも僕を守ろうとしてくれたこともある
でも最後は自我を失って
自分で自分の首を絞めて死んでしまう
僕なんていなければいい
僕もそれに真似て首を締めてみた
ろくに食べ物を口に入れていない体には
なかなか力が入らない
僕が生まれるべき世界は
ここじゃなかった
結局死ぬことができず
暗い夜道をまた独りぼっちで歩く
正確な日付は分からなかったが
今は冬で夜がとても寒かった
次第に雪が降り始めた
不健康な肌に冷たく刺さる雪
僕の体温を少しずつ奪っていく
行き場も無いのに
暗闇を一歩ずつ歩いていく
誰か殺してくれ
僕という名前の無い醜い悪魔の子を
僕はいつの間にか誰もいない公園へと辿り着いていた
風が少し吹くと
不気味にブランコが前後に振れる
そんなブランコの傍にあるベンチに腰を下ろした
するとベンチの下から
弱々しい猫の鳴き声がした
全身真っ黒の猫だ
「お前も独りぼっちか?」
ひょいと抱え上げて猫の目を見た
猫は喉を鳴らし
するっと僕の手の中から脱出すると
そっぽを向いて歩き始めた
それを無意識に僕は追いかけていた
猫は茂みの中を行き
かと思えばまだあかりが眩しい商店街を行き
そして
墓に辿り着いた
「...早くここへ入れてくれないかな」
僕がそう呟くと
振り向いた猫の目が真っ赤に光った
視界が真っ赤に染まり
僕は気を失った
「近づいたらダメだよ」
「お前といると不幸になる」
そんな言葉は、もう聞き飽きた
僕が生まれたせいで母親が死んだ
母親が死んだせいで僕は父親から暴力を受けた
独りぼっちの僕には
独りぼっちが辛いことさえ分からなかった
僕に優しくしてくれる人は決まって不幸になる
本当に優しい人はそれでも僕を守ろうとしてくれたこともある
でも最後は自我を失って
自分で自分の首を絞めて死んでしまう
僕なんていなければいい
僕もそれに真似て首を締めてみた
ろくに食べ物を口に入れていない体には
なかなか力が入らない
僕が生まれるべき世界は
ここじゃなかった
結局死ぬことができず
暗い夜道をまた独りぼっちで歩く
正確な日付は分からなかったが
今は冬で夜がとても寒かった
次第に雪が降り始めた
不健康な肌に冷たく刺さる雪
僕の体温を少しずつ奪っていく
行き場も無いのに
暗闇を一歩ずつ歩いていく
誰か殺してくれ
僕という名前の無い醜い悪魔の子を
僕はいつの間にか誰もいない公園へと辿り着いていた
風が少し吹くと
不気味にブランコが前後に振れる
そんなブランコの傍にあるベンチに腰を下ろした
するとベンチの下から
弱々しい猫の鳴き声がした
全身真っ黒の猫だ
「お前も独りぼっちか?」
ひょいと抱え上げて猫の目を見た
猫は喉を鳴らし
するっと僕の手の中から脱出すると
そっぽを向いて歩き始めた
それを無意識に僕は追いかけていた
猫は茂みの中を行き
かと思えばまだあかりが眩しい商店街を行き
そして
墓に辿り着いた
「...早くここへ入れてくれないかな」
僕がそう呟くと
振り向いた猫の目が真っ赤に光った
視界が真っ赤に染まり
僕は気を失った
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