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第4章
44話 幼き記憶 Ⅰ
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「満月が綺麗ね。」
満月が好きな私の母の口癖だった。
「紗由里ちゃん、紗由美ちゃん。2人は満月は...好き?」
「うん!大好き!とっても綺麗だから!」
「そう、紗由里ちゃんは?」
「私は、あんまり好きじゃない。」
「へぇ、どうして?」
「わからない。」
「そっか。紗由里ちゃんにも満月の良さを分かってほしいなー。」
家のベランダから並んで夜空を眺める3人。
────私は名前は桃木 紗由里。
母と父、そして妹との四人家族だった私の家はあまり自由な生活はできていなかった。
しかし、
「パパ。」
「ん?どうした?紗由里。」
「私、幸せだよ。」
「...そっか。でも、それママに言ってこいって言われたろー?」
「えへへ。ばれちゃった。...うん、パパ、今日もお仕事休んでるからって...」
「...じゃあ...頑張ってみるよ。ごめんなこんなパパで。」
「ううん、私、パパ大好きだから。」
龍の引き継ぎを終えたサユリ達はミルヘス邸から訪れた人々と共にココの葬式を行った。
サユリは必死に涙を堪えていたが、
励ましの言葉をかけられるたび、悲しみと嬉しさが混じり結果的に泣いてしまった。
「...じゃあ、後のことは頼んだよ。」
メルトは椿、宙、ガイアにそう言葉をかけ、レイストン邸を去る。
「...とりあえず一件落着、か。」
「そうだね、一旦部屋に戻ろっか。」
「サユリのやつがまた泣いてんじゃねぇかぁ?」
3人はココの部屋へ戻ると、
「お疲れ様。椿、婆様の書庫にあった本なのだけど、きっと役に立つわ。」
「...ん。そうか。ありがと。」
サユリから手渡されたのは黒く、古びた分厚い本だった。
「滅龍に関する記述がされてるわ。婆様が大切に保管していたものの一つだから。大切にしなさい。」
「...おうよ。」
「紗由希、ごめん。本当に...ごめん。」
「...いいのよ。私も仕事探してみるわ。」
「...また迷惑かけちまったな。」
「私の前だからいいけど、紗由里と紗由美の前ではそんな顔、見せちゃダメだよ?」
「あぁ、わかった。あと、明日も仕事探しに行く。」
「────頑張って、応援してるよ。」
「パパ、おかえりなさい。」
「おかえりー!」
「あぁ、ただいま。」
「パパ、ママはー?」
「ママ?帰ってないのか?」
「帰ってきてなーい」
「そっか、じゃあ2人ともちょっと部屋で待っててくれるか?」
「うん。」
「分かったー。」
「もしもし、紗由希?どこにいるんだ?」
「────たす、けて。」
満月が好きな私の母の口癖だった。
「紗由里ちゃん、紗由美ちゃん。2人は満月は...好き?」
「うん!大好き!とっても綺麗だから!」
「そう、紗由里ちゃんは?」
「私は、あんまり好きじゃない。」
「へぇ、どうして?」
「わからない。」
「そっか。紗由里ちゃんにも満月の良さを分かってほしいなー。」
家のベランダから並んで夜空を眺める3人。
────私は名前は桃木 紗由里。
母と父、そして妹との四人家族だった私の家はあまり自由な生活はできていなかった。
しかし、
「パパ。」
「ん?どうした?紗由里。」
「私、幸せだよ。」
「...そっか。でも、それママに言ってこいって言われたろー?」
「えへへ。ばれちゃった。...うん、パパ、今日もお仕事休んでるからって...」
「...じゃあ...頑張ってみるよ。ごめんなこんなパパで。」
「ううん、私、パパ大好きだから。」
龍の引き継ぎを終えたサユリ達はミルヘス邸から訪れた人々と共にココの葬式を行った。
サユリは必死に涙を堪えていたが、
励ましの言葉をかけられるたび、悲しみと嬉しさが混じり結果的に泣いてしまった。
「...じゃあ、後のことは頼んだよ。」
メルトは椿、宙、ガイアにそう言葉をかけ、レイストン邸を去る。
「...とりあえず一件落着、か。」
「そうだね、一旦部屋に戻ろっか。」
「サユリのやつがまた泣いてんじゃねぇかぁ?」
3人はココの部屋へ戻ると、
「お疲れ様。椿、婆様の書庫にあった本なのだけど、きっと役に立つわ。」
「...ん。そうか。ありがと。」
サユリから手渡されたのは黒く、古びた分厚い本だった。
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「...おうよ。」
「紗由希、ごめん。本当に...ごめん。」
「...いいのよ。私も仕事探してみるわ。」
「...また迷惑かけちまったな。」
「私の前だからいいけど、紗由里と紗由美の前ではそんな顔、見せちゃダメだよ?」
「あぁ、わかった。あと、明日も仕事探しに行く。」
「────頑張って、応援してるよ。」
「パパ、おかえりなさい。」
「おかえりー!」
「あぁ、ただいま。」
「パパ、ママはー?」
「ママ?帰ってないのか?」
「帰ってきてなーい」
「そっか、じゃあ2人ともちょっと部屋で待っててくれるか?」
「うん。」
「分かったー。」
「もしもし、紗由希?どこにいるんだ?」
「────たす、けて。」
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