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始まりは突然
とあるOLの最後と始まり
しおりを挟むいつものように罵声を浴びせられ、遅くまで働いては朝早くに出勤をするという休みという休みがない生活を私、緋野崎悠希は送っていた。
最初こそはホワイト企業だった我が社だが、上司が変わってからホワイトから一気にブラックに様変わり。休むことも許されず休日もサビ勤として出勤だ。
その為か、注意力が散漫となっていたんだろう。
「───!」
背中から強い衝撃と熱を持った痛みが走り、前のめりに倒れる。あまりの痛みのためか息がうまく吸えない。
何がどうなってこうなったのか、なんて一瞬パニックになる。なんでこんなに痛いのか、なんで倒れて動けないのか、と考えていると、周りが「通り魔だ」とか、「救急車を」とか聞こえて来た。
なるほど、私は通り魔に刺されたのか。
(こんな最後になるんなら、楽しい人生にしてほしかったよ。神様のバカ)
薄れて行く意識の中でいるのかさえ分からない神様に悪態を吐き、次こそは楽しい人生を送れたらいいな、なんて願いながら、私は意識を手放した。
───────
────
──
ふと気づくと目の前が真っ白だった。いや、目の前に神々しい人がいた。周りは真っ白で何もなく、先ほどまであった熱を持った激痛はない。
きっと私は死んで、今あの世というところにいるんだろう。となることの人は閻魔さまへの案内人? いや、でもこの人の服装が古代ギリシャの人っぽいから違うのかも?
「緋野崎悠希。君には申し訳ないことをしてしまった」
「……へ?」
誰なんだろう、と思っていたら綺麗な角度での謝罪をされた。見ず知らずの人に謝罪をされるようなことをされた記憶は、通り魔以外にはないはず。
そのため、私は素っ頓狂な声を出してしまった。
「あ、あの?」
「私はアルテイルという異世界の創造神。私のミスによりあなたは亡くなり輪廻の輪を外れてしまいました。申し訳ありません!」
「そうなんですか?」
正直実感はないし、神だとか異世界だと言われても困惑ばかりでアルテイル様の言葉にそう答えるしかなかった。そんな私にアルテイル様は私以上に困惑した顔をしていた。
「あの、怒らないのですか?」
「起こってしまったことは仕方がないですから。それに、もうなんの未練もないので」
「そう、なんですか……」
家族のことは心配ではあるけれど、忙しさのあまり連絡も取ってないし向こうからも来ることないから存在を忘れられてる可能性もある。けど、向こうはなんとかなるでしょ。
「では、私のミスもありますので私が管理する世界に記憶をそのままに転生させましょう! あなたの世界、地球ではなかった魔法と剣の世界で勇者や魔王がいる世界です!」
「はあ」
これは自分のミスだから、という理由で記憶を持ったまま転生をさせてくれるという。でもそれだけだと不安だらけだ。剣と魔法、さらに勇者や魔王までいるとなると戦争だって起こるわけだし魔物もわんさかいるだろう。
そうなると、いくら地球での知識があるとはいえ生き残るのは難しいし楽しく充実した人生を送れるとは限れない。前世になるであろう地球での生活以上に人生バッドエンドだ。
「あの、何か力はもらえたりしますか? 正直地球での知識だけじゃ生き残る自信がないんですけど……」
「ああ、そこはお任せください。あなたの要望がありましたらスキルとして授けますので!」
胸をドンと胸を張るアルテイル様に、ホッと胸を撫で下ろした。何かしらの力をもらえるのなら、もらえる分だけもらっておいた方が良い。
「何がもらえるんですか?」
「この中から4つほど選んでもらいます」
手をかざしたと思ったら、光り輝く沢山のスキルであろう文字が現れた。この中から選ぶのは大変だ。
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