進め!羽柴村プロレス団!

宮代芥

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7 みんなでお風呂!

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プロレスが真剣勝負であるか?それとも八百長であるか? その答えはそれこそ団体の取っているスタンスによって変わる、といえるだろう。そしてこれが羽柴村プロレスだとどうなのかといえば。『羽柴村プロレスはショービジネスである』というスタンスを一貫してとっていた。たとえばレスラー同士が真剣勝負を繰り広げていたとしても、あくまでもショーなのだと言い張るのである。
「どうしてかわかるか?これはショーだ、って言い張っておけば本来あり得ない対戦だって実現できるからだ」
剛毅はそういいながら、シャツのボタンをはずしていく。彼の鍛え抜かれた胸筋が、腹筋が正晴の目の前に飛び込んでくる。
(うおおっ!これは滅茶苦茶エロい!)
思わず生唾を飲み込み、正弘と剛毅を交互に目線を向けてしまうが。すぐさま正面に顔をむけた。それは決して剛毅の裸体に目を奪われないためにではない。むしろ体毛すらむさくるしさを感じない美しすぎる師に釘付けにならないためでもない。……断じてないが、視界に入れないほうが想像力が駆り立てられることを知っている正晴は無意識にそうしていたのだった。
時刻は午後の四時。練習を終えた三人は、汗を流すために羽柴村にある銭湯にやってきていた。
「まあ、要するにだ。羽柴村プロレスのレスラーはみんな、ショーマンなんだ。だから試合も練習の一環で、お客さんを喜ばせるためのものなんだよ。……って、おい正晴君!聞いてんのか?」
「え?あ、はい!聞いてます!」
剛毅はあきれたように正晴を見やりながら。
「まったく……人の話はちゃんと聞いておけよ」
そういいながら、既に半裸になっている剛毅は次はズボンに手をかける。これから銭湯に入ろうというのだから当たり前な光景のハズなのだが。師匠が自分の目の前で脱いでいくその艶めかしさに、正晴の心臓は高鳴っていく。
「小学生と大人がプロレスで試合をする、なんていうのも本来ならありえないだろ?でもな、これはショーなんだ、ってあらかじめ言っておけば、そのありえないことだって簡単にできてしまうんだ」
「な、なるほど……」
正晴はどぎまぎしつつもなんとかそう返す。
「だから羽柴村でプロレスをやるときには、お客さんに思いっきり楽しませることを第一に考えるんだ」
剛毅はそう言いながらズボンを下ろすと。彼の下着が露になる。それはトランクスタイプの下着だったようで、その布地にはうっすらと黒い陰影が浮き出ているのがわかる。
「どうした、正晴君。早くお前も脱ぎなよ。風邪ひいちまうぞ?」
「あ、は、はい……」
自分が思うのもなんだが、なかなかに頭が悪そうな返事を漏らしつつ、正晴は慌てて服を脱いでいく。
「じゃあ、俺がいくら頑張って闘っても、これはショーだから痛くないんだ、なんて思われちゃうってことですか?」
「まあ、そう思うやつらもいるだろうさ」
正弘の言葉に、正晴は「そんなぁ……」と口をとがらせる。
「まあ、でも。村の人間は君がどれくらい頑張っているのか。それはちゃんと理解してくれると思うよ」
「そうですか?」
正晴が希望をもって師を見上げると、彼はその表情を和らげながら。
「ああ。だから、村の人の前では思いっきりプロレスを楽しんでほしい。それがお客さんの笑顔に繫がるからね」
そういいながら、正晴の頭を優しくなでてくれるのだった。
剛毅が下着を脱ぎ、全裸になるとぼろん、と。巨大な一物が顔を出す。その色黒でびくん、と震えながら露出した男根に正晴の目は釘付けになる。
「剛毅さんのちんこ、すっげぇデカくないですか!?」
思わず年上の人に対して敬語も忘れて興奮する正晴に、剛毅は苦笑しながらこたえる。
「まあな。俺のは人一倍でかいと自負はしているぞ」
「先生のは……」
ちらり、と正弘が見ると。ひょろりとした物静かな男の息子である。正弘の目には剛毅に対して彼の息子はかなり見劣りしているように思えた。それどころか、小学生の自分のものと大差ないのではないかとも思ってしまう。
「わ、わるかったな。俺は人一倍小さくって!」
正晴の視線をどうとらえたのだろうか。正弘は不機嫌そうにふてくされる。だがそれでもタオルを巻かずに堂々としているその姿に、正晴は何とも言えない生暖かいものを感じてしまうが。
「正晴君も早く脱げよ。ひょっとして恥ずかしがってるのか?」
「ははは。まあ、東京に住んでいたなら、銭湯になんてそうはいかないか。でもな、正晴君。羽柴村には『裸の付き合い』って言葉があるように、みんな生まれたままの姿で接しあうんだ。だから恥ずかしがる必要はないんだぞ?なんだったらおじさんが脱がせてやろうか?」
「い、いいです!自分で脱げます!」
ズボンに手をかけてくる剛毅に正晴は抵抗するが、馬鹿力の剛毅に勝てるはずもない。あっという間に下着ごとズボンを剥ぎ取られてしまう。
「ふむふむ。まあ、まだ子どもなんだ。そのうち大きくなるさ」
剛毅は笑いながら、ぽん。と、正晴の肩に手を置いた。
「おい、渡辺さん。子ども相手に変なことしようとしてるなら、警察を呼ぶことになるぜ」
番台のほうから、しわがれた声が投げかけられる。その声の主は、この銭湯の経営者である名倉圭司だ。六十を過ぎたばかりの彼は、脱衣場においてある籐椅子に座りながら茶をすすっていたようだ。
「名倉さん。変な気を起こすって、人聞きが悪いですよ」
剛毅が困ったような顔を浮かべて見せると。圭司は白くなったひげをしごきながら正晴に目線を向けてくる。
「で、坊主は渡辺さんの子どもか?」
「いや、違いますよ!俺は……」
「ああ、俺の弟子の正晴君です。子どもの日のプロレスの試合に出てくれるから、その練習をしてきたところなんですよ」
言葉を遮るように剛毅が正晴の肩を抱きながら、圭司に笑いかける。そんな彼の言動に剛毅の思惑を感じた正晴は師をじと目で見つめるが。剛毅はまるでものわかりのいいお兄さんを装っているようだから、余計な口出しはしないことにする。
「どうだ、坊主。渡辺さんの特訓はつらいだろ?」
「い、いえ!そんなことはないです!とっても楽しかったです!」
「そうかそうか」
圭司は笑いながら立ち上がると、ゆっくりとした足取りで正晴の方へと歩いてくる。そして正晴の頭を、皺だらけでたるんだ手でなでてくる。
「羽柴村プロレスはうちの村にとっちゃあ大切な稼ぎ頭だ。だから坊主が頑張って盛り上げてくれよ?」
「はい!頑張ります!」
「はは。いい返事だ。坊主、名前は?」
「黒木正晴です」
「黒木……。もしかして坊主、診療所の黒木さんの息子さんかい?」
黒木診療所は羽柴村唯一の診療所だ。つい先日、前の医者と入れ替わる形でやってきたばかりだが。この村の住人にはすでに知れわたっているのだろう。正晴は大きく首を縦に振る。
「はい!そうです!父がお世話になっています」
「はは。お世話になるのはこっちのほうだろうな。黒木先生もハンサムだったが、坊主もなかなかいい顔してるじゃねえか。それに、なんだ。まだ小学生だろうに結構いい体してるな」
正晴の胸は筋肉でわずかに盛り上がっており、腹筋もしっかりと割れている。空手で鍛え上げてきたその肉体は細マッチョといった体形ではあるが、傍目に見ても立派であることは理解できる。
「ありがとうございます!」
「……だが、こりゃまた……」
圭司は無遠慮に正晴の胸や背中をまさぐりながら「うん、いい体だ。しっかりとした弾力も感じられるし……っと。悪りい、一人でべらべらと勝手にしゃべっちまうのが俺の悪癖でな」と何かを納得するようにぼやく。
「おいおい、名倉さんよ。あんたのほうこそそりゃあセクハラだぜ?」
剛毅が笑いながら圭司を窘めると、圭司は鼻で一笑すると。正晴に「悪かったな。若い子にむやみやたらに触られると変な気を起こすおっさんもいるから気を付けろよ?」といって立ち去っていった。
そんな様子をぽかん、と見ていた正晴だったが。「まあ、あの人はああやって人をからかうのが趣味なんだよ」といいながら正晴の頭を軽く小突き、「まずは体を洗おうか」と剛毅が促す。そして、三人はそのまま洗い場へと向かった。

壁には富士山の絵が描かれており、洗い場がずらりと並んでいる。巨大な浴槽も三つ並んでいる。銭湯としては普通なのだろうが。
「うわぁ!銭湯なんてアニメとかでしか見たことなかったけど。本当にこんな風なんだな!」
正晴が興奮しながら周囲を見回すと、剛毅が笑いながら「はは。まあ、銭湯なんてのはそんなに珍しいもんでもないんだけどな。でも、喜んでくれたようでよかったよ」といってきた。
「さて、じゃあ体を洗おうか」
剛毅に促されるままに正晴は椅子に腰かける。するとそこには大きな鏡があり、自分の体が映し出されていた。
「よし!おじさんが背中を流してやるよ!」
そういうと剛毅は大きめのスポンジにボディソープを泡立て、正晴の背中を優しくなでていく。
「どうだ?気持ちいいだろ?」
「はい!すごく、気持ちいいです」
そんな師弟のやり取りを見ていた正弘は。
「じゃあ、俺は自分の体洗うか……」
そういいながらスポンジにボディソープをつけ泡立てると。自身の下腹部へと手を伸ばしたのだった。
こうして三人でいると、誰か一人がはぶかれることになる。それは仕方がないことなのだろうが、それでも若干の寂しさを感じずにはいられない。
正晴の背中を洗い終わった剛毅に、正晴は。
「じゃあ、今度は渡辺さんの背中を俺が洗いますよ」
「おお?なんだ。じゃあお願いしようかな」
剛毅は垢すりを正晴に渡すと、背中を向ける。剛毅は羽柴村プロレスのレスラーであると同時に、現役の空手家として総合格闘技の試合にも参加している男だ。それもプロの中でも最上位に位置するリーグに在籍するほどの実力者だ。その背中には筋肉が盛り上がり、独特の色気を醸し出している。
(うお……すっげぇ!)
その背中は正晴にとって、まさに理想の肉体だった。
「じゃあ、いきますよ?」
「ああ、頼む」
剛毅の背中をスポンジでなでていく。すると、その肌の弾力がはっきりと感じられる。そして同時に、剛毅がわずかに体を震わせるのがわかった。
「ん?痛かったですか?」
「いや、気にしなくていい。結構くすぐったいだけだ」
そういう剛毅の言葉に正晴はそっと胸をなでおろすと、今度は肩や二の腕などを重点的に洗っていく。その腕はいかにも格闘家の腕といった印象で、太さがありながらも引き締まっている。そんな腕の形に凹凸の泡をつけながら背中を流し終わると、剛毅は「じゃあ、次は前側だな」といいつつくるりと正晴の方に向き直った。
正晴は思わず目を大きく見開いてしまう。
目の前には、泡にまみれた裸の男の姿がある。大胸筋は綺麗に盛り上がっており、腹筋も美しく割れている。そして何よりも目を引くのは股間部だ。そこには当然のように男根が存在しており、今はだらりと垂れさがってしまっているが。それでもその太さに正晴は、頭の中にジャンボフランクを連想してしまう。
「渡辺さん。前はさすがに自分でやってくださいよ」
正弘が呆れたように眉をひそめる。
「いいじゃないか。男なんだし。な?正晴君?」
剛毅はそういうと、自分の股間をきゅっと上げたり下げたりして誘ってくるのだからたまらない。まるで巨大な肉棒を釣り上げる魚のように、その一物が大きく揺れる。
「い、いや!それはさすがに……」
「はは、冗談だよ」
剛毅はそういいながら自身の体を洗い始める。正晴はほっと胸をなでおろしながらも、どこか残念な気持ちになっていることに気が付いて、慌ててその考えを振り払うように頭を左右に振ったのだった。
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