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「ごめん、俺結局分かってなくて。妖精にも効くってそういう意味だったんだ。すっかりティスモに騙されてた」
恋乳は恋を叶える手助けをする。そして特濃恋乳と呼ばれるものは、妖精の体力気力魔法力を完全回復させる効力を持つと、リリは話した。
「いや、すまん。けどそう言ってくれるな。あいつは嫌味だし意地悪だし身勝手だけど、ちゃんと大切なものは分かってるから、……多分」
「悪い。言いすぎた」
こうやって庇って、やっぱり仲がいいのだ。どんな口の利き方しても、ちゃんと分かり合っている。
「それでだな、スミレ。お前はオレを好きだと言ったな」
「うん。って、ちょっと、リリ!! いきなりっ」
改まって問われると恥ずかしくつい目を逸らした純玲は、伸びてきた腕に引き寄せられてそのまま抱き込まれた。目の前に迫ったリリの顔がまともに見られず、ならばいっそ、と広い胸に顔を埋めた。しかし耳元で落とされるリリの低い声に、却って鼓動を速めた。
「ちゃんとオレを見て言えよ。オレが好きか? オレが欲しいか?」
鼓膜はもとより全身まで震わせてしまいそうだ。
「そういうお前はどうなんだよ、って……俺好きだよ。好きだ。好き。リリが……好き……好き……好き……あれ? リリが好き……好き……リリ、俺、変だどうしてこんな……リリが……欲し……い、好き……」
好きな気持ちは本当だけれど、どうしてこんなに何度も好きと言っているのだ。体が熱くなってきたのも感じ始め、思わず純玲は顔を上げた。まるで恋乳を口にしたときの症状に似ている。
「お前は本当に恋乳体質だな。食べたのはオレのほうなのに」
くすっと笑んだリリの顔があった。澄んだ緑色の瞳、浅黒い肌、金の髪。その風貌は何かの物語に出てきそうなどこか異国の王子を思わせる。いや違いない、妖精国の王子だ。見惚れてしまう。
「そうだよ、俺は食べてない。なのに、どうしてだよ」
「食べたオレといるからだろうな。まさかここまで影響されるとは思ってなかったけど。匂いといい、そういう体質なんだろうな」
「まさかまた、ああなるのか、俺……」
昨夜の痴態を思い出し、ごくりと喉を鳴らす。そしてどきどきとしてくる胸のうちに妙な期待が芽生えているのにも気づく。これも恋乳のせいだろうか。
「安心しろ。オレがついている。それにだ、お前の気持ちは受け取ったからな。オレは遠慮なくやるぞ」
「やるって、何?」
「もう昨日のように我慢なんかしない。お前はオレのものだ。お前の中にオレの思いをありったけブチ込む。あとには引かないからな」
「リリ……ブチこ……」
穏やかならざる宣言に、ひくっと目の下が小さな痙攣を起こした。
それでも降りてくる口づけはとても甘く、純玲は自分に伸しかかってくる男の大きな背を抱き締めた。
身につけていたものは既にない。昨夜と違い昼中の光りの中、目の当たりにしたリリの体躯に眩暈を覚え、繰り返される口づけに酔っていく。
「あ、はぁ……あ、あ、んっ」
キスならもう何度もした。それでも求めて応える行為に飽きることない。啄ばむように軽く触れ合い、徐々に深く激しさを増して貪る。溢れる唾液は止まらず混ざり合い甘露となって純玲の喉を潤す。
「んっ、はっ、すっげいいスミレ。それにやっぱりいい匂いだ、お前。ずっとこれを耐えるのって大変だったんだぞ」
「いい匂いって、し、知るかっ。そんな、こと言われても――」
本当に、自分では分からないのだ。どれほどのものかなど。
「だよな。でもいいぜ。これからはオレだけのものだからな」
くん、と鼻を鳴らしてリリが純玲の耳朶を甘く噛んで嘗め上げる。
「うわっ。耳っ、ダメっ。嘗めんなっ」
「そっか、お前って耳が弱かったんだ。だからか、オレが耳元で何か言うとぽーっとした顔するの」
「うるさいっ」
言われてみればそうだが、自分では分からなかった事実だった。何しろ肌を合わせるのはリリが初めてで、すべてが初めての体験となる。
「じゃ、もっとスミレのいいとこ探そ。こっちはどうかな、何てな」
耳朶から首筋、胸へと降り始めたリリの舌が唾液の軌跡を作っていく。
「は、んっ!」
胸に覚えたちりっとした痛みに背をしならせる。堪らず首を起こした純玲の目が映したのは、胸の上にあるリリの頭だ。
「ここ、小さいけどぷつって勃ってきた」
言いながら舌先で転がして、さらには吸い上げて引っ張る。
「んっ――そ、そこばか、り、に弄るな」
「こっちばっかじゃイヤだって? じゃあもう一つは指でやってやるな」
残されていた乳首が指で捏ねられ始めた。こりこりと押されてときおり爪先で引っかかれ、じんじんと疼きを生む。
「んっ、んっ、バカ、リリ……もう、いい加減にっ――あ」
乳首の刺激に乱されていた純玲は、リリが胸をから臍の下へと手を伸ばしていたのに気づかず、唐突ともいえる新たな刺激に声を上げた。リリの長い指が純玲の屹立に絡みついている。
「ホント感度いいな、ちょっと握っただけで、そんないい顔するなんて」
「んっ、あ、お前何をっ!?」
もっと感じろ、とさっきまで乳首を吸い上げていた口が下へ降りていき、純玲のものを銜える。
「ひっ、やぁ…、ん、あぁ、うぅっ、ん」
リリの口内に引き込まれた屹立に、舌がねっとりと纏わりつく。上下にねぶられ、一際膨らんだ部分に歯を立てられた。先端の小さな口を舌先がつつく。堪らない。こんな刺激は初めてだ。自分で慰めるときの比ではない。高まる熱欲にもう爆ぜてしまいそうだ。
「リ、リリ――ダメだ。もう放してくれっ、ああ――っ」
どくどくと噴き上げた白濁をリリが余すことなく嘗め取り喉を鳴らす。
「いいな、その顔。オレ以外には見せるなよ。好きだぜ、スミレ」
「飲んだ、俺の!! 信じられないっ!!」
昨夜はどうやっていかされたのか、よく覚えていない。けれど口ではなかったはずだ。銜えて嘗めて、自分の吐き出した熱をも飲んでしまうなんて。堪らなく恥ずかしい。
「そう言うな、ウマかったぞ。それで、スミレ。こっちもそろそろ爆発しそうなんだ。いいな」
「――え、こっち? 爆発……!? んっ、やっ、止め――」
純玲は体の最奥を襲った異物感に悲鳴を上げた。それが、リリの指だというのは伸びている腕を見て理解する。入り込んできた指がぐりぐりと中を広げるように動き、覚えてしまう気持ち悪さに腰を浮かせ逃れようとしたが、却って奥深くに誘い込むことになってしまった。
考えが回らなかったわけではない。けれどいざとなると、初めてもいいところの、未知の領域に体が竦む。リリの足の間で黒く光っているものは凶器にしか見えない。
「止めないからな。そう言ったろ、ブチ込むって。オレ、スミレと一つになりたいし繋がりたい。オレはお前を愛したいんだ」
「リリ――」
勝手で偉そうでさんざん振り回しておきながら、口は乱暴でも言葉の裏には自分への思いが溢れていた。純玲は手を伸ばし、リリの背に回して抱き締める。恋乳効果で高ぶっているのだとしても、胸にある気持ちは本当なのだから。
「俺も愛したい」
膝裏をつかまれ、左右に大きく広げられた。あられもない格好を取らされ恥ずかしさに震えつつも、自分の中の熱は高まる一方だ。先ほどいったというのに純玲のものはまた蜜を零し始める。
「スミレ、ちょっと我慢してくれな」
さらされた純玲の秘所に、リリが自分の熱の塊を宛がった。体重を乗せ力で押し入ってくる。
「くっ、んっ!」
体が二つに裂けるかと思った。苦しくて痛くて、奥歯を食い縛って上がる悲鳴を飲み込む。耳の奥で金属音が鳴り響いていた。受け入れている後孔はぎりぎり拡げられ、これ以上飲み込まされたら本当に裂けてしまうかもしれない。
「きつい、だろうがもう少し、だ。我慢してくれ、スミレ――はっ、んっ」
リリの口から短く息が漏れる。純玲は焼けつく痛みに声が出ない。
「んっ、オレが分かるか、スミレ。お前の中にいるぞ、ほら」
「っ!」
リリがさらにぐいっと腰を捩じ込む。息がつまり、純玲は下に敷くシーツを強く握って引っ張る。
「すっげいい。もう、すぐいってしまいそうだ、オレ」
純玲の中のリリがそろりと動く。少し引いてゆっくり押し込まれると、敏感になっている繋がりに、痛みだけではない熱が疼き出す。
「んっ。い、いけよ。ブチ込むんだろ、俺に」
「そんな可愛いこと言うと今すぐブチ込むぞ。これでも初めてのお前を気遣ってやってんだぞ」
物騒に返すが、リリは笑っている。
「お前に遠慮なんて似合わないよ。我慢せずにやるんだろ」
「言ったな。じゃ本気でやってやる」
「あっ、んっ! リリ、リリ――っ」
言うと同時に腰を抱えられ、後孔を突き掻き回された。がくがくと揺すぶられて純玲は堪らず悲鳴を上げるが、容赦なくリリの楔が打ち込まれる。繋がりをぎりぎりまで引き、一気に押し込んで繰り返し抉るリリに、純玲は高まる欲のまま、弾ける熱を溜めていく。
「好きだ、スミレ。お前だけだ。オレのありったけ、受け止めろ」
「ん、んっ、ああ、リリっ」
体の奥に迸る、リリの思い。体の隅々まで広がっていく。
純玲も弾けた。飛び散る白濁は一人では得られない情の結晶だ。
「もう絶対離さねえからな。オレの国にも連れてってやる」
純玲の脇に手をついたリリが口づけを降らせてくる。甘くて優しいキスだ。
「お前の国――、ああ――」
連れて行ってくれ。
胸いっぱいに満ちていく思いに、純玲は自分に覆いかぶさる男の背を抱き締める。そうして目を閉じれば、紫色の小さな花の咲く野が一面に見えた。
「まったく世話の焼けるやつらだ」
妖精国ファイファイルーンの王位継承権第一位の王子、ヨーヨーティスモは、第二王子リリアンメイヨールの二番目がゆえの気ままさを少しだけ羨んで、小さな溜め息をついた。
まったく、互いが惹かれ合っていることなど見れば分かるではないか。恋妖精がつい契約者に恋してしまうのはよくあること。妖精だって恋をする気持ちは人と同じなのだ。
「ヨウさーん、どこですかー」
自分を呼ぶ声に、ティスモは純玲の前で外したメタルフレームの眼鏡をかけた。「ぽんっ」と爆ぜる音と白い煙に包まれ、人の姿になる。
「遅いぞ、梅」
「えー、そんなむちゃ言わないでくださいよ。いきなり迎えに来いって、これでも大急ぎで来たんですよ」
顔を合わすなり文句を垂れる梅木戸をきつい眼差しで睨んでやる。
「俺が来いと言ったら、お前はすぐに来るんだ」
「ああもう。ヨウさん、ホントに勝手なんだから」
「うるさい。行くぞ」
「行くってどこにですか? 車そっちじゃなくてこっちですって」
不破となったヨーヨーティスモは立ち止まり、ふんと空を見上げる。そして梅木戸が指を差したほうに、やおら歩き出した。
END
恋乳は恋を叶える手助けをする。そして特濃恋乳と呼ばれるものは、妖精の体力気力魔法力を完全回復させる効力を持つと、リリは話した。
「いや、すまん。けどそう言ってくれるな。あいつは嫌味だし意地悪だし身勝手だけど、ちゃんと大切なものは分かってるから、……多分」
「悪い。言いすぎた」
こうやって庇って、やっぱり仲がいいのだ。どんな口の利き方しても、ちゃんと分かり合っている。
「それでだな、スミレ。お前はオレを好きだと言ったな」
「うん。って、ちょっと、リリ!! いきなりっ」
改まって問われると恥ずかしくつい目を逸らした純玲は、伸びてきた腕に引き寄せられてそのまま抱き込まれた。目の前に迫ったリリの顔がまともに見られず、ならばいっそ、と広い胸に顔を埋めた。しかし耳元で落とされるリリの低い声に、却って鼓動を速めた。
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鼓膜はもとより全身まで震わせてしまいそうだ。
「そういうお前はどうなんだよ、って……俺好きだよ。好きだ。好き。リリが……好き……好き……好き……あれ? リリが好き……好き……リリ、俺、変だどうしてこんな……リリが……欲し……い、好き……」
好きな気持ちは本当だけれど、どうしてこんなに何度も好きと言っているのだ。体が熱くなってきたのも感じ始め、思わず純玲は顔を上げた。まるで恋乳を口にしたときの症状に似ている。
「お前は本当に恋乳体質だな。食べたのはオレのほうなのに」
くすっと笑んだリリの顔があった。澄んだ緑色の瞳、浅黒い肌、金の髪。その風貌は何かの物語に出てきそうなどこか異国の王子を思わせる。いや違いない、妖精国の王子だ。見惚れてしまう。
「そうだよ、俺は食べてない。なのに、どうしてだよ」
「食べたオレといるからだろうな。まさかここまで影響されるとは思ってなかったけど。匂いといい、そういう体質なんだろうな」
「まさかまた、ああなるのか、俺……」
昨夜の痴態を思い出し、ごくりと喉を鳴らす。そしてどきどきとしてくる胸のうちに妙な期待が芽生えているのにも気づく。これも恋乳のせいだろうか。
「安心しろ。オレがついている。それにだ、お前の気持ちは受け取ったからな。オレは遠慮なくやるぞ」
「やるって、何?」
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「リリ……ブチこ……」
穏やかならざる宣言に、ひくっと目の下が小さな痙攣を起こした。
それでも降りてくる口づけはとても甘く、純玲は自分に伸しかかってくる男の大きな背を抱き締めた。
身につけていたものは既にない。昨夜と違い昼中の光りの中、目の当たりにしたリリの体躯に眩暈を覚え、繰り返される口づけに酔っていく。
「あ、はぁ……あ、あ、んっ」
キスならもう何度もした。それでも求めて応える行為に飽きることない。啄ばむように軽く触れ合い、徐々に深く激しさを増して貪る。溢れる唾液は止まらず混ざり合い甘露となって純玲の喉を潤す。
「んっ、はっ、すっげいいスミレ。それにやっぱりいい匂いだ、お前。ずっとこれを耐えるのって大変だったんだぞ」
「いい匂いって、し、知るかっ。そんな、こと言われても――」
本当に、自分では分からないのだ。どれほどのものかなど。
「だよな。でもいいぜ。これからはオレだけのものだからな」
くん、と鼻を鳴らしてリリが純玲の耳朶を甘く噛んで嘗め上げる。
「うわっ。耳っ、ダメっ。嘗めんなっ」
「そっか、お前って耳が弱かったんだ。だからか、オレが耳元で何か言うとぽーっとした顔するの」
「うるさいっ」
言われてみればそうだが、自分では分からなかった事実だった。何しろ肌を合わせるのはリリが初めてで、すべてが初めての体験となる。
「じゃ、もっとスミレのいいとこ探そ。こっちはどうかな、何てな」
耳朶から首筋、胸へと降り始めたリリの舌が唾液の軌跡を作っていく。
「は、んっ!」
胸に覚えたちりっとした痛みに背をしならせる。堪らず首を起こした純玲の目が映したのは、胸の上にあるリリの頭だ。
「ここ、小さいけどぷつって勃ってきた」
言いながら舌先で転がして、さらには吸い上げて引っ張る。
「んっ――そ、そこばか、り、に弄るな」
「こっちばっかじゃイヤだって? じゃあもう一つは指でやってやるな」
残されていた乳首が指で捏ねられ始めた。こりこりと押されてときおり爪先で引っかかれ、じんじんと疼きを生む。
「んっ、んっ、バカ、リリ……もう、いい加減にっ――あ」
乳首の刺激に乱されていた純玲は、リリが胸をから臍の下へと手を伸ばしていたのに気づかず、唐突ともいえる新たな刺激に声を上げた。リリの長い指が純玲の屹立に絡みついている。
「ホント感度いいな、ちょっと握っただけで、そんないい顔するなんて」
「んっ、あ、お前何をっ!?」
もっと感じろ、とさっきまで乳首を吸い上げていた口が下へ降りていき、純玲のものを銜える。
「ひっ、やぁ…、ん、あぁ、うぅっ、ん」
リリの口内に引き込まれた屹立に、舌がねっとりと纏わりつく。上下にねぶられ、一際膨らんだ部分に歯を立てられた。先端の小さな口を舌先がつつく。堪らない。こんな刺激は初めてだ。自分で慰めるときの比ではない。高まる熱欲にもう爆ぜてしまいそうだ。
「リ、リリ――ダメだ。もう放してくれっ、ああ――っ」
どくどくと噴き上げた白濁をリリが余すことなく嘗め取り喉を鳴らす。
「いいな、その顔。オレ以外には見せるなよ。好きだぜ、スミレ」
「飲んだ、俺の!! 信じられないっ!!」
昨夜はどうやっていかされたのか、よく覚えていない。けれど口ではなかったはずだ。銜えて嘗めて、自分の吐き出した熱をも飲んでしまうなんて。堪らなく恥ずかしい。
「そう言うな、ウマかったぞ。それで、スミレ。こっちもそろそろ爆発しそうなんだ。いいな」
「――え、こっち? 爆発……!? んっ、やっ、止め――」
純玲は体の最奥を襲った異物感に悲鳴を上げた。それが、リリの指だというのは伸びている腕を見て理解する。入り込んできた指がぐりぐりと中を広げるように動き、覚えてしまう気持ち悪さに腰を浮かせ逃れようとしたが、却って奥深くに誘い込むことになってしまった。
考えが回らなかったわけではない。けれどいざとなると、初めてもいいところの、未知の領域に体が竦む。リリの足の間で黒く光っているものは凶器にしか見えない。
「止めないからな。そう言ったろ、ブチ込むって。オレ、スミレと一つになりたいし繋がりたい。オレはお前を愛したいんだ」
「リリ――」
勝手で偉そうでさんざん振り回しておきながら、口は乱暴でも言葉の裏には自分への思いが溢れていた。純玲は手を伸ばし、リリの背に回して抱き締める。恋乳効果で高ぶっているのだとしても、胸にある気持ちは本当なのだから。
「俺も愛したい」
膝裏をつかまれ、左右に大きく広げられた。あられもない格好を取らされ恥ずかしさに震えつつも、自分の中の熱は高まる一方だ。先ほどいったというのに純玲のものはまた蜜を零し始める。
「スミレ、ちょっと我慢してくれな」
さらされた純玲の秘所に、リリが自分の熱の塊を宛がった。体重を乗せ力で押し入ってくる。
「くっ、んっ!」
体が二つに裂けるかと思った。苦しくて痛くて、奥歯を食い縛って上がる悲鳴を飲み込む。耳の奥で金属音が鳴り響いていた。受け入れている後孔はぎりぎり拡げられ、これ以上飲み込まされたら本当に裂けてしまうかもしれない。
「きつい、だろうがもう少し、だ。我慢してくれ、スミレ――はっ、んっ」
リリの口から短く息が漏れる。純玲は焼けつく痛みに声が出ない。
「んっ、オレが分かるか、スミレ。お前の中にいるぞ、ほら」
「っ!」
リリがさらにぐいっと腰を捩じ込む。息がつまり、純玲は下に敷くシーツを強く握って引っ張る。
「すっげいい。もう、すぐいってしまいそうだ、オレ」
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「んっ。い、いけよ。ブチ込むんだろ、俺に」
「そんな可愛いこと言うと今すぐブチ込むぞ。これでも初めてのお前を気遣ってやってんだぞ」
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「お前に遠慮なんて似合わないよ。我慢せずにやるんだろ」
「言ったな。じゃ本気でやってやる」
「あっ、んっ! リリ、リリ――っ」
言うと同時に腰を抱えられ、後孔を突き掻き回された。がくがくと揺すぶられて純玲は堪らず悲鳴を上げるが、容赦なくリリの楔が打ち込まれる。繋がりをぎりぎりまで引き、一気に押し込んで繰り返し抉るリリに、純玲は高まる欲のまま、弾ける熱を溜めていく。
「好きだ、スミレ。お前だけだ。オレのありったけ、受け止めろ」
「ん、んっ、ああ、リリっ」
体の奥に迸る、リリの思い。体の隅々まで広がっていく。
純玲も弾けた。飛び散る白濁は一人では得られない情の結晶だ。
「もう絶対離さねえからな。オレの国にも連れてってやる」
純玲の脇に手をついたリリが口づけを降らせてくる。甘くて優しいキスだ。
「お前の国――、ああ――」
連れて行ってくれ。
胸いっぱいに満ちていく思いに、純玲は自分に覆いかぶさる男の背を抱き締める。そうして目を閉じれば、紫色の小さな花の咲く野が一面に見えた。
「まったく世話の焼けるやつらだ」
妖精国ファイファイルーンの王位継承権第一位の王子、ヨーヨーティスモは、第二王子リリアンメイヨールの二番目がゆえの気ままさを少しだけ羨んで、小さな溜め息をついた。
まったく、互いが惹かれ合っていることなど見れば分かるではないか。恋妖精がつい契約者に恋してしまうのはよくあること。妖精だって恋をする気持ちは人と同じなのだ。
「ヨウさーん、どこですかー」
自分を呼ぶ声に、ティスモは純玲の前で外したメタルフレームの眼鏡をかけた。「ぽんっ」と爆ぜる音と白い煙に包まれ、人の姿になる。
「遅いぞ、梅」
「えー、そんなむちゃ言わないでくださいよ。いきなり迎えに来いって、これでも大急ぎで来たんですよ」
顔を合わすなり文句を垂れる梅木戸をきつい眼差しで睨んでやる。
「俺が来いと言ったら、お前はすぐに来るんだ」
「ああもう。ヨウさん、ホントに勝手なんだから」
「うるさい。行くぞ」
「行くってどこにですか? 車そっちじゃなくてこっちですって」
不破となったヨーヨーティスモは立ち止まり、ふんと空を見上げる。そして梅木戸が指を差したほうに、やおら歩き出した。
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