盲目王子はまた君と出会えたら

桜町琴音

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「殿下、今日はいい天気ですよ。絶好の出発日和です。」
 と晴れやかな声色と共にシュティーアの耳飾りが音を鳴らして揺れた。
 婚約が決まった時に僕と従者があれどもこれでもないと模索しながら見つけた品だ。星の形をしたトップにしずく型のサファイアが着いたものだ。

 彼女は今日魔法学園へ入学をする。学園に入学をしたら卒業まで寮暮らしだ。特例で外には出られるが学園がある場所は孤島となっておりなかなか帰ってこられない。
 島の中にはお店などがあるので退屈はしないと彼女は言っていた。

「殿下2年だけですが体調には気をつけて過ごしてくださいね。あと、手紙も送りますね。」
「シュティーアも体調には気をつけてね。手紙楽しみに待ってるよ。」
 彼女が駆け寄って来てギュッと抱きしめた。
「何かあったら絶対私を呼んでください。すぐに駆けつけますから。」
 声が少し震えていた。きっと泣くのを我慢しているのだろう。
「そんなに心配しなくても大丈夫だよ。2年後はいやでも僕といるんだら1人を楽しんできて。そして、外の世界ことをを教えてよ。」
「ふふ。そうですね。1人を満喫しなくてはいけませんね。殿下の分まで楽しんできます。では、もう行きますね。」
「いってらっしゃい、シュティーア」
「行ってきます。ヒンメル殿下。」
 彼女は迎に来た馬車に乗って出発をした。

「もう馬車は見えない?」
「ええ、もう見えませんね。無事に着くと良いのですが。」
「そうだね。」
 目の見えない僕に仕えてくれている従者のシャーフが心配そうにしていた。
「殿下はこれからどうなさいますか?」
「そうだね。何をしようかな。とりあえず運動でもしようかな。それとも、学者様の元へ尋ねようかな。迷うな。」
「さっきシュティーア様から注意を受けていたのではないのですか。」
「えへへ。そうなんだけどね。何かしていないとそわそわしてしまうんだよね。」
 シュティーアが無事に学園に着いたどうかの心配でゆっくり過ごせない。
 かと言ってすることはあまり無いし本当に何をするべきなのか。シャーフが「あ」っと言って何かを思い出したようだ。
「そういえば殿下今日は王城に魔法師が登城しているそうですよ。魔力の鑑定を受けてみてはいかがでしょうか。」
「お、いいね。でももう少し早くに魔力の鑑定を受けていたら魔法学校に行けたのかな。」
「殿下。しつこい男は嫌われますよ。」
「うるさいな。シャーフだって恋人はいてないだろう。」
「いてないのではないのです。作らないだけです。そこのところお間違いのないようにお願いします。」

 僕は知らなかったのだがシャーフは意外にも女性人気があるようだ。
後日メイド達が噂をしているのを聞いてしまった。
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