2 / 6
2
しおりを挟む
シュティーアと過ごす日々は穏やかに流れて行った。
出会ってから数年が過ぎていた。僕たちは14歳になった。
そして、シュティーアの元へ名門校の魔法学園への入学許可書が届いた。
「シュティーアおめでとう。これで晴れて名門校の一員じゃないか。」
僕は自分のことのように嬉しくなったが、当の本人である彼女はあまり嬉しそうではなかった。
「ありがとうございます殿下。嬉しいのですが殿下をお一人にすることがとても気がかりなのですよ。」
と困ったような声色でため息をついていた。
「そんなに僕って心配?」
「はい。かなり心配ですね。殿下放っておくとすぐに運動やら学者様のところへ行ってお食事や睡眠をまともに取らなくなるじゃないですか。」
ぎくり。かなり心当たりのあることばかりで何も言い返せない。
シュティーアに夜空を見せてもらってから盲目でも出来ることはあるのではないかと王城いてる学者を捕まえては質問して知識を蓄えていた。
運動は走るのが楽しく安全面を考慮した運動なので大丈夫なはず。
しかし、シュティーアはさらに小言を続けていく。
「最近だって、学者様から教えてもらったことで実験をしようとして失敗していたのではないですか。」
「……だって君に見せたいものが」
とごにょごにょ僕が言ったらクスリと笑い声が聞こえた。
「それに私が殿下と会えなくなるのが寂しいのですよ。」
急な不意打ちで僕は絶対顔を赤くさせているのに違いない。
「僕だってシュティーアに会えなくなるのは寂しい……」
「だからね、殿下。私が魔法学校を卒業したら殿下と夫婦になりたいのです。」
「えっ! 僕なんかでいいの? 本当に後悔しない?」
「しませんよ。どれだけ一緒にいてると思っているのですか。私が何年縁談を断り続けているの知っています? 私はずっと殿下の隣を歩く準備をしているですよ。殿下が嫌でしたら良いですけど」
少し拗ねた声で言った彼女も可愛いと思いつつ、僕はその言葉を聞いて嬉しくなった。
好きだったのは自分だけではなかったのだと。
すると、彼女は僕の手を握り彼女の頬へ持っていった。
「私がどんなに緊張したかわかりますか?」
と少し笑っている彼女の顔はとても暑かった。そして少し濡れていたのできっと泣いているのだろう。
今どんなにこの目が見れたら良いのにと思ったことは多分この日以上に思うことはあるのだろうか。
僕はきっとこの世界一番の幸せ者だろう。お互いの両親にシュティーアが卒業した時点で結婚したいと伝えた。
両方の親から許しが出て婚約が成立をした。
出会ってから数年が過ぎていた。僕たちは14歳になった。
そして、シュティーアの元へ名門校の魔法学園への入学許可書が届いた。
「シュティーアおめでとう。これで晴れて名門校の一員じゃないか。」
僕は自分のことのように嬉しくなったが、当の本人である彼女はあまり嬉しそうではなかった。
「ありがとうございます殿下。嬉しいのですが殿下をお一人にすることがとても気がかりなのですよ。」
と困ったような声色でため息をついていた。
「そんなに僕って心配?」
「はい。かなり心配ですね。殿下放っておくとすぐに運動やら学者様のところへ行ってお食事や睡眠をまともに取らなくなるじゃないですか。」
ぎくり。かなり心当たりのあることばかりで何も言い返せない。
シュティーアに夜空を見せてもらってから盲目でも出来ることはあるのではないかと王城いてる学者を捕まえては質問して知識を蓄えていた。
運動は走るのが楽しく安全面を考慮した運動なので大丈夫なはず。
しかし、シュティーアはさらに小言を続けていく。
「最近だって、学者様から教えてもらったことで実験をしようとして失敗していたのではないですか。」
「……だって君に見せたいものが」
とごにょごにょ僕が言ったらクスリと笑い声が聞こえた。
「それに私が殿下と会えなくなるのが寂しいのですよ。」
急な不意打ちで僕は絶対顔を赤くさせているのに違いない。
「僕だってシュティーアに会えなくなるのは寂しい……」
「だからね、殿下。私が魔法学校を卒業したら殿下と夫婦になりたいのです。」
「えっ! 僕なんかでいいの? 本当に後悔しない?」
「しませんよ。どれだけ一緒にいてると思っているのですか。私が何年縁談を断り続けているの知っています? 私はずっと殿下の隣を歩く準備をしているですよ。殿下が嫌でしたら良いですけど」
少し拗ねた声で言った彼女も可愛いと思いつつ、僕はその言葉を聞いて嬉しくなった。
好きだったのは自分だけではなかったのだと。
すると、彼女は僕の手を握り彼女の頬へ持っていった。
「私がどんなに緊張したかわかりますか?」
と少し笑っている彼女の顔はとても暑かった。そして少し濡れていたのできっと泣いているのだろう。
今どんなにこの目が見れたら良いのにと思ったことは多分この日以上に思うことはあるのだろうか。
僕はきっとこの世界一番の幸せ者だろう。お互いの両親にシュティーアが卒業した時点で結婚したいと伝えた。
両方の親から許しが出て婚約が成立をした。
0
お気に入りに追加
1
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、第一王子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
元おっさんの俺、公爵家嫡男に転生~普通にしてるだけなのに、次々と問題が降りかかってくる~
おとら@ 書籍発売中
ファンタジー
アルカディア王国の公爵家嫡男であるアレク(十六歳)はある日突然、前触れもなく前世の記憶を蘇らせる。
どうやら、それまでの自分はグータラ生活を送っていて、ろくでもない評判のようだ。
そんな中、アラフォー社畜だった前世の記憶が蘇り混乱しつつも、今の生活に慣れようとするが……。
その行動は以前とは違く見え、色々と勘違いをされる羽目に。
その結果、様々な女性に迫られることになる。
元婚約者にしてツンデレ王女、専属メイドのお調子者エルフ、決闘を仕掛けてくるクーデレ竜人姫、世話をすることなったドジっ子犬耳娘など……。
「ハーレムは嫌だァァァァ! どうしてこうなった!?」
今日も、そんな彼の悲鳴が響き渡る。
夫が寵姫に夢中ですので、私は離宮で気ままに暮らします
希猫 ゆうみ
恋愛
王妃フランチェスカは見切りをつけた。
国王である夫ゴドウィンは踊り子上がりの寵姫マルベルに夢中で、先に男児を産ませて寵姫の子を王太子にするとまで嘯いている。
隣国王女であったフランチェスカの莫大な持参金と、結婚による同盟が国を支えてるというのに、恩知らずも甚だしい。
「勝手にやってください。私は離宮で気ままに暮らしますので」
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
〖完結〗その子は私の子ではありません。どうぞ、平民の愛人とお幸せに。
藍川みいな
恋愛
愛する人と結婚した…はずだった……
結婚式を終えて帰る途中、見知らぬ男達に襲われた。
ジュラン様を庇い、顔に傷痕が残ってしまった私を、彼は醜いと言い放った。それだけではなく、彼の子を身篭った愛人を連れて来て、彼女が産む子を私達の子として育てると言い出した。
愛していた彼の本性を知った私は、復讐する決意をする。決してあなたの思い通りになんてさせない。
*設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
*全16話で完結になります。
*番外編、追加しました。
幼妻は、白い結婚を解消して国王陛下に溺愛される。
秋月乃衣
恋愛
旧題:幼妻の白い結婚
13歳のエリーゼは、侯爵家嫡男のアランの元へ嫁ぐが、幼いエリーゼに夫は見向きもせずに初夜すら愛人と過ごす。
歩み寄りは一切なく月日が流れ、夫婦仲は冷え切ったまま、相変わらず夫は愛人に夢中だった。
そしてエリーゼは大人へと成長していく。
※近いうちに婚約期間の様子や、結婚後の事も書く予定です。
小説家になろう様にも掲載しています。
旦那様、離縁の申し出承りますわ
ブラウン
恋愛
「すまない、私はクララと生涯を共に生きていきたい。離縁してくれ」
大富豪 伯爵令嬢のケイトリン。
領地が災害に遭い、若くして侯爵当主なったロイドを幼少の頃より思いを寄せていたケイトリン。ロイド様を助けるため、性急な結婚を敢行。その為、旦那様は平民の女性に癒しを求めてしまった。この国はルメニエール信仰。一夫一妻。婚姻前の男女の行為禁止、婚姻中の不貞行為禁止の厳しい規律がある。旦那様は平民の女性と結婚したいがため、ケイトリンンに離縁を申し出てきた。
旦那様を愛しているがため、旦那様の領地のために、身を粉にして働いてきたケイトリン。
その後、階段から足を踏み外し、前世の記憶を思い出した私。
離縁に応じましょう!未練なし!どうぞ愛する方と結婚し末永くお幸せに!
*女性軽視の言葉が一部あります(すみません)
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる