【絶対、現世に帰るんだから!!】家族みんなで異世界転生したら、父と母が武器になったけど、現世に帰ったら人間に戻れるの?女神様!?(第1部)

鳩時計

文字の大きさ
上 下
50 / 81
第4章 炎の剣と宝玉の杖

第16話 エクシリアの出自

しおりを挟む
 ディオーネと瑠依とトーマスは、宮廷に向かっていた。

「エクシリアはどうしていますか?ディオーネ様」
 トーマスが、ディオーネに尋ねた。

「カノンが魔物に襲われ死んでしまってかなり泣いていたけど、エリーゼが生きていたから、少しは元気を取り戻せたわ…」

「カノン様が…そうですか……エクシリアもかなり辛かったでしょうね…」
 トーマスはエクシリアを思いやってか、悲しそうな表情をした。

「トーマスさんは、エクシリアさんとカノンの事を知っているんですか?」
 瑠依がトーマスに聞いた。

「知っているも何も…」
 そうトーマスが言うと
「まだこの子達には、エクシリアとエリーゼとカノンの事を詳しく教えていないのよ。宰相の事も……瑠依にはもう教えてもいいかしら……あなたはもうこの国を代表する召喚士だものね」
 ディオーネは立ち止まり、トーマスと瑠依に草生らに座るよう促した。
「それじゃ、トーマス。瑠依に全てを教えてあげて」

「分かりました、ディオーネ様。瑠依様、よく聞いて下さい。自分は、瑠依様と同じく別の世界から、宰相に転生されてここに来ました。宰相が自分を転生させたのは、この国の魔術師にさせる為です。しかし、自分には魔力が無く、宮廷から追い出されて鍛冶屋になり、それからずっとこの国の守備隊の為に、武器を作っておりました。今から13年以上前の話です。その日も武器を作って宮廷に持って行きました。用事を全て終わらせ宮廷の中を歩いていると、柱の陰に裸の小さな女の子が震えながら隠れていました。彼女に聞きました、何処から来たのって?彼女はこう答えました。フランスって…」

「フランスって、あのフランス??」

「だと思います…名前を尋ねたら、エクシリアと……その時に右肩に傷痕がありました」

「今もあるわ!初めて会った時に見ました」
 瑠依は、エクシリアの肩の傷痕を思い出した。

「エクシリアに聞いたら、右の肩から何かを注入されていたようです。本人は地下から逃げてきたと。自分は直ぐにピンときました。宰相がエクシリアを転生させて、何か実験しているんじゃないかと。彼女をこのままにしておいたら、また地下に連れて行かれるだろうと思い、彼女をディオーネ様に会わせ相談しました。ディオーネ様は、侯爵家にエクシリアを連れて行って聞いてみるとおっしゃって、エクシリアと一緒に3人で行きました。侯爵家は喜んでお預かりしましょうって…ですので、エクシリアとエリーゼ様とは小さい時から姉妹のように暮らしていました。そしてエリーゼ様とカノン様は、幼なじみなのでよく3人で町の中を遊ぶようになりました。エクシリアは、私と同じでこの世界に家族はいません。エクシリアにとって、エリーゼ様とカノン様は家族みたいなものでした。だから、カノン様が亡くなったって聞いて、エクシリアの事を思うと…」

「そうだったんですね…宰相って見た目も悪人面だったけど、心根も悪人なんでしょうね…そんな小さな子供に…」

「エクシリアは、私と同じで魔力を持っていませんでした。おそらく宰相は、エクシリアに魔力を持たせる為の実験をしていたんじゃないかと…そして、エクシリアは大人になり、家族を守れるような存在になりたいって。それで自分はディオーネ様に相談しました…」

「そこから先は私が話すわ…エクシリアの事でトーマスから相談を受けた私が本人の所に行って話をしたの。彼女は、魔物からエリーゼ達やカノンを守れるようになりたいって…彼女に魔力がない以上、剣士としての道しかない…それでジョエルに話して、彼女をジョエルの弟子にしてもらったのよ。さすがに宰相でもジョエルの弟子に手は出さないでしょ…エクシリアは、あのように体格がいいからメキメキと頭角を表して、部隊長にまでなったのよ……カノンが死んで、エクシリアは自分の事を今も責めているでしょう……だから、カノンが死んだ今、エリーゼ達家族は絶対に守らないと」
 瑠依は、ディオーネの目に強い意思を感じた。

「ディオーネ様って、みんなに優しいんですね!」
 瑠依は、笑いながらディオーネに言った。

「何言ってるのよ!?話は終わりよ!出発しましょう!」
 ディオーネは、顔を真っ赤にして歩き出した。

「待って下さいよー!」
 瑠依もディオーネについて行く。
(この世界に来て師匠に会って本当に良かった!)
 そう思った瑠依だった。
しおりを挟む
感想 0

あなたにおすすめの小説

【完結】令嬢は愛されたかった・冬

ここ
ファンタジー
伯爵令嬢ファリナは、実母の出自から、 家族に疎んじられていた。 誰からも愛されたことのない人生。 けれど、ファリナは魔法使いの適正があった。 使い魔とともに、魔法使いに弟子入りする。そこで待っていたのはこれまでとはまったく別世界で。

(完結)醜くなった花嫁の末路「どうぞ、お笑いください。元旦那様」

音爽(ネソウ)
ファンタジー
容姿が気に入らないと白い結婚を強いられた妻。 本邸から追い出されはしなかったが、夫は離れに愛人を囲い顔さえ見せない。 しかし、3年と待たず離縁が決定する事態に。そして元夫の家は……。 *6月18日HOTランキング入りしました、ありがとうございます。

ワールド・カスタマイズ・クリエーター

ヘロー天気
ファンタジー
不思議な声によって異世界に喚ばれた悠介は、その世界で邪神と呼ばれる存在だった? 歴史の停滞を打ち破り、世界に循環を促す存在として喚ばれた若者の魂は、新たな時代への潮流となる。

男の仕事に口を出すなと言ったのはあなたでしょうに、いまさら手伝えと言われましても。

kieiku
ファンタジー
旦那様、私の商会は渡しませんので、あなたはご自分の商会で、男の仕事とやらをなさってくださいね。

【完結】令嬢は愛されたかった・春

ここ
ファンタジー
魔法使いのアビゼル・クォーツの弟子になったファリナ。修業は厳しいものだったけれど、魔法を使う楽しさを感じるようになった。 まだ10歳のファリナにはわからないけれど、アビゼルはとても女性にモテるらしい。師匠と弟子はいったいどうなっていくのか。

【完結】捨て去られた王妃は王宮で働く

ここ
ファンタジー
たしかに私は王妃になった。 5歳の頃に婚約が決まり、逃げようがなかった。完全なる政略結婚。 夫である国王陛下は、ハーレムで浮かれている。政務は王妃が行っていいらしい。私は仕事は得意だ。家臣たちが追いつけないほど、理解が早く、正確らしい。家臣たちは、王妃がいないと困るようになった。何とかしなければ…

日本列島、時震により転移す!

黄昏人
ファンタジー
2023年(現在)、日本列島が後に時震と呼ばれる現象により、500年以上の時を超え1492年(過去)の世界に転移した。移転したのは本州、四国、九州とその周辺の島々であり、現在の日本は過去の時代に飛ばされ、過去の日本は現在の世界に飛ばされた。飛ばされた現在の日本はその文明を支え、国民を食わせるためには早急に莫大な資源と食料が必要である。過去の日本は現在の世界を意識できないが、取り残された北海道と沖縄は国富の大部分を失い、戦国日本を抱え途方にくれる。人々は、政府は何を思いどうふるまうのか。

【完結】家族にサヨナラ。皆様ゴキゲンヨウ。

くま
恋愛
「すまない、アデライトを愛してしまった」 「ソフィア、私の事許してくれるわよね?」 いきなり婚約破棄をする婚約者と、それが当たり前だと言い張る姉。そしてその事を家族は姉達を責めない。 「病弱なアデライトに譲ってあげなさい」と…… 私は昔から家族からは二番目扱いをされていた。いや、二番目どころでもなかった。私だって、兄や姉、妹達のように愛されたかった……だけど、いつも優先されるのは他のキョウダイばかり……我慢ばかりの毎日。 「マカロン家の長男であり次期当主のジェイコブをきちんと、敬い立てなさい」 「はい、お父様、お母様」 「長女のアデライトは体が弱いのですよ。ソフィア、貴女がきちんと長女の代わりに動くのですよ」 「……はい」 「妹のアメリーはまだ幼い。お前は我慢しなさい。下の子を面倒見るのは当然なのだから」 「はい、わかりました」 パーティー、私の誕生日、どれも私だけのなんてなかった。親はいつも私以外のキョウダイばかり、 兄も姉や妹ばかり構ってばかり。姉は病弱だからと言い私に八つ当たりするばかり。妹は我儘放題。 誰も私の言葉を聞いてくれない。 誰も私を見てくれない。 そして婚約者だったオスカー様もその一人だ。病弱な姉を守ってあげたいと婚約破棄してすぐに姉と婚約をした。家族は姉を祝福していた。私に一言も…慰めもせず。 ある日、熱にうなされ誰もお見舞いにきてくれなかった時、前世を思い出す。前世の私は家族と仲良くもしており、色々と明るい性格の持ち主さん。 「……なんか、馬鹿みたいだわ!」 もう、我慢もやめよう!家族の前で良い子になるのはもうやめる! ふるゆわ設定です。 ※家族という呪縛から解き放たれ自分自身を見つめ、好きな事を見つけだすソフィアを応援して下さい! ※ざまあ話とか読むのは好きだけど書くとなると難しいので…読者様が望むような結末に納得いかないかもしれません。🙇‍♀️でも頑張るます。それでもよければ、どうぞ! 追加文 番外編も現在進行中です。こちらはまた別な主人公です。

処理中です...