重ねる

たこみ

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第二話 招集依頼

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彼女に行く手を遮られたとき、自分はもう生命を奪われるのだなと思った。
長い間、互いに高め合うことのできる関係だと思っていたのに、気が付くと傷つけ合っていた。

「T字路・・・」
幼少時代から行き止まりのような場所を目にすると身の危険を感じるというか、なんとも言えない気分になる。

両親や周りの人間からは物静かな子と言われてきた。
たしかに友達とはしゃいだりするのは得意ではないのだが、どうも僕の人生は他者によって操られているような気がしてならない。

時々夢にでてくるあの女性を探し出してみようかとも思ったが、実際この世に該当する人間がいるのだろうか・・・。
こんなことを他人に打ち明けたらかなり痛い人だと思われると思うので話したことはない。

だけど、なんとなく退屈な日常に嫌気がさしていた僕は、ついSNSで検索してしまったのだ。
前世、過去、夢と。

いくつかヒットした検索結果にはその手の小説を書いている人物たちの紹介があった。
そしてその中に僕が目を奪われた人が数人いた。

自分と同じような記憶を持つ人間になど、たどり着けないと思いこんでいたが、自分が不思議なことを言っているのを隠そうともしない人たちがいるのだととても驚かされた。

もしかしたらでたらめを言っているのかもしれないし、夢の中の女性のように自分を捕まえにきたらどうしようという恐れもあったが、どこかワクワクする気持ちの抑えがきかなくなってしまった。

一人に連絡するのは少し怖いので、僕は前世の記憶らしきものを持つと言う数人にメッセージを送ってみた。
二人から割とすぐに返信があり、そのうちの一人はみんなで顔合わせをして話すのも面白そうですねと言ってきた。

今になるとこのときの僕は普通の状態ではなかったなと思う。
埋もれてしまった記憶を他の誰かが探し出してくれるのではないかと高をくくっていたのだ・・・。





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