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第35話 決闘イベント
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どこで情報が漏れたのかよくわからない。
二日後、シエナは、興奮気味のイライザ嬢やブライトン公爵令嬢、ダーンリー侯爵令嬢などに囲まれて、リオとアラン様の護衛の一騎討ちの見物に駆り出された。
「あのー、あのー、騎士学校で何があるのですか?」
「行けばわかります! リオ様を応援しなくちゃ! いざ、騎士学校へ!」
会場は、普段は出入り禁止の騎士学校。
「どうやって騎士学校への入場許可を取ったのですか?」
まずもって、そこから聞きたいシエナだった。
騎士学校は解放されているわけではない。それなのに、入場出来て、しかも入場料がかかるというのだ。
お金さえ払えば、誰でも入れるわけ?
それに入場チケットは一枚十ギルもする。シエナには払えない。
しかし、イライザ嬢からは、まるで手品のようにいろいろなものが出てくる。
「シエナ様には、日頃の感謝を込めて、チケットはタダです!」
日頃の感謝? なんのことだかわからず、シエナは面食らった。
「え? どうしてなのか、さっぱりわからないわ」
「このイベントへの一般の入場許可は、決闘を申し込まれた弟のリオ様が心配だというシエナ様からの申し入れで実現しました」
イライザ嬢が説明する。
「え? 決闘?」
確かにリオのことは心配だ。だが、決闘を申し込まれたこと自体をシエナは知らなかった。従って、入場許可を出してくれと申し入れた覚えはさらさらない。
「決闘を申し込まれた?」
決闘という言葉がそもそも不穏だと思う。
「実は秘密でございます」
決闘禁止令がございますからとイライザ嬢は付け加えた。
「秘密なのですか?」
シエナは辺りを見回した。
見渡す限り、令嬢の山、山、山。
興奮した令嬢方はコソコソ話し合ったり、抑えきれない悲鳴だとか笑い声が響いてきていて、ワクワク感がハンパない。
秘密の決闘に、見物人が出ていて、さらに見物料と席チケットの手配がなされているのは、なぜ?
「席チケットだなんて、とんでもございません。混乱を避けるための整理券です」
「混乱を避けるための整理券……」
シエナは意味がよく飲み込めず、繰り返した。
ええと、ある種の詭弁? カモフラージュ?
なぜ、そんなに人が集まるの?
決闘禁止令はどうした?
そして、なぜ、整理券に値段がついているのか?
「プレミアムでございますよ」
イライザ嬢はしたり顔で説明した。
プレミアが付いたとな?
「人が多いのは、リオ様を心配されるシエナ様を心配されるお友達、ブライトン公爵令嬢と、ダーンリー侯爵令嬢が、シエナ様への友情のためにお父様に泣きつかれたからです」
シエナ様を元気づけたいと。
思い出した。どちらかの父親が元帥をしていたような気がする。元帥なら、騎士学校の卒業だろう。騎士学校と無縁ではないだろう。権力者だし。
公爵家の力を借りたんだ……
二人はあれほど性格が違うくせに、仲良く隣り合って座って、手作りの『リオ様命』と『リオ様❤️』と書かれた扇子?を持って、前のめりに座っている。
どう見ても、シエナの心配をしているわけではなさそうだ。
そのほかシエナが知らない令嬢たちも大勢座っていて、何やら拍手の練習に励んでいた。
そのうちの一人がリーダーなのか、集まった大勢の令嬢たちに声をかけていた。
「私が、リーオ様あーと声を上げますから、皆様、こんな感じで!」
彼女の身振りに合わせて、複雑なダンスと刻みの細かい拍手が一糸乱れず披露された。
一日、二日の練習の成果ではない。
もはや、シエナは目を見張ることしかできなかった。
シエナの席は(事情が事情なので)特等席だったが、なんだか落ち着かなかった。
試合開始前に、アンダーソン先生は滑るようにこっそりとシエナの隣の席にやってきた。
「あなたのリオは、本当に人気ね」
先生は笑った。
ストーリー的には、リオの思いびとを巡っての争いらしい。
「まあ。リオにそんな人がいただなんて」
「本当かどうか、知りませんよ? だって、あのイライザ嬢の演出ですもの」
「でも、決闘だなんて、何か深刻な理由があったのではないかと心配になります」
先生は曖昧に笑った。
「リオは無闇に決闘なんかする人ではありませんわ」
シエナは心配そうだったが、先生は落ち着いていた。
「決闘もイライザ嬢の演出でしょう。私が聞いた限りでは、単なる腕試しだそうよ。アラン様が街に出たいので、もう一人護衛を募ってらっしゃるそうで」
「まあ」
「それで白羽の矢が立ったのが、リオらしいわ。たしかに腕は抜群だし、他の騎士候補生と一緒に、街の警備をしているので街中に詳しいしね。年回りも近いから、護衛ではなく友達と言えば、誰にも何も気づかれないと思う。殿下の警備にはピッタリでしょう」
それはそうだろう。合理的な判断だ。
「そうなのですね」
「でも、セドナ側が気にして、腕前のほどを確認したいと言って手合わせを希望したそうなの」
それは納得できる。でも、ただの手合わせが公開されているのはなぜ?
先生はふっと目を細めて、諦めたように笑った。
「アラン様がそれでいいって」
ああ。そうか。
そう言われればアラン様はそんな人だった。
目立ちたがり?
最初こそ騎士服だったが、最近は流行を取り入れて、やり過ぎなんじゃないかというくらい色々な格好を試していた。
評価できるのは、いずれもなかなかお似合いだという点だ。
「アラン様らしい……」
時間が来るとアンダーソン先生は席を離れて、代わりに、その席を五十ギルで買ったという成金風の令嬢が着飾って座りに来た。
そして試合が始まったのだが、シエナは、彼女がよく知る護衛兼通訳が気の毒になったくらいだった。
完全なるアウェイ感。
隣の令嬢も熱狂的なリオのファンらしく、大興奮していた。
結局、引き分けになったらしいが、会場はブーイングで満たされて、大騒ぎだった。
だが、その場でリオが会場に手を振った。
騒いでいた女性たちがリオに釘付けになった。
リオは、おもむろに護衛兼通訳に手を差し伸べた。
リオは対戦相手の片手を掴むと持ち上げ、二人は片手バンザイで会場に顔を向けた。
相手に対するリスペクトだ。
素早く感じ取った観衆は息を呑んだ。
「リオ様、カッコいいー」
カッコいい。確かに。
「イケメンだわ!」
「シエナ様、リオ様の不動の一位、来月も確実ですわ!」
いつの間にか、そばに来ていたイライザ嬢が、興奮気味に言った。
「私の初イベントも、リオ様のおかげで大成功……」
「イライザ嬢……」
リオは、めちゃくちゃカッコいい。イライザ嬢の動機にはいささか不純なものを感じるが、イライザ嬢も目が潤んでいた。
「リオ様は本当にカッコいい。正真正銘のアイドルですわ」
……アイドルなのか。
でもシエナも思った。
カッコ良すぎる。胸が熱くなった。
しかし、大騒ぎする観客に向けてポーズをとってスマイルするリオと護衛兼通訳の間は、甚だ険悪だった。
「なんでこんな真似しなくちゃいけないんだ」
護衛兼通訳は、微笑みながら、文句を言った。
「大体、なんの見せものなんだよ、これ」
「仕方ないだろ? 殿下に悪感情を持たれてはいけないからな」
リオも爽やかに手を振りながら答えた。
「あのな、殿下は自分が目立つのが好きなんだよ。護衛兼通訳が目立ったらお怒りだぜ」
「知ってる。知ってるけど、今は殿下の身の安全の方が大事だろ」
「そもそも、どうしてこんなに人が集まったんだ」
リオは肩をすくめると、チラッと会場の観客席の前にかけられた大段幕を指した。
『マンスリー・レポート・メンズ・クラシック主催』
流麗な文字で書かれていた。
リオは横断幕を指して言った。
「あれは俺の手には負えない」
「殿下は権力者だぞ?」
「でも、今、権力使えないんだろ? 他の方法で身の安全の確保と……」
それから、リオは護衛兼通訳の顔を見た。
「殿下のお楽しみは手伝う。だから、俺のたった一つの望みも聞いてくれ」
「なんだよ、気持ち悪いな」
「シエナだ」
護衛兼通訳は、初めて見るみたいに、リオの顔をしみじみ見た。
こんな重症のシスコン、見たことないわ。
二日後、シエナは、興奮気味のイライザ嬢やブライトン公爵令嬢、ダーンリー侯爵令嬢などに囲まれて、リオとアラン様の護衛の一騎討ちの見物に駆り出された。
「あのー、あのー、騎士学校で何があるのですか?」
「行けばわかります! リオ様を応援しなくちゃ! いざ、騎士学校へ!」
会場は、普段は出入り禁止の騎士学校。
「どうやって騎士学校への入場許可を取ったのですか?」
まずもって、そこから聞きたいシエナだった。
騎士学校は解放されているわけではない。それなのに、入場出来て、しかも入場料がかかるというのだ。
お金さえ払えば、誰でも入れるわけ?
それに入場チケットは一枚十ギルもする。シエナには払えない。
しかし、イライザ嬢からは、まるで手品のようにいろいろなものが出てくる。
「シエナ様には、日頃の感謝を込めて、チケットはタダです!」
日頃の感謝? なんのことだかわからず、シエナは面食らった。
「え? どうしてなのか、さっぱりわからないわ」
「このイベントへの一般の入場許可は、決闘を申し込まれた弟のリオ様が心配だというシエナ様からの申し入れで実現しました」
イライザ嬢が説明する。
「え? 決闘?」
確かにリオのことは心配だ。だが、決闘を申し込まれたこと自体をシエナは知らなかった。従って、入場許可を出してくれと申し入れた覚えはさらさらない。
「決闘を申し込まれた?」
決闘という言葉がそもそも不穏だと思う。
「実は秘密でございます」
決闘禁止令がございますからとイライザ嬢は付け加えた。
「秘密なのですか?」
シエナは辺りを見回した。
見渡す限り、令嬢の山、山、山。
興奮した令嬢方はコソコソ話し合ったり、抑えきれない悲鳴だとか笑い声が響いてきていて、ワクワク感がハンパない。
秘密の決闘に、見物人が出ていて、さらに見物料と席チケットの手配がなされているのは、なぜ?
「席チケットだなんて、とんでもございません。混乱を避けるための整理券です」
「混乱を避けるための整理券……」
シエナは意味がよく飲み込めず、繰り返した。
ええと、ある種の詭弁? カモフラージュ?
なぜ、そんなに人が集まるの?
決闘禁止令はどうした?
そして、なぜ、整理券に値段がついているのか?
「プレミアムでございますよ」
イライザ嬢はしたり顔で説明した。
プレミアが付いたとな?
「人が多いのは、リオ様を心配されるシエナ様を心配されるお友達、ブライトン公爵令嬢と、ダーンリー侯爵令嬢が、シエナ様への友情のためにお父様に泣きつかれたからです」
シエナ様を元気づけたいと。
思い出した。どちらかの父親が元帥をしていたような気がする。元帥なら、騎士学校の卒業だろう。騎士学校と無縁ではないだろう。権力者だし。
公爵家の力を借りたんだ……
二人はあれほど性格が違うくせに、仲良く隣り合って座って、手作りの『リオ様命』と『リオ様❤️』と書かれた扇子?を持って、前のめりに座っている。
どう見ても、シエナの心配をしているわけではなさそうだ。
そのほかシエナが知らない令嬢たちも大勢座っていて、何やら拍手の練習に励んでいた。
そのうちの一人がリーダーなのか、集まった大勢の令嬢たちに声をかけていた。
「私が、リーオ様あーと声を上げますから、皆様、こんな感じで!」
彼女の身振りに合わせて、複雑なダンスと刻みの細かい拍手が一糸乱れず披露された。
一日、二日の練習の成果ではない。
もはや、シエナは目を見張ることしかできなかった。
シエナの席は(事情が事情なので)特等席だったが、なんだか落ち着かなかった。
試合開始前に、アンダーソン先生は滑るようにこっそりとシエナの隣の席にやってきた。
「あなたのリオは、本当に人気ね」
先生は笑った。
ストーリー的には、リオの思いびとを巡っての争いらしい。
「まあ。リオにそんな人がいただなんて」
「本当かどうか、知りませんよ? だって、あのイライザ嬢の演出ですもの」
「でも、決闘だなんて、何か深刻な理由があったのではないかと心配になります」
先生は曖昧に笑った。
「リオは無闇に決闘なんかする人ではありませんわ」
シエナは心配そうだったが、先生は落ち着いていた。
「決闘もイライザ嬢の演出でしょう。私が聞いた限りでは、単なる腕試しだそうよ。アラン様が街に出たいので、もう一人護衛を募ってらっしゃるそうで」
「まあ」
「それで白羽の矢が立ったのが、リオらしいわ。たしかに腕は抜群だし、他の騎士候補生と一緒に、街の警備をしているので街中に詳しいしね。年回りも近いから、護衛ではなく友達と言えば、誰にも何も気づかれないと思う。殿下の警備にはピッタリでしょう」
それはそうだろう。合理的な判断だ。
「そうなのですね」
「でも、セドナ側が気にして、腕前のほどを確認したいと言って手合わせを希望したそうなの」
それは納得できる。でも、ただの手合わせが公開されているのはなぜ?
先生はふっと目を細めて、諦めたように笑った。
「アラン様がそれでいいって」
ああ。そうか。
そう言われればアラン様はそんな人だった。
目立ちたがり?
最初こそ騎士服だったが、最近は流行を取り入れて、やり過ぎなんじゃないかというくらい色々な格好を試していた。
評価できるのは、いずれもなかなかお似合いだという点だ。
「アラン様らしい……」
時間が来るとアンダーソン先生は席を離れて、代わりに、その席を五十ギルで買ったという成金風の令嬢が着飾って座りに来た。
そして試合が始まったのだが、シエナは、彼女がよく知る護衛兼通訳が気の毒になったくらいだった。
完全なるアウェイ感。
隣の令嬢も熱狂的なリオのファンらしく、大興奮していた。
結局、引き分けになったらしいが、会場はブーイングで満たされて、大騒ぎだった。
だが、その場でリオが会場に手を振った。
騒いでいた女性たちがリオに釘付けになった。
リオは、おもむろに護衛兼通訳に手を差し伸べた。
リオは対戦相手の片手を掴むと持ち上げ、二人は片手バンザイで会場に顔を向けた。
相手に対するリスペクトだ。
素早く感じ取った観衆は息を呑んだ。
「リオ様、カッコいいー」
カッコいい。確かに。
「イケメンだわ!」
「シエナ様、リオ様の不動の一位、来月も確実ですわ!」
いつの間にか、そばに来ていたイライザ嬢が、興奮気味に言った。
「私の初イベントも、リオ様のおかげで大成功……」
「イライザ嬢……」
リオは、めちゃくちゃカッコいい。イライザ嬢の動機にはいささか不純なものを感じるが、イライザ嬢も目が潤んでいた。
「リオ様は本当にカッコいい。正真正銘のアイドルですわ」
……アイドルなのか。
でもシエナも思った。
カッコ良すぎる。胸が熱くなった。
しかし、大騒ぎする観客に向けてポーズをとってスマイルするリオと護衛兼通訳の間は、甚だ険悪だった。
「なんでこんな真似しなくちゃいけないんだ」
護衛兼通訳は、微笑みながら、文句を言った。
「大体、なんの見せものなんだよ、これ」
「仕方ないだろ? 殿下に悪感情を持たれてはいけないからな」
リオも爽やかに手を振りながら答えた。
「あのな、殿下は自分が目立つのが好きなんだよ。護衛兼通訳が目立ったらお怒りだぜ」
「知ってる。知ってるけど、今は殿下の身の安全の方が大事だろ」
「そもそも、どうしてこんなに人が集まったんだ」
リオは肩をすくめると、チラッと会場の観客席の前にかけられた大段幕を指した。
『マンスリー・レポート・メンズ・クラシック主催』
流麗な文字で書かれていた。
リオは横断幕を指して言った。
「あれは俺の手には負えない」
「殿下は権力者だぞ?」
「でも、今、権力使えないんだろ? 他の方法で身の安全の確保と……」
それから、リオは護衛兼通訳の顔を見た。
「殿下のお楽しみは手伝う。だから、俺のたった一つの望みも聞いてくれ」
「なんだよ、気持ち悪いな」
「シエナだ」
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名前も素性も分からないこの身体で、自分と家族の命を奪った相手に必ず報復することに私は決めた――。
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