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第3話 人気はあるのにダンスはできない
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ダンス会場に着くと、カーラは先に立ってさっさと中に入り、ここに立てと言わんばかりに顎をしゃくってシャーロットを入り口近くの一隅に立たせた。
どうしてここに立たなくてはいけないのかしら?
初めてこんなところへやって来たシャーロットは不安だった。カーラは彼女の後ろに立っていたが、シャーロットの立ち位置は入り口近くのひどく目立つ場所だった。
通り過ぎる人々が、いちいちシャーロットの顔を見ていく。
「ね、ねえカーラ、もう少し目立たない場所の方がよくない?」
「だって、マッキントッシュのおばさまには、あなたを目立つようにしてほしいって言われたんですもの」
そう言われては黙るしかなかった。
楽団が優雅に小さく音楽を鳴らしていて、周りでは顔見知りらしい人たちが優雅に互いに話しこんだり、あいさつを交わしたりしていた。
シャーロットは誰も知らないので、黙って立っているしかなかった。
シャーロットは目立つ美少女だった。
そして、名前を知らなくても、衣装を見ればどれほどの家の娘なのか、大体のところの見当はつくというものだ。
彼女がかなり怯えていることは見ただけでわかった。
デビューしたてなのだなとわかる。
何人かの男性は、美少女が緊張して小さくなっているのを見ると、つい微笑んでしまった。
だが、緊張しているシャーロットには、何か笑われているような気がしてならなかった。
どこか変な格好なのかしら?
楽団がダンスを始めるためにだんだん音を大きくし始めると、にこやかに微笑んだ一人の男性がシャーロット目指してゆったりとやって来た。いかにもこんな場所には慣れている様子だった。
黒いくせ毛の髪、どこか魅力的な目をしたその男は、見事なまでに礼儀正しかった。彼が上流社会の一員であることは間違いなかった。
「初めまして。きれいなお嬢さん。ダンスにお誘いしてもよろしいでしょうか? 私はアーサー・モン……」
シャーロットは驚いて、その美しい青緑の目を見開いた。男性はその目をのぞき込んでにっこりした。
「もちろんですわ!」
シャーロットの背中からカーラの声が響き、シャーロットはグイッと押しのけられた。あっという間にカーラは男性が差し出した手を取った。
シャーロットは呆然とした。
自分が誘われたとばかり思っていたのだが、そうではなかったのか。
半分持ち上げた手が恥ずかしくなった。その手を見たカーラがあざけるように小さな声で囁いた。
「本当に厚かましいわね。おきれいなお嬢さんだなんて言われた途端、自分のことだと思うだなんて。あんたのことじゃないのよ」
そして、彼女はその男性とダンスフロアに一緒に向かって行った。
シャーロットは真っ赤になってしまった。
恥ずかしい。おきれいなお嬢さんと聞いた途端に自分のことだと思い込むだなんて、自意識過剰もいいところだ。カーラの言うとおりだ。
一度もこんな場所に出入りしたことがないシャーロットは、ダンスの相手に選ばれる基準がさっぱりわからなかった。
彼女は出来るだけ陰の方に引っ込むことにした。
「勘違いするだなんて……」
別の男性が、シャーロットがさっきまでいたあたりを誰かを探すように近づいてきたが、すっかり恥ずかしくなってしまった彼女は目を伏せて一層奥に引っ込んだ。
曲が終わると、カーラが興奮した様子でさっきの男性に送られて戻ってきた。
「あら、そんな所にいたの。どうして場所を移動するの。わからなかったじゃない」
ダンスのパートナーは、今度は明確にシャーロットを見てきっぱりした調子で言った。
「そちらのお嬢さんと踊りたいな。いかがですか?」
カーラは男性とシャーロットの間に割り込むように立つと、申し訳なさそうに言い訳を始めた。
「お気遣いいただかなくても大丈夫ですわ。まだ、子どもですからダンスも十分ではありませんし」
男はむっとした様子だった。
「子どもではないでしょう? 子どもはこんなところに出入りしませんし……」
シャーロットは雲行きが怪しくなってきたので思わず小さな声で謝った。
「……申し訳ございません」
目を吊り上げたカーラがシャーロットの方を振り向いて言った。
「本当に、あなたが悪いのよ。もっとちゃんと謝れないの? ダンスを踊る前に礼儀を直さないとダメじゃないの」
そう言うと、カーラはその男性に丁寧に、しかし媚びるように微笑んだ。
「お詫びに、わたくしでよければ、もう一度踊っていただけませんでしょうか?」
男性は一瞬迷ったようだったが、一瞬カーラを睨むと、あまりのことに黙って足早に立ち去ってしまった。
「あ……」
カーラは後ろから声をかけたそうだったが、それは淑女として許される行為ではない。
彼女はくるりと振り返ると、シャーロットをにらみつけた。
「あんたが悪いのよ!……」
なぜ、怒られるのかわからない。
「こういう舞踏会のしきたりをきちんとわかってないから、さっきの男性を怒らせちゃったじゃない。何やってんの。失礼な子ね」
「あの、どこが悪かったと……」
だが、その時、もう一人、どうやら彼女を探していたらしい男性が近付いてきた。今度はずっと若い、キリッと決まった身なりの細身の男だった。
「ああ、さっき、入り口の近くにいた方はあなたですね?」
その男は、シャーロットを見て、ぱっと顔を輝かせた。そして、礼儀正しく次の相手をお願いできますまいかと尋ねた。
彼は、はっきりシャーロットの目を見てダンスを申し込んだ。
だが、またもや横からすっと手が伸びてきて、男の手を握ったのはカーラだった。
「もちろん、お受けします。もう曲が始まりますわ!」
男性は、急に相手が変わってびっくりしておたおたしている間に、カーラにダンスフロアに引きずられて行ったが、未練たらしくシャーロットを振り返っていた。
どうしてここに立たなくてはいけないのかしら?
初めてこんなところへやって来たシャーロットは不安だった。カーラは彼女の後ろに立っていたが、シャーロットの立ち位置は入り口近くのひどく目立つ場所だった。
通り過ぎる人々が、いちいちシャーロットの顔を見ていく。
「ね、ねえカーラ、もう少し目立たない場所の方がよくない?」
「だって、マッキントッシュのおばさまには、あなたを目立つようにしてほしいって言われたんですもの」
そう言われては黙るしかなかった。
楽団が優雅に小さく音楽を鳴らしていて、周りでは顔見知りらしい人たちが優雅に互いに話しこんだり、あいさつを交わしたりしていた。
シャーロットは誰も知らないので、黙って立っているしかなかった。
シャーロットは目立つ美少女だった。
そして、名前を知らなくても、衣装を見ればどれほどの家の娘なのか、大体のところの見当はつくというものだ。
彼女がかなり怯えていることは見ただけでわかった。
デビューしたてなのだなとわかる。
何人かの男性は、美少女が緊張して小さくなっているのを見ると、つい微笑んでしまった。
だが、緊張しているシャーロットには、何か笑われているような気がしてならなかった。
どこか変な格好なのかしら?
楽団がダンスを始めるためにだんだん音を大きくし始めると、にこやかに微笑んだ一人の男性がシャーロット目指してゆったりとやって来た。いかにもこんな場所には慣れている様子だった。
黒いくせ毛の髪、どこか魅力的な目をしたその男は、見事なまでに礼儀正しかった。彼が上流社会の一員であることは間違いなかった。
「初めまして。きれいなお嬢さん。ダンスにお誘いしてもよろしいでしょうか? 私はアーサー・モン……」
シャーロットは驚いて、その美しい青緑の目を見開いた。男性はその目をのぞき込んでにっこりした。
「もちろんですわ!」
シャーロットの背中からカーラの声が響き、シャーロットはグイッと押しのけられた。あっという間にカーラは男性が差し出した手を取った。
シャーロットは呆然とした。
自分が誘われたとばかり思っていたのだが、そうではなかったのか。
半分持ち上げた手が恥ずかしくなった。その手を見たカーラがあざけるように小さな声で囁いた。
「本当に厚かましいわね。おきれいなお嬢さんだなんて言われた途端、自分のことだと思うだなんて。あんたのことじゃないのよ」
そして、彼女はその男性とダンスフロアに一緒に向かって行った。
シャーロットは真っ赤になってしまった。
恥ずかしい。おきれいなお嬢さんと聞いた途端に自分のことだと思い込むだなんて、自意識過剰もいいところだ。カーラの言うとおりだ。
一度もこんな場所に出入りしたことがないシャーロットは、ダンスの相手に選ばれる基準がさっぱりわからなかった。
彼女は出来るだけ陰の方に引っ込むことにした。
「勘違いするだなんて……」
別の男性が、シャーロットがさっきまでいたあたりを誰かを探すように近づいてきたが、すっかり恥ずかしくなってしまった彼女は目を伏せて一層奥に引っ込んだ。
曲が終わると、カーラが興奮した様子でさっきの男性に送られて戻ってきた。
「あら、そんな所にいたの。どうして場所を移動するの。わからなかったじゃない」
ダンスのパートナーは、今度は明確にシャーロットを見てきっぱりした調子で言った。
「そちらのお嬢さんと踊りたいな。いかがですか?」
カーラは男性とシャーロットの間に割り込むように立つと、申し訳なさそうに言い訳を始めた。
「お気遣いいただかなくても大丈夫ですわ。まだ、子どもですからダンスも十分ではありませんし」
男はむっとした様子だった。
「子どもではないでしょう? 子どもはこんなところに出入りしませんし……」
シャーロットは雲行きが怪しくなってきたので思わず小さな声で謝った。
「……申し訳ございません」
目を吊り上げたカーラがシャーロットの方を振り向いて言った。
「本当に、あなたが悪いのよ。もっとちゃんと謝れないの? ダンスを踊る前に礼儀を直さないとダメじゃないの」
そう言うと、カーラはその男性に丁寧に、しかし媚びるように微笑んだ。
「お詫びに、わたくしでよければ、もう一度踊っていただけませんでしょうか?」
男性は一瞬迷ったようだったが、一瞬カーラを睨むと、あまりのことに黙って足早に立ち去ってしまった。
「あ……」
カーラは後ろから声をかけたそうだったが、それは淑女として許される行為ではない。
彼女はくるりと振り返ると、シャーロットをにらみつけた。
「あんたが悪いのよ!……」
なぜ、怒られるのかわからない。
「こういう舞踏会のしきたりをきちんとわかってないから、さっきの男性を怒らせちゃったじゃない。何やってんの。失礼な子ね」
「あの、どこが悪かったと……」
だが、その時、もう一人、どうやら彼女を探していたらしい男性が近付いてきた。今度はずっと若い、キリッと決まった身なりの細身の男だった。
「ああ、さっき、入り口の近くにいた方はあなたですね?」
その男は、シャーロットを見て、ぱっと顔を輝かせた。そして、礼儀正しく次の相手をお願いできますまいかと尋ねた。
彼は、はっきりシャーロットの目を見てダンスを申し込んだ。
だが、またもや横からすっと手が伸びてきて、男の手を握ったのはカーラだった。
「もちろん、お受けします。もう曲が始まりますわ!」
男性は、急に相手が変わってびっくりしておたおたしている間に、カーラにダンスフロアに引きずられて行ったが、未練たらしくシャーロットを振り返っていた。
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