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第57話 連絡も来ない
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エドウィン王子はクレイモア家に在住していた。
王家は、エドウィン王子はクリスティーナ王女襲撃事件の犯人なのだから引き渡せと要求したが、クレイモア家は断固として突っぱねた。
エドウィン王子も冤罪だと強く反発した。
ファルクの例があるから、当然と言える。
リール家に、自分の家の馬車を襲われ、ファルクの婚約者をさらわれたのだ。徹底抗戦の構えだった。
わあわあうるさい民衆や、黙っているが批判的な貴族たちは、大っぴらに、あるいはヒソヒソと噂した。
「エドウィン王子がアルクマールの姫君を襲撃するはずがない。リール家の仕業に間違いない。クレイモア家の悲劇を聞くと、リール家ならやりかねない」
「結果を見れば明らかだろ? リール家のジェラルディン嬢が、十歳近く年下の国王と結婚するんだ。あからさまな乗っ取りだ」
「国王の即位式が変に早かったわけさ。普通は一年以上間が空くのに、今回は一月だった。エドウィン王子が戻って来てはいけないからな」
「エドウィン王子は指名手配されていた。探していると言いながら、殺す気だったんだ」
人々は寄ると触るとこの話ばかりだった。
「そして、そして、厚かましいことに、リール家はジェラルディン嬢とエドウィン王子との結婚を、王位移譲の条件に出したそうですよ!」
ラビリアは外で色々な話を聞き込んでくる。
「本来の後継者、前の国王の王子が生きているなら、今の王様なんか権利は当然ないのにね。それを言うなら、いくら後見人とはいえ、リール家が口を差し挟む権利なんか全くないですよね!」
ファルクの婚約者の襲撃事件から一週間ほどして、なんの変更も認められないと譲らないリール公爵を、ついに王位を再検討する会議に引きずり出すことに成功した。
この譲歩は、襲撃事件のせいでリール家の立場が悪くなっている証拠だった。
後世に残る「王位委譲会議」だった。
私は、もちろん、どこにも出席できないので、全部後で聞いた話なんだけど。
「すごく厚かましい話ですよねっ ジェラルディンって、前に会ったあの女でしょ? またまたエド様に結婚を迫るだなんて」
ラビリアが興奮気味だった。
このウサギは興奮しやすい性格を持っている。
「エド様はもちろん断られたそうですよ?」
エドウィン王子は、議場に選ばれた大広間で、すっと立ち上がると、リール公爵に向かって発言したそうだ。
「お忘れのようだが、私には婚約者がいた。結婚寸前だった。その姫君の馬車を襲い、私を負傷させ、姫を連れ去って、私たちの仲を引き裂いたのは、あなただ。リール公爵」
恋人との別れ……暴力的な、生木を裂くような……
ファルクは、当然過反応した。
なぜだか、彼も出席していたらしい。ファルクは直接関係ないと思うけど。
ガタンと音を立てて、ファルクは後方の自席から立ち上がると、剣を抜き、ツカツカと話し合いがなされていた前方の壇へ歩いて行った。
相当な数の貴族たちが集められていたが、全員、突然のファルクの行動に黙り込み、議場の真ん中の通路を通り行くファルクを見つめていた。
彼は、抜き身の真剣を下げたまま通り過ぎた。目は、リール公爵だけを見据えていたという。
「止めろ! ファルク!」
気づいた兄のアンセルムが叫んだが、ファルクはあっという間にリール公爵と三十センチのところまで迫った。
静まり返った議場は、誰かがピン一本落としても聞こえるほどだったと言う。
「ティナをどこへやった?」
大きな声ではなかったのに、その声は議場の全ての人に聞こえた。
首筋に冷たい鋼を当てられたリール公爵は、ブルブル震えるだけだった。
「ティナ……私の婚約者だ。馬車を襲い、連れ去った。どこへやったのだ?」
「知らない……本当に知らない……」
公爵は髪も目も肌も黒い、太って背の低い人物だった。ファルクに敵うはずがなかった。
「答え次第では……」
刃が当たり、スーとリール公爵の首筋に一本の線が引かれ血が流れ落ちた。議場の薄暗い明かりの中でさえ、血の赤が見えた。
「言え」
ファルクは剣聖と呼ばれるほどの男。
騎士の誰が間に入っても、一瞬の早業でリール公爵の命はなくなるだろう。
誰も一言も発せなかった。アンセルムでさえも。
「ダメだ、ファルク」
エドウィン王子が低い言った。
「その男に剣を汚すほどの値打ちはない」
ファルクは、突然、リール公爵の腹を力一杯蹴った。
公爵は後ろにあった椅子や燭台もろとも数メートルほどぶっ飛び、うめき声をあげてうずくまった。
燭台から落ちてきたローソクで火傷をし、何かの金属に当たって、手と顔を切ったらしい。だが誰も気にしなかった。全員がファルクを見ていた。
ファルクは突然、エドウィン王子を抱いた。
「泣いていたそうですよ」
議場の貴族たちは、誰もなにも言わなかった。
そして発言がないまま、会議は終わり、公爵は身柄を拘束され、反対者がいないので十四歳の国王は、王位移譲の書類に署名した。
「まるで、一幅の絵のようだった」
これまた、後日、聞いた話だが、街の人たちは、盛り上がりまくった。
「亡くした恋人の仇を取ろうとするのは当然だよ!」
「ザマアミロだ、リール公爵のやろう!」
ファルクのは、正直、ご乱行なのだが、お咎めなしだったらしい。
「エドウィン王子も気の毒に! 恋人を亡くしたのは一緒だったんだね」
「おかわいそうなファルク様。おかわいそうなエドウィン王子……」
「恋人を失くした者同士ってことで、ファルクの悲恋に便乗して同情票を稼いだわね、エド」
その割に恋人の私のところには来ないけど。連絡も来ませんけど。
「微妙ですね……ティナ様、生きてるし。ファルク様の恋人、取っちゃったの、実はエド様ですもんね」
ラビリアが感想を述べた。
「しかも、本来の恋敵を抱きしめて、涙してただなんて、真相がわかったら大乱闘になりそうですよね。首を斬りつけられたリール公爵は、完全に蚊帳の外なんで、どんな拷問にかけてもティナ様の行方なんか知ってるはずないし。拷問にかけられ損ですよね!」
的確過ぎて、何も言えない。せっかくの悲恋がラビリアにかかっては台無しだ。
「それはとにかく、ファルクがエドを認めた時点で、その場にいた全員がエドの味方になったと思うわ。この国の行く末は、もう決まったも同然ね」
「エド様がついにガレンの王様に返り咲くのですね!」
ラビリアが声を上げた。
「……そうね。きっと忙しいのね」
私はラビリアに言った。
「帰りましょうか、アルクマールに」
「え? これからが面白いところじゃないんですか? エド様が、いよいよ王位に就くのですよ?」
でも、私は言った。
「私のガレンでの出番は終わったのよ。魔法を使った大冒険は終わったんだから」
エドから連絡は何も来ない。
もう、王位を奪還したら、私に用事はないのだろう。
「王様って、忙しいのね。きっと用事がたくさんあって……」
もしかすると、重要な国内の貴族の娘と結婚した方がいいと判断したのかもしれない。クレイモア家に娘がいたら……いなさそうだったが……その一家の娘と結婚するのは、揺れている国内の地固めにいいだろう。
「何言ってんですか、ティナ様。あのエド様がティナ様を諦めるはずがないじゃないですか」
「でも、今や国王陛下よ? いろいろと誘惑も多いでしょうし」
このままだと私はずっと見物人。それは嫌だ。
それに貧乏騎士の愛は信用できるけど、王侯の愛なんか信じられない。
痩せてガリガリだったエドには、私しかいなかった。だけど、今はいろいろなモノを持っている。栄光だとかお世辞だとか、権力も、軍隊も、お金もなんでも!
お金があれば、愛とよく似たものが買えるって。
連絡も来ないし、魔法の使い手なんかいらないでしょうし。
そう。むしろ私にとってここは危険なのかも知れない。
ラビリアが呆れたような顔をした。
「どんなに冒険が終わろうと、エド様の方はティナ様に用事があると、私は思うんですけどね?」
私がエドを好きなだけなんじゃないかしら。
なんだか好きになればなるほど、心が揺れてくる。信じられなくなってくる。私は、エドの顔をあれ以来全く見ていない。
噂話を聞くだけだ。
私の好きは、相手に伝わっているのかな。婚約者をリール公爵に奪われた悲しみの王子になっているし、その設定をそのまま貫けば、私はいない方が都合がいいかも知れない……
ラビリアが、しかめっ面で解説してきた。
「その設定でいくと、エド様はファルク様同様一生独身ですよ? ティナ様が、ここで、こんなに余ってんのに」
くっ……あまりモノかっ 不用品扱いね! もう、魔法、いらないものねっ
「帰りましょう! ラビリア!」
「えええー ちょっと連絡してこないからって、拗ねないで欲しいなー」
王家は、エドウィン王子はクリスティーナ王女襲撃事件の犯人なのだから引き渡せと要求したが、クレイモア家は断固として突っぱねた。
エドウィン王子も冤罪だと強く反発した。
ファルクの例があるから、当然と言える。
リール家に、自分の家の馬車を襲われ、ファルクの婚約者をさらわれたのだ。徹底抗戦の構えだった。
わあわあうるさい民衆や、黙っているが批判的な貴族たちは、大っぴらに、あるいはヒソヒソと噂した。
「エドウィン王子がアルクマールの姫君を襲撃するはずがない。リール家の仕業に間違いない。クレイモア家の悲劇を聞くと、リール家ならやりかねない」
「結果を見れば明らかだろ? リール家のジェラルディン嬢が、十歳近く年下の国王と結婚するんだ。あからさまな乗っ取りだ」
「国王の即位式が変に早かったわけさ。普通は一年以上間が空くのに、今回は一月だった。エドウィン王子が戻って来てはいけないからな」
「エドウィン王子は指名手配されていた。探していると言いながら、殺す気だったんだ」
人々は寄ると触るとこの話ばかりだった。
「そして、そして、厚かましいことに、リール家はジェラルディン嬢とエドウィン王子との結婚を、王位移譲の条件に出したそうですよ!」
ラビリアは外で色々な話を聞き込んでくる。
「本来の後継者、前の国王の王子が生きているなら、今の王様なんか権利は当然ないのにね。それを言うなら、いくら後見人とはいえ、リール家が口を差し挟む権利なんか全くないですよね!」
ファルクの婚約者の襲撃事件から一週間ほどして、なんの変更も認められないと譲らないリール公爵を、ついに王位を再検討する会議に引きずり出すことに成功した。
この譲歩は、襲撃事件のせいでリール家の立場が悪くなっている証拠だった。
後世に残る「王位委譲会議」だった。
私は、もちろん、どこにも出席できないので、全部後で聞いた話なんだけど。
「すごく厚かましい話ですよねっ ジェラルディンって、前に会ったあの女でしょ? またまたエド様に結婚を迫るだなんて」
ラビリアが興奮気味だった。
このウサギは興奮しやすい性格を持っている。
「エド様はもちろん断られたそうですよ?」
エドウィン王子は、議場に選ばれた大広間で、すっと立ち上がると、リール公爵に向かって発言したそうだ。
「お忘れのようだが、私には婚約者がいた。結婚寸前だった。その姫君の馬車を襲い、私を負傷させ、姫を連れ去って、私たちの仲を引き裂いたのは、あなただ。リール公爵」
恋人との別れ……暴力的な、生木を裂くような……
ファルクは、当然過反応した。
なぜだか、彼も出席していたらしい。ファルクは直接関係ないと思うけど。
ガタンと音を立てて、ファルクは後方の自席から立ち上がると、剣を抜き、ツカツカと話し合いがなされていた前方の壇へ歩いて行った。
相当な数の貴族たちが集められていたが、全員、突然のファルクの行動に黙り込み、議場の真ん中の通路を通り行くファルクを見つめていた。
彼は、抜き身の真剣を下げたまま通り過ぎた。目は、リール公爵だけを見据えていたという。
「止めろ! ファルク!」
気づいた兄のアンセルムが叫んだが、ファルクはあっという間にリール公爵と三十センチのところまで迫った。
静まり返った議場は、誰かがピン一本落としても聞こえるほどだったと言う。
「ティナをどこへやった?」
大きな声ではなかったのに、その声は議場の全ての人に聞こえた。
首筋に冷たい鋼を当てられたリール公爵は、ブルブル震えるだけだった。
「ティナ……私の婚約者だ。馬車を襲い、連れ去った。どこへやったのだ?」
「知らない……本当に知らない……」
公爵は髪も目も肌も黒い、太って背の低い人物だった。ファルクに敵うはずがなかった。
「答え次第では……」
刃が当たり、スーとリール公爵の首筋に一本の線が引かれ血が流れ落ちた。議場の薄暗い明かりの中でさえ、血の赤が見えた。
「言え」
ファルクは剣聖と呼ばれるほどの男。
騎士の誰が間に入っても、一瞬の早業でリール公爵の命はなくなるだろう。
誰も一言も発せなかった。アンセルムでさえも。
「ダメだ、ファルク」
エドウィン王子が低い言った。
「その男に剣を汚すほどの値打ちはない」
ファルクは、突然、リール公爵の腹を力一杯蹴った。
公爵は後ろにあった椅子や燭台もろとも数メートルほどぶっ飛び、うめき声をあげてうずくまった。
燭台から落ちてきたローソクで火傷をし、何かの金属に当たって、手と顔を切ったらしい。だが誰も気にしなかった。全員がファルクを見ていた。
ファルクは突然、エドウィン王子を抱いた。
「泣いていたそうですよ」
議場の貴族たちは、誰もなにも言わなかった。
そして発言がないまま、会議は終わり、公爵は身柄を拘束され、反対者がいないので十四歳の国王は、王位移譲の書類に署名した。
「まるで、一幅の絵のようだった」
これまた、後日、聞いた話だが、街の人たちは、盛り上がりまくった。
「亡くした恋人の仇を取ろうとするのは当然だよ!」
「ザマアミロだ、リール公爵のやろう!」
ファルクのは、正直、ご乱行なのだが、お咎めなしだったらしい。
「エドウィン王子も気の毒に! 恋人を亡くしたのは一緒だったんだね」
「おかわいそうなファルク様。おかわいそうなエドウィン王子……」
「恋人を失くした者同士ってことで、ファルクの悲恋に便乗して同情票を稼いだわね、エド」
その割に恋人の私のところには来ないけど。連絡も来ませんけど。
「微妙ですね……ティナ様、生きてるし。ファルク様の恋人、取っちゃったの、実はエド様ですもんね」
ラビリアが感想を述べた。
「しかも、本来の恋敵を抱きしめて、涙してただなんて、真相がわかったら大乱闘になりそうですよね。首を斬りつけられたリール公爵は、完全に蚊帳の外なんで、どんな拷問にかけてもティナ様の行方なんか知ってるはずないし。拷問にかけられ損ですよね!」
的確過ぎて、何も言えない。せっかくの悲恋がラビリアにかかっては台無しだ。
「それはとにかく、ファルクがエドを認めた時点で、その場にいた全員がエドの味方になったと思うわ。この国の行く末は、もう決まったも同然ね」
「エド様がついにガレンの王様に返り咲くのですね!」
ラビリアが声を上げた。
「……そうね。きっと忙しいのね」
私はラビリアに言った。
「帰りましょうか、アルクマールに」
「え? これからが面白いところじゃないんですか? エド様が、いよいよ王位に就くのですよ?」
でも、私は言った。
「私のガレンでの出番は終わったのよ。魔法を使った大冒険は終わったんだから」
エドから連絡は何も来ない。
もう、王位を奪還したら、私に用事はないのだろう。
「王様って、忙しいのね。きっと用事がたくさんあって……」
もしかすると、重要な国内の貴族の娘と結婚した方がいいと判断したのかもしれない。クレイモア家に娘がいたら……いなさそうだったが……その一家の娘と結婚するのは、揺れている国内の地固めにいいだろう。
「何言ってんですか、ティナ様。あのエド様がティナ様を諦めるはずがないじゃないですか」
「でも、今や国王陛下よ? いろいろと誘惑も多いでしょうし」
このままだと私はずっと見物人。それは嫌だ。
それに貧乏騎士の愛は信用できるけど、王侯の愛なんか信じられない。
痩せてガリガリだったエドには、私しかいなかった。だけど、今はいろいろなモノを持っている。栄光だとかお世辞だとか、権力も、軍隊も、お金もなんでも!
お金があれば、愛とよく似たものが買えるって。
連絡も来ないし、魔法の使い手なんかいらないでしょうし。
そう。むしろ私にとってここは危険なのかも知れない。
ラビリアが呆れたような顔をした。
「どんなに冒険が終わろうと、エド様の方はティナ様に用事があると、私は思うんですけどね?」
私がエドを好きなだけなんじゃないかしら。
なんだか好きになればなるほど、心が揺れてくる。信じられなくなってくる。私は、エドの顔をあれ以来全く見ていない。
噂話を聞くだけだ。
私の好きは、相手に伝わっているのかな。婚約者をリール公爵に奪われた悲しみの王子になっているし、その設定をそのまま貫けば、私はいない方が都合がいいかも知れない……
ラビリアが、しかめっ面で解説してきた。
「その設定でいくと、エド様はファルク様同様一生独身ですよ? ティナ様が、ここで、こんなに余ってんのに」
くっ……あまりモノかっ 不用品扱いね! もう、魔法、いらないものねっ
「帰りましょう! ラビリア!」
「えええー ちょっと連絡してこないからって、拗ねないで欲しいなー」
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