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第53話 魔法を解く王子様のキス
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かくして、ティナ様浮気事件は終わりを告げた。
まさかエドがあんなことをするだなんて、思い出しただけで顔が赤くなる。
立派な胸筋だった。
いや、そうではなくて、あの腕に包み込まれると、なんだか任せていいような気になってしまう。この人に頼っていいんだみたいな、安心感と安ど感。
むろん、間違っていると思う。でも、それは暖かくて抗いがたい魅力だった。
「どうしたの? 赤くなって」
ファルクが、嬉しそうに話しかけてくる。
「い、いえ。なんでも」
どうしたらいいのか。
あれからファルクとは、ファルクの知り合いのパーティに呼ばれ、ダンスを踊ったり、会食に臨んだりした。
「お美しい上に、会話も食事の所作も、貴族の令嬢で立派に通りますなあ!」
「過分に過ぎるお言葉ですわ」
私はちょっと困ったように笑って、相手におずおずと微笑みかける。かたわらでは、ファルクが私を見つめている。どこか自慢そうだ。
令嬢たちの視線がグサグサ突き刺さるけど。
どこかの没落貴族の娘という設定はとても分かりやすかったらしい。
いきなり、大貴族の家のご子息が町で働く平民の娘に惚れ込むシンデレラストーリーは、面白いかもしれないが作り物臭がある。
実際に会ってみて、多分本当に平民らしくないから余計混乱させられると思う。
私に町娘の真似は無理。話しかけにきた貴族の方が平民の事情に詳しいんじゃないかと思うと、ドキドキなのよ! 変なこと喋っているんじゃないかしら?
没落貴族の娘と言われると真実味が増したのだろう。すんなり受け入れられた。
ところが、逆に、会って見てみたいという好奇心を刺激してしまったらしい。私たちは、よく招待を受けるようになってしまった。
「行こう」
ファルクは社交嫌いで有名だったのに、招待に気軽に応じるようになった。
なんで行きたがるのかしら。話がややこしくなるだけじゃないの。言えないけど。
「招待をお受けになるんですの? 社交嫌いだとうかがいましたわ。どうしてですの?」
「嫌かな?」
「だって、みなさま、好意的なので嬉しくはあるのですが、好奇心がご招待の理由だとわかっているので」
ファルクは手を握って、真剣になって説得してきた。
「これは僕たちの結婚に必要な事なんだ。会えば、君がどんな人なのか、わかってもらえる」
私は当惑した。私たちの結婚に必要な事って……
「一体、どんな人なのですか?」
「地位や名誉や金目当てで、名家の御曹司を狙った人じゃないことがわかる。貴族階級では誰もが、そういう人物像を心の中では思い描いたと思う」
玉の輿狙いの下衆な女だと?
いえいえ! むしろ、逆玉だから。
でも、ファルクもわかっていない。
「会ってしまうと、確かに没落貴族の娘だとわかる。優しくて、品があって、しつけが行き届いている。会話もダンスも教養も申し分ない。その上、美人で淑やかだ」
「褒めすぎですわ」
ファルクは首を振った。
「貴族のいいところと平民のいいところ、誇り高いが高慢でなくて、控えめなところが混ざっている。理想的だ」
多分、平民のいいところは、ないのでは? 私、自分のことを高慢だと思っている。
控えめなのは、この態度でいいのか自信がないからだ。
アルクマール流が通用するのかよくわからないし、平民の暮らしは正直さっぱりなんだもの。
だが、こんなにあちこちに顔を出していると、取り返しがつかなくなりそうで怖い。
みんな、好意的でファルクとの結婚を祝福してくれる。誰もが式はすぐだと思っている。
でも、私は二人いるわけじゃないの。この栗色の髪のティナは、偽者なのよ。
パーティに出てさらに多くの人に婚約者だと信じ込まれたら、必ず困ったことになる。
だから、パーティには出たくないと言っているのに、ファルクは心配いらないと笑って断ってくれない。
「僕が、妻を大事にしていることを、知ってもらいたいのさ。君の地位を完全なものにするために」
「言わんこっちゃない。だから早めにファルクの恋人なんか、やめとけばよかったのだ」
私は、クレイモア伯爵家の敷地内の、アンセルムの住んでいる屋敷に呼ばれていた。
アンセルムの前だと言うのに、エドは不満そうにファルクを呼び捨てにしていた。
ファルクは、結婚式の日取りを口にし始め、クレイモア伯爵家から出て、新婚用に別な屋敷を探しているらしかった。
「伯爵家の敷地内に住んでもいいんだけど、騎士団の詰所から少し距離があるんだ。結婚したら、できるだけ君のそばにいたい。だから、もう少し近いほうがいいんじゃないかって」
彼は優しい。果てしなく優しい。意地悪なところもあるエドのことを思うと、ずっと優しい。
「とはいえ、そんなに遠いわけじゃないから、君の弟とすっかり離れてしまうほどじゃないよ。そう言えば、最近、彼を見ないね?」
そりゃそうだ。だって、エドはもう変身をやめてしまったのだもの。
エドは今や、着々とアンセルム、つまりクレイモア伯爵と組んで仲間を集めているらしい。
鳥メールの必要も、変身魔法の必要もなくなってしまった。
事情を知っているクレイモア邸の中なら十三歳に変身する必要はなかったし、鳥メールの方は受け取った側がびっくり仰天するから、普通の郵便の方がいいだろう。
「ここで地味に味方を増やしていく方法もいいかもしれないけど、どうせいつかは全面対決になる。それなら、一挙に事態を打開したいんだ」
「そんなうまい手があると言うの?」
エドがうなずいた。
「あなたは、実はエドウィン王子の婚約者だそうだな」
クレイモア伯爵アンセルムは神妙な顔をして私に向かって言った。
「悪い魔女に魔法をかけられて、そんな姿になったそうだな」
突然、なんの話?
「婚約者にキスされると、魔法が解けるというのだが」
え? 何その設定? 初耳だけど。
「信じ難いな」
アンセルムが、弟のファルク程ではないが、端正な顔で私を見つめた。
キスならこないだエドにされましたけど? でも、それ、違う話の設定なんで、魔法なんか解けませんよ?
アンセルムの横に、至極真面目な顔をして、エドが座っていた。
「アンセルム、その魔法の話は本当なんだ。信じてくれ。俺は早くクリスティーナ姫を取り戻したい」
訳が分からないわ?
「あのう、それ……」
エドが、私の話をさえぎった。
「今、困っているのは、リール家に決定打を与えたいということなんだ」
その話と今の話には、どういう関連性が?
「それで、あなたにお願いしたいことがあって……」
アンセルムが神妙に話を続ける。
「何をでしょう?」
「リール公爵家は、ファルクとリール公爵家令嬢のメアリを結婚させたい。我が家を自分の陣営に取り込みたいのだ」
アンセルムは真剣に言った。
「そのためにはどんな非道なことでもすると思う」
それは確かに。
そもそもエドウィン王子とクリスティーナ姫の結婚だって、暴力的に阻止された。
「許されないことだ。だが、当時は力関係は歴然としていた」
エドが厳しい表情で言った。アンセルムが続けた。
「だが、今は逆にリール家が批判にさらされている。だけど、日和見で異変を望まない者と言うのは必ず一定数いる。彼らが動けばもっと簡単だ、被害が出ないだろう」
少々のことには目をつぶって、平和な暮らしを望む人は多い。料理店の店主、ハンスのような人たちだ。
「もし、リール家の悪行が衆目に晒されたら……」
「私たちの事件は闇に葬られましたわ」
私は言った。
「あきらかにひどい事件でした。でも、今では時間も経っています。証拠は残っていないでしょう」
「だから、新しい証拠を作りたいんだ」
アンセルムがニヤリと笑って言った。
「新しい証拠?」
なんだろう。
アンセルムの目がキラリと光った。彼は私に向かって言った。
「罠を張る」
「そしてあなたにかけられた魔法を解くのだ」
まさかエドがあんなことをするだなんて、思い出しただけで顔が赤くなる。
立派な胸筋だった。
いや、そうではなくて、あの腕に包み込まれると、なんだか任せていいような気になってしまう。この人に頼っていいんだみたいな、安心感と安ど感。
むろん、間違っていると思う。でも、それは暖かくて抗いがたい魅力だった。
「どうしたの? 赤くなって」
ファルクが、嬉しそうに話しかけてくる。
「い、いえ。なんでも」
どうしたらいいのか。
あれからファルクとは、ファルクの知り合いのパーティに呼ばれ、ダンスを踊ったり、会食に臨んだりした。
「お美しい上に、会話も食事の所作も、貴族の令嬢で立派に通りますなあ!」
「過分に過ぎるお言葉ですわ」
私はちょっと困ったように笑って、相手におずおずと微笑みかける。かたわらでは、ファルクが私を見つめている。どこか自慢そうだ。
令嬢たちの視線がグサグサ突き刺さるけど。
どこかの没落貴族の娘という設定はとても分かりやすかったらしい。
いきなり、大貴族の家のご子息が町で働く平民の娘に惚れ込むシンデレラストーリーは、面白いかもしれないが作り物臭がある。
実際に会ってみて、多分本当に平民らしくないから余計混乱させられると思う。
私に町娘の真似は無理。話しかけにきた貴族の方が平民の事情に詳しいんじゃないかと思うと、ドキドキなのよ! 変なこと喋っているんじゃないかしら?
没落貴族の娘と言われると真実味が増したのだろう。すんなり受け入れられた。
ところが、逆に、会って見てみたいという好奇心を刺激してしまったらしい。私たちは、よく招待を受けるようになってしまった。
「行こう」
ファルクは社交嫌いで有名だったのに、招待に気軽に応じるようになった。
なんで行きたがるのかしら。話がややこしくなるだけじゃないの。言えないけど。
「招待をお受けになるんですの? 社交嫌いだとうかがいましたわ。どうしてですの?」
「嫌かな?」
「だって、みなさま、好意的なので嬉しくはあるのですが、好奇心がご招待の理由だとわかっているので」
ファルクは手を握って、真剣になって説得してきた。
「これは僕たちの結婚に必要な事なんだ。会えば、君がどんな人なのか、わかってもらえる」
私は当惑した。私たちの結婚に必要な事って……
「一体、どんな人なのですか?」
「地位や名誉や金目当てで、名家の御曹司を狙った人じゃないことがわかる。貴族階級では誰もが、そういう人物像を心の中では思い描いたと思う」
玉の輿狙いの下衆な女だと?
いえいえ! むしろ、逆玉だから。
でも、ファルクもわかっていない。
「会ってしまうと、確かに没落貴族の娘だとわかる。優しくて、品があって、しつけが行き届いている。会話もダンスも教養も申し分ない。その上、美人で淑やかだ」
「褒めすぎですわ」
ファルクは首を振った。
「貴族のいいところと平民のいいところ、誇り高いが高慢でなくて、控えめなところが混ざっている。理想的だ」
多分、平民のいいところは、ないのでは? 私、自分のことを高慢だと思っている。
控えめなのは、この態度でいいのか自信がないからだ。
アルクマール流が通用するのかよくわからないし、平民の暮らしは正直さっぱりなんだもの。
だが、こんなにあちこちに顔を出していると、取り返しがつかなくなりそうで怖い。
みんな、好意的でファルクとの結婚を祝福してくれる。誰もが式はすぐだと思っている。
でも、私は二人いるわけじゃないの。この栗色の髪のティナは、偽者なのよ。
パーティに出てさらに多くの人に婚約者だと信じ込まれたら、必ず困ったことになる。
だから、パーティには出たくないと言っているのに、ファルクは心配いらないと笑って断ってくれない。
「僕が、妻を大事にしていることを、知ってもらいたいのさ。君の地位を完全なものにするために」
「言わんこっちゃない。だから早めにファルクの恋人なんか、やめとけばよかったのだ」
私は、クレイモア伯爵家の敷地内の、アンセルムの住んでいる屋敷に呼ばれていた。
アンセルムの前だと言うのに、エドは不満そうにファルクを呼び捨てにしていた。
ファルクは、結婚式の日取りを口にし始め、クレイモア伯爵家から出て、新婚用に別な屋敷を探しているらしかった。
「伯爵家の敷地内に住んでもいいんだけど、騎士団の詰所から少し距離があるんだ。結婚したら、できるだけ君のそばにいたい。だから、もう少し近いほうがいいんじゃないかって」
彼は優しい。果てしなく優しい。意地悪なところもあるエドのことを思うと、ずっと優しい。
「とはいえ、そんなに遠いわけじゃないから、君の弟とすっかり離れてしまうほどじゃないよ。そう言えば、最近、彼を見ないね?」
そりゃそうだ。だって、エドはもう変身をやめてしまったのだもの。
エドは今や、着々とアンセルム、つまりクレイモア伯爵と組んで仲間を集めているらしい。
鳥メールの必要も、変身魔法の必要もなくなってしまった。
事情を知っているクレイモア邸の中なら十三歳に変身する必要はなかったし、鳥メールの方は受け取った側がびっくり仰天するから、普通の郵便の方がいいだろう。
「ここで地味に味方を増やしていく方法もいいかもしれないけど、どうせいつかは全面対決になる。それなら、一挙に事態を打開したいんだ」
「そんなうまい手があると言うの?」
エドがうなずいた。
「あなたは、実はエドウィン王子の婚約者だそうだな」
クレイモア伯爵アンセルムは神妙な顔をして私に向かって言った。
「悪い魔女に魔法をかけられて、そんな姿になったそうだな」
突然、なんの話?
「婚約者にキスされると、魔法が解けるというのだが」
え? 何その設定? 初耳だけど。
「信じ難いな」
アンセルムが、弟のファルク程ではないが、端正な顔で私を見つめた。
キスならこないだエドにされましたけど? でも、それ、違う話の設定なんで、魔法なんか解けませんよ?
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訳が分からないわ?
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アンセルムは真剣に言った。
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それは確かに。
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私は言った。
「あきらかにひどい事件でした。でも、今では時間も経っています。証拠は残っていないでしょう」
「だから、新しい証拠を作りたいんだ」
アンセルムがニヤリと笑って言った。
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