26 / 28
第26話 意外な人からの手紙
しおりを挟む僕は雫に顔を見られないようにして頭を抱き締める。そうだ、そうだよ。雫はストーカーなんだ。
「僕は雫が大大大大好きだから、、、、、」
焦りや緊張を悟られないように優しさを全力で声に滲ませ雫に伝える。
雫と初夜を迎える前に僕が見つけた小型カメラ。恋人になった後でも雫はパソコンで僕の日常をずっと見ていたんだ。あの時に雫は言っていた。
───『舞白さん。俺はね?舞白さんから離れると死んでしまうほど弱いんです。だから、カメラをつけて舞白さんをいつも見てるんです。仕事中とか、趣味に熱中して部屋にこもる時とか。さすがにお風呂やトイレは付けてないですよ?カメラ、、、、、』
仕事中、つまり僕の仕事部屋。雫が絶対不可侵条約を結んだ部屋。そこにカメラがある、、、、、っ!日記を見ているのを見られていた?それとも僕が雫の部屋にいた時から知っていた?カメラに運良く写ってなかったとしてもっ
───『あと、盗聴はトイレ以外は付けてます』
盗聴器!!!あぁ、僕、何か言ってたよね?!どうしよ、何言ってた?決定的なこと言ってないよね?いやでもカメラもあるから、、、、、、、終わったぁ、完全に詰みじゃん!バレてるじゃんこれ!
「、、、、、、、舞白さん、思い出しちゃったんですね」
どう考えたって僕に逃げ道がないことへの焦りとどうしてあの時、ストーカー行為を続けることに対して辞めさせなかったのかという後悔が頭を占めた。それにこれからどうすればいいのかということで頭がグルグルになって抱き締めていた雫のことを忘れていた
「、、、、、舞白さんっ!俺の事、嫌いになりましたか?もう一緒に居るの嫌ですか?俺の顔を見るのも嫌になりました?俺のこと、、、、、置いてどこかへ行っちゃうんですか?俺の────」
「え?ちょ、ちょっと落ち着いて」
雫が焦りを含んだ声で僕に矢継ぎ早に質問を投げかける。質問全部が僕にとってはありえない話だった。
「雫、僕はどこにも行かないよ。さっきも言ったけど雫が大好きでずっと一緒にいたい。雫のいる今の生活が幸せなんだから」
そう言えば雫は顔をあげて僕を見つめる。その瞳はまだ暗い闇の中にあって、僕の言葉が何一つ届いてないと理解する。
───この人は優しいから
「舞白さん。どこまで思い出しましか?」
僕の欲しい言葉を言ってくれてるんだ。舞白さんを裏切った僕を、酷いことをした僕を、、、、、、、、、、舞白さんは遂に思い出してしまった
ああ、先の言葉を聞きたくない
その言葉は僕にとって幸せの終わりを告げるだろうから
「何も思い出してないよ?」
聞いても聞いても聴き足りない可愛い声音から発せられた言葉は幸せの終わりを終わらす言葉だった。
「思い出してないんですか、、、、、?」
163
お気に入りに追加
411
あなたにおすすめの小説
【完結】もう…我慢しなくても良いですよね?
アノマロカリス
ファンタジー
マーテルリア・フローレンス公爵令嬢は、幼い頃から自国の第一王子との婚約が決まっていて幼少の頃から厳しい教育を施されていた。
泣き言は許されず、笑みを浮かべる事も許されず、お茶会にすら参加させて貰えずに常に完璧な淑女を求められて教育をされて来た。
16歳の成人の義を過ぎてから王子との婚約発表の場で、事あろうことか王子は聖女に選ばれたという男爵令嬢を連れて来て私との婚約を破棄して、男爵令嬢と婚約する事を選んだ。
マーテルリアの幼少からの血の滲むような努力は、一瞬で崩壊してしまった。
あぁ、今迄の苦労は一体なんの為に…
もう…我慢しなくても良いですよね?
この物語は、「虐げられる生活を曽祖母の秘術でざまぁして差し上げますわ!」の続編です。
前作の登場人物達も多数登場する予定です。
マーテルリアのイラストを変更致しました。
![](https://www.alphapolis.co.jp/v2/img/books/no_image/novel/love.png?id=38b9f51b5677c41b0416)
作られた悪役令嬢
白羽鳥(扇つくも)
恋愛
血塗られたエリザベス――胸に赤い薔薇の痣を持って生まれた公爵令嬢は、王太子の妃となる神託を受けた。
けれど王太子が選んだのは、同じく胸に痣のある異世界の少女。
嫉妬に狂ったエリザベスは少女を斧で襲い、王太子の怒りを買ってしまう。
罰として与えられたのは、呪いの刻印と化け物と呼ばれる伯爵との結婚。
それは世界一美しい姿をした、世界一醜い女の物語――だと思われていたが……?
※作中に登場する名前が偶然禁止ワードに引っ掛かったため、工夫を入れてます。
※第14回恋愛小説大賞応募作品です。3月からは不定期更新になります。
※「小説家になろう」「カクヨム」にも掲載しています。
ヒロインは辞退したいと思います。
三谷朱花
恋愛
リヴィアはソニエール男爵の庶子だった。15歳からファルギエール学園に入学し、第二王子のマクシム様との交流が始まり、そして、マクシム様の婚約者であるアンリエット様からいじめを受けるようになった……。
「あれ?アンリエット様の言ってることってまともじゃない?あれ?……どうして私、『ファルギエール学園の恋と魔法の花』のヒロインに転生してるんだっけ?」
前世の記憶を取り戻したリヴィアが、脱ヒロインを目指して四苦八苦する物語。
※アルファポリスのみの公開です。
悪役断罪?そもそも何かしましたか?
SHIN
恋愛
明日から王城に最終王妃教育のために登城する、懇談会パーティーに参加中の私の目の前では多人数の男性に囲まれてちやほやされている少女がいた。
男性はたしか婚約者がいたり妻がいたりするのだけど、良いのかしら。
あら、あそこに居ますのは第二王子では、ないですか。
えっ、婚約破棄?別に構いませんが、怒られますよ。
勘違い王子と企み少女に巻き込まれたある少女の話し。
【完結】私の望み通り婚約を解消しようと言うけど、そもそも半年間も嫌だと言い続けたのは貴方でしょう?〜初恋は終わりました。
るんた
恋愛
「君の望み通り、君との婚約解消を受け入れるよ」
色とりどりの春の花が咲き誇る我が伯爵家の庭園で、沈痛な面持ちで目の前に座る男の言葉を、私は内心冷ややかに受け止める。
……ほんとに屑だわ。
結果はうまくいかないけど、初恋と学園生活をそれなりに真面目にがんばる主人公のお話です。
彼はイケメンだけど、あれ?何か残念だな……。という感じを目指してます。そう思っていただけたら嬉しいです。
彼女視点(side A)と彼視点(side J)を交互にあげていきます。
どうやらお前、死んだらしいぞ? ~変わり者令嬢は父親に報復する~
野菜ばたけ@既刊5冊📚好評発売中!
ファンタジー
「ビクティー・シークランドは、どうやら死んでしまったらしいぞ?」
「はぁ? 殿下、アンタついに頭沸いた?」
私は思わずそう言った。
だって仕方がないじゃない、普通にビックリしたんだから。
***
私、ビクティー・シークランドは少し変わった令嬢だ。
お世辞にも淑女然としているとは言えず、男が好む政治事に興味を持ってる。
だから父からも煙たがられているのは自覚があった。
しかしある日、殺されそうになった事で彼女は決める。
「必ず仕返ししてやろう」って。
そんな令嬢の人望と理性に支えられた大勝負をご覧あれ。
公爵令嬢アナスタシアの華麗なる鉄槌
招杜羅147
ファンタジー
「婚約は破棄だ!」
毒殺容疑の冤罪で、婚約者の手によって投獄された公爵令嬢・アナスタシア。
彼女は獄中死し、それによって3年前に巻き戻る。
そして…。
妹の身代わり人生です。愛してくれた辺境伯の腕の中さえ妹のものになるようです。
桗梛葉 (たなは)
恋愛
タイトルを変更しました。
※※※※※※※※※※※※※
双子として生まれたエレナとエレン。
かつては忌み子とされていた双子も何代か前の王によって、そういった扱いは禁止されたはずだった。
だけどいつの時代でも古い因習に囚われてしまう人達がいる。
エレナにとって不幸だったのはそれが実の両親だったということだった。
両親は妹のエレンだけを我が子(長女)として溺愛し、エレナは家族とさえ認められない日々を過ごしていた。
そんな中でエレンのミスによって辺境伯カナトス卿の令息リオネルがケガを負ってしまう。
療養期間の1年間、娘を差し出すよう求めてくるカナトス卿へ両親が差し出したのは、エレンではなくエレナだった。
エレンのフリをして初恋の相手のリオネルの元に向かうエレナは、そんな中でリオネルから優しさをむけてもらえる。
だが、その優しささえも本当はエレンへ向けられたものなのだ。
自分がニセモノだと知っている。
だから、この1年限りの恋をしよう。
そう心に決めてエレナは1年を過ごし始める。
※※※※※※※※※※※※※
異世界として、その世界特有の法や産物、鉱物、身分制度がある前提で書いています。
現実と違うな、という場面も多いと思います(すみません💦)
ファンタジーという事でゆるくとらえて頂けると助かります💦
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる