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第38話 エレノア対マリーナ夫人
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エレノアが帰って来た頃には南翼の工事は済んでいて、当然のように中を検分しに行こうとした彼女は、マリーナ夫人に阻まれた。
「何よ。ここは私の家よ!」
「オールバンス男爵ご夫妻の新居でございます」
口元にゆったりした微笑みを浮かべた彼女は、エレノアがどんなに騒ごうと、ドアを開けなかった。
「通しなさい! 使用人の分際で!」
「間違いなく、オールバンス家の使用人でございます」
マリーナ夫人は根気が良く、弁が立ち、まるで岩のようだった。絶対に出入り口から動かないのである。
なるほど。これは確かにエレノアをよく知るソフィアにはできない芸当だ。
エレノアは、母の公爵夫人に泣きつきに行ったが、今回ばかりは母も許さなかった。
「ダメですよ。いくらお姉さまの新居とは言え、今はオールバンス男爵のお住まいですから、勝手にあなたが入ってはいけません」
そんなわけで私は南翼から出なかった。
エレノアに会ったら面倒くさい。
入れろ入れろと大騒ぎしているのが聞こえてくる。
だいぶん経ってから、マリーナ夫人が疲れた様子もなく戻ってきた。
「しつけの悪いお妹様でありますことね」
はっ……。一言もありません。
「どなたかがキチンと躾けられれば、あんな育ちにはならなかったのではありませんか?」
同じ育ちの私は普通だと思うのですが……。
「上のお嬢様のあなた様は優秀であられたので、厳しく育てられたのでしょう。そしてお妹様はご器量も何もかも劣っていらしたので、ご両親は甘やかされたのでしょう」
………………。くぅ。真実。
だから、私はマリーナ夫人を雇うのは反対だったのよ!
これを聞いたら、エレノアが何を始めるか、命が縮む思いだわ。
「これを機に、エレノア様もやってはいけないことがあるとわかってくださるといいですね。のちのち本人の為になります。ですので……」
マリーナ夫人は言葉を続けた。
「まずはお姉さまのオーガスタ様が、エレノア様をお構いにならないことです。わかりましたね?」
エレノアの言うことを聞かないでいいと言うのは結構だけれど、代わりにマリーナ夫人に牛耳られるとは!
せっかくエレノアが戻って来たからと母が誘うので、夕食に公爵家の方に出向いたら、エレノアが恨めしそうに待っていた。
彼女はいかにも不満そうに両親に、南翼へ入ろうとしたら使用人頭の年寄りの女に阻まれたと訴えていた。
「オーガスタも結婚して一家を構えたのです。あなたが勝手に入ってはいけませんよ」
母が当たり前だと言わんばかりに拒否していた。
へ、へえ? これならいけるかも。
「でも、南翼だって、公爵家の建物ですわ。娘の私が家の中を自由に出入りできないなんておかしいわ」
今度は父が諭した。
「あそこはオーガスタとラルフに渡したのだ。公爵家の別宅の方を改造してもよかったのだがね。ここにいて欲しいと、私が望んだのだよ」
「出て行ってもらいましょうよ! その方がいいわ」
相変わらずすごいな。エレノア。
私は思わず感心してエレノアを眺めた。
「そうだわ。お姉さまなら、私を南翼に入れられるわ。どんな内装にしたの? 興味があるわ。手直ししてあげられるかもよ? お姉さまときたら、何をさせても趣味が悪いんだから」
「大丈夫よ。私じゃなくてデザイナーに一任しましたからね」
「あら、そうなの? でも、見てみたいわ。夕食の後で一緒に行くわ」
「だめよ」
私はあっさり言った。
エレノアはびっくりしていた。
それから、考え考えゆっくり言った。
「そうか。あの使用人頭の女が怖いのね? でも、一応お姉さまはラルフの妻だから、あの女に命令する権利があるのよ。だから、私が代わりに躾けてあげるわ。私を入れるように言っておいてちょうだい」
「だめよ。あなたの家じゃないわ」
急にエレノアはガチャンと音を立てて、フォークとナイフをテーブルクロスの上に放り出した。
私は黙って見ていた。
エレノアは顔をしかめ、涙をボロボロ出して泣き始めた。
「どうして、みんな、そんなに冷たいの? 私のことを邪険にするの?」
母がアンを呼んで、エレノアを連れて行くように命じた。アンは急いでやって来て、エレノアを抱きかかえるようにして連れて行った。
しばらく黙って居た後、母がぽつりぽつりとダービィでの話を始めた。
「なにしろ、王太子殿下の件で、宮廷があまり楽しい場所ではなくなったので、若い娘たちが大勢、当家の別邸に集まったのです。そうなると、だんだんと近くの別荘にも貴族の子弟が避暑の名目で集まってくるようになったの」
自由な雰囲気の絶好の社交場と化したらしかった。
「でも、エレノアはうまくいかなかったみたいで」
何があったと言うのかしら?
私は不思議だった。出かける時、エレノアは、あんなに自信満々だったのに?
後で、ソフィアがこっそりなにがあったか聞いてきて教えてくれた。なんでも、エレノアは思うほど注目も関心も集められなかったらしい。
「エレノア様は社交界デビューの時に散々ちやほやされたのが忘れらなくて、男性にはとても高飛車だったそうですよ。どの男性も自分に気があると思っていたようで」
ソフィアは、思い出しても腹が立つと言った様子で言った。そう言えば、私の結婚前にも、自分の方がラルフに好かれていると言ってたっけ。
「ずいぶん嫌われたらしくて。滞在の最後の頃は、お茶会の参加者すら思うように集まらなくて、ショックを受けていらしたそうですよ」
翌朝、私は昨夜遅くに帰って来たラルフに遅い朝食を出していた。
彼は昨夜は、本当に遅くに帰って来たので、ほとんど何も食べていないはずだった。私は公爵家の厨房に言いつけて、食べでのある食事を持ってこさせた。
ラルフは、シャワーから出て来たところなのか、まだ髪は濡れたままで、白シャツと黒っぽいズボンをはいただけの簡単な格好だったが、わたしがせっせと皿を並べているところを見て、ちょっと驚いたようだった。
「そんな風にしてもらえると勘違いしてしまいそうだ」
妙な目つきで私を見て、彼はそんなことを言った。
面倒くさいので黙っていた。私は別に人でなしではない。
南翼には極力人を入れたくなかった。私たちには秘密がある。
「昨日は王宮でなにかあったのですか?」
私は何も気にしていないような調子でにラルフに聞いた。
実際遅すぎた。何かがあったことは間違いない。父もいつもより遅い時間に帰ってきていた。
「この頃、王太子殿下の評判が地に落ちていることを知っているよね?」
ラルフは食事をしながら私に言った。
「ええ……」
「女絡み、酒絡み、まあ、他にもいろいろあるけれど……」
殿下の評判がどんどん悪くなっていく様は、聞いていて、最早気の毒だった。
私と婚約していたころは、大変な美男子で、そこまで素行が悪いと言われてはいなかった。少々間抜けなことを言っても、所詮は王子様、礼儀正しく見た目だけは立派なので、誰も悪く言わなかった。
「それはあなたが横にいた時の話。今、リリアン嬢と一緒の時の彼は、荒れまくっているよ。リリアン嬢の素行もよろしくない。この間の晩、市庁舎でリリアン嬢が暴れていた時のことを覚えているだろう?」
テオと知り合いになった晩のことね?
「ええ」
「あんなことをしていては、お腹の子どもに差しさわりがある。公爵家が気にして、結婚式の日まで自宅に軟禁されているらしい。殿下の方は大喜びだ」
私はちょっと暗い気持ちになってきた。
お互いに愛し合って子どもまで出来、二人でいつくしみ合って育てていくはずではなかったのか。
それが、離されて喜んでいるとは悲しすぎる。
「殿下はあなたと再婚約したいと言っている。リリアン嬢と結婚したわけではないのだから、まだ間に合うと言うのだ。以前も一度、婚約破棄をしているから、婚約とか結婚というものを軽く見ているのかもしれないな」
「何をバカなことを!」
私はつい反応してしまった。
「私は結婚しているのですよ? 婚約解消はよくある話ですし、婚約破棄だって事情によってはやむを得ませんわ。だけど結婚はそうではありません。よほどの欠陥でもない限り……」
そこで私は言いよどんだ。よほどの欠陥……はある。
「それで、そのために国王陛下が王太子殿下に沿岸地方の征伐を命じたのだ」
私は驚いてラルフの顔を見た。
「そのため? そのためってどういう意味ですか?」
ラルフは疲れたような顔で答えた。
「あの殿下に手柄を立てさせるのさ。箔を付けるんだ。すばらしい王太子殿下だと」
「そんな。無理ではありませんか?」
「そうでもないさ。きちんとお膳立てして、必ず勝つようにすればいい」
お膳立て……ここにも、舞台装置を作り上げる側の人間が一人いるのだわ。
「王太子が手柄を立てれば、王家も安泰。それに、あなたのことがある」
ラルフがぎろりと私を見た。
え? 私? 私になんの関係があるの?
「大手柄をたてたなら、その勇者のワガママの一つや二つ、聞いてもいいだろうって雰囲気になるだろう?」
ワガママの一つや二つ?
「何よ。ここは私の家よ!」
「オールバンス男爵ご夫妻の新居でございます」
口元にゆったりした微笑みを浮かべた彼女は、エレノアがどんなに騒ごうと、ドアを開けなかった。
「通しなさい! 使用人の分際で!」
「間違いなく、オールバンス家の使用人でございます」
マリーナ夫人は根気が良く、弁が立ち、まるで岩のようだった。絶対に出入り口から動かないのである。
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エレノアは、母の公爵夫人に泣きつきに行ったが、今回ばかりは母も許さなかった。
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「上のお嬢様のあなた様は優秀であられたので、厳しく育てられたのでしょう。そしてお妹様はご器量も何もかも劣っていらしたので、ご両親は甘やかされたのでしょう」
………………。くぅ。真実。
だから、私はマリーナ夫人を雇うのは反対だったのよ!
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「これを機に、エレノア様もやってはいけないことがあるとわかってくださるといいですね。のちのち本人の為になります。ですので……」
マリーナ夫人は言葉を続けた。
「まずはお姉さまのオーガスタ様が、エレノア様をお構いにならないことです。わかりましたね?」
エレノアの言うことを聞かないでいいと言うのは結構だけれど、代わりにマリーナ夫人に牛耳られるとは!
せっかくエレノアが戻って来たからと母が誘うので、夕食に公爵家の方に出向いたら、エレノアが恨めしそうに待っていた。
彼女はいかにも不満そうに両親に、南翼へ入ろうとしたら使用人頭の年寄りの女に阻まれたと訴えていた。
「オーガスタも結婚して一家を構えたのです。あなたが勝手に入ってはいけませんよ」
母が当たり前だと言わんばかりに拒否していた。
へ、へえ? これならいけるかも。
「でも、南翼だって、公爵家の建物ですわ。娘の私が家の中を自由に出入りできないなんておかしいわ」
今度は父が諭した。
「あそこはオーガスタとラルフに渡したのだ。公爵家の別宅の方を改造してもよかったのだがね。ここにいて欲しいと、私が望んだのだよ」
「出て行ってもらいましょうよ! その方がいいわ」
相変わらずすごいな。エレノア。
私は思わず感心してエレノアを眺めた。
「そうだわ。お姉さまなら、私を南翼に入れられるわ。どんな内装にしたの? 興味があるわ。手直ししてあげられるかもよ? お姉さまときたら、何をさせても趣味が悪いんだから」
「大丈夫よ。私じゃなくてデザイナーに一任しましたからね」
「あら、そうなの? でも、見てみたいわ。夕食の後で一緒に行くわ」
「だめよ」
私はあっさり言った。
エレノアはびっくりしていた。
それから、考え考えゆっくり言った。
「そうか。あの使用人頭の女が怖いのね? でも、一応お姉さまはラルフの妻だから、あの女に命令する権利があるのよ。だから、私が代わりに躾けてあげるわ。私を入れるように言っておいてちょうだい」
「だめよ。あなたの家じゃないわ」
急にエレノアはガチャンと音を立てて、フォークとナイフをテーブルクロスの上に放り出した。
私は黙って見ていた。
エレノアは顔をしかめ、涙をボロボロ出して泣き始めた。
「どうして、みんな、そんなに冷たいの? 私のことを邪険にするの?」
母がアンを呼んで、エレノアを連れて行くように命じた。アンは急いでやって来て、エレノアを抱きかかえるようにして連れて行った。
しばらく黙って居た後、母がぽつりぽつりとダービィでの話を始めた。
「なにしろ、王太子殿下の件で、宮廷があまり楽しい場所ではなくなったので、若い娘たちが大勢、当家の別邸に集まったのです。そうなると、だんだんと近くの別荘にも貴族の子弟が避暑の名目で集まってくるようになったの」
自由な雰囲気の絶好の社交場と化したらしかった。
「でも、エレノアはうまくいかなかったみたいで」
何があったと言うのかしら?
私は不思議だった。出かける時、エレノアは、あんなに自信満々だったのに?
後で、ソフィアがこっそりなにがあったか聞いてきて教えてくれた。なんでも、エレノアは思うほど注目も関心も集められなかったらしい。
「エレノア様は社交界デビューの時に散々ちやほやされたのが忘れらなくて、男性にはとても高飛車だったそうですよ。どの男性も自分に気があると思っていたようで」
ソフィアは、思い出しても腹が立つと言った様子で言った。そう言えば、私の結婚前にも、自分の方がラルフに好かれていると言ってたっけ。
「ずいぶん嫌われたらしくて。滞在の最後の頃は、お茶会の参加者すら思うように集まらなくて、ショックを受けていらしたそうですよ」
翌朝、私は昨夜遅くに帰って来たラルフに遅い朝食を出していた。
彼は昨夜は、本当に遅くに帰って来たので、ほとんど何も食べていないはずだった。私は公爵家の厨房に言いつけて、食べでのある食事を持ってこさせた。
ラルフは、シャワーから出て来たところなのか、まだ髪は濡れたままで、白シャツと黒っぽいズボンをはいただけの簡単な格好だったが、わたしがせっせと皿を並べているところを見て、ちょっと驚いたようだった。
「そんな風にしてもらえると勘違いしてしまいそうだ」
妙な目つきで私を見て、彼はそんなことを言った。
面倒くさいので黙っていた。私は別に人でなしではない。
南翼には極力人を入れたくなかった。私たちには秘密がある。
「昨日は王宮でなにかあったのですか?」
私は何も気にしていないような調子でにラルフに聞いた。
実際遅すぎた。何かがあったことは間違いない。父もいつもより遅い時間に帰ってきていた。
「この頃、王太子殿下の評判が地に落ちていることを知っているよね?」
ラルフは食事をしながら私に言った。
「ええ……」
「女絡み、酒絡み、まあ、他にもいろいろあるけれど……」
殿下の評判がどんどん悪くなっていく様は、聞いていて、最早気の毒だった。
私と婚約していたころは、大変な美男子で、そこまで素行が悪いと言われてはいなかった。少々間抜けなことを言っても、所詮は王子様、礼儀正しく見た目だけは立派なので、誰も悪く言わなかった。
「それはあなたが横にいた時の話。今、リリアン嬢と一緒の時の彼は、荒れまくっているよ。リリアン嬢の素行もよろしくない。この間の晩、市庁舎でリリアン嬢が暴れていた時のことを覚えているだろう?」
テオと知り合いになった晩のことね?
「ええ」
「あんなことをしていては、お腹の子どもに差しさわりがある。公爵家が気にして、結婚式の日まで自宅に軟禁されているらしい。殿下の方は大喜びだ」
私はちょっと暗い気持ちになってきた。
お互いに愛し合って子どもまで出来、二人でいつくしみ合って育てていくはずではなかったのか。
それが、離されて喜んでいるとは悲しすぎる。
「殿下はあなたと再婚約したいと言っている。リリアン嬢と結婚したわけではないのだから、まだ間に合うと言うのだ。以前も一度、婚約破棄をしているから、婚約とか結婚というものを軽く見ているのかもしれないな」
「何をバカなことを!」
私はつい反応してしまった。
「私は結婚しているのですよ? 婚約解消はよくある話ですし、婚約破棄だって事情によってはやむを得ませんわ。だけど結婚はそうではありません。よほどの欠陥でもない限り……」
そこで私は言いよどんだ。よほどの欠陥……はある。
「それで、そのために国王陛下が王太子殿下に沿岸地方の征伐を命じたのだ」
私は驚いてラルフの顔を見た。
「そのため? そのためってどういう意味ですか?」
ラルフは疲れたような顔で答えた。
「あの殿下に手柄を立てさせるのさ。箔を付けるんだ。すばらしい王太子殿下だと」
「そんな。無理ではありませんか?」
「そうでもないさ。きちんとお膳立てして、必ず勝つようにすればいい」
お膳立て……ここにも、舞台装置を作り上げる側の人間が一人いるのだわ。
「王太子が手柄を立てれば、王家も安泰。それに、あなたのことがある」
ラルフがぎろりと私を見た。
え? 私? 私になんの関係があるの?
「大手柄をたてたなら、その勇者のワガママの一つや二つ、聞いてもいいだろうって雰囲気になるだろう?」
ワガママの一つや二つ?
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