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第24話 婚約発表!

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ごとごとと馬車が動き出す。

隣には同じように正装に身を包んだロアン様。気のせいか、ずっとこっちを向いて座っている。目が合ってしまうので、仕方なくて窓の外を見ている。

ドレスに着替えた私を見て、ロアン様はゴボゴボ咳き込んでいた。それから足早に部屋に入ってくると、手を取って「急ごう」とかなんとか言い出した。そのあとはずっとチラチラ見まわしているので、なんだか怖い。


誰のパーティで会場はどこなのか。

伯爵家の令息ロアン様が出席されると言うなら、それ相応のパーティだと思うけど。

「モレル様」

「ロアンと呼んでくれ」

いや、伯爵家の令息に失礼ですから。

「会場はどちらでしょうか」

「俺んちだ」

ちょっと待って?

「モレル伯爵邸ですか?」

「そうだ。本邸の方だ」

わあああああ。伯爵家主催のパーティ? そんなパーティで、伯爵家の令息が女性を連れてきて婚約者だと言い出したら、冗談で済まなくなる。

「安心しろ。主催者は伯爵ではない。俺だ。幸い両親は旅行中なんだ」

幸い? 私はロアン様の顔を目の玉が飛び出るほど見つめた。ますますダメじゃない!
ロアン様はちょっと照れた。照れる場面か?

「まだ、正式に両親に紹介していないので、気づまりかなと思って、そこは心遣いした。俺主催にした方がいいだろう。お前の両親もまだ戻ってきていないし」

その心遣いは心遣いなのか? ほかに方法がありそうなもんだけど?

「ご両親が戻ってきてからパーティをすればいいのでは」

私は途切れ途切れに言い出したが、全否定された。

「今すぐのパーティーじゃないとダメだ。この間も説明したろう。この二週間が危険なんだ」

えらい力の入れようなので、口を挟めなかった。

「俺が婚約者に名乗り出れば、ジェロームなど声もかけられなくなる。そのためのパーティ出席だ」

ふはははは……とロアン様は満足げに笑ったが、私は全然笑えなかった。


パーティ会場には、ほかの参加者と同様に馬車で乗り入れた。主催者だけど。

「なるほど。坊ちゃまがお選びになるだけあって、本当にお美しい」

ロアン様、黙る。どうしてそこで寡黙になるの? 私の前ではあんなにぺらぺらしゃべっているのに。

私、美人ではないし、ロアン様の隣だなんて恥ずかしいわ。きっとあちこちの令嬢からクレームがつくと思うわ! 不釣り合いだって。

家臣?一同がお屋敷のお坊ちゃまと、その付属物(私のことだ)をうやうやしく迎え入れた。もう、針のむしろ、いたたまれない。私は平民なのに。

主人がいなくてもパーティの準備が滞りなく出来るくらい使用人が優秀らしい。さすが伯爵家。

大きな広間はざわざわ人声がして、すでに人が入っているらしい。緊張するわ。


訳知り顔の執事が広間のドアを開ける。

光が明るい! 大勢の人たちが見ている。全員見ている。

私は手を引かれて、広間へ入った。

声が通る執事が声を張って私たちを紹介した。

「お集まりの皆様。お待たせいたしました」

ざわめきが広がり、会場の全員が私たちを見た。視線が痛い!





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