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第11話 偽者のローズ嬢
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あ。確かに。言ってないわ。
私は赤面した。バリー家の令嬢としての認識が心のどこかにあったのだろう。
伯爵家に仕える騎士様。
彼はイケメンだ。態度が傲慢に見えるのは、多分、生まれつきが結構いい貴族の家の出身だからなんだろうなとわかってきた。
今日だって親切に心配してくれた。食事をおごってくれるらしい。
でも、私だって本当なら大富豪のバリー家の令嬢。騎士様がどれほどの身分か知らないけど、別に引けは取らないと思う。
「下女として入れてやる。まあ、仕事はしなくていいから。薬を伯爵家にも売ってくれ。それで家賃にしよう。隠れ蓑だと思ってくれればいい。あの家より格段に安全だぞ?」
でもなー。
一人暮らしって本当に楽。寝たいときに寝て、食べたいものを作って食べる。
世界の時間は私の為にある。薬だけは作らなくちゃいけないけど、意外と高値で売れて、売り切れはいつものことだ。
「じゃあ、俺にこの家に来いってか?」
なんで、そうなる。
「目立つから止めてください」
「夜だけ来てやる」
なんか下心じみてきた。なんなの? この騎士様、私を好きなの?
「騎士様はイケメンでしょう」
「ああ」
騎士様は深くうなずいた。
「そのほかに剣も抜群だし、騎士様という職業も女性に人気だと思います」
「その通りだ」
「そんな方が、こんな家に来てはダメですよ」
私は優しく諭した。
「悪い噂でもたったらどうするんです」
「だが、お前の方が心配だ。俺は、あんなブスには何の用事もないわと言えば済む話だが、お前はそうはいかない」
私はイラっとしたが、彼は言葉を続けた。
「もういっそ死んでいなくなった方がいいとバリー男爵家が考えたらどうするんだ」
「え?」
そこまでするかな?
「人間、金が絡むと何をするかわからない。お前はまだ子どもだからわからないと思うが」
いちいちディスるのやめてもらえませんかね。
「殺しまではしないものの、偽者を立てたらどうするんだ」
「偽者?」
「ローズ嬢という従妹と結婚すると言う噂がある」
騎士様が急に顔をしかめて言い出した。
「どういうことですか?」
「話自体は元々あったのだろう? だが、最近、ローズ嬢という人物とジェロームがパーティに参加した」
私は呆気に取られた。私はジェロームと出かけたことなんか一度もない。
「騎士様、それは?」
「もちろん、別の女だ。お前のなりすましに使うつもりかもしれない。そうなれば、お前は社会的に抹殺されてしまう。対抗策を考えないと」
私は赤面した。バリー家の令嬢としての認識が心のどこかにあったのだろう。
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今日だって親切に心配してくれた。食事をおごってくれるらしい。
でも、私だって本当なら大富豪のバリー家の令嬢。騎士様がどれほどの身分か知らないけど、別に引けは取らないと思う。
「下女として入れてやる。まあ、仕事はしなくていいから。薬を伯爵家にも売ってくれ。それで家賃にしよう。隠れ蓑だと思ってくれればいい。あの家より格段に安全だぞ?」
でもなー。
一人暮らしって本当に楽。寝たいときに寝て、食べたいものを作って食べる。
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「じゃあ、俺にこの家に来いってか?」
なんで、そうなる。
「目立つから止めてください」
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なんか下心じみてきた。なんなの? この騎士様、私を好きなの?
「騎士様はイケメンでしょう」
「ああ」
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「そのほかに剣も抜群だし、騎士様という職業も女性に人気だと思います」
「その通りだ」
「そんな方が、こんな家に来てはダメですよ」
私は優しく諭した。
「悪い噂でもたったらどうするんです」
「だが、お前の方が心配だ。俺は、あんなブスには何の用事もないわと言えば済む話だが、お前はそうはいかない」
私はイラっとしたが、彼は言葉を続けた。
「もういっそ死んでいなくなった方がいいとバリー男爵家が考えたらどうするんだ」
「え?」
そこまでするかな?
「人間、金が絡むと何をするかわからない。お前はまだ子どもだからわからないと思うが」
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「話自体は元々あったのだろう? だが、最近、ローズ嬢という人物とジェロームがパーティに参加した」
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「騎士様、それは?」
「もちろん、別の女だ。お前のなりすましに使うつもりかもしれない。そうなれば、お前は社会的に抹殺されてしまう。対抗策を考えないと」
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