1 / 47
第1話 家出1
しおりを挟む
ううむ。重い。
私、ローズ・バリーは、現在、家から逃げ出そうと奮闘中。
ドレスも宝石もいらないけれど、これだけは運ばないといけない。
これは、家出した後、私の生活を支えてくれる薬瓶だの薬草だの、秤だの、そう言った商売道具なのだ。これが重い。
多分あのとても嫌な従兄のジェロームなら簡単に運べるだけの荷物の量だろう。
なにしろ彼は大きいからね。それに彼の魔力は貧相だけど、力技に全振りしている。私の魔力が薬作りに全振りしているのと同じように。
だから私は正直大弱りだった。
この家出が伯父一家にばれたら絶対連れ戻されるし、さんざん怒られて、あの嫌な従兄との結婚を決められてしまう。
それは絶対いや。両親の財産目当てなことが分かり切っているのだもの。
国でも有数の大商人である父は、母と一緒に二か月前から行方不明だった。乗っていた船は期日に港に戻ってこなかった。難破したと言う噂が広がっている。
その日から、名ばかり貧乏男爵家の伯父一家の影がチラチラし始めたのだ。
従兄のジェロームも高慢そうで嫌いだったが、エリザベスとリンダの姉妹も大嫌いだった。エリザベスは痩せていて礼儀作法にやかましかった。勉強もできるそうで、どうもいつも見下されている気がした。リンダは美人でそれを鼻にかけていた。ただ、一家は貧乏で、リンダは私のドレスや宝飾品をいつも物欲しそうに見ていた。すました顔をしているエリザベスも内心ではうらやんでいることを私は知っている。だって、「教養のない娘に高いドレスはもったいない!」って、聞こえるように言ってたもの。
そんな連中が我が家にしきりに出入りしだしたので、とにかく怖い。
「大丈夫だ。伯父様に全部任せなさい」
いやいや、怖いって。
この町は、モレル伯爵様のご領地の中にある。私はもちろんお目にかかったことがないが、父はモレル伯爵様に気に入られていた。父が船旅に出たのも、実はモレル伯爵様の依頼によるものだった。伯爵が特産のブドウのお酒を異国でも販売できないかと父に話を持ち掛け、そのための旅行だった。
それも伯父の男爵は気に入らなくて……まあ、そんなことを言っていたらきりがない。
なにしろ、弟一家のやることなすこと、全部伯父一家は気に入らない。
モレル伯爵様は父が行方不明になったことに責任を感じていたらしい。もったいないことに、自筆のお手紙もいただいた。
両親の乗った船は行方不明のままだったので、なにかあれば力になろうと言うありがたいお言葉だった。
使者はいつも父のところにやってきていたイケメンの騎士様だった。ただちょっと目つきの悪い騎士様なのだ。ジロリとにらんでくるので、どうしたらいいのかいつも困ってしまう。
この人はバリー家専門のお使いらしくて、しょっちゅうウチに来ていた。
モレル伯爵家のお使いだから偉そうなのかな。どうも愛想が悪いなと思っていたけど、父は一生懸命もてなし、信用していたみたいだった。
私は、とても心配だった。だから……ある事件が起きた後、モレル伯爵様からもったいなくも私宛にお見舞いの手紙を持ってきた例の愛想の悪い騎士様に相談したのだった。お金をモレル銀行に預けたいって。
モレル銀行とはモレル伯爵が創設した銀行だ。裏では父が動いていたようだけど。お金を融通する制度がないと、不便なんだって。よくわからないけど。
「何があったって言うんですか?」
騎士様は片眉を上げて、聞いてきた。もう片方の眉は意地悪そうにしかめられたままである。
「実は……」
男爵夫人の伯母はあからさまにお金を欲しがっていた。ある日、私の家に来て、社交界デビューを控えたエリザベスとリンダのドレス代を出してほしいと言ってきたのだ。
「あのう、男爵家でお出しになるのが本当ではないですか?」
言わないわけにはいかなかった。たとえ伯母の機嫌がみるみる悪化することがわかっていても。
案の定、伯母の形相が変わった。怖い。
「なんですって? 親もいないのにずいぶんと大きく出たものね。今後は私たちの世話にならなきゃ、何もできない身の上に成り下がったくせに。これまで、散々きれいな服や宝石を見せびらかしてきたツケを払う時が来たのよ」
見せびらかしたわけでもないし、ツケなんかないよ!
伯母は太って大柄な女性だった。それが激高してキンキン声で、ウチの客間で怒鳴りまくった。
「かわいそうなエリザべスとリンダ。あんなに美しいのに、機会を逃してしまうだなんて。それもこれもあんたのせいよ」
そう言うと伯母は目の玉が飛び出るようなドレス代の請求書を突き付けた。
「これまでの分もあるわ。今すぐ支払ってちょうだい」
なんであなたのところの娘のドレス代を、保護者でもない私が払わなきゃいけないのよ。
でも、怖くて言えなかった。
伯母は私の家の客間から足音も荒くドスドスと出て行った。
すぐに出て行ってくれればいいのに、途中で足を止めた。
「いい壷じゃない」
「それは……」
女中頭があわてて止めに来た。伯母がびっくりするような怪力で階段の踊り場に飾ってあったキラキラした壷を持ち上げたからだ。
「お黙んなさい!」
伯母の一喝に女中頭がひるんだすきに彼女はニタリと笑うと、待たせていた馬車に壷ごと乗り込んだ。
「支払いを忘れなさんなよ」
そしてそのまま走り去った。
女中頭は茫然としていた。
「あれは新商品の宣伝用で、お値打ちものではございませんのに」
……と、言いたかったらしい。
「どうせ値打ちがわからないんだから、いいんじゃないかしら」
伯母と壷は、馬車に乗ってガラガラと行ってしまった。
「……ということがありまして」
私はイケメンの不愛想な騎士様に事の顛末を話した。
騎士様は眉をひそめた。
「泥棒じゃないか」
それはそうだけど。
「きっと私の許可を得たと言うと思います」
「いやなら、止めればよかったのに」
正論かもしれないけど無理。私はうつむいた。
この人もダメ。助けてなんかくれない。それはそうだ。でも、私は今、お金を銀行で預かって欲しいだけなのよ。伯母の横暴をどうにかして欲しい訳じゃない。
なんだか涙がでてきた。
私の横に棒のように突っ立っていた騎士様はあわてたらしかった。
「銀行に預けたらいいじゃないか。父上の名前で預けるのだな? 銀行は預けた人間以外は下せない仕組みになっている。モレル銀行はちゃんとしていると言う噂だ」
この人、モレル家に仕えているくせによく知らないのか。
父と親しかったようなのに、娘の私の苦境にも割と塩対応だし。低評価。
「それと伯父夫婦に知られたくないんです」
「わかった、わかった。担当者を紹介しよう」
そんなこんなで私は両親のお金を取られないように始末をつけた。屋敷は動かしようがないからこのままにしておくしかない。不動産っていうくらいだものね。家具類が売り払われてしまうのではないか心配だったが、伯父一家は、この家の家具類が気に入ったみたいだった。
「どうせジェロームと結婚するんだ。新居をこっちの屋敷にすればいいさ。近いし引っ越しもみんな楽だろう」
従兄のジェロームとの結婚は断固お断りだったが、誰も私の意見を聞いてくれない。
それにみんなで引っ越しって、一体誰が引っ越してくるって言うの?
エリザベスとリンダは、自分たちの部屋をどこにするかでもめていた。家具が気に入ったので、私の部屋を使いたいとか言っていた。家具が売り払われてしまう心配はないと思う。私が売り払われてしまいそうだったけど。
モレル伯爵家の無口な騎士様は、この話を黙って聞いていたが、遂に口を挟んだ。
「なんでそんな連中が引っ越して来るんだ。それに来られたら困らないか?」
困るよ! 冗談ではない。
「財産を隠してもどこへやったのか問い詰められて、結局銀行から持って来いと言われるのでは?」
「そうならない方法があるんです」
私はその時はそう言った。騎士様は小首を傾げていたが、それ以上は聞かなかった。
そして、伯父の貧乏男爵家が引っ越してくる前の晩、草木も眠る丑三つ時を狙って私は家出を決行したのだった。
私、ローズ・バリーは、現在、家から逃げ出そうと奮闘中。
ドレスも宝石もいらないけれど、これだけは運ばないといけない。
これは、家出した後、私の生活を支えてくれる薬瓶だの薬草だの、秤だの、そう言った商売道具なのだ。これが重い。
多分あのとても嫌な従兄のジェロームなら簡単に運べるだけの荷物の量だろう。
なにしろ彼は大きいからね。それに彼の魔力は貧相だけど、力技に全振りしている。私の魔力が薬作りに全振りしているのと同じように。
だから私は正直大弱りだった。
この家出が伯父一家にばれたら絶対連れ戻されるし、さんざん怒られて、あの嫌な従兄との結婚を決められてしまう。
それは絶対いや。両親の財産目当てなことが分かり切っているのだもの。
国でも有数の大商人である父は、母と一緒に二か月前から行方不明だった。乗っていた船は期日に港に戻ってこなかった。難破したと言う噂が広がっている。
その日から、名ばかり貧乏男爵家の伯父一家の影がチラチラし始めたのだ。
従兄のジェロームも高慢そうで嫌いだったが、エリザベスとリンダの姉妹も大嫌いだった。エリザベスは痩せていて礼儀作法にやかましかった。勉強もできるそうで、どうもいつも見下されている気がした。リンダは美人でそれを鼻にかけていた。ただ、一家は貧乏で、リンダは私のドレスや宝飾品をいつも物欲しそうに見ていた。すました顔をしているエリザベスも内心ではうらやんでいることを私は知っている。だって、「教養のない娘に高いドレスはもったいない!」って、聞こえるように言ってたもの。
そんな連中が我が家にしきりに出入りしだしたので、とにかく怖い。
「大丈夫だ。伯父様に全部任せなさい」
いやいや、怖いって。
この町は、モレル伯爵様のご領地の中にある。私はもちろんお目にかかったことがないが、父はモレル伯爵様に気に入られていた。父が船旅に出たのも、実はモレル伯爵様の依頼によるものだった。伯爵が特産のブドウのお酒を異国でも販売できないかと父に話を持ち掛け、そのための旅行だった。
それも伯父の男爵は気に入らなくて……まあ、そんなことを言っていたらきりがない。
なにしろ、弟一家のやることなすこと、全部伯父一家は気に入らない。
モレル伯爵様は父が行方不明になったことに責任を感じていたらしい。もったいないことに、自筆のお手紙もいただいた。
両親の乗った船は行方不明のままだったので、なにかあれば力になろうと言うありがたいお言葉だった。
使者はいつも父のところにやってきていたイケメンの騎士様だった。ただちょっと目つきの悪い騎士様なのだ。ジロリとにらんでくるので、どうしたらいいのかいつも困ってしまう。
この人はバリー家専門のお使いらしくて、しょっちゅうウチに来ていた。
モレル伯爵家のお使いだから偉そうなのかな。どうも愛想が悪いなと思っていたけど、父は一生懸命もてなし、信用していたみたいだった。
私は、とても心配だった。だから……ある事件が起きた後、モレル伯爵様からもったいなくも私宛にお見舞いの手紙を持ってきた例の愛想の悪い騎士様に相談したのだった。お金をモレル銀行に預けたいって。
モレル銀行とはモレル伯爵が創設した銀行だ。裏では父が動いていたようだけど。お金を融通する制度がないと、不便なんだって。よくわからないけど。
「何があったって言うんですか?」
騎士様は片眉を上げて、聞いてきた。もう片方の眉は意地悪そうにしかめられたままである。
「実は……」
男爵夫人の伯母はあからさまにお金を欲しがっていた。ある日、私の家に来て、社交界デビューを控えたエリザベスとリンダのドレス代を出してほしいと言ってきたのだ。
「あのう、男爵家でお出しになるのが本当ではないですか?」
言わないわけにはいかなかった。たとえ伯母の機嫌がみるみる悪化することがわかっていても。
案の定、伯母の形相が変わった。怖い。
「なんですって? 親もいないのにずいぶんと大きく出たものね。今後は私たちの世話にならなきゃ、何もできない身の上に成り下がったくせに。これまで、散々きれいな服や宝石を見せびらかしてきたツケを払う時が来たのよ」
見せびらかしたわけでもないし、ツケなんかないよ!
伯母は太って大柄な女性だった。それが激高してキンキン声で、ウチの客間で怒鳴りまくった。
「かわいそうなエリザべスとリンダ。あんなに美しいのに、機会を逃してしまうだなんて。それもこれもあんたのせいよ」
そう言うと伯母は目の玉が飛び出るようなドレス代の請求書を突き付けた。
「これまでの分もあるわ。今すぐ支払ってちょうだい」
なんであなたのところの娘のドレス代を、保護者でもない私が払わなきゃいけないのよ。
でも、怖くて言えなかった。
伯母は私の家の客間から足音も荒くドスドスと出て行った。
すぐに出て行ってくれればいいのに、途中で足を止めた。
「いい壷じゃない」
「それは……」
女中頭があわてて止めに来た。伯母がびっくりするような怪力で階段の踊り場に飾ってあったキラキラした壷を持ち上げたからだ。
「お黙んなさい!」
伯母の一喝に女中頭がひるんだすきに彼女はニタリと笑うと、待たせていた馬車に壷ごと乗り込んだ。
「支払いを忘れなさんなよ」
そしてそのまま走り去った。
女中頭は茫然としていた。
「あれは新商品の宣伝用で、お値打ちものではございませんのに」
……と、言いたかったらしい。
「どうせ値打ちがわからないんだから、いいんじゃないかしら」
伯母と壷は、馬車に乗ってガラガラと行ってしまった。
「……ということがありまして」
私はイケメンの不愛想な騎士様に事の顛末を話した。
騎士様は眉をひそめた。
「泥棒じゃないか」
それはそうだけど。
「きっと私の許可を得たと言うと思います」
「いやなら、止めればよかったのに」
正論かもしれないけど無理。私はうつむいた。
この人もダメ。助けてなんかくれない。それはそうだ。でも、私は今、お金を銀行で預かって欲しいだけなのよ。伯母の横暴をどうにかして欲しい訳じゃない。
なんだか涙がでてきた。
私の横に棒のように突っ立っていた騎士様はあわてたらしかった。
「銀行に預けたらいいじゃないか。父上の名前で預けるのだな? 銀行は預けた人間以外は下せない仕組みになっている。モレル銀行はちゃんとしていると言う噂だ」
この人、モレル家に仕えているくせによく知らないのか。
父と親しかったようなのに、娘の私の苦境にも割と塩対応だし。低評価。
「それと伯父夫婦に知られたくないんです」
「わかった、わかった。担当者を紹介しよう」
そんなこんなで私は両親のお金を取られないように始末をつけた。屋敷は動かしようがないからこのままにしておくしかない。不動産っていうくらいだものね。家具類が売り払われてしまうのではないか心配だったが、伯父一家は、この家の家具類が気に入ったみたいだった。
「どうせジェロームと結婚するんだ。新居をこっちの屋敷にすればいいさ。近いし引っ越しもみんな楽だろう」
従兄のジェロームとの結婚は断固お断りだったが、誰も私の意見を聞いてくれない。
それにみんなで引っ越しって、一体誰が引っ越してくるって言うの?
エリザベスとリンダは、自分たちの部屋をどこにするかでもめていた。家具が気に入ったので、私の部屋を使いたいとか言っていた。家具が売り払われてしまう心配はないと思う。私が売り払われてしまいそうだったけど。
モレル伯爵家の無口な騎士様は、この話を黙って聞いていたが、遂に口を挟んだ。
「なんでそんな連中が引っ越して来るんだ。それに来られたら困らないか?」
困るよ! 冗談ではない。
「財産を隠してもどこへやったのか問い詰められて、結局銀行から持って来いと言われるのでは?」
「そうならない方法があるんです」
私はその時はそう言った。騎士様は小首を傾げていたが、それ以上は聞かなかった。
そして、伯父の貧乏男爵家が引っ越してくる前の晩、草木も眠る丑三つ時を狙って私は家出を決行したのだった。
151
お気に入りに追加
621
あなたにおすすめの小説
婚約破棄されたら魔法が解けました
かな
恋愛
「クロエ・ベネット。お前との婚約は破棄する。」
それは学園の卒業パーティーでの出来事だった。……やっぱり、ダメだったんだ。周りがザワザワと騒ぎ出す中、ただ1人『クロエ・ベネット』だけは冷静に事実を受け止めていた。乙女ゲームの世界に転生してから10年。国外追放を回避する為に、そして后妃となる為に努力し続けて来たその時間が無駄になった瞬間だった。そんな彼女に追い打ちをかけるかのように、王太子であるエドワード・ホワイトは聖女を新たな婚約者とすることを発表した。その後はトントン拍子にことが運び、冤罪をかけられ、ゲームのシナリオ通り国外追放になった。そして、魔物に襲われて死ぬ。……そんな運命を辿るはずだった。
「こんなことなら、転生なんてしたくなかった。元の世界に戻りたい……」
あろうことか、最後の願いとしてそう思った瞬間に、全身が光り出したのだ。そして気がつくと、なんと前世の姿に戻っていた!しかもそれを第二王子であるアルベルトに見られていて……。
「……まさかこんなことになるなんてね。……それでどうする?あの2人復讐でもしちゃう?今の君なら、それができるよ。」
死を覚悟した絶望から転生特典を得た主人公の大逆転溺愛ラブストーリー!
※最初の5話は毎日18時に投稿、それ以降は毎週土曜日の18時に投稿する予定です
婚約者が私以外の人と勝手に結婚したので黙って逃げてやりました〜某国の王子と珍獣ミミルキーを愛でます〜
平川
恋愛
侯爵家の莫大な借金を黒字に塗り替え事業を成功させ続ける才女コリーン。
だが愛する婚約者の為にと寝る間を惜しむほど侯爵家を支えてきたのにも関わらず知らぬ間に裏切られた彼女は一人、誰にも何も告げずに屋敷を飛び出した。
流れ流れて辿り着いたのは獣人が治めるバムダ王国。珍獣ミミルキーが生息するマサラヤマン島でこの国の第一王子ウィンダムに偶然出会い、強引に王宮に連れ去られミミルキーの生態調査に参加する事に!?
魔法使いのウィンロードである王子に溺愛され珍獣に癒されたコリーンは少しずつ自分を取り戻していく。
そして追い掛けて来た元婚約者に対して少女であった彼女が最後に出した答えとは…?
完結済全6話
【片思いの5年間】婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。
五月ふう
恋愛
「君を愛するつもりも婚約者として扱うつもりもないーー。」
婚約者であるアレックス王子が婚約初日に私にいった言葉だ。
愛されず、婚約者として扱われない。つまり自由ってことですかーー?
それって最高じゃないですか。
ずっとそう思っていた私が、王子様に溺愛されるまでの物語。
この作品は
「婚約破棄した元婚約者の王子様は愛人を囲っていました。しかもその人は王子様がずっと愛していた幼馴染でした。」のスピンオフ作品となっています。
どちらの作品から読んでも楽しめるようになっています。気になる方は是非上記の作品も手にとってみてください。
妹がいなくなった
アズやっこ
恋愛
妹が突然家から居なくなった。
メイドが慌ててバタバタと騒いでいる。
お父様とお母様の泣き声が聞こえる。
「うるさくて寝ていられないわ」
妹は我が家の宝。
お父様とお母様は妹しか見えない。ドレスも宝石も妹にだけ買い与える。
妹を探しに出掛けたけど…。見つかるかしら?
婚約者に消えろと言われたので湖に飛び込んだら、気づけば三年が経っていました。
束原ミヤコ
恋愛
公爵令嬢シャロンは、王太子オリバーの婚約者に選ばれてから、厳しい王妃教育に耐えていた。
だが、十六歳になり貴族学園に入学すると、オリバーはすでに子爵令嬢エミリアと浮気をしていた。
そしてある冬のこと。オリバーに「私の為に消えろ」というような意味のことを告げられる。
全てを諦めたシャロンは、精霊の湖と呼ばれている学園の裏庭にある湖に飛び込んだ。
気づくと、見知らぬ場所に寝かされていた。
そこにはかつて、病弱で体の小さかった辺境伯家の息子アダムがいた。
すっかり立派になったアダムは「あれから三年、君は目覚めなかった」と言った――。
生まれたときから今日まで無かったことにしてください。
はゆりか
恋愛
産まれた時からこの国の王太子の婚約者でした。
物心がついた頃から毎日自宅での王妃教育。
週に一回王城にいき社交を学び人脈作り。
当たり前のように生活してしていき気づいた時には私は1人だった。
家族からも婚約者である王太子からも愛されていないわけではない。
でも、わたしがいなくてもなんら変わりのない。
家族の中心は姉だから。
決して虐げられているわけではないけどパーティーに着て行くドレスがなくても誰も気づかれないそんな境遇のわたしが本当の愛を知り溺愛されて行くストーリー。
…………
処女作品の為、色々問題があるかとおもいますが、温かく見守っていただけたらとおもいます。
本編完結。
番外編数話続きます。
続編(2章)
『婚約破棄されましたが、婚約解消された隣国王太子に恋しました』連載スタートしました。
そちらもよろしくお願いします。
【完結】公女が死んだ、その後のこと
杜野秋人
恋愛
【第17回恋愛小説大賞 奨励賞受賞しました!】
「お母様……」
冷たく薄暗く、不潔で不快な地下の罪人牢で、彼女は独り、亡き母に語りかける。その掌の中には、ひと粒の小さな白い錠剤。
古ぼけた簡易寝台に座り、彼女はそのままゆっくりと、覚悟を決めたように横たわる。
「言いつけを、守ります」
最期にそう呟いて、彼女は震える手で錠剤を口に含み、そのまま飲み下した。
こうして、第二王子ボアネルジェスの婚約者でありカストリア公爵家の次期女公爵でもある公女オフィーリアは、獄中にて自ら命を断った。
そして彼女の死後、その影響はマケダニア王国の王宮内外の至るところで噴出した。
「ええい、公務が回らん!オフィーリアは何をやっている!?」
「殿下は何を仰せか!すでに公女は儚くなられたでしょうが!」
「くっ……、な、ならば蘇生させ」
「あれから何日経つとお思いで!?お気は確かか!」
「何故だ!何故この私が裁かれねばならん!」
「そうよ!お父様も私も何も悪くないわ!悪いのは全部お義姉さまよ!」
「…………申し開きがあるのなら、今ここではなく取り調べと裁判の場で存分に申すがよいわ。⸺連れて行け」
「まっ、待て!話を」
「嫌ぁ〜!」
「今さら何しに戻ってきたかね先々代様。わしらはもう、公女さま以外にお仕えする気も従う気もないんじゃがな?」
「なっ……貴様!領主たる儂の言うことが聞けんと」
「領主だったのは亡くなった女公さまとその娘の公女さまじゃ。あの方らはあんたと違って、わしら領民を第一に考えて下さった。あんたと違ってな!」
「くっ……!」
「なっ、譲位せよだと!?」
「本国の決定にございます。これ以上の混迷は連邦友邦にまで悪影響を与えかねないと。⸺潔く観念なさいませ。さあ、ご署名を」
「おのれ、謀りおったか!」
「…………父上が悪いのですよ。あの時止めてさえいれば、彼女は死なずに済んだのに」
◆人が亡くなる描写、及びベッドシーンがあるのでR15で。生々しい表現は避けています。
◆公女が亡くなってからが本番。なので最初の方、恋愛要素はほぼありません。最後はちゃんとジャンル:恋愛です。
◆ドアマットヒロインを書こうとしたはずが。どうしてこうなった?
◆作中の演出として自死のシーンがありますが、決して推奨し助長するものではありません。早まっちゃう前に然るべき窓口に一言相談を。
◆作者の作品は特に断りなき場合、基本的に同一の世界観に基づいています。が、他作品とリンクする予定は特にありません。本作単品でお楽しみ頂けます。
◆この作品は小説家になろうでも公開します。
◆24/2/17、HOTランキング女性向け1位!?1位は初ですありがとうございます!
【完結】愛され公爵令嬢は穏やかに微笑む
綾雅(りょうが)祝!コミカライズ
恋愛
「シモーニ公爵令嬢、ジェラルディーナ! 私はお前との婚約を破棄する。この宣言は覆らぬと思え!!」
婚約者である王太子殿下ヴァレンテ様からの突然の拒絶に、立ち尽くすしかありませんでした。王妃になるべく育てられた私の、存在価値を否定するお言葉です。あまりの衝撃に意識を手放した私は、もう生きる意味も分からくなっていました。
婚約破棄されたシモーニ公爵令嬢ジェラルディーナ、彼女のその後の人生は思わぬ方向へ転がり続ける。優しい彼女の功績に助けられた人々による、恩返しが始まった。まるで童話のように、受け身の公爵令嬢は次々と幸運を手にしていく。
ハッピーエンド確定
【同時掲載】小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/01 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、二次選考通過
2022/07/29 FUNGUILD、Webtoon原作シナリオ大賞、一次選考通過
2022/02/15 小説家になろう 異世界恋愛(日間)71位
2022/02/12 完結
2021/11/30 小説家になろう 異世界恋愛(日間)26位
2021/11/29 アルファポリス HOT2位
2021/12/03 カクヨム 恋愛(週間)6位
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる