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第4話 これは浮気なのでは?
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そして、ある日のこと。
「ちょっと! シュザンナ!」
大人しいはずのルシンダが血相変えて走ってくる。
「はい!?」
あたしはルシンダの勢いに押された。何かへまを仕出かしたかしら?
「第5限の!」
5限? 5限は、語学だったような。それがどうかしたのだろうか?
ルシンダは息が切れて、思うようにしゃべれないらしい。
「……の、あとで!」
「?」
「アマンダ王女とケネスが親し気に話をしていたのよ!」
「へ、へえ?」
ルシンダは、はあはあ言っていた。大体、のんびりゆっくり行動するたちなのに、大事件でも起きたかのようだ。
「へ、へえ?……ではありません!」
で、でも、何てコメントしたらいいの……?
「ケネスは……すごいことをしていたの。恐ろしいことよ。あり得ないわ、よく知りもしない隣国の王女殿下に向かって!」
ここでルシンダは一息入れた。
ケネスが何をしたと言うんだろう。私は心配になった。あのケネスのことだ。王女殿下に向かって、怒鳴ったとか? キスしたとか?
「ケネスはデートの約束をしていたのよ」
……なんだ。
そんなことか。
あんまり息を切らしてルシンダがやって来るものだから、もの凄い事態を想像してしまっていた。
「良かったじゃないの」
私の想像より、まだマシという意味でだけど。
幼馴染だからこそ知ってるけれど、ケネスは相当な悪い子でした。
大胆と言うか、豪気と言うか。
大きくなった今のことは、よく知らないけど、そんなに大きく変わることはないと思うの。
「何を言っているのよ! シュザンナ」
まあ、内心ムカつかないと言えばうそになる。
私のことなんか、一度だって誘ってくれなかった。
この容姿がマズいのかしら。
マズイのは多少わかっているけど。
まあ、まずいんだろうな。
マズイかも……マズいだろう……マズいに違いない。
三段活用だ。
母のせいで私はメガネをかけていた。自分的には美人度4割減だ。
「とればいいのに」
と、アーノルドやウィリアムなんかは簡単に言うが、母は絶対に許してくれないと思う。
「母が許してくれないのよ」
私は弱々しく弁解した。母は絶対に私の言うことなど聞いてくれない。
でも、容姿がよろしくないのは令嬢としては決定的に損だ。
だから父は婚約を早めたのかも知れない。公爵家の権威を振りかざして。
そう考えると、ケネスはいわば被害者なのかも知れない。
意に染まぬ、容色の劣る、おそらくは気位ばかりが高い公爵令嬢を、強制的に娶らなくてはならないだなんて、気の毒と言えば気の毒な身の上なのだ。
私は、連れ立って歩く、フワフワの綿毛のような髪を明るい黄色のリボンで結んだ愛らしい令嬢と、すらりと背の高いたくましい体つきの騎士見習の青年を見送った。
大変残念だけれど…………お似合いである。
ケネスが真実の愛を求めるとか言いだした理由は……わからないでもない。
こんなに容色の劣る、高慢娘の相手を一生するのかと思うと、気が滅入るのだろう。
「あなたは高慢なんかじゃないわ!」
ルシンダは私の代わりに怒ってくれた。
彼女は、浮気をする婚約者なんか許せないのだろう。
私だって、許したいわけじゃないんだけれど、でも、どうしたらいいのかわからない。
私は怒っているルシンダとアーノルド、面白がっているウィリアムと別れて、しょぼくれて屋敷に帰った。
まさか、この顛末を母に話すわけにはいかない。
母は、実はあんまり美人と言うたぐいの人ではなかった。
だが、隣国の王女だったのだ。持参金だって、たんまり持ってきた。
父は美男子で温厚で、一度主張し出したら止まらない頑固なところのある母でも、穏やかにあしらい、夫婦仲は(たまに母は暴走して面倒なことになることはあったが)いいと言えるだろう。
波風立たない幸せな家庭なのだ。
私は末娘で、母は自分に似た私の結婚にはことのほか力が入っていた。
その母に、実は婚約者のケネスが真実の愛を求めて迷走中で、隣国の王女(母とは別の国の出身である)とデートの予定です、なんて言う訳に行かない。どんな大騒ぎになることやら。
この場合、母に首を絞め上げられるのは、まず父になる。理由はわからないけれど。
次のとばっちりが、そんな男一人つなぎ留められないあなたはなんなの?……と私に回ってくれるのは間違いない。
くわばら、くわばら。
まだ、何も確定しているわけではない。黙っておこう。
学園内での友達はルシンダだが、屋敷の中には、メアリ・アンとロンダがいる。私の侍女で、侍女と言うより仲間だ。年も近い。奥様のヒステリーについてはよく知っている。
彼女たちには事情を話しておいた。
「ケネス様なんぞとの結婚なんて、捨て置かれたらいかがですか?」
二人は憤慨して、私に意見を言った。
「でもねえ……」
捨て置くって、どういう意味なんだ。
このまま放っておくのは別にかまわない。一番楽だ。
だけど、婚約というものには強制力がある。
破棄するにしても、解約するにしても、ある程度、儀式と言うか手続きが必要だ。
それに私はもう17歳だったし、たいていの良家のご子息たちには、婚約の公表までは至らなくても、そこそこ縁談がきていて、まとまりかけているところも多いだろう。
今更そこに参戦しても、迷惑なだけなのでは……。というか、もう空き席がないのでは? ましてや、メガネっ子だしなあ……。
「ケネスと結婚するのが一番楽なのよね」
「そんなにケネス様がお好きなのですか?」
「いえ。別に」
身もフタもないとはこのことだろう。自分で言ってて気になった。
幼馴染のケネスは……好きじゃないけど、気になる人。でも、今のケネスは遠い人。
「じゃあ、ケネス様のことなんか、どうでもいいじゃないですか」
「次を探すのが大変なのよ」
「それは……」
それは侍女の彼女たちがどうにか出来る話ではない。
母親の務めなのだ。
だが、母はその役目をすでに立派に果たしてしまっている(と思っている)。
時々、本当にまれだが、母がオズボーン侯爵夫人に向かって、ケネスからのお誘いがないけれど?などと、嫌味を言うことがある。思わず、お忙しいですからとか、私がうっかりフォローを入れてしまうのだが、その数日後には立派な花束が届いたりする。むろん、ケネス本人は来ないけれど。
お母さまのオズボーン夫人が気を使っているのじゃないかしら。
多分、母はそこまで確認していないだろう。花束で満足しているはずだ。
「それにしても、お嬢様、心配ですね」
「もう、夏の休暇ですもの。ケネス様に会う機会もグッと減るではありませんか」
「その間に、アマンダ王女様がケネス様に熱烈アプローチされていたら……」
逆だろう。ケネスがアマンダ王女に熱烈アプローチをかけるのじゃないかしら?
なぜなら、ケネスなんかより、アマンダ王女の方が圧倒的に身分が高いのだもの。
思っただけで、ちょっと鬱になった。
それに、学園に通っていても、ケネスと会う機会なんかない。
向こうだって会いたくないだろうから、私は気を利かせて出来るだけ近寄らないようにしている。
夏季休暇中なら、会う可能性はほぼゼロだろう。
「来年にはオズボーン侯爵ご子息と成婚ね。そろそろ準備を始めた方がいいのだけど」
母は無慈悲なことを言う。思わず私は首をすくめた。
無理なんじゃないかな。
あれから、ケネスとアマンダ王女はいつも一緒だ。とても仲が良い。
見れば、それはそれで腹が立つ。
なんなんだ、私と言う婚約者がいながら!
と思いはするものの、かわいらしい令嬢と立派な騎士の組み合わせは、周りでもお似合いだと好評らしくて、手も足も出ない。
それに、冷静に、客観的になって考えれば、二人が思いあっているなら、私は本気で邪魔者だよね。
そう思うと、それこそ悲しかったけれど。
別にケネスが好きなわけじゃないけれど。
自分の屋敷の自分の部屋で一人きりの時に、思わず本音が勝手に出た。
「私も、真実の愛を探したいわ」
ケネスのことはあきらめた。あきらめるしかないじゃない。
大事にしてくれない人になんか、用事はないと私は意地悪な気持ちになって考えた。
「ちょっと! シュザンナ!」
大人しいはずのルシンダが血相変えて走ってくる。
「はい!?」
あたしはルシンダの勢いに押された。何かへまを仕出かしたかしら?
「第5限の!」
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「……の、あとで!」
「?」
「アマンダ王女とケネスが親し気に話をしていたのよ!」
「へ、へえ?」
ルシンダは、はあはあ言っていた。大体、のんびりゆっくり行動するたちなのに、大事件でも起きたかのようだ。
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で、でも、何てコメントしたらいいの……?
「ケネスは……すごいことをしていたの。恐ろしいことよ。あり得ないわ、よく知りもしない隣国の王女殿下に向かって!」
ここでルシンダは一息入れた。
ケネスが何をしたと言うんだろう。私は心配になった。あのケネスのことだ。王女殿下に向かって、怒鳴ったとか? キスしたとか?
「ケネスはデートの約束をしていたのよ」
……なんだ。
そんなことか。
あんまり息を切らしてルシンダがやって来るものだから、もの凄い事態を想像してしまっていた。
「良かったじゃないの」
私の想像より、まだマシという意味でだけど。
幼馴染だからこそ知ってるけれど、ケネスは相当な悪い子でした。
大胆と言うか、豪気と言うか。
大きくなった今のことは、よく知らないけど、そんなに大きく変わることはないと思うの。
「何を言っているのよ! シュザンナ」
まあ、内心ムカつかないと言えばうそになる。
私のことなんか、一度だって誘ってくれなかった。
この容姿がマズいのかしら。
マズイのは多少わかっているけど。
まあ、まずいんだろうな。
マズイかも……マズいだろう……マズいに違いない。
三段活用だ。
母のせいで私はメガネをかけていた。自分的には美人度4割減だ。
「とればいいのに」
と、アーノルドやウィリアムなんかは簡単に言うが、母は絶対に許してくれないと思う。
「母が許してくれないのよ」
私は弱々しく弁解した。母は絶対に私の言うことなど聞いてくれない。
でも、容姿がよろしくないのは令嬢としては決定的に損だ。
だから父は婚約を早めたのかも知れない。公爵家の権威を振りかざして。
そう考えると、ケネスはいわば被害者なのかも知れない。
意に染まぬ、容色の劣る、おそらくは気位ばかりが高い公爵令嬢を、強制的に娶らなくてはならないだなんて、気の毒と言えば気の毒な身の上なのだ。
私は、連れ立って歩く、フワフワの綿毛のような髪を明るい黄色のリボンで結んだ愛らしい令嬢と、すらりと背の高いたくましい体つきの騎士見習の青年を見送った。
大変残念だけれど…………お似合いである。
ケネスが真実の愛を求めるとか言いだした理由は……わからないでもない。
こんなに容色の劣る、高慢娘の相手を一生するのかと思うと、気が滅入るのだろう。
「あなたは高慢なんかじゃないわ!」
ルシンダは私の代わりに怒ってくれた。
彼女は、浮気をする婚約者なんか許せないのだろう。
私だって、許したいわけじゃないんだけれど、でも、どうしたらいいのかわからない。
私は怒っているルシンダとアーノルド、面白がっているウィリアムと別れて、しょぼくれて屋敷に帰った。
まさか、この顛末を母に話すわけにはいかない。
母は、実はあんまり美人と言うたぐいの人ではなかった。
だが、隣国の王女だったのだ。持参金だって、たんまり持ってきた。
父は美男子で温厚で、一度主張し出したら止まらない頑固なところのある母でも、穏やかにあしらい、夫婦仲は(たまに母は暴走して面倒なことになることはあったが)いいと言えるだろう。
波風立たない幸せな家庭なのだ。
私は末娘で、母は自分に似た私の結婚にはことのほか力が入っていた。
その母に、実は婚約者のケネスが真実の愛を求めて迷走中で、隣国の王女(母とは別の国の出身である)とデートの予定です、なんて言う訳に行かない。どんな大騒ぎになることやら。
この場合、母に首を絞め上げられるのは、まず父になる。理由はわからないけれど。
次のとばっちりが、そんな男一人つなぎ留められないあなたはなんなの?……と私に回ってくれるのは間違いない。
くわばら、くわばら。
まだ、何も確定しているわけではない。黙っておこう。
学園内での友達はルシンダだが、屋敷の中には、メアリ・アンとロンダがいる。私の侍女で、侍女と言うより仲間だ。年も近い。奥様のヒステリーについてはよく知っている。
彼女たちには事情を話しておいた。
「ケネス様なんぞとの結婚なんて、捨て置かれたらいかがですか?」
二人は憤慨して、私に意見を言った。
「でもねえ……」
捨て置くって、どういう意味なんだ。
このまま放っておくのは別にかまわない。一番楽だ。
だけど、婚約というものには強制力がある。
破棄するにしても、解約するにしても、ある程度、儀式と言うか手続きが必要だ。
それに私はもう17歳だったし、たいていの良家のご子息たちには、婚約の公表までは至らなくても、そこそこ縁談がきていて、まとまりかけているところも多いだろう。
今更そこに参戦しても、迷惑なだけなのでは……。というか、もう空き席がないのでは? ましてや、メガネっ子だしなあ……。
「ケネスと結婚するのが一番楽なのよね」
「そんなにケネス様がお好きなのですか?」
「いえ。別に」
身もフタもないとはこのことだろう。自分で言ってて気になった。
幼馴染のケネスは……好きじゃないけど、気になる人。でも、今のケネスは遠い人。
「じゃあ、ケネス様のことなんか、どうでもいいじゃないですか」
「次を探すのが大変なのよ」
「それは……」
それは侍女の彼女たちがどうにか出来る話ではない。
母親の務めなのだ。
だが、母はその役目をすでに立派に果たしてしまっている(と思っている)。
時々、本当にまれだが、母がオズボーン侯爵夫人に向かって、ケネスからのお誘いがないけれど?などと、嫌味を言うことがある。思わず、お忙しいですからとか、私がうっかりフォローを入れてしまうのだが、その数日後には立派な花束が届いたりする。むろん、ケネス本人は来ないけれど。
お母さまのオズボーン夫人が気を使っているのじゃないかしら。
多分、母はそこまで確認していないだろう。花束で満足しているはずだ。
「それにしても、お嬢様、心配ですね」
「もう、夏の休暇ですもの。ケネス様に会う機会もグッと減るではありませんか」
「その間に、アマンダ王女様がケネス様に熱烈アプローチされていたら……」
逆だろう。ケネスがアマンダ王女に熱烈アプローチをかけるのじゃないかしら?
なぜなら、ケネスなんかより、アマンダ王女の方が圧倒的に身分が高いのだもの。
思っただけで、ちょっと鬱になった。
それに、学園に通っていても、ケネスと会う機会なんかない。
向こうだって会いたくないだろうから、私は気を利かせて出来るだけ近寄らないようにしている。
夏季休暇中なら、会う可能性はほぼゼロだろう。
「来年にはオズボーン侯爵ご子息と成婚ね。そろそろ準備を始めた方がいいのだけど」
母は無慈悲なことを言う。思わず私は首をすくめた。
無理なんじゃないかな。
あれから、ケネスとアマンダ王女はいつも一緒だ。とても仲が良い。
見れば、それはそれで腹が立つ。
なんなんだ、私と言う婚約者がいながら!
と思いはするものの、かわいらしい令嬢と立派な騎士の組み合わせは、周りでもお似合いだと好評らしくて、手も足も出ない。
それに、冷静に、客観的になって考えれば、二人が思いあっているなら、私は本気で邪魔者だよね。
そう思うと、それこそ悲しかったけれど。
別にケネスが好きなわけじゃないけれど。
自分の屋敷の自分の部屋で一人きりの時に、思わず本音が勝手に出た。
「私も、真実の愛を探したいわ」
ケネスのことはあきらめた。あきらめるしかないじゃない。
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